私は聖女じゃねえんですよ   作:苦闘点

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 体調ぶっ壊れ&忙し過ぎで遅れました。ごめんなさい。
あと箸休めは一回と言いましたが二回目やります。ごめんなさい。


第06節 女子トーク

 

 

 今日は穏やかな日だ。

 

 それもそのはず、現在の季節は冬であり、今も外は雪が降りしきっている。

 別にこの村は雪国ってわけじゃないが、それでも積もる時はくるぶしくらいまで積もることもある。

 

 いつもは俺にベッタリな子ども達も、今は外で雪合戦を繰り広げている。もちろん俺も誘われはしたが、近くにいたジェイル他俺と同い年の男共に丸投げした。

 ふっ、すまんな男子たち。俺はヌクヌク教会の中で読書させてもらうぜ。

 いや〜、ホント魔法様々だ。薪を取りに行かなくても火炎(ファイア)一発で暖炉に火がつく。

 誰でも使えないのが唯一の欠点だな。チャッカマン的なの作ろっかな。

 

 あ、お湯が沸いたか。紅茶の時間だ〜。

 

 

「お茶請けはあったかな〜っと……」

 

「今日はいつにも増して口調がユルユルだねぇ、カレンちゃん」

 

「……ライラさん、居たなら声をかけてください。びっくりします」

 

「驚いたならもっと顔に出しなよ〜」

 

 

 本に夢中で気付かなったが、いつの間にか来客がいたようだ。

 ライラは俺と同い年の少女だ。おしゃべり好きなごく普通の村娘の女の子。胸がデカイ。

 

 今も俺の背中に胸をグリグリ押し付けている。俺はこの歳の女の子にしては背が高いので、バックハグするとこうなるんだ。ちなみに興奮はしないぞ。

 

 

「お店はどうしたんですか。雑貨屋継いだんでしょう」

 

「今日は寒すぎるから休業で〜す。どうせこの雪じゃ、子どもくらいしか外に出ないからね」

 

「確かにそうですね。それでお茶とお菓子をたかりに来たと」

 

「まっさか〜、ちゃんとお菓子は持参しました!」

 

「……よろしい。椅子持ってきます」

 

 

 手ぶらだったら雪玉に砂糖まぶしたやつでも出そうと思ってたが、お菓子持参なら話は別だ。

 

 俺の最近の趣味のお菓子作り。一部冬眠する魔物がいるので、魔物退治の仕事が楽になって時間が出来た。そこで始めてみたら案外楽しい。砂糖が高いから、金は無くなるけどな。

 

 今日は寒いので、熱い紅茶に合うスコーンを作ってみた。素朴な甘さが美味しい。

 ライラが持ってきたのはクッキーだった。口パサパサコンビだな。紅茶もっと沸かそ。

 

 

「ん〜カレンちゃんのお菓子いつも美味しいよね。魔法でなんかしてる?」

 

「美味しくなる魔法なんてあったら、さっさと聖職者から飲食にジョブチェンジしてますよ。正真正銘私の腕です」

 

「ま、まさか……愛?」

 

「スコーン没収しますよ」

 

「待って待って冗談冗談」

 

 

 何が愛じゃい。そもそもこのスコーンは本来全部俺のじゃい。

 

 

「にしても珍しいね。カレンちゃんが作ったお菓子って、いつも子供たちがかっさらってくのに」

 

「今日は久しぶりに雪が積もりましたから。みんな外で遊んでたでしょう?」

 

「あーそれで男衆が相手してたのね。カレンちゃんも寒いから丸投げしたと」

 

「まあそんなとこです」

 

 

 本当は寒さなんて魔法でどうとでもなるんだけど。今日くらい休んだっていいだろ。

 俺だっていつでも面倒見れるわけじゃないしな。子どもの体力に恐れ慄くがいい。

 

 

「ふんふん、なるほど……時にさ、カレンちゃん」

 

「何ですか」

 

「好きな男の子いる?」

 

「質問に質問で返しますが、脈絡って言葉知ってます?」

 

 

 急にぶっこんでくるじゃん。女子間での会話には随分慣れたが、この突然急転換するのは女子の中ではあるあるなんだろうか。それともライラ特有のか?

 

 思わずクソデカため息をつく。この質問は一度や二度では無い。何なら会う度に聞かれてる気がする。

 

 

「も〜毎度毎度はぐらかすね。なになにいるの〜?」

 

「貴方もしつこいですね……。では私も毎度毎度言ってる事ですが、いませんよ。ていうか今後も未来永劫できる予定もありませんよ」

 

「ぶー、つまんないの。村の男の子たちが可哀想ったらありゃしない」

 

「あー、それはまぁ、ご愁傷さまってことで」

 

「哀れ、村の過半数の男子たち……」

 

「そんなにいるんです?」

 

 

 俺は村の男子共の初恋を奪いまくっていたらしい。

 まぁ俺美少女だし、元男だから距離近かったし精神年齢高いし、傷治したりしたしで、初恋になる為の条件が役満してる状態だった。

 

 はぁ、美少女は辛いよ。俺は肉体が女でも、前世が前世なので男と恋愛するつもりは無い。告られても応えることは出来ないのだ。すまぬ世の男たち。お前たちの恋は実ることは無い。

 

 

「……何その顔」

 

「私が美少女であったばっかりに……と世の男性たちの性癖の歪みを憂いている顔です」

 

「カレンちゃんて言葉遣いの割に俗だよね。そこら辺は神父様に似てるかも」

 

「……ンフ、そうですかね」

 

「嬉しそうな顔してんねー」

 

 

 そんな事ねえし。ただあんまり言われた事無かったから、笑っちゃっただけだし。

 

 

「それは置いといて、この村の女の子達だって十分可愛いでしょう。あ、嫌味じゃないですよ」

 

「分かってますよーだ。私だってカレンちゃんが可愛いことは知ってるんだーい」

 

「それに……胸は私より大きい人の方が多いでしょう」

 

 

 そう言って俺は視線を下に落としてみる。

 見えるのは、僅かに膨らんだ胸元。

 

 俺が今着ているのは、元々着ていた修道服に神父様の形見の服で作ったローブを羽織ったものだ。身体のラインが分かりづらい服ではあるものの、()れば分かる。()ければ分からん。そんくらいの服だ。

 

 そして俺は、そんなに無いので分かりづらい。

 もう一度言おう。俺は、そんなに無い。

 

 何が、とか言うなよ。言ったら逆に胸を凹ませてやる。

 

 

 はぁ〜〜、幼い頃に俺が夢見た双丘、随分と小さいな。もっとこう、富士山並みのを期待してた。膨らみ始めた時はテンションぶち上がったのに、成長は直ぐに止まった。高望みし過ぎたのかな。

 

 と、推定B寄り(ここ大事)のAカップである俺は、目の前の女の子の胸元を見る。

 

 ……富士山があった。

 

 

「はあ゛ぁ゛ぁぁ〜〜〜」

 

「おっと? およそ美少女が吐いちゃいけない絶望に満ちたため息が聞こえたぞ?」

 

「気のせいでしょう富士山」

 

「誰が富士山だ。てか富士山て何」

 

「可愛いって意味ですヨー」

 

 

 ッケ、別に俺は元男なので気にしちゃいねーが、どうせ女になるんだったら巨乳が良かったよ。神よォ、つか竜よォ、美少女にするくらい手間をかけられるなら胸もついでに大っきくしてくれりゃ良かったのに。

 

 胸が小さい方が動きやすいしな。魔物と戦う時邪魔になるし、俺は一向にこのままで構わない。もうちょっと大きくなってほしいとは、ちょっとだけ思ってるけど。別に富士山なんていらん。

 

 

「おっぱいどうこうの話は、私たちにはその真相は分かんないけどね……」

 

「これまでおっぱいとは言わずに胸って濁してたのに、一瞬で無に帰しましたね」

 

「女同士の会話なんてこんなもんだよ」

 

「……それはそうですね」

 

 

 こうやって女子同士で話すようになってから、俺も女性への幻想は捨てた。

 男子高校生同士の中身の無い会話も好きだが、女子高校生同士の会話もなかなか面白いものだ。前世では触れる機会も無かったので、転生もしてみるもんだ。

 

 

「……この話やめません? なんか虚しくなってきました」

 

「おっぱいの話題に関しては完全にカレンちゃんが墓穴掘っただけだけどね」

 

「話題を変えましょう。最近冬ですけど、お店の調子はどうなんですか?」

 

「ぼちぼちだね〜。親から受け継いだものの、まだ慣れないことばっかりだよ。カレンちゃんは?」

 

「私の方は特に。子どもの頃からやってる事ですから。そこら辺の苦労を知らないので、あんまり共感出来ないのが辛いですね」

 

 

 この村の人は、基本的に親の仕事を受け継ぐ。ライラなら雑貨屋、他の子も農業やら肉屋やらの仕事を受け継いでいる。

 かく言う俺も、神父様の仕事を受け継いだ訳だしな。

 

 だからこれからも、この村で聖職者として生きてくつもり…………

 

 

「……カレンちゃんはさ」

 

「ん、何ですか?」

 

「シスター以外にやってみたい事とか、ないの?」

 

「……そう、ですね」

 

 

 と、俺は神父様が亡くなるまでは思っていた。

 神父様が死なずとも、俺はなるべく神父様の後を継いで楽させてやりたかったし、現状に特に不満もなかったからな。

 

 ……しかし、神父様の最期の言葉で、その気持ちも少し変わった。

 

 

『……カレンはこれから……好きなように生きろ。やりたいことをして、自分が正しいと思う事を貫け。……そして……元気に育って……幸せになるのだぞ……』

 

 

 好きなように生きろと、やりたいことをしろと、そう言われてしまった。

 無論、今やっている聖職者の仕事も俺のやりたい事には他ならない。好きでやってないと、怪我人の治療や魔物退治なんて面倒な仕事する訳ないだろ。

 このままこの村にいても、俺は十分幸せになれる。結婚とかはする気ないけど、それなりに充実した良い人生になると思う。

 

 ……が、

 

 

「……もっと外に行ってみるのも、確かに悪くはありませんね」

 

 

 この世界は広い。もっと世界の色んなものを見て欲しいと、神父様も言っていた。

 神父様は俺の選択肢を狭めてしまった事を憂いていたし、この世界を周ってみれば、アッチでも神父様は安心してくれるかもしれない。

 

 

 それに、10歳の時に見たナスカ王国の"竜"。

 何故かは分からないが、俺は無性にあそこへ行きたいのだ。今でもたまに、あの丘へ行って王国を眺める事がある。まだタイミングが分からないので、あの二つの流星は見れていないが。

 

 何にせよ、ナスカ王国へ行ってみたい気持ちは日に日に強まるばかりだ。

 

 

「……そっか」

 

「そんな寂しそうな顔しなくても、私はこの村を離れるつもりはありませんよ。子ども達も、ライラさんも寂しがりますしねー」

 

「ガー! 頭を撫でるなー!」

 

 

 ま、別に今すぐ決めることじゃない。まだ俺も15歳、もうすぐ16歳だ。90ちょいまで生きるつもりなので、老後にでも行けばいい。

 

 ライラにも言ったが、俺が今の立場で「ちょっくら外行きますね」とか言ったら、子ども達がギャン泣きして縋り付いてくる未来しか見えない。そうなったら振り切れる自信が無い。ほぼ確で折れて残留することになるだろう。

 

 それに、神父様と俺の教会もあるからな。あそこを置いてはいけまいよ。あの『聖者(キヨキモノ)』で聖属性を付与しまくった結果、余すことなく全てが聖属性となった教会をな。

 

 

「教会を置いていったら、神父様のお墓参りもできませんしね。あの人も、ライラさんに負けず劣らず寂しがり屋ですから」

 

「カレンちゃんは相変わらずの神父様っ子だねぇ。そこは大きくなっても変わんない」

 

「へぇへぇ、そうですよ私はファザコンですよ。わりーですか」

 

「敬語が崩れてんぞー」

 

 

 何のことやら。

 

 さて、話して口も乾いたし紅茶で潤そうかな。砂糖とミルクも入れよっと。

 

 と、俺がテーブルの瓶に手を伸ばそうとすると……

 

 

「「あ」」

 

「……っ……」

 

 

 目尻に涙を浮かべたクラリスと目が合った。

 

 あちゃー……話聞かれてたな。しかもこの感じからして、断片的に聞かれたようだ。

 つか、内容によっちゃおっぱいトークも聞かれてたのか。それはマズイぞ。教育に悪い。

 

 

「えっと……クラリスちゃん? 一体どこから聞いてました……?」

 

「か、カレンお姉ちゃん……この村、出て行っちゃうの……?」

 

「そこからですかー、大丈夫ですよー! 私は何処にも行きませんよー!」

 

「ほ、ホント……?」

 

「大丈夫だよクラリスちゃん! カレンちゃんは超がつくお人好しの神父様っ子だから! 万が一があったら、皆が泣きつけば引き止められるし!」

 

「分かった! ライラお姉ちゃん!」

 

「ライラさーん? クラリスちゃんに何吹き込んでんですか?」

 

 

 その後、クラリスにはスコーンをやって他の子にこの話はしないよう言っておいた。他の子にも泣かれたら収拾がつかない。

 

 で、結局俺も外で雪合戦をした。ライラも引き連れて。

 

 

「なっ、カレンさん連れてくるのは反則だろ!」

 

「やっちゃえ! カレンお姉ちゃん!」

 

「そうですね、雪球投擲(アイスランチャー)とかにしときますか」

 

「ほらぁ! あの人割と大人気ないから!」

 

「大丈夫ですよ、子どもには向けませんから」

 

「そういう問題じゃねえ!」

 

「ほらほら男どもー、そんなんじゃカレンちゃんに振り向いて貰えないぞー?」

 

「「「うっせぇ!!!」」」

 

 

「フフ……やっぱり、この村は退屈しませんね」

 

 

 

 雪合戦は、俺が圧勝した。

 

 






 あと一回出るか出ないかのオリキャラ達

・ジェイル
 ……カレンと同い年の15歳の村の男の子。初恋はカレン。今は恋というよりは守ってあげたい大切な人という感じ。挙動に動揺が出まくる可愛い思春期くん。カレンにはバレバレな上に、カレンはカレンなのでその恋が実ることは無い。哀れ、ジェイル君。頑張れ、ジェイル君。

・クラリス
 ……6歳の女の子。カレンお姉ちゃん大好きな村の子ども代表。いつもカレンにべったり。先の黒蛇の件から「私がしっかりしなきゃ!」と思うようになり、いつかカレンのようなお姉ちゃんになる為に頑張っている。でもまだまだカレンに甘えたい年頃。

・ライラ
 ……カレンと同い年の15歳の女の子。現在親の雑貨屋を継いで経営を頑張っている。カレンのおっぱいをミカンとするなら、ライラのはメロン。恐らく村の中で一番カレンと仲が良く、頻繁に一緒にご飯を食べたりする。カレンが村を出ていくとなったら、子ども達以上に泣くのは多分この子。


 Q. カレンを一言で表すと?

ジェイル「……憧れの人」

クラリス「わたしの大好きなお姉ちゃん!」

ライラ「ガバガバ敬語お人好しツンデレ神父様っ子美少女シスター」

カレン「最後の人は後でお話しがあります」

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