モブな俺は世界を救えない   作:Zakisan

1 / 6
初めてで拙いかもですが、よろしくお願いいたします


君は知るだろう――モブとは何たるかを

 

 

 

 

  ()()()()()()()()()()()──誰もが少なくとも一生に一度は思うことだろう。

 

 ある日。隣の席に美少女が転校してくるとか、何か特別な事件に巻き込まれたりとか、あるいは自分の隠れた才能を開花させるとか……千差万別、妄想は多岐に渡る。

 

 とはいえ、所詮は妄想。最後には虚しく消えていくというのが道理だろう。

 

 無論、その妄想と呼んだモノを実現させてしまう者も、逆に取り返しが付かない程に囚われてしまう者もいる為、断言は出来ない。

 

 しかし、大半は生きていく中で、現実を知り、それ故に放棄していく。

 

 現に俺もその一人で、三年前はカッコ良さを求めてか、要らぬところで逆張りをしたり、大して理解もしてない知識をひけらかしたりと──止そう、これ以上は俺が死にたくなってしまう。

 

 まあ、そんな恥ずべき痛い時代を過ごしていた俺も、高校受験を前にする頃にはありふれた()()()()A()()()になっており、つるんでいた面々とも疎遠になっていた。

 

 そして、痛い時代を過ごした反省故に、高校入学後は可もなく不可もない日々を送っている。

 

 結論、それが自分にとって一番、居心地の良いことだと理解したのだ。

 

 故に今一度、言わせてもらおう。

 

 俺は孤独を極めた者でもなければ、飛びぬけた優等生でもなく、広く浅い交友関係を持ち、只一つには絶対になれない──モブ(一般生徒A)である。

 

 

 

 

 

 

 

 小さな頃、巨大な人型ロボットに憧れた──それは只の空想の産物だった。

 

 アニメに出てくるキャラクターに憧れた──超能力も特別な才能なんてなかった。

 

 夢の無い話と言えばそれまでだが、その当時は確かに叶えたい夢だった。

 

 でも、夢というのは環境や年を重ねれば、簡単に移ろぐし、小さな子供の夢なんて尚更だ。

 

 俺もその例に漏れず、夢──否、妄想を抱いて散々と空回りしたし、他にも迷惑もかけた。

 

 そうして得たものといえば、痛いだけの黒歴史と、自分は特別でもない只のモブという現実のみだ。

 

 仮に俺が特別だったとしても、もう俺にそうなることは叶わない。

 

 俺は夢よりも現実を選んだからだ。

 

 現実が上手くいけばそれで良いと、ただ恩恵を甘受する事にした。

 

 誰もが選ぶ二択──多くの人が選んだ択を俺も選んだだけ。

 

 だから、俺にはなりたいものがない……いや、それすらも分からないでいる。

 

「あっ……死んだ」

 

 暗転したモニターに映る『YOU DIED』の文字。

 

 ……後、少しでボス倒せたんだけどな。

 

 深い溜め息と共にコントローラーを机に置くと、横の時計を見やる。

 

「三時か、もう少し粘ればいけそうなんだけど……」

 

 然れど明日は月曜日、週始めから遅刻するのは流石にによろしくない。

 

 だけど、攻略の糸口が見えた瞬間を逃すのも惜しい。

 

「いや、30分だけなら……動きは覚えてきたし」

 

 それは悪魔の甘言──だが、それほどまでに魅力的な言葉『ちょっとだけ』。

 

 自分に甘いと言えばそれまでだが、辛いことばかりでは人生は続かない。

 

 適度に自分を許すことこそが、成功の鍵だと誰かが言っていた気がする。

 

「よし……30分だけ。そうだ、30分だけなら……」

 

 コントローラーを再び手に取る──延長戦の始まりだ。

 

 そうして、白い霧の中へと俺のキャラは一歩、踏み出していった。

 

 無論、30分だけでもつ訳がなく、普通に4時、4時半と延長しても勝てなかった──つらい。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。