BanG Dream!! ~rose of shadow~ 作:tora酸
皆様は夏といえば、何を思い浮かべますか?
夏祭り?プール?海?
普通はそうですよね?
なのに僕は今。
「誰が一番怖い話してくれるかなー。」
こんな事を言っている方々と一緒にいる。
事の発端をお話ししましょう。
そう………あれは今から36万、いや1万4000年……間違えた。数日前のことだ。
僕は、日菜姉からある電話を受けた。
「何?こんな時間に僕もう眠いんだけど。」
「まあまあ、そう言わないで。優にとっても悪い話じゃないから。」
日菜姉の声色から察するにとりあえず碌なことは考えていないことがわかる。
僕は、軽く流す程度の感覚で彼女の話を聞き始める。
「実は、アタシ達パスパレでお泊まり会をしたいと思ってるんだ。」
「そう、よかったね。じゃ、僕は寝るから。」
「ちょっと、ちょっと!!なんか今日の優素っ気なくない!?」
日菜姉の調子が狂っているのが、電話越しに伝わってくる。
いやさ…………今、夜の12時前なわけ。良い子はとっくに寝る時間なんすよ。そらぁ、人の話真面目に聞く体力なんてありまへん。
「仕方ないなぁ。それで、日菜姉は僕にどうして欲しいわけ?」
日菜姉はコホンと一息つき、話始める。
「実は………それを優の家で出来ないかなーなんて。」
「あぁはい。そんなことね。そりゃ、おっけぇぇぇ!?」
今なんて言ったこの人!?
僕の耳が確かなら、お泊まり会を我が家でしたいと聞こえたのだが。
まぁ、出来ないこともない。
我が家は、僕と母さんの二人暮らしという条件下に対して、圧倒的に部屋数が多い。
恐らく、5人ほどならいけるであろう。
だが、
「それって…………彩さんもいる?」
「当ったり前じゃん。彩ちゃんがいると面白いしねー。」
え、それってあれですか。
僕が部屋に帰ってきたら、推しが目の前にいるんですが的な感じでなろう小説的展開になるんすか?んな安直な展開いいんすか?
何だろう、是非という自分と何故かそれはいけないと思っている自分がせめぎ合っている。
「というか、僕ん家じゃなくていいじゃん。同じアパートでも、日菜姉の部屋とかさぁ!?」
「いやー………それが、ワタシの方は、そもそも部屋が足りないし、かといって、他の皆んな所は都合がつかないしで。」
「日にち変えればいいじゃん。」
「オフの日がそこしかないからずらせないの。」
僕は悩んだ。ドラクエ5でビアンカを選ぶかフローラを選ぶかぐらい悩んだ。
その結果、僕が出した答えは。
「とりあえず、母さんに確認してみる、無理だったらごめん。」
日菜姉はそれを了承と受け取ったのだろう、嬉々とした様子で
「オッケー!じゃあ皆にはアタシが言っとくから!」
そう言って、電話を切った。
まだ、大丈夫かもわかんないのに…………。
◯
確認した結果、余裕でオッケーだった。
そして、当日。パスパレの皆を迎え、楽しく談笑したり、ご飯を食べたりしていたら、すっかり21時ほどになっていた。
そこで、突然日菜姉が『夏なんだし、あれやろうよー。怪談。』
僕は首を横に振りたかった。しかし、彩さんがいる手前、カッコつけて
参加することにした。
イヴさんを除く皆はノリノリであった。
そして、冒頭に戻る。
◯
「誰からいく?」
まず口を開いたのは、彩さんだ。
その声は恐怖に怯えているより、怖いものに対する好奇心で満ちている。
この人がこんなんだったら、僕カッコつけた意味がないような………。
そんな僕をガン無視するかの如く、皆は話を進めていく。イヴさんは我慢こそしているものの、顔は引き攣っている。
最初は麻弥さんの話だった。
怪談で語られるような典型的な話だ。
所謂お皿が足りないぁい!!って最後言うやつである。
聞いたことはあったが、僕は微ホラーでさえ気絶しかける為、十分怖かった。イヴさんと僕は『ぎゃあーー!』と声を立てて、互いに抱きついた状態になっていた。
はっきり言って、その時の日菜姉の表情が一番ホラーであった。
麻弥さんが宥めてくれたから、大丈夫だったが、もしそれがなかったらと考えるとどんなホラーにも変え難い恐怖に襲われる。
その後、千聖さん、日菜姉と続いていき、僕の番になった。
そして、
「ほら、優の番だよ。」
日菜姉が僕を急かす。
「怪談なんて………怖いの嫌いなんだから、わからないよ。」
実際怖いもの嫌いが、好き好んでそう言う話を知ろうとするわけがないのである。
「ひひひひ日菜さん!! 優さんもこう言ってますし、無理にする必要は。」
先刻の数々の怪談によって、恐怖が最大限になったイヴさんが止めようとする。
僕も冷静になっているように見えるが、彩さんの前でなければ日菜姉に抱きついて、涙目になっていただろう。
しばらく、なんとも言えない雰囲気が場を包んだ。
僕はずっとダンマリで、他のみんなもどう切り出せばいいかわからなくなっているようだ。
しかし、この雰囲気耐えかねて僕が何か喋ろうとした瞬間。
「ねぇ、何か聞こえない?」
千聖さんが僕の言葉を遮って言った。
「何かって………何がですか?」僕がそう尋ねると。
「何かが軋んでいるような音が聞こえるの。」
「えっ!?」
僕達は耳を澄ます。
辺りには何も聞こえない。そもそも我が家に軋む様な物体などない。
空耳だろう。
「聞き間違いじゃないですか? 千聖さん、ちゃんと寝てます?」
僕は場を和ませようと、おちゃらけた声で喋る。
イヴさん以外は気に留めてないようだ。
「・・・・そうよね。もしかしたら、疲れてるのかも。」
千聖さんは、否定しようにも仕切れない、言い切ろうとしても言い切れない、といった表情で、苦笑いをしている。
もしかしたら、僕らを怖がらせようとしているのかも。この人女優だから、演技力もあるし。
そう自分を納得させようとする。しかし、僕はどこかでこれが演技ではないと感じてしまっていた。
「と、とりあえずテレビでも見ない。」
先ほどの空気に耐えかねて、彩さんがテレビのリモコンを取る。
だが、何度もボタンを押してもテレビはうんともすんとも言わない。
「壊れちゃいましたかね?」
「えー! これまだ買って二年ぐらいですよ。しかも、そこそこ良いやつですし。」
僕はテレビの方を確認しにいく。しかし、行ってみたはいいものの家電の修理などわからない。
「確か、こういうのは叩いた方が良いんですよね。」
そう言って、力良くテレビを叩こうとするイヴさんを即座に止める体制に入る。。
それ、いつの知識だよ!! 今時のやつは叩いたら余計壊れるわ!
イヴさんを止め、どうにかしようと考えていると。
バタン!!!
「!?」
突然、何処からか何か鈍いものが床に当たった様な音がした。
僕達は、一斉に音がした方を見る。
「な、何?今の?」
「………わからない。ただ、この感じ隣の部屋から聞こえたわね。」
「優、隣の部屋って何かあったっけ?」
「一様空き部屋が一つ。あそこは使ってないし、今回の泊まりには使いません。というか使えません。」
「使えないって、どういうことです?」
「何でわからないんですけど、母さんが使えないって言ってたんです。」
あ、まずい。口を滑らせた。
こんな言葉を聞いたら、まず真っ先に目を輝かせそこに行きそうな人物がいるのを忘れていた。
「そう言われると行きたくなるんだよね!」
この人に火がついたら、もうおしまい。
今の日菜姉を止めるには、1000万パワーほどの超人強度が必要になってくる。
そんなの火事場の馬鹿力でも使えないと勝てないし、そもそも僕らの中に筋肉一族はいない。
「ってことで、ほら、行こう!!」
日菜姉に手を引かれ、僕は無理やりその場に連れて行かれる。
無論。他のみんなもついてきた。
僕らは、扉の方を見やる。
「ね、ねぇやめませんか? ジブンなんだか、すごく嫌な予感がします。」
「ま、ま、麻弥さん!? 不吉なこと言わないでください!!」
「いえ、麻弥ちゃんの言う通りよ。私も嫌な気を感じる。」
彼女達の言う通りだ。
僕も良からぬ雰囲気をここから感じている。
暗く、陰湿で一度巻き込まれたら、もう戻れないそんな感じだ。
「皆、怖がりすぎだって。ほら、開けるよ。」
日菜姉はそんな僕らの忠告を無視して、扉を開ける。
その瞬間、扉を開けた日菜姉が臨戦体制に入ったのが、一瞬だけ確認できた。
日菜姉が構えるなんて………どんなものがあるんだ……?
僕は、扉の先を覗いてみた。
何だ…………これ?
僕は、部屋の中を見て、絶句した。
そこはおよそ部屋と呼べる状況ではない。
壁や床は、ドス黒く赤い液体で、染められている。
それは人間の血だった。
これは夢か、ホントは今僕は夢の中なのか?
しかし、言葉で否定してもこの頭はあれを人間の血だとはっきり認識していた。
なぜなら、その水の溜まり場には、人の死体が転がっていたからだ。
どの死体も見るに耐えない姿とかしている。
死体の数は3人。
1人の女性は、体を滅多刺しにされていて、腹部からは臓物が見えてしまっている。
1人は男性、首をロープで吊っており、顔が苦痛でひどく歪んでいる。
その目玉が今にも飛び出してきそうなほど見開いてる。
そして、最後は…………………………小学校中学年か高学年の女の子だった。
片腕と片足があらぬ方向に曲がっている。しかも、この子だけは顔が万別できないほど、執拗に潰されており、怨念の強さが疑える。
!? その女の子の死体を見て、しばらくして僕は激しい頭痛に襲われる。
頭が焼き切れそうなほどの痛みだ。痛い、嫌だ!!と叫びたくても声が出ない。
そして、声が聞こえる。
お前が殺した、お前が殺した、お前が殺した!!!!
あの時、お前がもっとしっかりしていたら!!!!
その言葉と共にある映像が映し出される。
雨の強い夕方、目の前には高層ビルが立っている。
そこにいるある男が、ひたすら下を見ている。
男の視線の先には、またしても女の子がいた。しかし、今度は、違う女の子だ。
でも、誰かはわからない。いや、わかりたくない。
彼女は顔は潰れて、全身の骨が折れており、もはや人間とは形容できないほど状態だった。彼女の辺りが血で染まっていく。
見つめている男は、涙を流し声をあげ、その肉塊を抱きしめる。
そこで映像は途切れ、僕の意識は真っ白になった。
◯
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
突然の大声にアタシは、耳を塞いだ。
どうしたかと思い、後ろの方を確認すると。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、」
優がうずくまり、ひたすらごめんなさいと言う言葉を繰り返している。
「どうしたの!?優」
アタシは、優を起き上がらせるが。
「ぁぁぁ!!」
恐らく何かのパニック障害を起こしているせいか、優は暴れ始める。
「うわ!」
何とか避けつつ、優を拘束する。
「日菜ちゃん!!」
「ごめん、彩ちゃん少し優抑えるの手伝ってくれない? 本気出したら、優怪我させちゃうし。」
アタシは、彩ちゃん達に優の拘束を頼み、この子の前に出る。
「日菜ちゃん!これどういう状況なの!?何で、優君が!?」
「アタシにもわからない!! とりあえず何とかするから。」
「優さん、落ち着いて!!」
「今こそブシドーを見せる時です!!」
みんながやってくれている間に私は優に近づく。
そして、優しく落ち着かせる様に抱き締める。
少し、面食らって固まった様だが、すぐに暴れ始める。
「大丈夫、優。アタシがいるから。落ち着いて、ほら深呼吸。」
声が、耳に入ったらしく、優は深呼吸する。
アタシはリラックスできるように、ゆっくりと頭を撫でる。
次第に落ち着いてきたら、次はしきりに泣き始めた。
「ごめんなさい、ごめんなさい。僕が…………僕が。」
アタシは優を強く抱きしめる。
「ごめん、優。怖かったんだよね。もう大丈夫だから。今はお姉ちゃんに甘えていいから。」
「……うん……グスッ……ありがとう。」
その後、優は暴れ疲れたらしく、寝息を立てながら寝てしまった。
優を先に寝る部屋の布団に寝かせ、アタシ達はリビングに戻った。
「それにしても、何で優さんはあんなパニック状態に?」
みんなが一斉にアタシの方を見る。
「ごめん、さっきも言ったけど、本当にわからないの。優があんなになったのはアタシにとっても初めてだったし。」
「もしかして、あの部屋に何かあったとか?」
「でも、見たところ普通の空き部屋だったよ。ねぇ、イヴちゃん。」
「はい、怪しいものは何も見えませんでした。」
「優さんには、見えて自分達には見えなかった?」
「謎は深まるばかりね。」
アタシ達が、ひとしきりに頭を悩ませいると。
扉の方から音がした。
アタシは咄嗟に身構えて、音の原因を確認する。
先ほどの状況のせいか、全身がピリピリしている。
場合によっては、躊躇できないなー。
扉が開き、1発、拳を叩き込もうとしたその時。
「あら?まだみんな起きてるの?」
「まりなさん!?」
優の母親のまりなさんだ。
その姿を確認して、なんとか拳を戻す。
「えぇ……どうしたの日菜ちゃん。そんなに殺気だって。あれ?優は?」
まりなさんは、アタシの雰囲気を感じ取った為か、少し怯えている。
危ない、危ない。もしまりなさんに当てでもしたら、優に申しわけがつかなくなっちゃう。
冷や汗をかいた額をぬぐい、ホッとため息を吐いた。
「それが……実は…。」
アタシ達はさっき起こったことをありのまま全て話した。
まりなさん本人は、怒ったり取り乱したりということはなく、ただ淡々と耳を傾けていた。
「なるほど。優がパニックに……………その部屋に入った時の様子は?」
記憶の棚をたぐり、状況を皆で思い出そうとする。
アタシは先頭に居たせいで、詳しく優の表情などはわからなかった。
アタシがちゃんと見ておけば………。
後悔の念からか、拳を強く握る。
すると、一番近かった彩ちゃんが何か思い当たる節があったらしく、拳を掌の上にポンッと置いた。
「そういえば、あの時の優君、変なことを言ってた気がする。」
「彩ちゃん、詳しく聞かせて。」
まりなさんが真剣な眼差しで問う。
「はい。確か…………そうだ! 死体!死体があるって。」
その言葉にアタシ達は戦慄した。
「死体!? そんなものジブン見てませんよ!ねぇ、千聖さん。」
「そうよ。あそこには何もなかったもの。」
「ゆ、ゆ、幽霊ってことですか!?」
イヴちゃんは再び恐怖が戻ってきたせいか、顔がみるみる青く染まっていく。
「………あながち間違えではないかも。」
「どうしてそう言えるの?まりなさん。」
まりなさんの言葉に、眉を顰める。
ここで、恐怖を誘発するのは普段デリカシーのないと言われるアタシでさえ嫌悪感を示さざるを得ない。
「日菜ちゃん、冗談を言いたいわけではないの。だってね。」
「あなた達が行った部屋は、昔一家心中があった場所なの。」
次回予告
どうも皆様、私は月島まりな……ではなくTora酸でございます。
まりなさんは、少しの間有給を取るので、しばらくは私が次回予告を致します。
今回柄にもなくホラーぽくしてみましたけど、どうでしたかね?
私、実は好きな小説ジャンルがホラーとミステリーなんですよ。
ホラーで特に好きなのは、貴志祐介さんの「天使の囀り」ですねー。
ホラー耐性がある方は一度読んでみてください!!普通に面白いんで!!
と私の話はこれまで。
それでは!!!!
'8月のある日、サークルではある企画が持ち上がる。そう!!それは、サークル合同ライブ。サークルスタッフが事前に声を掛けて了承を得た数バンドによって行われるライブ。優のバンドRoseliaもある成り行きから参加することなる。そこに集まったのは、後に大ガールズバンド時代を走り抜ける事となる者たちだった。'
次回!!!
「集結、ガールズバンドパーティ(約一名男)」
お楽しみにですー。にぱー。