BanG Dream!! ~rose of shadow~   作:tora酸

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第四話 誉なき戦い

 

 

 

「くぅ〜。やっぱ、デジモンは面白いなー。」

 

真昼間のマンションの一室に少年の声が響く。

 

そう、道でMy GO!!!!!になりがちな小学生月島優である。

 

本日は予定のない休日、彼は大好きなアニメにふけている。

 

母も仕事でおらず、何も縛るものがない。

 

 

いや〜、自由最高!! 誰も僕を縛らない、こんな最高なことがあるだろうか? いや、あえて言おう。断じてないと!

 

 

気分の高揚を感じながら、視聴を続ける。

 

 

ヤッベ、オメガモンかっこよすぎ。こんなん嫌いな人いないでしょ。

合体だよ、合体!!二体の究極体が合体すんだよ!!

初代から見ると余計かっこいいでしょ。

 

 

今、優が視聴しているの作品はデジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲームである。

 

1999年に放映されたデジモンアドベンチャーの続編にあたる映画だ。

 

本作品の目玉はやはり、オメガモン。初出は今作放映前に発売されたゲームであるが、これでオメガモンを知った人がほとんどだろう。

 

初代に出てくる究極体 ウォーグレイモン、メタルガルルモンが合体した姿であり、かなり人気が高いデジモンだ。

実際のちの作品にも、オメガモンが多々登場する。

 

「今のアニメもいいけど、昔のやつも名作が多いんだよなー。」

 

オタク少年である優は、最新より2000代や2010年代のアニメを意外と好む。

 

最高の気分のまま映画を見続けていると。

 

ピーンポーン

 

 

ん?誰か来たのか?

 

 

玄関のチャイムが鳴った。もっと見ていたいが、流石に来客の対応をしないわけにはいかないため、扉へ向かう。

 

ここ最近、あまり体を動かしていないため立ち上がるのが少し気だるい。 

 

「はーい、どちら様でしょうか……」

 

不機嫌そうに扉を開け、来客の顔を確認する。

 

「こんにちは、優くん。」

 

「やっほー。優」

 

そこにいたのは、姉を自称する双子氷川紗夜と氷川日菜であった。

 

「……………」

 

バチンと勢いよく扉を閉める。

 

扉の外からは、開けなさいと言う2人の声が聞こえる。

 

 

いやいや、知らない……僕はあんな2人なんて知らない……。

今あまり仲が良くない2人がこうやって来てるってことは、たぶん僕絡みのこと。

 

 

紗夜と日菜、主に紗夜が日菜のことを嫌っていた。

 

しかし、優失踪、Roseliaとしての成長の件以来は多少仲が改善されている。 改善されたといっても多少なため仲が良いとは言い切れない。

 

そんな2人が、一緒に来るというのは非常に珍しいことだ。

 

その事実が、優の不安を駆り立てる。

 

確実にこのfreedomな空間が壊されると。

 

数分経つと、扉の外から声が聞こえなくなった。

 

 

ふぅー、諦めて帰ったか。 僕にはあるのだよ!この部屋で安寧を得る権利が! 

 

 

勝ち誇った優が、部屋に戻ろうとする。

 

しかし、収まったと思った扉を叩く音が大きくなる。

 

「どんだけ、本気なの!?」

 

大きくなった音にたじろぐが、優の意志はぶれない。

 

どんなに強く叩こうが、開けることはない。むしろ、ここで耐久戦に持ち込んで不利なのはむこうである。

 

こんなに強く叩いているのだ、周りの人がなにも言わないわけがないのだ。

 

ふ、勝ったな。と勝利が確実なものになったのを実感した瞬間。

 

「開けなさい! デトロイト市警よ!!」

 

「え、マジ!?」

 

不意に言われたネタに反応してしまい扉を開ける。あっ と優が顔を青く染め上げ、呟く。

 

その隙を日菜と紗夜が見逃すわけがない。

 

「今よ!日菜!」

 

「了解、お姉ちゃん。」

 

すかさず、日菜が優を抱きしめ、身動きを封じる。

 

日菜の凄まじい力と柔らかい何かは優の動きを止めるには、十分すぎるほどである。

 

「くそ!僕をこんなことで釣るなんて、誉はどうなってんの!誉は!」

 

「誉は、さっきそこで死にましたので。」

 

紗夜の冷徹な声が優を貫く。

 

 

まさか、僕を捕まえるためだけにゴーストオブツシマをプレイしたとでもいうのか!? 紗夜姉……恐ろしい子!?

 

優の抵抗虚しく、紗夜と日菜は月島家に入ってくる。

 

日菜に抱きつかれたままリビングに座らされ、今回来た目的を聞かされる。

 

「今日来た目的を簡単に話しますと………優くん!!」

 

「は、はい!」

 

話し始めると思っていたのに、いきなり指を刺され、動揺してしまう。

 

「あなた、最近生活習慣がたるんでいるんじゃないんですか!」

 

「…………ギクッ」

 

かなり痛いところを突かれたのか、露骨にドキンと体を動かす。

 

日菜に拘束されているので、全く動きはしないながらも、焦っている感情は日菜と紗夜に伝わった。

 

紗夜は、ハァとため息を吐きながら、説明を続ける。

 

「やはり、そうですか。まりなさんの言っていた事は正しかったわけですね。」

 

2本の指を優の方を向きながら、せわしく打ち付ける。

 

「なんなのそのポーズ……、あと母さんが言ってた事って何!?」

 

「このポーズを知らないんですか!?」

 

「お姉ちゃん、優まだ小学生だから、ルロイ修道士はわかんないよ。」

 

「嘘だ!!!」

 

あまりの衝撃に紗夜は膝をつきうなだれる。

 

 

自分でやっておいて、何やってんだこの人。

 

 

勝手にショックを受けている紗夜を尻目に、日菜は話を続ける。

 

「つまりね、優の生活習慣を心配したまりなさんが私たちに改善をお願いしたってわけ。」

 

日菜の話を聞いて、余計なことをと優は思うがここ数日の生活習慣が悪い事は事実であるため、反論できず黙り込む。

 

「それで? 改善するって何をどうするの?」

 

「それについては、問題ありません。」

 

さっきまで項垂れていた紗夜だが、すぐさま調子を取り戻し、ある紙を前に出す。

 

「………何? この"氷川姉妹の誰でもできる生活習慣改善術"って。」

 

本屋に置いてありそうな生活に関する謎の本みたいなタイトルが書いてある。

 

ボケなのか真面目にやってんのかわからないせいで、ツッコミができない。部屋の中には、なんとも微妙な空気が流れており紗夜はあれ?みたいな顔をしている。

 

「誰でもと言ってますが、対象は優くんだけです。」

 

「じゃあ、こんなタイトル書くな!!」

 

「えー、あたしはるんっ♩ってするけどなー。」

 

「日菜姉の感覚が特殊なだけだから。」

 

やり取りと並行しつつ、紗夜が計画の内容をページを使って説明する。

 

「えーっと、'私達は今回の原因を優くんが1人でいる時間が多いと考え、それを対策するため、1週間月島家に泊まって、改善を行うことにした………ぁ!?」

 

明らかに、自分達の欲を満たす方向に進んでいる計画に、優は驚愕を隠せないのか、こけそうになる。

 

「危ないよ。優。」

 

日菜がグイッと引き上げ、自分の元に引き寄せる。

 

「いやいや! 確実に紗夜姉と日菜姉が欲を満たしたいだけだよね!? 一日じゃなくて、一週間もいる必要ないでしょ!」

 

「たった1日で改善するわけないじゃない。1週間、優くんを愛で………指導して初めてこの計画は真価を発揮するんです。

 

「1週間たっぷり優にあんなことやこんなことしようだなんて、思ってないよ。」

 

ちょくちょく、なんか不安になる様な発言があった様な……

 

「こんな計画認められるか! 僕は断固反抗する!」

 

日菜の腕をどかそうと、グイグイ体を動かすが。

 

「いいの〜? 優?」

 

日菜はおちょくる様に、話しかける。

 

距離があまりに近いため、紗夜は少しムッとした顔をする。

紗夜の感情を察知するが日菜の顔が近すぎてそれどころではない。

あとちょっと動ごけば、優のファーストキスを捧げられるレベルだ。

 

「な、何がだよ……」

 

 

日菜姉のこの顔、確実によからぬことを考えている。

僕も人のことは言えないが、日菜姉もかなり感情が顔に出る。

たぶん、わざとだけど…………

 

 

「1週間居させてくれたら・・・・・・」

 

「居させてくれたら?」

 

ザワザワ、ザワザワと場に、えにも言えぬ空気が流れる。

 

 

ここまでもったいぶるなんて、一体どんな交渉カードを持っているんだ!?

 

 

「・・・・・あたしとお姉ちゃんが、MG ゼータガンダム ver kaを買ってあげる!!!!」

 

「な、何!?」

 

「えっ!?」

 

日菜から、優にとって限りなく最高に近い提案がされる。

 

断固反対の意思を持った優も、これには頭を悩ませる。

 

 

ゼータガンダム・・・・しかも、バージョンカトキ・・・。

日菜姉め・・・・まさかガンプラで僕をつろうだなんて・・・卑怯だよ!!

こんなこと・・・こんなことされたらぁぁぁぁぁぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「優の部屋、久しぶりかも~。」

 

そう言って、日菜は部屋の装飾を見て回る。

 

優の部屋はおよそ6帖ほどで、シングルベッド、PCとそのデスクというシンプルな構成である。

 

やがて、興味を失ったのかベッドで跳ね始める。

 

 

う〜〜(泣) 負けちゃった………。

もうさぁ!?無理だよ!! 自分では買えないもの提示されたんだからさぁ!?

逆らえる訳がないよ!!

 

優は先の誘惑に負け、2人の提案を飲んでしまった。

その際、紗夜の顔が戸惑いの色をしていたが、優にはそんなこと気にする余裕はなかった。

 

現在は夕方になり、紗夜が夕飯を作っている。

その間が、暇な為になったのが今の状況だ。

 

 

ガンプラでも作ろ……

 

 

そう思いたち、リビングの棚に入ってるキットと道具を取り出す。

今回作るキットは、燐子に会った時に買ったRG フォースインパルスである。

数日前に買っていたものだが、せっかくのRGを楽しむ為にじっくり作っている。

 

使用するニッパーは、ダ●ソーの100円の奴である。

タミ●製のニッパーは、3000円ほどする為小学生である優にはかなりきつい。

 

その代わりと言ってはなんだが、ヤスリはちゃんと買ってある。

優の使用するニッパーは、刃の先が太い為ゲートがちゃんと処理できないからだ。 因みにゲートとは、プラモの部品をつなげている接合部の様なものことである。

 

パチパチと音を立てながら、作業をしていく。

二度切りをしても残っているゲート跡を、スティックタイプのヤスリで整える。

 

「ガンプラってこんな感じなんだー。」

 

寝転がっていた日菜が、パーツをとって呟く。プラモを初めて見るのか、不思議そうな顔をしている。

 

「日菜姉もやってみる? 結構面白いよ。」

 

「うーん……アタシ、ガンプラよくわかんないしなー。」

 

「そう。やる時は言ってくれれば、必要な事は教えるから。」

 

他愛のない会話を続ける2人。何気ないこの時間は、優にとって幸せ以外の何者でもない。

 

 

こうやって、誰かと一緒にいるのも久しぶりだな……

 

 

自らが、壊してしまった日常がこうやって戻ってきた。

 

そうこうしていると。

 

『日菜ー、優くーん、ご飯できましたよー。』

 

紗夜の声が聞こえた。それを聞いた2人は、リビングに向かう。

 

「あ、良い匂い。」

 

リビングに向かうと、香ばしい匂いが中を満たしていた。

 

「レシピ通りに作ったから、大丈夫なはずです……」

 

「紗夜姉が作ってくれたなら、なんだって食べるよ。」

 

「ふぅー、優かっこいい♩。」

 

「リサさんみたいな、おちょくり方しないでよ。」

 

「そんなことしてないで、2人とも早く食べなさい。」

 

「「はーい。」」

 

3人で食卓を囲み、ご飯を食べ始める。

 

紗夜が作ってくれたのは、カレーライスだった。

本人は不安がっていたが、味付けには癖もなく食べやすい。

気になる点があるとしたら、本来ならカレーの具材であるにんじんがこれには、入っていないことだけだった。

 

 

 

 

 

「「ごちそうさまでしたー!」」

 

「ご飯が終わったついでに、お風呂も済ませてしまいましょう。」

 

「そうだね。」

 

「誰から入る?」

 

「「え?」」

 

「え…。」

 

氷川姉妹の声が、ハモる。

 

 

なんで、不思議そうにしてんの。

僕そんなおかしいこと言った?

…………まさか!?

 

 

優の脳に不吉な考えが浮かぶ。

 

 

いやー、まさか。そんなわけ………だって2人とも高校生だよ?

そんなことあり得るわけ…………。

 

 

優は頭に浮かんだことを必死に違うと否定する。

そんな優に告げられる残酷な言葉。

 

「「そんなの………」」

 

「わたしと」 「アタシと」

 

「「一緒に入るに決まってるよね」」

 

 

あー………言いやがったーこのバカ姉2人。

 

 

軽い死刑宣告の様なものである。

優だって、小学生とはいえ、思春期。

年上の女性と風呂だなんて、恥ずかしいに決まっている。

 

しかし、ここで希望の光が舞い降りる。

 

「何言ってるんですか、日菜。私が一緒に入るんです。」

 

「お姉ちゃん、寝言は寝てから言ってよね。アタシが一緒に入るだんよ。」

 

互いに殺気を放ちながら、身構える。

 

そのまま、血を血で洗う様な戦い(ジャンケン)を始める。

すぐ終わると思ったが、変なところで双子のなのか、ずっとあいこになっている。

 

そんな中、優は思う。

 

あれ?これチャンスでは?と。

 

『今2人はジャンケンに集中しきっている。この隙に風呂に入ってしまおう』と。

 

思い立った瞬間優は、ハンターハンターのキルアもびっくりなレベルで足跡を消し、急いで風呂に入る。

 

浴槽にゆっくり浸かる暇はなく、髪、体をものすごい勢いで洗う。

 

その顔に、お風呂を楽しむ色はなかった。

 

急がないと、詰む!! 頭の中には、それだけがよぎっていた。

 

いつ決着がついて、2人のどちらかが来るかわからない恐怖。

 

 

なんで、お風呂でこんな気を張らなきゃいけないんだよ!?

 

 

ただ、今回神は少年に対して慈悲を与えなさったらしい。

 

紗夜と日菜は、優が風呂から上がるまで来る事はなかった。

 

リビングに戻ると未だに2人でジャンケンを繰り広げていた。2人の表情から熱の入りようの高さが伺える。

 

 

どんだけ、一緒に入りたいんだ………

 

 

半ば呆れつつ、自分はもう入り終わったことを告げる。ここまで、必死そうだと一周回って言うのが申し訳なくなるが、ずっとこうされるのも困る。

 

「紗夜姉、日菜姉。僕もう風呂入ったから。」

 

「なんですって!?」

 

「もうちょっとで、決着つきそうだったのに……」

 

「永遠にあいこかましてるのに、決着もクソもないでしょ。」

 

すると、紗夜と日菜は露骨にしょんぼりした状態になる。

とりあえず、どちらかが先に入るかジャンケンをすると、一瞬で決着がついた。

 

「何で!?こう言う時は早いの!?」

 

「アタシが先に入ってくるね………」

 

氷川姉妹の悲痛な嘆きが聞こえるが優にとっては、救いの手である。

 

 

なんか……喜ぼうにも、喜べないなぁ……。

 

 

気分ダダ下がりの姉二人を気にしつつも、一人の時間が欲しいため自らの部屋に向かう。

 

紗夜に声をかけようとしたが、話せそうな雰囲気ではなかったのでやめておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・。やっと一人になれた。」

 

 

ぼく自身そんなに一人は好きじゃないけど、ここまでくると少しは欲しくなるよね。

 

 

ベッドに寝転がり、本棚にある漫画を取り出す。

 

今回読むのは、空の境界のコミカライズ版だ。

 

FGOでお馴染みfateシリーズの生みの親である奈須き●こ氏が制作した作品で、原作は全2巻の小説である。

初版のものは全6冊しか印刷されておらず、一冊何百万で取引されている。

全7章構成で時系列はバラバラで、ストーリーはやや難解ではあるがそれゆえに魅力的な作品である。

 

 

Fateシリーズもそうだけど、この人の作品はどれも面白いんだよなー。

ちなみに、僕の型月最推しは衛宮士郎である。

無限の剣製がかっこいいんだよ!!

 

 

誰かいるわけでもないのに、心の中で熱く語ってしまう。

 

その熱が収まらぬまま、漫画を読み進める。

 

無音の部屋の中に、少年が本を読む姿だけが映っている。静かに素早く時間だけが解けていく、

 

最近は、これの繰り返しである。

 

何か一つのことをひたすら気の向くままに、やっていく。

 

そこに後悔の念は一切なく、残るのは充実感だけだ。

 

 

休日だけじゃなく、いつもこんな生活ができたらなぁ・・・

 

 

しかし、その充実感の裏では一歩ずつ着実に物事に対する気だるさが育まれている。

 

 

も~このまま~一生ダラダラしちゃって~。

 

 

完璧に惰性の極みであった。

 

だが、そんなだらけた優の前に、一つの言葉がかけられる。

 

「これが、原因ですか。」

 

「・・・!?」

 

読書に夢中で気付かなかったが、後ろに紗夜がいた。

 

その顔は、あきれた表情と心配が合わさったていた。

 

「優君、休日休むことは大事です。しかし、今あなたのそれは度を越えています。」

 

「・・・・」

 

反論できない。正直言って、自分のこれがいけないことはわかっていた。それでも、止められなかった。

 

「その年で夜更かしは、良くないわ。睡眠のダメージというのは3日は引きずると言われているのよ。」

 

「・・・・うん。」

 

「それが、Roseliaの演奏に影響出たらどうするの?」

 

「・・・それは・・」

 

「間違いなく、湊さんは怒るわよ。もしかしたら、Roseliaを抜けさせられるかも。」

 

「・・・・・ごめんなさい。」

 

紗夜の説教に、じぶんの愚かさを気づかされた。

 

 

そうだ、これは僕だけじゃない。みんなに迷惑がかかるんだ。

そんなことも気づかずに、僕は・・・・。

 

「紗夜姉・・・ごめんなさい・・・。僕、ちゃんと寝るから・・・」

 

「わかってくれたらいいですよ。私も少し強く言っちゃいましたし。」

 

そう言うと、紗夜は優のことを優しく抱きしめる。

 

 

あったかい。こうやって抱きしめてもらえるのも、あの時以来か。

あの時は、そう思う余裕もなかったけど。

 

優は、彼女に抱きしめられた時の温もりが大好きだった。

 

恥ずかしいから、本人には言うつもりはないが。

 

「ふふ、いい子ですね。」

 

「子供扱いしないで。」

 

「私にとってあなたはいつまでもかわいい弟ですよ。」

 

「むぅ~~。」

 

ほほを膨らませながら、不貞腐れるが優の表情はどこかうれしそうである。

 

そうこうしていると。

 

「あ!おねえちゃんずるい。アタシも優のこと抱きしめたい~。」

 

「いいでしょう、どうせ寝るとき二人でするんだから。」

 

 

・・・・・・は!?

今、しれっととんでもないこと言わなかった!?

いやいや、流石の二人も同じようなことを繰り返すわけ

 

 

「そーだね。ほら、優。日菜お姉ちゃんとも一緒に寝よー。」

 

 

はい、やりやがりました!! 

虎視眈々と機会狙ってやがったな!? こいつら!!!!

 

 

その言葉を聞いた途端、体を必死に動かして紗夜から離れようとするが。

 

「どうしたんですか優君? そんなジタバタして。」

 

 

か、かてぇ。逃げ出すことを見越して、ガチガチにロックしてある。

くそ!!僕の感情を返せ!!!!!

 

 

「ほら、優君。もうこんな時間です。良い子は寝ましょう。」

 

「HA☆NA☆SE。一人で寝れるから!」

 

「いえいえ、優君にもしものことがあったら大変です。」

 

 

つまり、離す気ゼロか。

 

 

優の抵抗空しく、紗夜と日菜とベッドに寝転ぶ。

 

真ん中に優を置き、その左右に二人が挟まるようにして寝る。

 

どかそうとしてもえげつない力で二人から抱きしめられているため、身動きが取れない。

 

 

もう・・・諦めて・・寝よう。

 

 

抵抗を諦め、ゆっくり眠りに落ちていく。

 

姉(自称)達と寝るのが嫌というわけではないが、自分はもうすぐ中学生になるのにこんなのでいいのかと。

 

そう思い、優の意識は完全に落ちて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「zzzzzzz。」

 

「よく寝ていますね。」

 

気持ちよさそうに寝ている少年を、紗夜は愛おしく手でなでる。

 

「優のこの顔を見れるだけで、アタシは幸せだよ。」

 

日菜も弟の顔を見て、安堵しきっている。

 

 

この子の笑顔を守るためにも・・・日菜とちゃんと向き合わないと

 

 

今回日菜と来ることが出来たのは、優絡みのことであったのが非常に大きい。

それがなければ、二人で出かけることさえもしないだろう。

自分の一方的な感情で、妹を・・・弟を傷つけてしまったのだ。

 

「日菜・・・・。」

 

「何?おねえちゃん。」

 

「今度3人でどこか出かけないしら?」

 

「・・・いいよ。」

 

日菜も紗夜の思いを察したのだろう。

 

提案を快く引き受けてくれた。

 

 

2人では、まだ難しいけど・・・・いつかは絶対・・。

 

 

思っていたのも束の間。自分もかなり疲れていたのだろう。

 

そのまま、意識が深海へと沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告


は~い、皆さんどうもどうも。月島まりなでーす。

すいませんねー。今回出すのが非常に遅くなってしまいました。

作者については、後でケジメを取らせるのでご安心ください。

いや~、にしても。

私、紗夜ちゃんたちにあんな事頼んだかな?

う~ん、最近物忘れが激しい時がありますし、きっと忘れているだけですよね。

無駄話はここまでにして、それでは!


’日菜からPastel*Palettesの初ライブのチケットを貰った優。デビュー前からあれだけ取り上げられていたことで、少し興味もあり、何より大好きな日菜のライブということもあって、楽しみな気持ちを高める。
しかし、ライブ本番である違和感に気づくことになる’



                   次回!!!!

                 「偶像バンド」




お楽しみに!!











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