BanG Dream!! ~rose of shadow~ 作:tora酸
僕と有咲さんは全力疾走で猫耳少女を追いかける。
「まだ、そこまで遠くに行ってないといいんですけど。」
走っていると、彼女と思わしき人が信号を待っていた。
「見つけた!」
「有咲さんいました!あそこです!」
有咲さんにそう言うと、
「はあっ、はあっ、見つけたか。走るのきつい。」
息絶え絶えの様子で走っていた。
彼女はあまり運動が得意ではないらしい。
仕方ない、ここで逃すわけにはいかないし。
「有咲さん。」
僕は足を止めて、彼女を呼んだ。
「な…、なん……だよ?はぁ、はぁ。」
「失礼します。」
僕はそう言うと彼女を抱き抱え、走り出した。
「ちょっと待て!!なんでこうなるだよ!」
「いや、有咲さん走るのきつそうでしたし。
ここで、あの人を逃すわけにもいけませんから。」
「にしても、
もうちょいマシな方法あっただろう!!
なんでお姫様抱っこなんだよ!」
あれ、おかしいな。女の子はこうすると皆んな喜ぶって、
母さん言ってたんだけどな。
うーんまあ、例外もあるよね⭐︎
「すぐ、追いつきますんで我慢してください。」
「うぅ、恥ずかしい//」
僕は走る速度をあげて、
なんとか信号が変わる前に猫耳少女に追いついた
「あれ?なんで、抱っこされてるの?」
少女が不思議そうに尋ねるが、
「何も触れるな!!っていうか、お前も早く下せ!恥ずかしい。」
「はいはい。」
僕は有咲さんを下ろした。 そして、
「お前ー!!、ライブハウスに行くのは勝手だけど、 うちの商品もってくんじゃねぇ!」
「ごめん、ごめん、つい。」
「ごめんじゃねー!!」
どれだけ自由なんだこの人。
「とりあえず、ライブハウス行きますか?」
僕が問いかけると、
「行こ、行こっ。」
反応早っ!!
どれだけ、行きたかったんだ。
「待て、私も一緒に行く。商品ネコババされても困るしな。」
「それが賢明ですね。」
「やったー、それじゃ早く行こうよ。」
1人、行こうとする彼女を引き止め、
「お姉さん、その前にせめて、名前教えてください。」
名前ぐらいは知っておかないと不便だろう。
「確かに、監視するのに名前ぐらいは知っとかないとな。」
そういう、意味では(汗)
「わかった! 私、戸山香澄!」
お姉さんが元気よく自己紹介する。
「市ヶ谷 有咲。」
「僕は、月島 優です。」
「優君、有咲よろしくね!」
この少女の名前は香澄というらしい。
とりあえず僕たちは、
近くにライブハウスがないのか検索することにした。
「この近くは、っと。」
サークルは少し遠いしなー。
「・・・っ、SPACE?」
どこかで、聞いたことあるような?
うーーーーーん。
まぁ、おそらく気のせいだろう。
「ここなら、近いし、いいんじゃねぇか?」
「そうですね。」
少し気になることはあるが問題ないだろう。
「さっそく、しゅっぱーつ!」
香澄さんがウキウキしながら歩き始めた。
「待ってくださいよー。香澄さん。」
また、1人で行かれても困るし。
っと、その前に、
「そうだ、有咲さん携帯のナビお願いしていいですか?」
「えっ、なんでだよ?」
「僕がやると、一生着きませんよ。
僕、方向音痴なんで。えっへん<(`^´)>。」
「誇らしげに言うんじゃねよ。」
昔、ナビを使って買い物に行こうとしたけど、迷子になったんだよなー。大変だったよあの時は。
しみじみ。
「ほら、なに突っ立ってんだ。おいてくぞ。」
「待ってくださーい。」
僕は全速力で有咲さんについていった。
しばらく歩いてると、SPACEと書いてある店が見えてきた。
店の中に入って、受付に行く。
「すいませーん。あのここっ・・」
「ここって、楽器弾けますか!!」
香澄さんが僕を遮って店員さんに話した。
「・・えっ。」
店員さんは少し困ったような表情をしている。
すると、
「うちは、練習スタジオじゃないよ。
うちで弾けるのは、オーディションに合格した奴だけだ。」
「オーナー。」
老齢の女性がでてきて、そう言った。
どうやらここのオーナーさんらしい。
うん? この人何処かで、会ったような・・・・。
「無理なんだって、ほら早く帰ろう。
これ以上は流石に迷惑だと思うし。」
有咲さんがそう急かす。
どうやらギターを持ったまま来た
香澄さんのことが恥ずかしいらしい。
気持ちはわからんでもないが。
「そう・・・・。」
香澄さんがしょんぼりしながら、帰ろうとすると、
「待ちな、ならライブを見てくかい?」
「ライブ。」
「やめとっけって、なんかバンドって頭とか振るんだろ・・。」
有咲さんバンド全てがそんなハードじゃないからね。
「見る前から、決めつけるんじゃないよ。」
そう言われると、有咲さん明らかに不機嫌そうな顔で
「そんなら、確かめてやんよ!!!チケット代いくら?」
「高校生かい?」
「ちげぇーし。」
なんで、そこで意地はってるんですか。
「そうかいなら、1200円。」
「あの、高校生は?」
香澄さんが問う。
「600円。」
「マジィ!!!」
今明らかに、目の色変えたなこの人。
「あんたはいくつだい?」
オーナーさんが僕の方を見て、尋ねる。
「11です。」
「小学生かい、なら無料だ。」
「わかりました。二人ともチケット貰いに行きましょう。」
僕たちがチケットを受け取りに行こうとすると、
「ちょっと待ちな、あんただけ残んな、二人は行っていい。」
「は、はい。」
「なんかわかねぇけど、先行ってるぞ。」
二人そう言って先に行ってしまった。
えっ、僕もしかして何かわるいことしたかな?
オーナーに呼び止められ、少し緊張気味になる。
ど、怒鳴られたりするのかな・・・。
そう僕が身構えてると、
「あんたの母親の名前は?」
「えっ・・・。」
予想外の質問に困惑する。
「月島まりなですけど・・。」
僕が母さんの名前を出すと、オーナーの態度が柔らかくなって、
「あんた、優かい!久しぶりだね。」
懐かしい顔を見る様に言った。
えっ、僕この人に会ったことあるかな・・。
しばらく、考えてみる。
うーーーん・・・。
ハッ!!!
思い出した昔、母さんに連れられてここでライブを見たことがある。
オーナーにも会った、孫の様に可愛がってもらったのを覚えている。
名前は確か・・・。
「はっ!、お久しぶりです!! 都築さん!!!」
「やっと、思い出したかい。もう、初めて会ったのも二年前かい。」
「もう、そんなに経つんですね。」
「まりなが息子を連れてきたと聞いたときは、驚いたよ。
いくつの子が来ると思ったら小学生だったからね。
あいつも水臭いねぇ、
出産してたなら連絡の一つでもくれればよかったのにね。」
「・・・・・そう・ですね。」
その言葉を聞き、僕は少し気まずくなる。
そうか、この人は”あのこと”を知らないんだった・・・。
「昔話でも、したいところだが、それはまた今度だね。」
「引き留めて、悪かった。ライブ、楽しんできな。」
「はい。」
僕が、二人のところに行こうとすると、
「優、最後に一つ聞いていいかい?」
なんだ?
「何ですか?」
「音楽、楽しんでるかい?」
その質問は、一見シンプルだか、僕にとっては、重い意味を持っていた
僕は、少し考えて、
「・・・・・・・はい。」
笑顔でそう答えた。
「・・・・・そうかい。」
オーナーは、少し心配そうだが、気のせいだろう。
オーナーがそう言うと、僕は、二人がいる方に向かった。
「おーい、優、もう始まるぞ。」
「すいません。遅くなりました。」
ライブスペースに行くとたくさんの人が観客席にいた。
すごい人だ、今日は人気のバンドが演奏するのか?
「すごい人!」
「なんで、こんなに人いんだよ・・。」
ワクワクしている香澄さんに対して、有咲さんはかなり不機嫌そうだ。
すると、
「あっ!来た!」
香澄が叫ぶと、
ステージのほうに四人の女の人が出てきた。
メンバーそれぞれ、薄い緑を基調としたライブ衣装を着ていた。
ステージを移動し、全員が自分の位置につくと、
「スペーース、遊び準備は出来てるー!!?」
イェーーイ!!!
観客たちが反応し、
「それじゃ、いくよーーー!」
そういうと、彼女たちの演奏が始まった。
キャー!!
すごい声援だ。
これだけの人がいるなら、当然か、
演奏を見ているとわかる、彼女たちの演奏技術はとても高い。
スペースで演奏するようなバンドだから、上手いのは当たり前だが、
彼女たちの技術は群を抜いて高い。
「・・・凄い。」
声がついあふれてしまう。
演奏を見て、
香澄さん達も圧倒されているようだ。
ライブに来ている星の少女達は、それぞれの思いを抱いていた
ーー香澄視点
「すごい、凄い!!!」
星の少女は静かに喋る。
これが・・・・ライブ。とってもキラキラ☆ドキドキする!!!
私も、あんな風に。
ーーー有咲視点
「・・・・・・・・。」
なんか思ってたよりすげえな。
なぜだか胸の奥が熱くなるのを感じる。
これが、バンド。
市ヶ谷有咲もライブの熱に興奮していた。
ーー牛込りみ視点
「やっぱお姉ちゃんたちのライブは凄い。」
今ライブをしている
バンドGlitter*Greenのボーカル、”牛込ゆり”
その妹、牛込りみは姉たちのライブにただただ憧れの眼差しを送ってい
た。
でも私は、あんなに人目にさらされたら・・・・・。
そう思うとすこしだけ、悲しくなる。
ーーー花園たえ 視点ー
「やっぱりグリグリのライブ、いいね。」
スペースのアルバイト、花園たえは画面越しに演奏を見ていた。
人の演奏を見てるとむしょーに、ギターが弾きたくなるなー。
う~ん、帰ったら弾こっ。
たえは、そう考えながら仕事をこなす。
ーーー沙綾視点
ごめん・・、夏希。
やっぱり私には、無理だよ。
山吹沙綾は、友人に静かに謝っていた。
誘いの手紙をただ握りしめながら、ライブハウスの前に立っていた。
ーーーー
そして、ライブ終了後の帰り道。
ライブが終わった頃には、あたりはかなり暗くなっている。
「凄かったですね!」
僕はライブの興奮が冷めず、
香澄さんたちについ勢いよくそう言ってしまった。
「うん!凄かった!!」
香澄さんは、興奮しながら答える。
「……悪くなかったかな。」
有咲さんもそうは言ってるが、ライブよほど凄かったのか、
とても満足そうな顔をしていた。
しばらく話しながら、歩いていると分かれ道に着いた。
「では、僕はこちらなので。」
僕が行こうとすると、
「あっ、待って、優くん私もそっち!」
香澄さんも一緒にきた。
どうやら、もう少しまでは、同じらしい。
「有咲さん、それでは。」
香澄さんと行こうとすると、
「おい!待て、お前ぇ香澄……だったか?」
「うん!そうだよ!」
有咲さんが香澄さんを呼び止める。
「お前、何普通に帰ろうとしてんだ!!
うちのギター返せ!!」
あっ、そうだった。
あぶない、あぶない危うく香澄さんが窃盗をするところだった。
「あっ、ごめん、ごめん。」
「ったく。」
有咲さんが、呆れながらギターを受け取った。
「さてと、なら私は帰るから。もう、家に侵入すんなよ。」
有咲さんはそう言って帰って行った。
僕たちも、帰路に向かって歩いていた。
僕は香澄さんと話しながら、歩いていた。
といっても、ほぼ香澄さんの一方通行だが。
星の鼓動がどうとか、妹が可愛いとか、色々話してくれた。
そうするうちに、また二つの分かれ道に着いた。
「香澄さん、僕はこっちなのでここまでですね。それでは、」
僕が帰路へ、むかおうとすると、
「優くん、ちょっと待って、一つ聞いて欲しいことがあるの。」
聞いて欲しいこと?なんだろう。
「なんですか?聞いて欲しいことって。」
「私、今日のライブすっごくキラキラドキドキした。」
「それが、どうかしたんですか?」
僕が質問すると
「ライブを見てて、私もあそこのステージに立ちたいって思ったの。
だから…、決めた!私 “バンド"する!!
バンド組んで、絶対あそこで、ライブする!!」
そう言った彼女の瞳は強い決意と、真っ直ぐの光を宿していた。
やりたいと彼女が思うなら、僕が言うべきことは一つだ。
「いいと、思います。
音楽、楽しいですしね。」
「うん!私がライブをする時は、優くんが最初のお客さんだからね。」
「楽しみしてます。」
「うん、楽しみにしてて!それじゃ、バイバイ!」
「バイバイ、香澄さん!」
僕は香澄さんに手を振り、自分の家へ向かった。
香澄さん、"影"ながら応援させていただきます。
しばらく、歩きながら考える。
バンド…………か。
『優は、いつか、バンドを組むの?』
『うん!!!そしたら、
先生がお客さん第一号だからね!!』
『それは、楽しみだ。』
『絶対見てね、約束だからね!!』
『うん、約束ね。』
ゔっ!!!
昔の記憶が蘇る。
取り戻したくても、取り戻せないあの日常を。
「…………先生。」
僕はいなくなってしまったあの人を思い出す。
もう………、約束、叶えられませんね…。
あの人を思い出すと胸がとても苦しくなる。
そんな苦しく重い気持ちを、胸に抱え込みながら、
僕は、真っ暗闇の道へと帰っていった…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~グリッターグリーンのライブが始まる数分前~
「あの子、この2年で何があったんだい・・・・。」
少年と別れて、一人部屋に戻った。都築詩船は、誰もいない部屋でそう呟いていた。
優が嘘を吐くときは、誤魔化すようにあからさまな笑顔をつくる。
二年前もそういうところがたびたびあったが、今回見た笑顔は一段とあからさまで不気味だった。
「あの子、優は何を抱えてるっていうんだい。」
なんだか、とても嫌な予感がする。
この心配が杞憂だといいんだけどね。
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次回予告
みなさん!!優の母のまりなです!!!
今回も楽しんでいただけましたか!
私としては、
優がお母さんの知らないうちに人様の家に不法侵入してたなんて、
お母さんは悲しいよーー。
おっ、っと、っと、話がそれすぎましたね
こほん、それでは!
"グリグリのライブから数日、優はいつも通りの日常を送っていた。
すると、ある人からメールが、その内容に優は驚愕する。
そして、この出来事は、優の人生を一変させるようなことに発展していく。
次回!!
「薔薇達からの招待状」
次回も見てくださいねー!