BanG Dream!! ~rose of shadow~   作:tora酸

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投稿遅くなりました。

12月は、余裕ができたのでしっかり上げていきたいと思います。


それでは、どうぞ!!


第五話 壊レた影

 

真っ暗な部屋に一人少年が佇んでいる。

 

少年の周りは恐ろしいほど、静寂に包まれている。

 

少年は眠れないのか、ひたすらパソコンを触っている。

 

その顔は、疲労と虚無に満ちている。

 

辛い現実から逃げるかのようにひたすらパソコンで作業をする。

 

ピピッピピッ。

 

鳥のさえずりが聞こえる。

 

「もう・・・朝になったのか・・・」

 

僕は、カーテンを開ける。

 

「眩しっ。」

 

日光を浴びる。でも今の僕にとってはこのような光でさえ煩わしく、苦痛に感じる。

 

「学校に行く準備しないと・・・・。」

 

僕は、フラフラになりながら荷物を用意していく。

 

荷物を準備し終わり、リビングでゆっくりしていると。

 

「優・・・また寝らずに起きてたのね・。」

 

母さんが起きてくる。その顔を心配の表情を浮かべている。

 

「母さんには関係ないでしょ。ほっといて。」

 

僕は母の心配を突っぱねてしまう。

 

いつもなら、こんなこと言わないのに・・・

 

ここ数日、疲労と罪悪感で自分がまともな判断をできなくなっていることがわかる。

 

「ほっとくわけないでしょ。私はあなたのお母さんなんだから。」

 

「っ・・・・。」

 

母さんはこんなこと言う僕は、そっと抱きしめる。

 

数週間前までは、感じられた温かさが感じられない。

 

どうやら、僕は本気でおかしくなっているらしい。

 

ハハハハハハハハハハ・・・。

 

ごめんなさい、母さん。

 

あなたの、息子は・・・・もう。

 

「ありがと、母さん。少し楽になったよ。」

 

僕は、母さんに向かって笑みを浮かべる。

 

「そう、じゃあご飯やら食べたりしたら、もう行くの?」

 

「うん。早めの登校と思えば。」

 

そう言うと、僕は朝ごはんや着替えを済ませ。

 

学校に出発する。

 

「行ってきます。」

 

「いってらっしゃい。」

 

僕が、扉を閉めおえる直前、母さんが小さい声で何か呟く。

 

「・・・・・・ばか。」

 

その言葉の正体を僕が知ることはないだろう。

 

 

 

 

学校では、眠すぎて授業のほとんどを睡眠で過ごした。

 

先生もここ最近の僕の様子を見て、流石におかしいと思ったのか。

 

昼休みに呼び出されたが僕は、なんとか白を切りとおした。

 

誰にも、迷惑はかけたくないし。

 

これでいいんだ・・・・

 

放課後、僕は、いつも通り足早にサークルに向かう。

 

でも、今日は少しサークルへ向かう足が重く感じた。

 

これから先、ずっとこのまま進んで行ってしまうのではないかと。

 

もう、紗夜さんとは仲良くできないのではないのかと・・・。

 

そのような思いを持ちながら、僕はサークルに到着した。

 

誰かもう来ているのかと確認すると。

 

「月島さん、珍しく早いじゃない。」

 

「そう・・・・ですね・。」

 

僕は、まともに紗夜さんの顔を見ることができない。

 

よりにもよって、最初にいたのがこの人なのか。

 

リサさんやあこさんもしくは燐子さんがいてくれたら・・・

 

僕が考えていると、ある違和感に気づく。

 

あれ?友希那さん、こんな時間なのにまだ来てないのか。

 

彼女なら、もう来ていてもおかしくないのだが。

 

「やっほー☆。あれ?友希那がいないなんて珍しいね。」

 

すると、リサさんがやってきた。

 

友希那さんは一緒ではないらしい。

 

「リサさんは一緒じゃないんですか?」

 

「うん。行きも会わなかったし。」

 

友希那さんでも、遅れることはあるだろう。

 

来るまで、ゆっくり待つとしよう。

 

 

 

 

 

 

※数十分後

 

 

 

 

 

遅い。

 

もう、集合時間を過ぎている。

 

いつも真っ先に来ている友希那さんが集合に遅れるなんてありえない。

 

もしかしたら、何か事故にでも巻き込まれているのでは。

 

そんなことなら、僕はもう自分を保てないだろう。

 

また、大切な人を失ったら・・・・。

 

僕の体が小刻みに震える。

 

呼吸が荒くなる。

 

涙が出てくる。

 

まさかまさかまさかまさか。

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

 

僕の頭が、ネガティブな言葉で埋め尽くされる。

 

「優、大丈夫・・・?」

 

リサさんが心配そうに尋ねるが僕の耳には入らない。

 

アハッ、アハハハハ・・・・。

 

「優!」

 

リサさんが僕を抱きしめる。

 

「落ち着いて・・・。友希那のこと心配してるんでしょ?

大丈夫。友希那は絶対来るから。」

 

リサさんの言葉で、僕は落ち着きをとり戻す。

 

「すいません、取り乱しすぎました。」

 

「ダイジョーブ♪ 友希那のことこんなに心配してくれてるんだから。攻めるつもりはないよ。」

 

「・・・・・」

 

紗夜さんも心配しているような顔でこちらを見る。しかし、自分では止められないと思ったのか。

 

ただ立ち尽くしていた。

 

そうしていると、

 

「ごめんなさい、遅れたわ。」

 

「湊さん、15分の遅刻です。FESのコンテストもあるんですから、しっかりしてください。」

 

「ごもっともよ。」

 

「あこと燐子はまだ来てないの?」

 

「私は見てないわ。」

 

友希那さんが遅れてやってきた。

 

彼女が無事なことに安堵しつつ、次はあこさんと燐子さんへの心配が積もる。

 

「あの二人なにをやってるのかしら。」

 

僕は、彼女への心配が強かったせいで、いつもなら絶対に見逃すはずのない変化を見逃していた。

 

彼女が入ってくる際、迷っているような顔をしていたことに僕は気づけなかった。

 

 

 

 

 

※更に15分後

 

 

あこさんと燐子さんがやってきた。

 

2人の顔は、少し沈んでいるように見える。

 

何か知ってはいけないことを知ってしまった様な顔だ。

 

「遅い、30分の遅刻よ。」

 

「友希那も15分遅刻だけどね〜。」

 

「いいから早くして。ロスした分を取り戻さないと…」

 

「「………!」」

 

何故か、2人が驚いている。

 

どうかしたのか?

 

それとも……来る途中で何か…

 

「なーに辛気臭い顔してんの、2人とも。

紗夜センセーが怒るなんていつものことじゃーん⭐︎」

 

「もしかして…どこか、悪いとか……」

 

「コンテストも刻一刻と近づいているんですから。しっかりしてください。」

 

「……りんりん」

 

「………あこちゃん…」

 

この2人何か…隠してる。

 

わかる。いつもの2人より動きがぎこちない。

 

僕らに言えないようなことを隠しているのかもしれない。

 

じゃなきゃ、ここまで変化が現れることは珍しい。

 

「「………」」

 

2人は黙りこくったままだ。

 

「あこ、燐子。早くして。」

 

痺れを切らした友希那さんが囃し立てる。

 

「ほんとに、どうしちゃったの?2人とも。」

 

「宇多川さん、やる気がないなら今すぐ……」

 

「あ……あの……っ。」

 

ずっと黙っていたあこさんが口を開く。

 

「………あこちゃん…!」

 

「ごめん、りんりん。 あこ……見ちゃったんです。」

 

「何をですか?」

 

「友希那さんが……

スーツの女の人と、ホテルで……話してて…」

 

遅れた原因はそれか。

 

でも、それがどうかしたのか?

 

友希那さんは音楽関係者からも一目置かれている。

 

雑誌の取材とかそこらへんだろう。

 

そうだ、絶対そうだ……

 

「!!」

 

一瞬友希那の顔が揺らいだ気がするが気の所為だろう。

 

「それがどうしたの。湊さんにもプライベートはあるでしょう。」

 

「あこちゃん、今は練習を……」

 

「でも…!あこ、気になるんだもん!」

 

「あこだって、この6人でコンテストに出るために……自分だけのカッコいいのために頑張ってきたんだし。」

 

あこさんから、不吉な言葉が放たれている。

 

な、なんなんだ!?

 

「どういうこと?」

 

「今日りんりんと待ち合わせてたら…そこで。」

 

そうすると、あこさんが事の経緯を話し始めた。

 

2人で友希那さんの後をつけたこと。

 

ホテルで聞いた。友希那さんが僕たちを捨てて、フェスに出ようとしていること。

 

「宇多川さんの言い分はわかったわ。湊さん相違はないわね?」

 

「……」

 

頼む、否定してくれ。

 

'何を言ってるの?断ったに決まってる'って………

 

お願いだから…

 

否定してくれ。

 

僕が僕たちが道具じゃないって………

 

「……………」

 

「否定しないのね……」

 

「ちょ、ちょっと待って!友希那の言い分も聞いてあげないと。」

 

リサさんが友希那さんの方を向くが、何も言わない。

 

「そんな………」

 

友希那さんは否定しない。

 

それは限りなく、今の話が真実ということだ。

 

パリン!っと僕の何が壊れる音がした。

 

既にひび割れていたものに、更に傷がつき壊れてしまった。

 

嘘だ……

 

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…嘘だ!

 

友希那さんがそんなことするわけない!!

 

だって……友希那さんは………

 

『あこ、燐子。リサ、優。あなたたちのレベルも確実に上がった。』

 

『4人とも、Roseliaに全てをかける覚悟はある?』

 

そう言ってくれたんだ。

 

だから!

 

「あこたちの………」

 

「嘘ですよね!!!」

 

あこさんの言葉を遮り、僕は叫ぶ。

 

「友希那さんはそんなことしませんよね!?

僕たちを裏切ったりしませんよね!?」

 

「きっとさっきの話もあこさん達の聞き間違えですよね!?

だから、否定してよ……違うって!!否定してよ!!」

 

僕は友希那さんに詰め寄って叫ぶ。

 

「なんで………何も言わないの。

一緒にフェスを目指そうって、音楽の頂点に立とうって言ってくれたじゃないですか!」

 

僕の言葉は止まらない。

 

「お願いですから……何か言ってよ…お願いだから…」

 

僕は涙を流しながら、友希那さんの足にすがりつく。

「Roselia(ここ)さえ失ったら、僕は……」

 

「優……。」

 

「友希那さん。優にここまで言われて何も言わないってことはあこ達の実力を認めてくれたのも、嘘だったの!?」

 

「あこちゃん……!」

 

あこさんはそう言って、走っていなくなってしまった。

 

燐子さんもあこさんを追って行ってしまった。

 

「2人とも…!?」

 

「湊さん、私。あなたの信念を尊敬してただからこそ……」

 

「残念だわ。」

 

「紗夜。お願いだから友希那の言葉も……」

 

「答えないことが、最大の答えよ!」

 

「私達これから、どうするの?」

 

「あなたと湊さんは『幼馴染』。何も変わらないはずよ。」

 

「そういうことじゃ……!」

 

「申し訳ないけど、私は時間を無駄にしたことにまだ苛立っているの。失礼させてもらわ。」

 

紗夜さんもいなくなる。

 

「紗夜、まっ…。」

 

去った紗夜さんの背中が悲哀に満ちている。

 

彼女の苦しみがその様子からわかってしまう。

 

その苦しみを、今理解した。その事実が更に僕を追い詰める。

 

壊れレたものをこれ以上壊さないでくれ……

 

「友希那っ、今の話全部ほんと?」

 

「だったら、なに?」

 

「友希那はRoseliaがどうなってもいいの!」

 

「何か言いたいことがあるんじゃないの?!」

 

「知らない!!」

 

「っ!!」

 

その言葉を聞いて、僕は彼女から離れ膝をつく。

 

 

しら・・・・ない?

 

知らないって・・・・・・なんだ?

 

理解・・・・不能。

 

理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能

 

僕は、彼女の言葉を認識できない。

 

そうか・・・・・僕は、彼女にとって・・・その程度の存在だったのか・・・・

 

やっぱり、僕には幸せになる権利はないらしい。

 

彼女の言葉で、目が覚めてしまった。

 

ああ・・・・長い長い夢だった。

 

もう・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耐えられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は、無気力になった体をなんとか、持ち上げ、歩き出す。

 

「優、どこに・・・・」

 

「どこに・・・って、イエに帰るんです・・・」

 

「優、待ってよ?!」

 

リサさんは、僕の肩に手をかける。

 

「リサさん、離して下サい。」

 

「でも・・」

 

「もう・・・いイんです。十分なんです。夢を見させてくれて、ありガとうございました・・・」

 

僕は、彼女の手を払いのけ、出口に向かっていく。

 

「そウだ、友希那さん。最後に一言ダけ。」

 

僕は、去り際に言葉を残す。

 

 

 

 

「FESに出るのは、友希那さんの勝手なので、文句は・・・・・ありませン。

でも、Roselia二夢を託しテいたのは、あなただけじゃない。これだけは、忘れないでください。」

 

 

 

 

僕は、そう言い残し、サークルを去った。

 

もう、何もかもがどうでもよくなってしまった。

 

大切な人を傷つけ、結果として、大切な人に、夢を断ち切られた。

 

そう、これは、罰。

 

驕り高ぶった、影への罰なんだ。

 

 

僕は、そんな思いを抱きながらも、なんとか帰宅した。

 

そして、自室に閉じこもった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、夢の終わり。

 

一人の影の、夢の終わり。

 

なに、たいして気にすることではない。

 

本来日の目を見れなかった影が、本来の運命に戻っただけなのだ。

 

誰も・・・・・気にしない。

 

 

 

 

 

 

これ以降の影の動向を誰も知らない。

 

 

そう、彼の母親でさえわからない。

 

分かっているのは、自室に存在だけはしていることだけだった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー友希那視点

 

 

私は、あの後引き留めるリサを無視して、家に戻った。

 

部屋に入る。そして、あの子の言葉がフラッシュバックする。

 

『FESに出るのは、友希那さんの勝手なので、文句は・・・・・ありません。

でも、Roseliaに夢を託していたのは、あなただけじゃない。これだけは、忘れないでください。』

 

この言葉が頭から離れない。

 

何故!?

 

Roseliaは、私がFESに出るために組んだバンド。

 

FESに出られるなら、もう思い起こすことはないはず。

 

でも、私の中には、まだ迷いがある。

 

あの時、どうしてはっきりとした言葉を言えなかったの?

 

はっきり、そう、と。

 

しかし、私はしなかった。

 

目的をはき違えてはダメ。

 

私は、お父さんのためにその為だけにFESに出る。

 

それができるなら、それ以外のことなんて・・・・

 

 

 

ピコン。

 

スマホの通知がなる。

 

事務所からのメッセージだ。

 

早く・・・確認しないと。

 

でも、私の手は動かない。

 

 

私が、通知を開けることにためらっている時。

 

ピコン。

 

再び、通知音が鳴った。

 

誰?

 

 

 

『ゆっきな~! 窓開けて!』

 

 

リサからだ。

 

あれだけ言ったのに、彼女はまだ私にかまうつもりなのか。

 

その優しさが私を傷つける。

 

彼女は優しすぎる。

 

こんな身勝手なことをしたんだ、縁を切られてもおかしくないのに‥‥

 

リサは・・・・

 

だから。

 

「忙しいから無理」

 

素っ気なく返す。

 

しかし。

 

『寝っ転がって

どうして忙しいのかな~? カーテン空いてるぞ☆』

 

!!!!

 

ベランダからすべて見えて・・・・

 

それから、数分後リサが私の部屋にやってきた。

 

「やっほー。

友希那の部屋に来るの、ひっさしぶりだな~!

家が隣同士なんだから、友希那ももっと家にくればいいのに。」

 

彼女は、何事もないようにいつも通りの口調で話す。

 

怒りを隠している様子もない。

 

「毎日のように会ってるのに、何か用?」

 

リサがそんな様子でも、私は強い語気で話す。

 

まるで、私の方が子供のようだ。

 

「ん・・・あのさ

まずはごめんねっ。今回のスカウトのこと、アタシ、まったく気づけなかったや。」

 

彼女から、意外な言葉が飛び出す。

 

文句を言われる筋合いはあるが、謝られるとは思ってなかった。

 

リサはそのまま私への後悔を告げる。

 

「家の前で、たまたま会ったあの日の夜さ・・

友希那、あれからずっと悩んでたんだよね。アタシが気づけてたら、もしかしたら何かできたんじゃないかって」

 

なんで、リサは自分も悪いかのように言ってるんだ。

 

悪いのは、私だけ。

 

みんなの思いを踏みにじって、あまつさえはRoseliaのことをあれだけ思っていてくれていた優を真正面から傷つけた。

 

まだまだリサの言葉は続いていく。

 

「アタシ、友希那が幸せなら、とか言って、結局はお父さんのこともRoseliaもフェスのことも友希那一人に背負わせてた。ごめん!!これからは、アタシももっと一緒に・・・」

 

「なんで・・・・・っ!!」

 

リサの言葉に私は耐えられなくなり、言葉を放つ。

 

「えっ・・!」

 

「リサはなんで、いつもそうなの!!!

なんで、こんな私に優しくするの!!今回の結果は私の身勝手な行動が招いたこと!!!全部悪いのは私なの!!」

 

なんで・・なんで・なんで!!!

 

「バンドもフェスも・・・お父さんのことも!リサは私が何しても、笑って・・いつも・・そばにいて・・・」

 

リサは昔からそうだった。

 

私が、何をしようとも一緒にいてくれて。

 

どれだけ、身勝手に進んでもついてきて。

 

リサは私を独りにさせなかった。

 

幼馴染だから?

 

それだけの理由で?

 

「うん・・・ごめん・・」

 

リサはまた謝罪の言葉を吐く。

 

それが、私をおかしくさせる。

 

「だから・・・・それをやめてってば!!

私は・・・っ、リサがいると・・

音楽にちゃんと向き合えない・・・!」

 

私の目から熱い何かが流れ出る。

 

優しさなんて、いらない!!

 

甘さはもう捨てたの!!!

 

私の叫びにリサは・・・

 

「そ・・・っか。・・・・ん。わかった。

アタシ、友希那のこと大切だからって、甘やかしてんだね・・・。」

 

それでも、リサは後悔の言葉を述べるのを止めない。

 

どうして、アナタは・・・・!

 

「そうなら、アタシに出来ることってやっぱりないのかもしれない。

でもさ。フェスに出たいって、友希那の覚悟は知ってるよ。」

 

「6人で演奏したとき、昔の・・・友希那のお父さんと一緒にセッションしてた頃の

友希那が戻ってきたみたいで、すごく嬉しかったんだよ。」

 

「・・・っ」

 

あの時みたいな・・・・・

 

それは、遠い昔の記憶。まだ、父がバンドをやっていた頃・・私たちはいつも楽しそうに音楽をしていた。

 

でも、その日々は壊れてしまった。もう二度と戻らないと思っていた。

 

そんなことがもう一度?

 

「少なくともアタシには、友希那が幸せそうに見えた。

だから、もし迷ってるなら、今はRoseliaを捨てないで欲しい。

アタシの・・・ただの気持ちだけどねっ。」

 

リサの言葉は私に突き刺さる。

 

そんな甘い感情だけじゃ・・・・

 

そう思っているはずなのに、心の根底では納得ができていない気がする。

 

「気持ちだけじゃ、音楽は・・・」

 

「それだけじゃない。」

 

リサが私の言葉を遮って言う。

 

「友希那のその選択で救われる子がいる。そのことも考えてほしい。」

 

救われる子・・・・

 

「優の・・・・ことかしら?」

 

紗夜やあこ、燐子かもしれないのに。

 

私の口からは、自然と彼の名前が出てきた。

 

「確実かはわからないけどさ・・・あの子のRoseliaに対する執着は、FESに対するというより、自分に残った大切何かを必死に守ってる。そういうところから来てるんじゃないかな・・・・」

 

リサの言葉に少し納得が言った。

 

あの子が、私に問い詰めた時の目は私への怒りというより・・・

 

焦り・・・何かがなくなってしまいそうで、それを一生懸命につなぎ合わせている。そんな感じがした。

 

そんなことを思いつつも私は

 

「そうだとしても、そんなことじゃ音楽はできない。」

 

私は、厳しく言い放ってしまう。

 

 

「・・・・そうかもしれない。つきあってくれてありがと!

全部言えたから、すっきりした!アタシ、夕飯食べてくるじゃっ☆」

 

そう言って、彼女は家に帰っていった。

 

リサがいなくって、私の部屋には孤独の気配だけが漂っている。

 

そして、ポツリと呟く。

 

「気持ちだけでは、音楽は出来ない・・・」

 

遮られてしまったが私が彼女に言おうとした言葉。

 

私は、お父さんの代わりにフェスにでる。

 

その『気持ちだけ』で。私はやってきた。

 

その私が、気持ちだけじゃできないなんて。

 

私のやり方は最初から矛盾に満ちていたのだ。

 

そんな、私が覚悟だのなんだのって・・・。

 

私の部屋には重い空気だけが残っていた・・・・・・

 

 

 

 

 




ーーーーーーーーーー

次回予告

みなさん、どうも・・・・

月島まりなです。

今回は大波乱の回でしたね。

私は、一人の母として息子のことが心配でしょうがありません。

元々不安定だったから今回の件であの子は・・・・・

おっと湿っぽい空気になってしまった。

それでは、

’友希那ちゃんとの対話で大切何かを伝えられたリサちゃん。
一方燐子ちゃんとあこちゃんはもう一度Roseliaを取り戻すため奮闘していくことになる。’



                     次回!!!


        「色を取り戻していく薔薇達の中で影はひっそりと消えていく」



 お楽しみに!
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