BanG Dream!! ~rose of shadow~ 作:tora酸
Roseliaのライブ当日の朝。
zzzzz。
自室で寝ている少年に一つの影が迫る。
その影は部屋に入ると、中の備品などを壊さぬようゆっくり動き。
ベットの少年の前に立つ。
そして、布団に手をかけ、
「今日はライブですよ!!いつまで、寝てるんですか!」
そう叫び、布団を引っ剥がす。
「ぎゃあああ!!!なに!?なに!?」
少年は寝ぼけているようで、起きた状況を理解できていない。
「たぶん、まだ寝てるだろうと思って起こしにきました。」
「なんだ、紗夜さんか。なら、もう一眠り。」
「寝ないでくださいぃ!起きるんです!!」
う〜ん、しかたいないなー。
僕はある程度意識がはっきりしてきたので、体を起こす。
余裕が出来るよう目覚ましセットしてるのに余計なことして。
なんで、今でも過保護気味なんだよこの人。
「あなた1人だと危なっかしいので。」
「遠回しのぼくの心を読まないでください。」
「あなたの考えていることなんて、お見通しですよ。」
「仕方ない、わかりましたすぐ支度するんで、待っててください。」
「ちなみに家には鍵を掛けてたはずなんですけど。」
「私、合鍵持ってるので。」
ジャラッと紗夜さんは鍵を取り出す。
「なんで持ってるんですか!?」
「まりなさんから貰いました。」
母さん、なんで渡してんの!?
もしかして、僕のプライベート保証されてない?
そんなことを思いつつ、ギター諸々の準備をする。
そうして、紗夜さんと合流し、
「それでは、行きましょうか。」
と言いつつ、さりげなく僕の手を引っ張る。
「だから、手を繋がなくとも行けますって。」
「あなた前から、こうしてなかったらすぐ迷子になるじゃない。」
「うっ………」
正論パンチに僕を反撃の意思を失う。
ちなみに何故、紗夜さんが僕を起せたのかというと。
僕と紗夜さんは同じのマンションのお隣さんである。
それが理由だ。仲に関してはあまり言及したくない。
「にしても、僕の扱い雑じゃありません?!」
僕色々考えてる間紗夜さんは
僕を引きずってる様な状態で連れて行っている。
「あなたがボーッとしてるからです。」
「わかりましたから、引きずるのやめてください。」
そんなやりとりをしながら僕たちはサークルに向かった。
時間よりかはかなり早く到着した。
到着した後、二人で楽屋へ向かう。
あまりに早かったのでスタッフさんには申し訳なかった。
「紗夜さん…まだ30分前なんですけど……。」
「遅刻するよりはましです。」
この人、真面目だから時間にも厳しいんだよな。
はてはて、どう暇を潰すか。
不思議なことに、ライブに対して存外緊張などはしていなかった。
「紗夜さん、ライブまでどうします?」
「それぞれ、暇つぶしということで。」
丸投げかい。
仕方ないので、僕は時間がくるまで、サークルの手伝いをすることにした。
そこから、15分ほど経ち、
「早いわね。」
友希那さんが、やってきた。
「僕は、もうすこしゆっくりしてたかったんですけどね。」
「あなた大体目覚まし寝過ごすじゃない。」
それは・・・、そうだが。
またもや、正論パンチを喰らう。
「時間にルーズよりかはマシね。」
「友希那さんも同じようなこと言わないでください。」
さらに、数十分後。
「今井さん達、1分30秒の遅刻です。」
「ごめん、ごめん。さっき3人で頑張ろーってしてんだよね。」
「馴れ合いを持ち込まないで、感情の整理は個人で済ませて頂戴。」
「二人とも少し言い過ぎです。」
ストイックなのは言いことだが、そこまで言うのは違うだろう。
「・・・・っ。」
友希那さんから少し睨みつけられたが、怯むつもりはない。
「まぁ、まぁ、遅れた私達が悪いわけだし。」
「すいません。友希那さん遅れた分今日しっかり頑張りますので。」
「わ、私もやって・・・みせます。」
「実力は言葉でなく、音で証明してください。」
紗夜さんが素っ気なく言い切る。
紗夜さんの言い方には少しイラつくが、
この二人はそうした方が手っ取り早いだろう。
「そろそろ時間ですね。」
「そうね。」
時間が迫り、それぞれ気を構える。
私がRoseliaの中では一番実力不足。それでも、
友希那の隣に立てるようやり切って見せる。
リサは、不安を覚えつつも、親友と一緒にいるため覚悟を決める。
初めてのライブ。あこのかっこいいドラムをみんなに見せてやるんだ!!
あこは緊張しつつも、自分の意思を固める。
人がたくさんいる場所は苦手だけど、あこちゃんが作ってくれた機会
活かして見せる。
燐子は、これが自分を変える為の機会だと信じ、決意する。
これが、私の第一歩のライブ。
あの子に負けないためにも必ず・・・・。
紗夜は、今までの練習を振り返りつつ、確固たる自信を持ち進む。
これは、所詮まだスタートラインにすら立っている状態ではない。
でも、この場でこそ全員の本当の実力が試される。
友希那は、余裕そうな顔持ちをするが、その目は強い覚悟で満ちている。
ライブ・・・か。
まさか、こんな形でやることになるとは。
何が起きるかわかりませんね、先生。
優は、ライブという単語から、昔の思い出を思い出すが、それに伴う悲しみ、迷いが発生する。
しかし、なんとかその思いを振り払い。強い意志を固める。
「全員、準備はいいかしら。」
「無論です。」
「・・・任せて。」
「我が超絶テクを見せてくれる。」
「・・・・はい。」
「行きましょう、みなさん。」
全員、ステージに向かい歩き出す。
ステージに着くと、全員は自分たちの位置につく。
優は、1曲目ではベースを持ち、リサの隣に立つ。
キャアー!!!と観客の歓声が鳴り響く。
その中には、歌姫友希那がバンドを組んだと聞いて、集まっている。音楽関係者もいた。
友希那さんがマイクに向かって、言葉を放つ。
「早速だけど、行くわよ。」
そう放ち、演奏を始める。
始まった瞬間、観客の歓声がさらに強くなる。
そうしたまま、1曲2曲ともに順調に演奏が進んで行く。
演奏の中で、僕は何とも言えない充実感に満たされていた。
全員と一体になって、一人では起こせない何かが起きている。
何故か、そう思えた。
そして、最後の曲になった。
僕は、この曲だと、サブギターなのでベースを置き、
ギターの方へ移動する。
ギターを持ち、立ったところで、
「これで、最後の曲です。聞いてくださいBLACK SHOUT」
友希那さんが、言ってすぐに音が流れる。
そうして、歌い始める。
僕は、全員の実力を最大限引き出せるようなフレーズを合間合間に叩き込む。
演奏の途中、紗夜さんと背中合わせをしながら、二人で弾く。
合わせている間、僕は強い安心感に包まれた。
この暖かい感じ、2年前を思い出す。
それは、僕が1番欲していたもの、しかし僕自身が自ら突き放したものだ。
紗夜さん、もっと早くあなたとこうしたかった。
でも、僕にそれは許されない。
疫病神の僕は、影として生きていくことしか許されないのだ。
それでも、たったこの瞬間だけは!!
僕は、さらに気合いをいれ、全員のカバーの正確性を上げていく。
これが、バンド。これが、ライブ。
楽しい。楽しい。楽しい!!
自分が興奮していることがわかる。
血流が脈を打って、心臓が高鳴っている。
ただただこの時が永遠に続けばいいのに。
しかし、現実は残酷で、演奏は終焉を迎え、観客からの感動の声が聞こえてくる。
僕たちは、楽器などを元に戻し、楽屋に戻っていく。
ライブは大成功と言えるだろう。
ライブの終了後リサさんの提案で、ファミレスで反省会を行うことになった。
個人的には、紗夜さんと友希那さんが来たのが意外だった。
「「・・・・。」」
「アハハッ!あこ、もう一回やって!」
「この・・・闇のドラムスティックから・・何かが・・アレして、我がドラムを叩きし時、魔界への扉が開かれる!!出でよ!BLACK SHOUT!」
いや、どんな状況ですかそれ。
絶妙に大事なとこが説明できてないし!!
これ、友希那さん怒らない!?
「・・・・。」
すごーく微妙そうな顔をしている。
この人、絶対こういうの笑うタイプじゃないしな。
「ほーら、二人も初ライブ記念なんだし、話さないと。」
リサさんが笑いつつ、紗夜さんと友希那さんに言う。
「湊さんが、このような場所に来るとは意外でした。
私は、このような得体の知れない添加物系のメニューはたべるつもりはありませんので。」
おい。どの口が言う。
散々、ポテトポテト言ってた人間のセリフとは思えんな。
紗夜さんが意識高い系的な発言をするが、僕からしてみれば、ポテト狂いがなんか言ってらーとしか思わない。
「このようなも・の・は!」
こちらを見て、もう一度言う。
「楽器を弾くとお腹が空くんです~。」
そう言いながら、僕は、ポテト(2人前ほど)の3皿目を完食する。
「食べすぎです。将来、生活習慣病にでも掛かったらどうするんですか。」
「その時は、一人で死にます。」
「気軽に言わないでください。」
一人で死のうとしているは事実だが。
「紗夜、優馴れ合いは他所でやってちょうだい。今わたしがやりたいのは音楽の話だけよ。」
「すいません。」
「なんで、私まで。」
今のを馴れ合いと捉えられたせいか、紗夜さんは不機嫌気味になる。
「しかし、今日のライブについてですが、とりあえず、良かったと思います。
今井さんも更にうまくなっていましたし。」
「・・・あっ・ありがとう・。」
「確かに、この短期間の練習で、4人とも十分なほど、レベルが上がっているわ。」
「これなら、あのことも言って大丈夫じゃないでしょうか。」
「そうね。」
あのこと?
何だろう。この二人、僕らに黙って色々進めすぎでは?
でも、二人の覚悟の強さを考えると妥当とも考えられる。
「Future World Fesへの出場権をつかむために、次のコンテストで上位3位以内に入ること。
その為に、全員には極限までレベルを上げてもらう。」
「練習についてはメールで送るわ、音楽以外に時間はないと思って。
ついてこれなくなった人には、その時点で抜けてもらう。」
なるほど。
Future World Fesの出場権を手に入れるのは
かなり狭き門と昔聞いたことがあったけど、これは中々みたいだ。
でも、それが必要ならやってみせる。みんなと一緒に行くためなら。
ただ、一つ心配があるとしたら、誰かが倒れたりしないかどうかだ。
たぶんだけど、こんなこと言われたらみんな焦るだろう。
特にリサさんは自分の実力がかなりコンプレックスだということが普段の彼女の言動からわかる。
僕も気を張ってないと。
メンバー1人1人を一番見ているのはリサさんだ。
もし、彼女が倒れでもしたら・・。
そんなことはさせない。
もう大切な人がいなくなるのは嫌だ。
僕は、2つの覚悟を決める。
「あなた達に再度問うわ。Roseliaに全てを賭ける覚悟はある?」
「・・うん。」
「もちろんです!」
「・・・はい。」
「あります。」
僕たち4人が問いに答え、反省会を終了した。
会計の時、あまりの値段(ほぼ僕が食べた)に僕以外の5人は青ざめていたが、
自分の分はちゃんと払ったので問題なし。
いやー久しぶりの外食にリミッターが外れてしまった。
その後、個々で解散した。
僕は、家の関係上と外が暗かったのもあり、紗夜さんといっしょに帰ることになった。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
僕たちの間に気まずい雰囲気が流れる。
気まずすぎる、そもそも僕が一方的に関係を切っていたこともあり余計気まずい。
「あ・・あの。」
「な、なんですか。」
紗夜さんが先に口を開く。
「ライブの時、あなたと背中を合わせましたよね。」
「そ、そうですね・・。」
「あの時、今までギターをしてきた中で一番楽しいと感じたんです。」
「紗夜さんもでしたか。」
「その言い草的に、月島さんも?」
「はい、とても。そして、もっと早く紗夜さんとこうやって演奏したかったとも思いました。」
「優君・・・。」
彼女の言葉が昔と同じに戻る。
その呼び名に少し涙が出そうになる。
あの楽しかった日々には、もう戻れないのかな・・・。
僕は、あの日からたくさんの人たちとの関係を自分で断ち切ってしまった。
皆から、不満を持たれていてもおかしくない。いや、持たれているだろう。
それでも、僕はこれを突き通すしかない。
大切な人の幸せのために。
まだ僕に残っている者たちのために。
「すいません、話過ぎました。」
「いえ、あなたの本音の一つを聞けたので十分です。」
「フッ、これが本音かはわかりませんよ。」
「わかりますよ。あなたの考えはお見通しですから。」
まったく、この人には敵わないな。
「やっぱり、‘紗夜姉‘には敵わないな。」
気が緩み、つい昔の様に読んでしまう。
「いま、紗夜姉って。」
「あ~、空耳ですよ。空耳。」
「今絶対言いました!」
こうなると、なんかめんどくさくなりそうだ。
また言うように、求められるかもしれない。
そんなことになったら、僕の決意が揺らいでしまう。
一人でいるのが、こわくなってしまう。
なんとか、話をずらそうと、あの人について聞く。
「ひ・・日菜さんとはどうしてます?」
「・・・。」
急に紗夜さんが黙る。その顔には強い憎しみがこもっている。
「すいません、家までもうすぐですし、先に行かせてもらいます。」
不機嫌な声色で、そう言い歩く速度を上げて先に行ってしまう。
「紗夜姉・・・・。」
僕は、自分があの人の地雷を踏みぬいてしまったということを後悔する。
でも、日菜姉と何があったんだ。
僕が、知らないあの1年間の間に何かが起きたのか。
それとも、初めて会った時から?
疑問が深まっていく。
その日の夜、僕はあまりよく眠れなかった。
ーー紗夜視点
”紗夜姉”彼から放たれた一言は私に二つの感情を思い起こさせた。
一つは彼と過ごした日々のこと。あの頃は楽しかった。
彼といるときは、あの子への劣等感も怒りも忘れられた。
無論、3人でいるときもだ。
でも、そんな日常は長くはなかった。
ある日、彼から『もう、紗夜姉達とは会うつもりは無い。』と告げられた。
もちろん、そんなことに納得できるわけもなく、訳を聞いた。
しかし、彼は何も言わずに去った。
心配になって見に行っても無視された。
それから徐々に関わりが薄れていき、結局私たちはまったく関わらなくなった。
もう一つは姉という単語から連想してしまったあの子への強い憎しみ。
極めつけには、日菜のことを話してきたので、つい頭に来てしまった。
彼は何も悪くないというのに。
見せたくなかった感情を見せてしまった。
あの子、優君は私の・・日菜へのを感情知った時どう思うだろうか?
軽蔑するのか、それとも憐れむのか・・・。
私たちの歯車はいつから狂っていたのだろうか。
もしかしたら、最初から?
いや・・、こんなことで悩んでいる暇なんて私にはない。
FWSに出るためにも帰ってもっと練習しなければ。
頭のよぎった不安を振り払い、私は家に戻っていった。
ーーー
次回予告
みなさん、こんっ!!にち!わーー!
月島まりなです!! 今回錦鯉風に挨拶してみました。
わかったかな?
今回で、みなさん理解したと思います・・・・。
優の食欲の恐ろしさを!!
いつもかなりの量食べるから、食費で我が家はすっからかんよ!!
おっと、主婦の愚痴はここまでにして。
それでは、
”初ライブ後、RoseliaのメンバーはFWSのため、さらに練習をハードにしていく。
ある時、紗夜はあこのある言葉から、ある人物への感情を爆発させてしまう。
彼女の本音を聞き、優は彼女に対して最悪な選択をしてしまう”
次回!!!
「狂い始めた歯車」