BanG Dream!! ~rose of shadow~   作:tora酸

24 / 34
ちょっとしたお知らせなのですが、この度感想をハーメルンの非ログイン者の方でも受け取れるようにしました。

まぁ、頭の片隅に置いとくぐらいで大丈夫です。

あと、今回紗夜さんのキャラ崩壊が非常に激しいので、紗夜推しの方はご注意を。

それでは、本編どうぞ!!




第七話 僕の恩人

 

 

 

 

 

 

ある日の某事務所内の廊下にて、丸山彩達はいつも通りの足並みでミーティングルームに向かっていた。

 

彩の顔は、数日前の暗さから打って変わって、自信に満ち満ちている。

 

仲間たちとの交流のおかげであろう。

 

チケット手渡しの件は、あの後千聖を除く4人でスタッフへ説得を行っていた。

 

予想通り最初は反対されたが、彩の懸命な交渉によりなんとか許可を取り付けることが出来た。

 

今、ミーティングルームへ向かっているのは配るチケットを取りに行くためでもある。

 

「今日、チケットどれくらい貰ってくれるかな?」

 

前を歩いていた日菜が、のんびりした様子で聞いてくる。

 

「正直言って、わかりませんね。ただ、あまり多く見積もるべきではないかと。」

 

日菜の質問に麻弥が、憂い気に答える。

 

そんな二人の会話を聞いて、彩は一瞬不安になるが、直ぐにそれを打ち払う。

 

「そうだね・・・だからこそ、1枚でも多く貰ってもらえるように頑張ろ!」

 

彩の言葉に2人の顔が少し明るくなる。

 

それに感化されたのかイヴも元気に言葉を付け加える。

 

「彩さんの言う通りです!!! 私たちはできることを全力でやりましょう、それこそブシドーです!!!」

 

やや強引なブシドーだが、やる気は伝わっていた。

 

目的だった場所に到着した。

 

そこで、チケットを全員で回収し終え、その後事務所外に出る。

 

チケット配りは、事務所から歩いて数十分ほどの公園であった。

 

ここは人通りがそこそこに多く、宣伝には申し分ない。

 

彩たちは、さっそく通り行く人達に声を掛けていく。

 

「チケットどうですかー。私達パステルパレットが出演しまーす。是非、どうですかーー!」

 

彩がそう声を掛けても、大体の人は無視か物珍しい目で見ながら通り過ぎていくだけだった。

 

中には、そんな彩たちを笑っている様な人間もいた。

 

痛い視線に耐えながらも、懸命に続けていく。

 

しかし、現実は冷酷で、結局誰も彩たちのチケットを受け取らず、時間だけが過ぎていった。

 

彩は諦めそうになる自分の心を励まし続ける。

 

 

大丈夫・・・・・・こうやって続けていれば、いつか・・・・・・・いつかは誰かが。

 

 

しばらく、続けていると日菜が皆に言う。

 

「今から数十分後に雨が降るって。しかも、まあまあ強い雨だって。」

 

「そうですか・・・・風を引いたら本末転倒です。皆さん一度戻りましょう。」

 

「そうですね。彩さん戻りましょう。」

 

イヴにそう声を掛けられるが、彩は帰ろうとしない。

 

3人は困惑している様で、心配そうに彩を見ている。

 

「ごめん・・・・・アタシはこのまま続ける。皆だけでも先に戻ってて。」

 

皆を諭すように彩は言う。

 

だが、流石に彩一人を置いてくわけにはいかない。

 

なんとか3人で説得を試みるが彩の意思は固かった。

 

やがて、日菜が諦めたのか’彩ちゃんの意思を尊重しよう。’とイヴ達に伝える。

 

2人は、納得していないながらも’まずいと思ったら、いつでも戻ってきてください。’と言って、日菜と共に事務所に戻った。

 

 

アタシの我儘に、麻弥ちゃん達を巻き込むわけにはいかない。

だから、これでいいの。

 

 

彩は強い意志を持ち、チケット配りを続行する。

 

相変わらず人は付かない。

 

むしろ、雨の予報のせいか人だかりが少なくなってきている気がする。

 

少ししたら、雨が降り始めた。

 

日菜の言っていた通り、かなりの強い雨らしく雨の一粒一粒が彩の肌に突き刺さる。

 

刺さった雫達は、彩の体を徐々に冷やしていく。

 

ハックシュっとくしゃみが鳴る。

 

この時点で、彩の体はかなり冷え切っていてこれ以上いたら、間違いなく風邪をひくだろう。

 

雨もそうだが、風もかなり強く冬場に扇風機を食らっているようだ。

 

飛びそうなチケットを必死に抑えつつ、それでも彩は続けた。

 

どんなに厳しい環境であろうと、彩はこれを止めないであろう。

 

彼女は一度決めたことを曲げることはない。

 

愚直に、真っすぐにただひたすら走り続ける。

 

それが丸山彩という人間(アイドル)なのである。

 

辛抱強く、声を掛けていると一人の男性が反応してくれた。

 

「へぇー、またライブやるんだ。」

 

男は感心しているように言う。

 

「はい、そうなんです! 一枚どうですか?」

 

男性はしばらく悩んだような仕種をした後、’せっかくなら’と言って、手を伸ばす。

 

彩もチケットを手を伸ばすと。

 

パチンと手に持っているチケットが弾かれた。

 

「えっ・・・・・。」

 

何が起きたのかわからず、呆然とした様子で落ちたチケットを眺めている。

 

男は嘲るように言う。

 

「なーんてね。貰うわけないじゃん、こんなもの。つーか、誰が欲しがるわけ。」

 

下衆な笑みを浮かべ、落ちたチケットを念入りに踏みつける。

 

何度も何度も執拗に。

 

「アイドルも大変だよねー、一度失敗しちゃったら、世間様にせっせこ媚びて好感度稼がなきゃいけないんだからさぁ!!」

 

ただでさえしわしわになっている紙が更に萎んでいく、まるで彩の心と連動するように。

 

過激な一般人から何か口汚く罵られることは、覚悟していた。

 

しかし、こうまでも醜悪な仕打ちは彩も予想していなかった。

 

目から涙が流れる。理由は一つ。ただ、悔しいのだ。

 

こんな仕打ちに何一つ反論できない自分が腹立たしいのだ。

 

男は彩の顔をより調子乗った様子で続ける。

 

「あーあ。泣いちゃった?でも、君らが悪いんだよ?最初のライブで口パクなんてしなきゃ良かったんだから。」

 

そう言い、笑い始める。

 

男の汚い笑いが、彩の耳の中にこびりついていく。

 

悔しさに拳を握り、歯を食いしばる。

 

笑い声は止まらない。

 

しかし、すぐして。

 

「・・・・・・邪魔・・。」

 

そうぼそりと呟く声が、聞こえると下衆笑いが止まる。

 

彩が前を見ると、男は無様に尻もちをついている。

 

その隣には、傘を持った少年がいた。

 

「・・・・すいません、このチケット貰っていいですか?」

 

少年は、くしゃくしゃになった紙を拾い言う。

 

「・・・・は、はい。」

 

何が起きたのかわからず、彩はかしこまった口調になる。

 

そうして、少年は自分の傘を彼女の前に差し出した。

 

「・・・・・優君。」

 

彼女を推しと慕っている少年月島優がそこにはいた。

 

しかし、普段の彼とは違う。

 

その瞳に優しさなどはなく、ひたすら永遠に続く闇だけが存在している。

 

その姿に彩は思わず、体を震わせる。

 

「ってーな!!!何しやがる!!!このクソガキ!」

 

男が恥を欠かせれたのに、切れてそう言う。

 

「女子高生相手にそんなくだらないことやっているアンタに言われる筋合いはない。」

 

彼は冷静な態度でそう切り返す。

 

「ネットで、ぺちゃくちゃくだらないことを言っていれば、良いものを。いちいち嫌がらせするなんて、余程暇なんですね、おっさん。」

 

彼は、男への煽るような言葉を繰り返す。

 

さっきは冷静に見えたが、よほど怒っているらしい。

 

いつもの敬語は消え失せ、強い口調になっている。

 

男は暇やら、おっさんという言葉が頭に来たのか、顔を真っ赤にしている。

 

 

人を煽るくせに、自分は煽り耐性ゼロか。

想像の3倍ぐらいくだらない人間だな。

 

 

優は頭の中で毒づく。

 

男は冷静さを抑えられなくなったのか。

 

「こいつッ!!」

 

優の顔面を思い切り殴った。

 

優は、飛ばされそうになったが、すんでで踏みとどまる。

 

男はその態度が気に入らないのか、優に次々と暴行を加えていく。

 

顔に数発、足や腕にも何発か拳と蹴りをぶつけてくる。

 

優は暴行を受けながらも、決して膝を付かなかった。

 

しかし、偶々男が打ち込んだ拳が、ちょうど鳩尾に入り、優は呼吸が出来なくなる。

 

うずくまり、荒い呼吸を続けている。

 

「優くん!!大丈夫!?」

 

近づこうとする彩を制止する。

 

「へっ、ガキの癖にかっこつけんじゃあねぇよ。」

 

男は絶え絶えになりながら、言う。

 

そうして、また思い切り構え優の顔面の真ん中にストレートを放つ。

 

ストレートと言っても、素人が打つためストレートとも形容できない無茶苦茶な拳だ。

 

だが、今の優にとってはこれを食らったら、流石に危ない。

 

彩は目をつぶってしまう。

 

優も限界を悟り、目を瞑る。

 

「・・・・・・・・・」

 

何も起きない。

 

状況を確認しようと彩は、恐る恐る瞳を開ける。

 

「・・・・・・!?」

 

そこには、男の拳を片手で受け止める()()がいた。

 

エメラルドグリーンの鮮やかなロングに、すらりとした体形。

 

腕は白くか細い。男のパンチを受け止められるようには思えなかった。

 

少女の顔が見える、端正な顔立ちに黄色がかった瞳。

 

それには、なんとく日菜を思わせる何かがあった。

 

「・・・・なんだ!?お前!?」

 

男もあまりの出来事に困惑している。

 

日菜似の少女は、男の拳を掴んだまま思い切り、相手の顔面に拳を叩き込む。

 

腰を軸にして体重移動がしっかりした拳だ。

 

生半可な威力ではない。

 

「優君が来るのが。遅いと思って探してみたらこんな風になっているとは。」

 

「ぐ・・ぐぁ。」

 

男は情けない声を上げている。

 

そのまま少女は怒りを露わにして、男を蹴り飛ばす。

 

「ワタシの大事な(優君)に何をしてんだ!!!?この●●●●!!!!」

 

言葉にするのも恐ろしいことを彼女は言う。

 

蹴り飛ばされた男は、一瞬たじろぐが、すぐさま攻撃の体制に移る。

 

「この・・・・!調子に乗んじゃねえ!!!」

 

男が少女に殴りかかると。

 

「調子に乗る?寝言は寝てから言うことをお勧めしますよ。」

 

殴りかかる瞬間、少女は男の拳の真ん中あたり、片手で掴む。

 

左足を軸にし、男の回転を利用して、右足をぐるりと足を引く。

 

するとたちまち、男はバランスを崩し、グシャアと音を立てて、倒れこむ。

 

そのまま掴んだ腕を背中に回し、警官が犯人を取り押さえるような形になる。

 

「うが・・・離せ・・・・この化け物女・・!!」

 

男はなおも悪態をついている。

 

「そうですか・・・・・こういう人には、腕の一本ぐらいもっていかないとダメかもしれませんね。」

 

そう言い、男の右腕を左側に力強く押し込む。

 

「・ぁが!?」

 

腕は・・・ミシミシと音を立てあと少し力を加えたら、脱臼する領域に来ている。

 

「・・・・わかった!!俺が悪かった!!!だから・・・離して・・・・」

 

男の声が弱弱しくなるが、少女は腕を離さない。

 

「優君が受けた痛みに比べれば、どうとないでしょう。」

 

彼女の声は冷徹さを帯びていた。

 

その声には、守ってもらっている彩でさえ恐怖を抱いてしまう。

 

少女は決して男の腕を離そうとしない。

 

だが。

 

「紗夜姉・・・やりすぎ。相手一般人だよ・・・。」

 

優が少女の肩に手を置いて、言う。

 

少女の名は、紗夜というらしい。

 

優にそう言われると、紗夜は反論する。

 

「いえ、ここで徹底的に痛い目を見せて、もう二度と優君に近づけなくします。」

 

「そこまでしなくても。多分この人はもう近づいてこないよ。格上に立ち向かう度胸なんて持ち合わせるわけない。」

 

男をかばうふりをして、一言なじる。

 

紗夜は渋々納得した様子で、男から手を離した。

 

「・・・ひ・・ひぃ!!」

 

男は情けない声を出しながら、去っていった。

 

優は限界だったようで、紗夜に持たれかかった。

 

紗夜はそんな彼を抱きしめる。

 

「よく頑張りました。えらいですよ、女の子を守るなんて。」

 

先ほどとは、打って変わって慈愛に満ちた声でそう言う。

 

彩が立ち尽くしていると。

 

「彩ちゃん大丈夫!?」

 

千聖がこちらに走ってきた、傍には4人の少女がいた。

 

「優・・・こんなところにいたのね。」

 

「傷だらけじゃん!?急いで手当しないと。」

 

「りんりんどうしよう!?」

 

「あこちゃん・・・・落ち着いて・・。」

 

どうやら他4人は優の知り合いの様だ。

 

千聖は傷だらけの優を見た途端を血相を変え。

 

「優君!?何があったの!?取り合えず・・・どこか手当できる場所に・・・・。っ!!事務所!!事務所が近いからそこに行くわよ。」

 

「わ、わかりました。」

 

そう言われた紗夜は、優の体をヒョイと背中に乗せる。

 

「…………紗夜姉……これ少し恥ずかしいかも……。」

 

優が力無く、言うが全員で無視を決め込んだ。

 

これ以上言う気力がないのか、優はぐったりと紗夜に身を任せる。

 

急いで、事務所へ運び込んだ。

 

中で、日菜達と合流する。3人とも優の様子を見て、ただ事ではないと感じたらしく、顔色が真剣味を帯びている。

 

「優!? 何があったの!?」

 

「ジブン、救急セット持ってきます!」

 

「彩さん、これは……。」

 

彩は2人にさっきあった状況を説明した。話を進めるたびに、日菜の顔が怒りに満ち満ちていく。

 

イヴも同様だ。

 

「そいつ……次優の前に現れたら、絶対に●●●●●!!!」

 

「彩さんだけでなく、優さんにも………許せません!!」

 

「日菜、怒るのはわかりますが、口が悪いですよ。」

 

彩は内心、紗夜ちゃんがそれ言う?と思ったがグッと堪えた。

 

やがて、麻弥が救急セットを持ってきた。

 

「麻弥ちゃん、貸して!」

 

日菜が麻弥から、救急セットを貰い受け、応急処置を始める。

 

ある程度は的確なのだが、しばしば傷口にダメージを与えてしまっている。

 

「日菜姉………ちょっと痛い。」

 

だいぶ優しめに包んでいるが、かなり痛いらしく優は泣きかけている。

 

見かねたリサが、日菜と優の間に割って入る。

 

「日菜、これはあたしがやるから、日菜は優と話してあげて。」

 

日菜は渋りつつ、リサと交代した。

 

リサは、手際良く優への処置を完了させていく。

 

しばらくして、状況が落ち着いたため、少し話す余裕が出てきた。

 

「それにしても、無茶したわね。大人相手にあんなことするなんて。」

 

最初に口を開いたのは、千聖だった。

 

それは彩にとっても、気になることだった。

 

彩は助けたいだけだったら、周りの人間もしくは、警官でも呼べばいい。

 

だが、彼はしなかった。

 

その思いは確かめておきたい。

 

「………………むかついたから。」

 

「え!?」

 

「自分の推し……いや、恩人がバカにされて居ても立っても居られなくて。」

 

優はさらりと言ったが、全員余計に疑問が強まっただけだった。

 

「むかついたのはわかったんだけど、恩人ってのは………」

 

リサが、皆の意見を代弁するように言う。

 

「彩さんのことですよ。この人には、一つ恩があったんですよ。」

 

「そうなの彩ちゃん?」

 

日菜が尋ねてくる。

 

彩は、頭の中を必死に回転させる。

 

そして、一つ思い当たることがあった。

 

「まさか!?あの時の。」

 

「はい、僕が日菜姉との問題から逃げたあの日。あなたに救ってもらったんですよ。」

 

日菜やRoseliaの5人は、心当たりがあるらしく、あぁと納得している。

 

「でも、なんで私だって……。」

 

あの日の優は眼鏡が破損しており、彩の顔などまともにわからなかった。

 

実際問題初めて、スタジオで彼と会った時も気づいた様子はなかった。

 

「簡単なことです。()()()()()()()()()あの後。」

 

「あの後?」

 

こればかりは、彩も思い当たる節がない。

 

「彩さん達と初めてスタジオで会って、帰った後ぐらいでしたかね。顔は自信がありませんでしたけど、声と髪色でなんとなくわかったんです。」

 

 

だから、あの時は何もなかったんだ。

 

 

「僕にとって、彩さんは暗闇から救い出してくれた1人なんです。

だから、そんな人が侮辱されるなんて耐えられなかった。」

 

「私はただ、自分の意見を言っただけなんだけどね。」

 

彩は、照れくさそうである。

 

「でも、そういうことが他人を助ける時もあるんです。だから、彩さんは自分を誇ってください。」

 

優は真っ直ぐ彩の目を見つめている。

 

彼にとって、彩の一言は蜘蛛の糸の様なものであったのかもしれない。

 

2人の会話が続いていると、紗夜は彩の手をバッと握った。

 

一瞬とてつもない力で、やられると思ったがその手は軟体のものを優しく包み込むようである。

 

「丸山さん、優君の姉としてお礼をさせてください。あの子を助けてくれて、ありがとうございます。」

 

そう言って、紗夜は頭を下げる。

 

すかさず後ろから、姉じゃないでしょ、とツッコむ声が聞こえたが、紗夜は聞こえてないフリをしている。

 

「彩ちゃん、アタシからも言わせて、ありがとう。」

 

日菜も一緒になって、頭を下げる。

 

彩は流石に気まずいのか、頭を上げて、と焦るように言う。

 

余程優の事が大切らしい。

 

 

紗夜ちゃんはわかんないけど、日菜ちゃんまで頭を下げるなんて………

優君は愛されてるんだね。

 

 

その時間がしばらく続くと。

 

「ねぇ、そろそろサークルに戻らないと………」

 

部屋の隅の方にいた友希那が切り出した。

 

「ホントだ!? 優ー…………」

 

「どうしたんですか?リサさん。」

 

「後、30分ぐらいで予約の時間がー…………。」

 

はぁ!?っと優は驚き、他のRoseliaのメンバーも急に慌て始める。

 

「急いで戻るわよ!!」

 

紗夜は、すぐさま優を担ぎ、全員でいそいそと帰って行った。

 

「なんだか……面白い方々でしたね。」

 

麻弥は呆気に取られたように言う。

 

「えぇ。少しだけクールなイメージが崩れたわ。」

 

千聖も、同意見らしい。

 

「ははは………。」

 

彩達の間何とも言えない空気が漂っている。

 

しばらくの沈黙が流れる。

 

そして。

 

「あの……。」

 

千聖が口を開く。

 

その瞳には、明らかに今までとは違っていた。

 

彩達も何か大切な事だと察し、真剣な表情になる。

 

「皆に聞いてほしいことがあるの………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Roseliaメンバー帰路にて。

 

「にしても、よくあそこがわかったよね。」

 

優は素直な感想を口にした。

 

紗夜におんぶされたままだが、もう気にしないことにしたらしい。

 

「あれね、えっと………千聖さん……だっけ?あの人が教えくれたの。」

 

あこが明るい表情で優に話しかける。

 

「千聖さんが!?なんで!?」

 

かなり意外らしく、優は目を丸くする。

 

「私達が………優君を………探してる時に………偶々。」

 

「たぶん、彩のこと見てたんじゃない?彩、雨の中1人でチケット渡してたんでしょ?」

 

 

それで、心配になって見に行ったのか?千聖さんが?

いや、わかっているはずだ。白鷺千聖という人物は、心を閉ざしてしまってはいるが、根っこはかなり仲間想いであると。

もしかしたら、彩さんの姿を見て気が変わったのかもしれない。

全ては推測でしかない。けれど、何故だかそうであると確信できる。

なら、彼女達はもう大丈夫だ。後は、その姿を見届けるだけ。

 

 

優がずっと黙っていると。

 

「優、珍しくボーッとしてるわよ。」

 

友希那が心配そうに尋ねてくる。

 

「あぁ、いや大丈夫です。」

 

「もしかして優、彩に恋しちゃった?」

 

リサがイタズラな笑顔を浮かべている。

 

「は///// そんなことは////」

 

「顔、赤くなってますけど。」

 

背中越しに、紗夜の怨念を感じる。

 

さっきの慈愛に満ちた紗夜姉を返して……と優は心の中で、お願いする。

 

「優君は………渡しません………。」

 

「あこも、そこは譲りたくないかも。」

 

女性陣の熱が、どんどんヒートアップしている。

 

そして、あこと燐子が自分が優をおんぶすると言い出し、紗夜との大乱闘が始まった。

 

リサと友希那はそれを側で見守っている。

 

ちなみに優は危機を感じてか、既に紗夜のもとからは脱出済みである。

 

「…………行こっか。」

 

「そうですね。」

 

他3人を無視して、優達は歩き始めた。

 

その時、さりげなく優と手を繋いでいたリサを友希那は見逃さない。

 

 

リサ意外と策士なのね。

 

 

そのまま3人でサークルに戻っていた。

 

 

 




皆さん、どうもいつも通りの月島まりなでございます。

今回紗夜ちゃんファンの方には申し訳ないですねー。

だいぶキャラ崩壊してましたし。

この作品では、そういうことが多々ありますのでお気をつけて。

それでは。


‘今回の一件を乗り越え、皆が一つとなったパステルパレット。練習を重ね、彼女達は真の始まりのステージに立つ。果たして、始まりのいく末は?





           次回
        「キャンパス」


お楽しみにー!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。