BanG Dream!! ~rose of shadow~   作:tora酸

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第三話 失われた君との夕日

あれは・・・・確か2年以上前のことだ。

 

いつも通りアタシたちは、ここの付近で綺麗な夕日を見える場所に向かっていた。

 

そこは町から少し離れていた公園で、行き道では坂道をかなり歩かなくてはならない。

 

公園自体も寂れていて、人はほとんどいない所であった。

 

数分して、目的地に到着したアタシ達が最初に見たのは、いつもは誰もいない所にポツリとたたずむ少年だった。

 

年はアタシよりかなり下と思われる、なんならあこよりも下ではないだろうか。

 

小柄で色白の肌、しかしそんな体とは対照的にこちらから覗くことが出来る瞳と髪は暗闇と差し支えないほど真っ黒だった。

 

いつもとは違う光景に、アタシ達は呆然と立ち尽くしている。

 

「迷子かな?」

 

静かにつぐみがそう囁く。

 

「の割には慌ててるような感じじゃないけど。」

 

蘭がどうでもいいように振舞っているが、やや動揺しているのがわかる。

 

「でも、この時間帯に小さな子一人は少し危なくない?」

 

「まぁ~話しかけてみて確かめたら良いんじゃない~。」

 

「そうだな、万が一のこともあるし。」

 

アタシ達は立っている少年のもとにゆっくり近づいていく。

 

そして、あと一歩近づけばぶつかるぐらいの近さになると。

 

「ねぇ、君。もしかして、迷子?」

 

つぐみが限りなく優しい声で尋ねる。

 

少年はこちらに顔を向ける。

 

間近で見ると、女の子か男の子か判別が難しいほど中性的な顔をしているのが理解できた。

 

少年は何も言わず、ただこちらを見ている。

 

流石に気まずいな……・・・それにしても、こんな年の子供一人をうろつかせているなんて親はどうしてるんだ?この時間は小学生が居るにはやや危ないが。

 

彼の見えない親に対して心の中で文句を言っていると。

 

「・・・・・・!!!」

 

真顔だったのが、驚いている様な顔に変わった。

 

いや、正確に言うなら何かを懐かしむ様な顔と言った方が正しいだろう。

 

視線の先を見ると。

 

「・・・アタシ?」

 

どうやら蘭に向けられたものらしい。

 

しかし、当の本人は思い当たる節が無いという様な顔つきだ。

 

そして、ひとしきり見つめ終わると。

 

「・・・・グスッ・・・・ぁぁ・・」

 

急に涙を浮かべ、声を上げて泣き出してしまう。

 

余りの不意の出来事に普段冷静なモカでさえ、慌てている。

 

「ええええええ!!」

 

「君、大丈夫!?何か嫌なことでも」

 

驚嘆することしかできないひまりに対し、つぐは何とか落ち着かせようとするが。

 

「・・・ぁぁぁぁ・・あぁぁぁぁ・」

 

泣き止む様はない。

 

「あーあー蘭が泣かせた~。」

 

「モカ、今そんなこと言っている暇ない!!」

 

全員が手をこまねいている状況だ。

 

こうなったら、アタシが・・・・・・。

 

このぐらいの年齢の子の相手なら、あこやその友達のちびっ子たちで慣れている。

 

「蘭、アタシがやる。」

 

アタシの方が適任だと察した蘭は少年から離れる。

 

そして、アタシはその子の前に立ち、膝を曲げ、目線を合わせる。

 

パッと見た感じ、小学校低学年だろうか?

 

泣きじゃくる少年に、優しく声をかける。

 

「どうしたんだ?何か学校かなんかで嫌なことでもあったのか?もしよかったら、アタシ達に教えてくれないか?」

 

頭の上にそっと手を置き、極力安心できるようにゆっくり撫でる。

 

質問に対する返答はないが、泣くのは少しおさまってきていた。

 

まわりから「おぉー」と感嘆の声が上がっている。

 

しばらくして、完全に泣き止んだ少年は弁解する形で話し始めた。

 

「いきなり泣き出してごめんなさい。別に嫌なことがあって泣き出したわけじゃないんです。」

 

このぐらいの年齢の子には珍しいはっきりとした敬語で話すことにアタシはやや感心していた。

 

本人は大丈夫と言っているが、大体辛い目にあっている人間は他人に迷惑を掛けまいと行動する節がある。

 

その事を懸念して、もう一度確認を取る。

 

「いえ、本当に大丈夫です。…………ただ思い出しちゃっただけですから。」

 

「思い出しちゃっただけ?」

 

その言葉に引っ掛かりを覚えたアタシはさらに質問する。

 

すると、少年は『しまった』という表情を浮かべていた。

 

だが、あまり誤魔化せないと思ったのか、その詳細について話し始めた。

 

「似てたんです………お姉ちゃんに……。」

 

「このお姉ちゃんがそうなのか?」

 

少年の言葉から、その似ていたのが蘭だと思い聞いてみる。

 

すると、少年はこくりと頷いた。

 

「そこの皆さんが目に入った時に、そこの人が。大事な家族が戻ってきたそう勘違いして………・・・・もう会えないのに・・・・」

 

再び泣きそうになる少年を宥め、アタシはこの状況について整理することにした。

 

たぶん、この子言うお姉ちゃんは何かしらの理由でこの子と会えなくなったんだろう。しかも、この子の反応的にまだ最近の可能性がある。

そんな中で、その人に似ていた蘭を見て、別れた時の事を思い出したのかもしれない。

 

妹を持つ身としては、この少年には同情というかどうにかしてあげたいという念がある。

 

小さい妹や弟にとって、姉ちゃんや兄ちゃんは頼れる身内であることが多い。

 

それをまだ一人立ちの気さえも起きない段階で失っているのだ。

 

その辛さは並大抵ではないだろう。

 

アタシは気づいたら、その子を静かに抱きしめていた。

 

少年は驚きはしたが、嫌な様子を見せず、ただアタシに身を委ねている。

 

こりゃ、中々の甘えん坊だったのかもな。

 

頭の中で苦笑する。

 

少年は恥ずかしげもなく、アタシの腕の中にいる。

 

その顔は、顔に取り付いたものが少し和らいだ・・・・そんな感じだった。

 

流石にアタシもそんな長い時間抱擁するのは恥ずかしかったので、少年を離し、皆で近くのベンチに座った。

 

「そういえば、お前の名前聞いてなかったな。なんて名前なんだ?」

 

アタシはなるべくフランクな口調で話しかける。

 

少年は、さきほどのやり取りで警戒心が無くなったのか、落ち着いた様子で。

 

「僕は・・・・優・・・月島 優って言います。」

 

「優か……いい名前だな。アタシは宇多川 巴。んで、こいつらが。」

 

「羽沢つぐみだよ。よろしくね!!」

 

「青葉モカだよ〜モカちゃんって呼んでね〜〜。」

 

「上原ひまり!ひまりお姉ちゃんって呼んでもいいよ!」

 

「…………美竹……蘭……。」

 

名前を聞いた優が皆を指さしながら。

 

「えっと、蘭さん、巴さん、つぐみさん、モカさん、」

 

そして、ひまりの方を指す。ひまりが呼ばれるのを今か今かと待ち侘びているのが伝わる。

 

「…………上原さん。」

 

「何でアタシだけ苗字呼び!?」

 

「いや、何となく上原さんは、一旦不遇扱いをされなきゃいけないと思って。」

 

『『『『この子、意外とノリ良いな。』』』』

 

恐らく、ひまりを除く皆の心の声はこうなっていると思う。

 

「何でアタシだけ〜〜!!」

 

「ごめんなさい、冗談です。ひまりお姉ちゃん。」

 

さらりと放った優の一言にひまりは顔を緩ませる。

 

「ふふ、わかれば良い。わかれば。」

 

頭を撫でながら、機嫌良くそう言った。

 

「何でお姉ちゃん呼び?」

 

蘭がごもっともな質問をぶつける。

 

「いや〜だって、アタシ上しかいないから下の子からお姉ちゃんって呼ばれてみたかったんだー。」

 

確かに、ひまりには姉が1人いる。幼馴染で唯一年下のあこもひまりのことはひーちゃんと呼ぶ。

 

兄弟の末っ子というのは、弟や妹が欲しいものなのだろうか?

 

アタシは見ての通り妹しかいないので、あまりわからない。

 

「ひいちゃんにお姉ちゃんが出来るの~?」

 

「出来るもん! ねぇ皆?」

 

ひまりがアタシたちの方を見るが。

 

いや、知らないって。

 

全員どこかしら遠い方を向いている。

 

「なんで~!!あ、優君!!優君はどう思う?」

 

優へ助け舟を出すが。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「黙らないでよ!!」

 

「いや、ほぼ初対面の相手に聞くことじゃないでしょ。」

 

蘭の鋭いツッコミが光る。

 

そんなやり取りがしばらく続いた。

 

そして。

 

「すいません、そろそろ家に帰らないと母さんが心配するんで。」

 

そう言って、優はトコトコと歩き出そうとするので。

 

「待て待て!流石に送ってくよ。この時間帯に小学生一人は危ないし。」

 

アタシは優を急いで引き留める。

 

当の本人は、申し訳ないという表情を浮かべている。

 

「いや、でも・・・・・」

 

躊躇っている優を見て、蘭は。

 

「・・・もうっ!ほら!」

 

強引に優の手を引いて歩き始める。

 

アタシ達も慌てて、追い始める。

 

「この時間は危ないって言ってんの。変な意地はらないで、もし何かあったらアタシ達が気分悪いんだから。」

 

「・・・お姉ちゃ・・。」

 

「あと、アタシはアンタのお姉ちゃんじゃない!! どれくらい似てるか知らないけど、アタシは美竹 蘭だから!!!わかった!?」

 

「・・・はい!蘭さん!」

 

一見厳しいそうに言ってるが、これは蘭なりの心配の様なものだろう。

 

まったく、不器用だな・・。

 

アタシ達は後ろからその姿を見て苦笑する。

 

その後、無事優を送り届けた。

 

どうやら優の家はマンションらしく、エントランスまで送り届けるとアタシたちはそれぞれの帰路に向かっていた。

 

別れ際に優とは連絡先を交換した。

 

その時の優は嬉しそうだったが、同時何かを憂う様な感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時は気にも留めなかったが、もしかしたらあの時の優には何かしらの悩みがあったのかもしれない。

 

それは、恐らく()()()の出来事に繋がることでもあった。

 

 

 

 

 

 

                  ●

 

アタシは、一通り話し終えると一旦一息吐く。

 

「・・・・そんなことがあったんですか。その節は優君がお世話になりました。」

 

紗夜さんは、ひどく感謝した様子で頭を下げる。

 

「いえいえ、アタシ達も偶々だったんですから。そんな大層なことは。」

 

アタシはこそばゆくなって、遠慮がちに喋ってしまう。

 

しかし、その話を聞いていた友希那先輩は険しい顔つきである。

 

「どうしたの?友希那、そんな顔をして?」

 

「いえ、とりあえず優とAfter growの関係性はわかったわ。でも、どうしてあんな状況に。」

 

「優君と・・・・・After growの皆さん・・・・確執が・・・どう生まれたが・・・気になるんですよね?・・・」

 

「確かに、今の話だけだとお姉ちゃんと優が仲悪くなる感じはしないなー。」

 

「大丈夫だよ、あこ。これからその話もする。というか、これが一番重要だな。」

 

アタシは、もう一呼吸入れ、再び話を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

                   ●

 

 

 

 

 

あれからもアタシ達の交流は続いていた。

 

いつもの5人に優を交えて、遊んだり、話をしたり、夕日を見たりだ。

 

楽しかった。もちろん、5人で居るの飽きていたわけじゃない。

 

でも、あいつと一緒なのはアタシ達にとって物凄く新鮮だったんだ。

 

男の子と居た経験が無かったってのもあったのかもしれないな。

 

そして、ほぼ2年が過ぎた。

 

その日は、蘭の誕生日だった。

 

アタシ達は、誕生日会をするために蘭の家に集まってた。

 

蘭の誕生日には、優の来る予定だったんだが。

 

 

 

 

 

 

「優君、遅いね。」

 

つぐみが不安そうに呟く。

 

アタシは何とかこの雰囲気を和ませようと。

 

「アイツ、朝弱いから寝坊したんじゃないか?」

 

「でも、優君が集合に遅れることある~?しかも、蘭の誕生日にさ~。」

 

モカの言う通りだ。

 

優は朝弱いことはあっても、時間に遅れてきたことは一度も無かった。

 

その時のアタシ達は不安げながらも優にもそういう時があると思って待っていた。

 

※数時間後

 

外で雨が強まり、雷が鳴るのが聞こえる。

 

家の窓がガタガタと揺れている。

 

「ねぇ、いくらなんでも遅すぎない!?」

 

ひまりが痺れを切らして、叫ぶ。

 

その言葉にアタシも口が重くなる。

 

「・・・・確かに、遅刻の限度は超えてる。」

 

「・・・・あたし探しに!!」

 

「待て、蘭!! 探しに行くって・・・こんな天気中どうやって。」

 

すると。

 

ピンポーン。

 

玄関のチャイムが鳴った。

 

その音を聞いた蘭が一目散に玄関に向かう。

 

アタシ達もそれを追って走り出す。

 

宅配かもしれないに、なんでこんなに必死なんだ!?

 

自分でも訳が分からないまま、蘭の後を追う。

 

玄関の戸口を蘭が勢いよく開け。

 

「優!!!」

 

「・・・・・・っ!!!」

 

そこには優が居た。

 

この雨の中、傘もささずにやってきたのか、全身びしょ濡れである。

 

一瞬、呆気に取られたがすぐに意識を戻す。

 

「おい、優・・・・お前何があったんだ!? そんなに濡れて・・!!」

 

「アタシ、タオル取って・・・・」

 

中に戻ろうしたひまりを優が腕を掴み、引き留める。

 

「・・・・・いいですよ・・・・・。用が終わったらすぐ帰りますんで・・・・。」

 

優の顔は髪に隠れて見えない。ただ、彼の声色から少なくともあまり良い状態でないことは察せられる。

 

ひまりは腕を振り切って戻ろうとしたが、優は一層握る力を強める。

 

「優君・・・痛いよ・・。」

 

小柄な優からは想像がつかない強さだ。

 

しかし、優の腕はモカによってひまりから外される。

 

その際、かなりの威力で手を払ったせいか、鋭い音が辺りに響く。

 

「ちょいと、お痛が過ぎるんじゃないかな~?」

 

のっそりとした声だが、その中身には困惑と怒りが籠っている。

 

「・・・・・まぁいいです。」

 

冷笑を取った様な優の態度が、頭にきた。

 

こいつは・・・・・!!!

 

「お前、誕生日会に遅れてきたと思ったら、その態度は何だ!!!!!しかも、用が済んだら帰るだと・・・!! 蘭がどれだけお前が来るのを楽しみにしてたと思ってる!!!」

 

アタシの怒声が玄関から外にかけて、響き渡る。

 

近所に聞こえているかもしれないが、この時のアタシにそこまでの判断能力は無い。

 

「・・・・・・・・そんなのどうだっていいだろ・・・・。」

 

優が吐き捨てるように言った。

 

今、こいつ・・・・なんて言った?

 

どうだっていい?

 

アタシが喋るより前に優が口を開く。

 

「今日・・・僕が来た理由は一つです・・・・。」

 

その言葉を聞いて、アタシは一旦己を落ち着かせる。

 

「・・・・・・もう皆には金輪際、会うつもりは無いということを伝えに来ました。」

 

全員がその言葉に息を飲んだ。

 

言いたいことがあるはずなのに何も出ない。

 

いや、出せない。

 

「・・・・以上です。それでは・・・・・・。」

 

優が雨の中に歩き始める。

 

止めなければ、あいつはあのまま消えてしまう。

 

そんな予感がした。

 

何とか引き留めようと、蘭が叫ぶ。

 

「待って!!! 」

 

優が一瞬だけ歩みを止める。

 

「何です?僕としてはもうここに居たくないんですけど・・・・。」

 

「なんで・・・・アンタ言ってたじゃん・・・アタシ達に会えて良かったって・・・。アタシ達のことが大切だって!!大好きだって!!」

 

優は静かに冷徹に告げる。

 

「あんなの嘘ですよ。真に受けるなんて皆・・・・バカだろ・・・・。」

 

「・・・・っつ!!!!」

 

そう言って、優は霧の中に消えていった。

 

アタシ達はただ茫然と立ち尽くすことしかできない。

 

蘭は膝から崩れ落ち、声にならない涙声を上げている。

 

嗚咽をかみ殺した泣き声だけが、存在している。

 

「・・・蘭・・・。」

 

モカが蘭に寄り添い、一言だけ呟いた。

 

声色は心配の色で染まりきっている。

 

そんな中、つぐがハッとした様子で。

 

「このままじゃ、危ないよ!! 優君、一人だよ!」

 

優の後を追おうとしたつぐを蘭が止める。

 

「いいよ、つぐみ。」

 

「でも・・・・」

 

「あんな奴のことなんていいよ!!!!!」

 

蘭と過ごしてきたもう10年近くなるが、ここまで怒っている蘭は初めて見た。

 

「あいつ、アタシ達と過ごしてる時、ずっと頭の中では馬鹿にしてたんだよ!!!そんな、奴のことなんて・・・・ことなんて・・!!」

 

怒りと悲しみがごちゃ混ぜになった叫びがアタシ達の耳を貫く。

 

「・・・・大嫌い・・・。」

 

それがその日で最後に覚えてる蘭の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    ●

 

 

 

「以上です。どうでした・・・何かヒントになるようなことは?」

 

アタシはRoseliaの皆に尋ねるが、全員微妙な顔をしていた。

 

いや、正確には違う。

 

優がそのような言葉を吐いたことに対して、全員が驚嘆していたのだ。

 

「優が怒った時、少し口が悪くなることはあっても、そこまでになったことは今までなかったのに・・・・そんな・・・。」

 

「あこもそう思う。だって優はいつもあこ達のことを大事にしてたよ。」

 

「・・・・でも・・・・・・・その時は・・・・違った・・・。」

 

まぁ、あいつのことを知っている人間ほど、こういう反応を示すだろう。

 

実際、アタシだって未だに信じられない。

 

その時、ずっと黙っていた紗夜さんが口を開いた。

 

「・・・・実は、私もその1日前に似たような状況になりまして。」

 

「え・・!」

 

アタシは驚きの声を上げた

 

そして、いつの間にか全員が紗夜さんの方を向いていた。

 

しかし、思い当たる節が無いわけではない。

 

昔、優から聞いたことがある。

 

自分のことを弟のように可愛がる・・・というより、自分の自称姉を名乗ってる双子が居ると。

 

それが、紗夜さんと日菜さんのことだったのだろう。

 

「私の場合も似たような言葉を掛けられて、それ以降。しかも、どれだけ話に行っても、無視したり、私と学校に行くタイミングが被らないように早く出ていく徹底っぷりでした。」

 

紗夜さんの場合は部屋が隣と言っていたし、それが原因だろうな。しかも、余程会いたくなかったらしい。

 

アタシ達の場合は、蘭の気持ちもあってか、優の家に近づくことはなかったし、何よりそんな頻繁に出入りしたわけではないので、道もうろ覚えだった。

 

「それにしても引っ掛かるわね。」

 

友希那さんが不満げに呟く。

 

「何がですか?」

 

とアタシが答える。

 

「いや、どうしてそこまでして人との関わりを断とうとしたのかが、気になるの。」

 

「そう言われても・・・・アタシ達もそれが分からないから苦労してるんです。」

 

「私の知っている優は、大切な人との関わりを失うのをとても恐れている印象があるの。」

 

そう言って、友希那さんはRoseliaの解散騒動の時について話してくれた。

 

「なるほど・・・・確かにその時のことを考えると、あの日の優は何か不自然だったような・・・。」

 

大切な人を失うが怖いと言った少年が、わざわざ自分から壊しに行くとは考えずらい。

 

ならば、あの日またはあの日の直近にあいつにああ言わせる様になった何かがあった。

 

そう考えるのが妥当だろう。

 

「しかし、これ以上は本人から聞かないとわかりませんね。」と紗夜さんが。

 

「それが一番難しいよねー・・・。」

 

リサさんは諦めの表情をして答える。

 

「でも、宇田川さんのおかげで新しい手掛かりは得られた。今日はそれだけでも十分でしょう。」

 

友希那さんがそう言った後、アタシ達は会計を済ませ、店を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アタシ達はその理由を意外な形で知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

皆さんどうもtora酸です!!

前回に引き続き、シリアスな話になってしまいました。

何より、蘭さんの口が少し悪くなってしまっている様な気もします。

それについては蘭さん推しの方々にはお詫び申し上げます。

しかし、ご安心を。

次回はある程度ギャグを挟みますので、今回よりはましだと思います。

まぁ・・何がマシだという話ではありますが・・・。

それでは・・・。

‘After growとの合同練習から2日後、Roseliaの次の合同練習の相手はハローハッピーワールド。

これまでに会ったことのない、一癖も二癖もあるハロハピの面々に優たちはどう対応するのか!?‘




                  次回!!!

                 「笑顔を君に」




お楽しみにー!!



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