BanG Dream!! ~rose of shadow~ 作:tora酸
ある日の昼下がり、小6の癖して身長140cmの少年月島 優は普段行き慣れている道を散歩していた。
極度の方向音痴の彼だが、何十回も通る様にすれば何とか一人で行動ができる。
ふんっ、ふんっ、ふーん。
散歩ってのは気持ちいいなぁ~。
なんかさっき悪意の塊のようなナレーションが入っていたが気にしないでおこう。
せっかくの散歩だから気分はよくしていたいもの。
定期的に体を動かさないと、健康にも良くないし。
僕は、上機嫌に道を歩く。
普段は、気にしない(気にする余裕がない)景色に注意を向けると色々な発見がある。
道路にひっそり咲いている雑草、春の時期が過ぎてきて花びらの数が減ってきている桜の木。
都会ではあるがよく見てみると、結構草木はあるものだ。
僕はプラプラと歩いていき、一つの公園に行きついた。
ここの公園も通るのは何回目だろうか?
数えるのもおぞましい。考えるのはやめよう。
いつも通り通り過ぎようとした時、ある声が聞こえてきた。
「ふふ、にゃーんちゃん。」
恐らくこの声の主は、猫が大好きなのだろう。
かなり気が抜けた声で、喋っている。
うん・・・動物が好きなのはいいことだ。
ただ、問題はそんなことではない。
この声がなんだか聴いたことある声なのだが普段とのイメージと声の乖離が強く、僕の頭が結びつけるのを拒否している。
いやいや、そんなまさか。
あんな如何にもクールキャラな方がこんな声出すわけ・・・・・
僕は、自分の心配が杞憂であると証明するため声の主の方を向く。
「・・・・・・・・・・」
「いい子ね~。」
その声の持ち主は猫じゃらし(おそらく近くに生えていたエノコログサ)を振りながら猫と戯れている。
にゃーん
猫が鳴きながらこちらを向く。
あ、まずい・・・・・
「どうしたの?こっちになにか・・・・・」
彼女は、僕の存在に気づいたのか、ガチンと固まってしまう。
「あのー友希那さん・・・・?」
「何かしら?」
「いや!?いつも通りにしても遅いですからね!?もう、完璧に遅いですからね!?」
「何を言っているの?私はいたって普通・・・・・」
「友希那さん、僕たちの前であんなこと言ってましったけ!?」
なんで変にしぶといんだこの人。
「・・・///////」
友希那さんはそのまま顔を赤らめて、黙ってしまうそして。
「この姿を見られてしまったからには・・・」
「見られてしまったからには・・」
「自爆するしか・・・」
「いや!?そんなウイングガ●ダム自爆させるようなノリで言わないでください!!?
このことは誰にも言いませんから!?」
「当たり前よ。もし、ばらす様な事があったら・・・」
ゴ、ゴクリ。
「猫メイドコスプレグッズをあなたに着てもらうわ!!!」
「大声でとんでもないこと言わないでください。あと、しょれっと自分の欲望満たそうとしないでください!」
「そんなわけないじゃない。あなたに一番効くのがこれというだけよ。決して猫メイドが見たかったわけじゃ・・」
「警察に通報しますよ。」
「ふふふ、私はまだ未成年捕まりはしないわ!」
「いや、高校生でも捕まりますからね。18歳以下は名前を公表されないだけで。」
「・・・・そうだったわね。」
もしかして、この人存外アホなのでは。わかるだろう!?普通。
何!?この人ニュース見たことないの!!?
クール系でポンコツとは思っていなかった。
あこさんには絶対に見せられないな。
ニャー。
僕たちが話し合っていると、一匹の野良猫がこちらに近づいてきた。
「うん~どうした~?」
僕は、猫を撫でながらそう言う。
「やっぱり、猫は可愛いですねー。」
「この子がこんなすぐになつくなんて、珍しいわね。」
「そうなんですか?」
「ええ、私は少なくとも数日通ったわ。」
通ったって・・・・キャバクラとかじゃあるまいし。
「優は、優しいからこの子もそれを感じ取ったのかもしれないわね。」
友希那さんが微笑みながら、僕に言う。
「きゅ、急に褒めないでください//// なんか、調子狂うし///」
この人から、こんな不意打ちを喰らうなんて。
「思ったことを言ったまでよ。」
良くも悪くも、この人正直なんだなー。
そういう所が友希那さんの良いところだけど。
「僕、友希那さんにそう思われてたんですか。」
「私じゃ不服かしら?」
「いえ、まったく。むしろ嬉しいです。」
「そう、ならよかったわ。 ところで、一つ聞いていいかしら?」
「? 何をですか?」
笑顔から打って変わって、友希那さんは真剣な面持ちになる。
「あなた犬派?猫派?」
「へ?」
真剣な面持ちから、意外過ぎる質問が飛んでくる。
「だから、犬派か猫派か聞いてるの。」
「それ、今関係あります?」
「有るかはわからないけど、聞いてみたくて。」
「えっ・・・と、ちなみに友希那さんは・・・・?」
「無論、猫派よ。」
即答かよ!
まぁ、猫へのあの反応を見ると、猫派以外あり得ないか。
「で?結局どっちなの?」
友希那さんはグイグイこちらに近づいてくる。
これ、選択肢間違えたらまずいやつ??
間違えたら、BAD END 直行するやつ!?
正直言って、僕自身、犬派、猫派というのはあまり気にしたことがない。
だって!!
どっちも可愛いもん!!!
犬も猫も可愛い。
どちらに優劣をつけるなんて、僕にはできない!!!
どうする!どうする!!?
ここで、自分の意見を正直に言っても優柔不断な奴と思われない!?
ここは、無難に猫派・・・しかし、これは少し嘘をついている気がしてなんか嫌だし。
かと言って、犬派の時は何が起こるかわからない・・・・
考えるんだ、僕。
この状況を最善な方法で切り抜けるには・・。
でも・・・・ここで嘘を吐くぐらいなら。
「えっとですね・・・僕としてはどっちも好きです。」
「それはどうして?」
「・・・可愛いは正義だからです。」
「??????」
友希那さんは困惑した表情を浮かべている。
当たり前だ。こんなセリフ聞いて、困惑をしない方がおかしい。
「僕は思うんです。犬も猫もどちらも可愛い、どちらも可愛いのに優劣をつけるのはおかしいと。」
「え、ええ。」
「だから、僕はどっちも好きという結論に至りました。そして、その結論に至るまでに気づいたんです。
可愛いは正義だと。」
「ごめんなさい・・・・とりあえずどちらも好きだというのはわかったけど、今言っていることはちょっとわからないわ。」
あ、これ確実に失敗した。
自分の意見を普通に述べればいいものを、変なことを言ってしまった。
ちなみに、可愛いは正義と思っているのはホントです。
「・・・すいません。」
「どうして謝るの? あなたはちゃんと教えてくれたんだから謝る必要はないわ。」
いや、なんかホントーに申し訳ない。
こんな意味わからん謎理論を聞かせてしまった。
僕は、心の中で友希那さんに全力謝罪をする。
「そういえば、友希那さん。けっこう猫の扱い上手ですけど、昔飼ってたりしたんですか?」
僕は、話を切り替えることにした。
「ええ。小さいころに飼っていたの。今はもう飼っていないけど。」
「そうなんですか。友希那さんが猫を好きなのは、昔飼っていたのもあるってことですよね。」
「それもあるかもしれないわ。」
「なら、昔飼ってた時もあんな感じで・・・・」
グイっと僕の口に友希那さんの手が当てられる。
「優、それ以上言うんだったら・・・・・」
友希那さんが今まで見たことのない目をしながら、僕に警告する。
あぶねぇ・・・・これゼッタイ殺すって目してる。
カ●ト殺された時のゴ●さん並みの殺意だよ!!これ!
あぁ、ピ●ーってこんな気持ちだったのかぁー。
猫にデレデレな姿に関してはあまり言及しない方がいいらしい。
言おうもんなら、殺される。
「わかったかしら?」
「は、はい!!」
僕たちがそんなやり取りをしていると。
「シロー、降りてきてー。」
小さい女の子が木の上の方に向かって、喋っている姿が目に入った。
「あの子。」
僕たちは、それを見て女の子に近づく。
「君、どうしたの?」
「あたしのねこが・・・。」
女の子が指さす方向に一匹の猫がいた。
どうやら、木に登って降りれなくなってしまったらしい。
この木自体はそこまでの高さはないがかと言って、手を伸ばせば届く距離でもない。
「どうしますかね?」
「幸い登れば、届きそうな距離ね。お姉ちゃんが降ろしてあげるから、少し待ってて。」
友希那さんは、飼い主の少女にそう伝え木を登り始める。
「って!友希那さん危ないですよ!!もし仮に落ちでもしたら。」
いくら高さがないとはいえ、落ちたら無傷では済まない。
「猫が怖がっている、何よりその子が困っているのよ。ためらう必要はないわ。」
「友希那さん・・・・」
友希那さんは猫がいる高さの枝まで、到達すると手を伸ばした。
「ほら、怖くないわよー。」
猫が怯えないよう、優しく伸ばすが。
にゃあっ!!
その手に対して、猫は勢いよく嚙みついた。
「・・・っつ・・!」
「嚙みついた!?」
「あの子、あまりほかの人になつかないの。」
なるほど、飼い主以外にはなびかないタイプなのか。
なら、どうする?
流石に噛みつかれたまま引き寄せるのは難しい。
かと言ってこのままだと、枝が持つかわからない。
僕が、行ってもあの枝に二人分の重量を耐えられるわけがない。
ーーークソッ!!
しかも、いくら飼い猫とはいえ、友希那さんは腕を嚙まれている。
猫に噛まれた跡を、放置するのはあまり良くない。
下手をすると、命を落とすほどでもある。
「友希那さん!! それ以上そこに居たら、枝が折れちゃいますよ! あと、腕!!!」
「この子は今少し興奮してるだけよ。 落ち着かせれば。」
「そんなことをしてたら、友希那さんが危ないですよ!? 一旦無理にでも引きはがさないと。」
「それは・・・無理よ。」
「どうして!?」
「私は猫を乱暴に扱えない。」
そう言うと、友希那さんは噛まれてない方の腕で猫を撫で始める。
「ちょっと、興奮してるだけよねー。大丈夫、私はあなたの敵じゃないから。」
いつもより優しい口調で、猫に語り掛ける。
友希那さん・・・・・
そして、猫はそんな友希那さんの感情を読み取れたのか、噛むのを止め、友希那さんの方へ近づく。
「・・・ありがとう。いい子ね。」
友希那さんは猫を抱きかかえ、木から降りてくる。
僕は、あの状況で気が気ではなかったため、急いで彼女のもとへ駆け寄った。
「友希那さん! 何、無茶してんですか!?」
「ごめんなさいね、優。心配したわよね。」
「当たり前でしょ! 落ちてたらどうすんですか!?」
「落ちてないから、問題ないわ。 はい、この子は無事よ。」
抱きかかえていた猫を、少女に渡す。
「ありがとー、お姉ちゃん!!」
女の子は猫を受け取り、そう言って家に帰っていった。
「ふふ、元気ね。」
そう言っている友希那さんの腕を僕はグイっと掴む。
「ど、どうしたの? 優。」
「どうしたの?じゃないです。思い切り噛まれてるじゃないですか。」
「これくらい・・・」
「噛まれたんなら、今日のうちに病院行ってください! 絶対放置しないでくださいね! しようもんなら、最悪友希那さん死にますからね!!」
僕は、彼女にまくし立てるように言う。
当たり前だ。
友希那さんには死んでほしくないし。
「わかった、わかったわ。今から家に戻って行ってくるから。」
「なら良いです。丁度いいですし、ここで解散ですね。」
僕たちは、互いに帰ろうとする。
ーあっ、そうだ。
「友希那さん、友希那さん。」
「今から、帰るときに急に呼び止めるのね。」
「まぁまぁ、悪い話じゃありません。」
「何?」
僕は、友希那さんの耳元に行って、やや背伸びしながら、彼女にささやく。
「猫耳メイドの件考えときます。」
「・・・・・・え!?」
「それでは、僕はこれで!!!」
僕は、猛スピードで家に戻る。
ああああ!言っちゃった!
僕自身何故、このようなことを言っているのかわからない。
でも、猫を必死に助けようとした友希那さんには、これぐらいのご褒美?はあってもいいのであろう。
ただ!!考えるだけだから!やるかはわからないから!!
そんなことを考えながら、僕は家に戻った。
※数日後 月島家
考えるだけだったのに・・・・・
買ってしまった。猫耳メイド。
何故か、ネットで安値で売られており、ポチってしまった。
普段から、そんなにお金を持っているわけでもないのに。
何故・・・僕は。
後悔と謎の達成感が僕の中に満ちている。
僕って・・・・・ホント、バカ・・・・。
魔女になりかけの魔法少女みたいになってしまう。
まぁ、買ってしまった物は仕方ない。うん、仕方ない。
僕は自分に言い聞かせる。
せっかく、買ったんだし・・・・いちよう着ないとね・・・・。
買った服にそそくさと着替え始める。
まさか、人生二回目の女装がこれだなんて・・・・
一回目はライブだから仕方ないけどさ!?
これは言い訳できないよ・・・・・・
憂鬱な気持ちになりながらも、自分の見た目を鏡で確認してみる。
「これが・・・・僕・・・////」
あまりの恥ずかしさに赤面してしまう。
身に着けた猫耳メイドの衣装は見た目は普通のメイド服とほぼ変わらない。
違いとしては頭に着ける猫耳型のカチューシャと肉球型の手袋。
露出などが多いわけではないが、それでも恥ずかしい。
シュタイ●ズゲートのフェイ●スみたいになってるし。
凶真~ってか・・・・。
「ま、せっかく着たんだし・・・・・色々やってみるか。」
僕は、部屋でそれっぽいポーズをとってみたり、セリフを言ってみたりする。
我ながら意外とノリノリであった。
そうしてどんどん熱が上がっていく。
あ、案外楽しい・・・・かも。
でも、流石にここら辺で切り上げとこ。
僕は、元の服に着替えようとすると。
やっぱ、最後に。
僕は、両腕を曲げ、片足を上げ、セリフを言う。(ポージングとしては、妖怪ウォ●チのニャ●ケービーみたいな感じ。)
「ご主人さま 優が、精一杯御奉仕させていただきますにゃ~。」
ハイテンションでその言葉を言った瞬間。
「「「・・・・・・・・・」」」
約3名の視線がこちらにあるのがわかった。
その三人は、見てはいけないもの見てしまったような顔をしていた。
「・・・・・・・え。」
「えっと~優、その~。」
「お、お姉ちゃん達はこんなことでは嫌いに・・・なりませんから。」
「優・・・・お母さんはあなたがそんなになるまで・・・・。」
紗夜姉達だった。
紗夜姉と日菜姉は困惑気味になっている。
母さんはついに僕が変な方向に壊れてしまったと思って、若干泣いている。
「えっと~、いつから・・・?」
「ポーズをきめようとしていたところぐらいから・・・ですかね。」
「ち、違うから! これは・・あの~その~。つい出来心というか・・。」
僕は、必死に弁明するが、皆の憐れみの目は変わらない。
「まりなさん、これは。」
「そうね・・・これも責任よね・・。」
え、今から何起きるの!?
この作品で描写できないようなことでも起きるの!?
流石に、僕も不安になる。
「ええ、今から・・・・」
「今から?」
「家族会議よ!」
「・・・・・・・ははは、マ・ジ・か・☆」
「こんなことをしたのは何か理由があるのよね・・・? お母さんちゃんと話聞くから。私に言いずらいことがあったら、紗夜ちゃんと日菜ちゃんが聞いてくれるから。」
母さんの目は本気で心配していた。
どうしてこんなことに・・・・・
「じゃ、じゃあリビングで待ってるから・・・」
3人は行ってしまった。
あははは・・・・・
僕は、ショック過ぎて膝をつく。そして。
「なんで、今日に限ってそうなるのぉぉぉぉ!!!」
自室で、自分の不幸さを嘆く言葉だけを発していたのだった・・・・・・
その後、必死に弁明してなんとか、誤解は解けた。
ーーーーーー
次回予告!!!
皆さん、こんにちわ。
今回、次回予告代理をする氷川紗夜です。
皆さんも、2回これを経験しているのでそろそろ慣れましたでしょう。
代理が出た・・・・・・皆さんはもうお分かりですね。
そうです。次回はまりなさんがメインで絡むということです。
もう、これが次回予告でいいんじゃないでしょうか?
え、流石にそれはダメ?
仕方ないですね。
なら、それでは。
’まりなさんは最近自分の息子の態度が何か、よそよそしいことに気づく。
それは優君が失踪した件の時に自分が何も出来なかったことが原因なのか?そんな思いが頭の中に走るまりなさん。
以来、自分は本当に母親として相応しいのか?と思い悩むことになる。
果たして、親子の絆の行方はどうなるのだろうか?’
次回!!
「母と子」
お楽しみに。