今回は繋ぎ回になります。ご両親については完全に妄想ですのでご容赦を。
近いうちに転職するので投稿遅れるかもしれませんが、出来る限り早めに投稿出来るよう頑張ります。
「んぅ……」
寝台に寝かされている様な心地の良い感覚と共に目が覚める。ウチにこんなふかふかのベッドなんか無かったような……
そうしてぶくぶく茶釜は軽い違和感と共に目を開く。
そこには豪華なローブを身に纏う骸骨の姿をした大魔王と、人間離れした美貌で此方を見つめるゲーム内での友人の姿があった。
「うわぁっ!?……なになに、何のドッキリ?もう、紫ちゃんとモモンガさんでしょ?何でコスプレしてるの?」
というか、何で紫ちゃんが……という疑問もあったが、この状況から
過去に迷惑系の動画投稿者に凸された経験のあったぶくぶく茶釜はこの状況をドッキリだと結論付けた。
……それにしては、色々とクオリティが高すぎる気もするけど。
「くーちゃん、落ち着いて聞いてちょうだい。……どうか、落ち着いて。」
紫がそう話を区切ると、待っていた様に推定モモンガが話し始める。
「ぶくぶく茶釜さん。あなたはずっと昏睡状態でした。……ええ、分かっています。どのくらいか、ですよね?」
「……くーちゃん。アナタが眠っていたのは、九年よ。」
「ふざけてるの?」
訳の分からない状況で何処かで見た事のあるミームの物真似をされて機嫌が悪くなるぶくぶく茶釜。
「だから言ったじゃないですか!この状況でこんなことする意味ないでしょ!?」
「えー、だってやってみたかったんだもの!」
なるほど……これは紫ちゃんの我儘だったらしい。そういえば、昔からよく分からない事をいきなりやり始めたりする事もあったっけ。
とはいえこの状況でこんな事されたら誰だって怒ると思うけど。
「すみません、不安だと思うんで、普通に話します。」
モモンガによると、何故かユグドラシルのサービス終了時にナザリックと共に異世界へと転移したという。
NPC達は自我を持ち、ギルメン達の事を至高の四十一人と言って忠誠を誓っているらしい。
紫の方はリアルで殺された後に何故かユグドラシルのアバター姿でモモンガと同じ世界に放り出されたらしい。
で、私は紫ちゃんの能力で誘拐されてきたらしい。……ちょっと待て。
「最後だけ意味分からないんだけど?なんで唐突に私を誘拐するわけ?」
「……?私の友人だからだけど?」
と、本気で言っているらしい紫をよそに、モモンガが軽く耳打ちをする。
その内容は、紫の過去についてであり、元々は別世界の住人だとか、妖怪だとかまるで現実味のない話であった。
ぶくぶく茶釜は馬鹿にされているのかと声を荒らげそうになるが、この人がこんな嘘を吐く筈がないとすんでのところで言葉を呑み込んだ。
「……まあ、納得は出来ないけど理解はした。で、私はどうすればいいの?本当なら収録の時間だったんだけど?」
「くーちゃんは私達と一緒に来てもらうわ。その上で、弟くんとかご両親についての相談なんだけど……」
つまり拒否権は無いと。いや、長い付き合いだし執着が強かったりするのは知ってたけど、まさかここまでとは……
「紫ちゃん、ヤンデレの素質あるよ。」
「……分かります。」
内心でお前もな、とモモンガにツッコミを入れた後これからどうするかを考える。
正直な話、私もリアルは嫌いだ。別に自分一人だったら喜んで紫ちゃんに着いて行っただろう。
とはいえ高齢の親だったりあの
親には育ててもらった恩もあるし、あんな馬鹿でも実の弟だ。家族以外の交友関係は殆どないし、仕事関係の人もあくまで他人だ。
なので、紫ちゃんが家族も連れて来てくれるならそう悪い話ではないと思っている。
ただ、異世界という事でこの貧弱な身体では危険が多い気がするというのと、リアルの設備に慣れ過ぎているから不便がないかが心配だ。
「……親とあの馬鹿を連れて来てくれるなら良いよ。ただ、どんな世界なのかだけ見せてくれない?」
流石に異世界がヘルヘイムの様な魔境だったらリアルの方がマシだ。いくら紫ちゃんのお願いでも断固拒否する。
「まあ、当然ですよね。軽く見て回りましょうか。まずはナザリックから。」
そういうと、モモンガはユグドラシルの魔法を唱えて……人間になった。
「すみません、さっきのは幻術です。紫さんにお願いして人間にしてもらったので、今はリアルの肉体のままです。」
……魔法もあるのか。なら、生活についてはそこまで心配しなくてもいいのかな?
「さて、じゃあくーちゃん。とりあえずこれ着けて。」
そう言って紫が取り出したのはユグドラシル産の指輪である。幾つかあるが基本的には防御系や、状態異常への完全耐性の指輪だ。
「これ、全部?」
「ええ。」
っていうか、説明されたから理解はしてるけど、紫ちゃんこの喋り方は続けるのか。まあいいけどさ。
「……これじゃ、私ただの成金じゃん。」
「ふふっ。まあ、今だけよ。ちゃんと後でアナタのアバター持ってきてあげるから。」
私の、アバター?
「嫌だっ!何が悲しくてリアルであんな卑猥な物体にならなくちゃいけないのさ!」
「分かってるわよ。だから、特別に私が用意してあげる。」
……ふむ。ならまあ問題ないか。ゲームのキャラみたいな美形になれるなら願ったりだ。
というか、よく考えたらこれはチャンスなのでは?現実では整形って馬鹿みたいにお金が掛かるし、そもそもリスクが大き過ぎる。
私みたいな有名人が整形とか、叩かれる未来しか見えないし。
「じゃあまずは、挨拶からね。ナザリックのNPC達はその……まあいい子達だから、うん。」
「紫さん、もうちょっと頑張りましょうよ……」
「……怖いんだけど。」
◇
ーーーナザリック地下大墳墓・玉座の間
またしても、階層守護者総員、そして手の空いている全てのシモべが召集された。
「今度は一体何でありんすか?」
「シャルティア、その物言いは不敬だ。君にそのつもりが無いのは分かっているがね。まあ、今は大人しく指示を待とうじゃないか。」
そうして、まずモモンガが現れると配下の者たちは跪く。その後、紫が現れてモモンガの隣にスキマを創り出して腰を下ろす。
そしてモモンガが口を開くかと思いきや、もう一人、人間が紫の横へ現れてその場に留まった。
「ーーー面を上げよ。」
モモンガのその言葉に全てのシモべが顔を上げる。
威風堂々としたモモンガと、妖艶な笑みを浮かべる紫とは対照的に、何処か不安気な様子を見せる人間の女。
他の者は何故人間がここに居るかを思案する。だがアホの子であるシャルティアは特に考えずに口を開いた。
「モモンガ様、何故人間風情がこの神聖な玉座の間に居るのでありんすか?」
シャルティアのその言葉に、同じ疑問を抱いていた守護者やその他のシモべ達は不敬であると知りつつ、その問に対する答えを待った。
「ふむ。当然の疑問だなシャルティアよ。だが紫さんは以前、お前達が至高の御方と呼ぶ者はリアルでは人間だと伝えた筈だぞ。」
「という事は……つまり!」
思わず口を挟んだデミウルゴスに、しかしモモンガは叱責しなかった。
「ーーーそうだ。ぶくぶく茶釜さんが、このナザリック地下大墳墓に帰還した。」
思わず歓声を上げるシモべ達。特にアウラとマーレは周囲の目を憚ること無く大号泣している。
そしてすぐに謝罪するシャルティアに、ぶくぶく茶釜は微笑みを以て赦した。
「だが、一つ問題があってな。」
モモンガのその言葉に、まさかまた去ってしまわれるのでは。と不安を感じたNPC達を代表してデミウルゴスが問いを投げる。
「それはぶくぶく茶釜様について。で御座いますか?」
「ああ。彼女のリアルでのご家族についてだ。」
だが、それについては殆ど解決済みであるとモモンガは言う。
ーーー曰く、リアルでの生活がある為、今まで彼女はナザリックに帰ってくる事が出来なかったという。
彼女の両親と、弟であるペロロンチーノをナザリックで保護出来れば、彼女の懸念は無くなり、安心してナザリックで生活する事が出来る。
……という事らしい。
「だが当然、そこには彼女のご両親の意思もある。ペロロンチーノさんについては正直心配要らないが……」
まあ仮にゲームのアバターになって異世界に来れるというなら喜んで飛んでくるだろう。あの男は。
「彼女が説得する際、私と紫さんも同行する。それまでお前達には、このナザリックの守護を任せたい。」
一時的にとはいえ、モモンガ達支配者が誰も居なくなる事について不安でないNPC等居ないが、それを口に出す者は居ない。
「さて、これで伝えるべきことは以上だが。……ああ、もう一つあったな。」
そう言って、モモンガは八雲紫に手を差し出し、彼女が軽く手を触れる。すると……
「これからは、この肉体で生活する事にした。人間の方が、色々と都合が良いからな。」
「さて、では我々は茶釜さんのご両親の所へ行ってくる。お前達、留守は任せたぞ。」
「はっ!お任せ下さい!」
守護者を代表してアルベドが姿勢を正し、声を上げる。それを見たモモンガは満足そうに頷き、紫とぶくぶく茶釜と共に玉座の間を去った。
◆
「何あれ、忠誠とかいうレベルじゃなくない?あれはもう崇拝だよ。」
モモンガの私室へと戻って来てぶくぶく茶釜は開口一番、そう言った。
「まあ、あれについては正直慣れないですけど……もう諦めましょう。言って何とかなるレベルじゃないですし。」
「いやさ、今度私があそこに立って喋るんでしょ?流石に自信ないって!」
ぶくぶく茶釜からの正式な挨拶は、ペロロンチーノを連れて来てからという事になっている。その為彼女は気が気でない。
「っていうか、私ナザリックの中しか見て回れてないんだけど?」
「すみません、今の状況で外に出すのは不安なので、また今度にしましょう。」
安心してください、リアルみたいな魔境ではないので、というモモンガを信じて一旦落ち着くぶくぶく茶釜だが……
「やっぱりNPC怖いよー!あんなとこで喋りたくない!」
NPC達の天元突破した忠誠に対する恐怖が再発した。
「まあ、気持ちは分かるけど、その時の事はまた考えましょう。今はまず、アナタのご両親の説得をどうするか考えましょう。」
「それについては、任せてください。」
何故か自信満々にモモンガ……悟が口を開いた。
「……モモンガさん。その自信は何?怖いんだけど。」
「いえ、これでも元営業職ですから。プレゼンには自信があります。」
ものすごく嫌な予感がする。と、紫と茶釜は目配せする。ぶくぶく茶釜はいざと言う時は頼むと、こっそり紫に耳打ちするのだった。
◇◆
「……という訳なんです。なので彼女について、それから私の友人である彼についても、是非お任せ頂ければと思います。」
時は流れて、ここはぶくぶく茶釜の実家。そのダイニングである。一般家庭である為、当然客間などない。
モモンガは鈴木悟と本名を名乗り、新しく購入したスーツで身を固め、紫も同じくレディーススーツに身を包んでいる。
一方、横で頭を抱えているぶくぶく茶釜は私服である。
「うん、まあ魔法についてはさっき見せて貰ったから信じるしか無いんだけどねぇ……」
「で、この子が私達が心配で、一緒に連れていきたいって言ってるのね?」
「はい。私も幼い頃に両親を亡くしていますので気持ちは分かります。恐らく彼も、同じ思いでしょう。」
彼女の両親は、とても優しい雰囲気で、おおらかな方々だ。
「私は別に良いんだけどねぇ。他に親戚も居ないし」
「まあ働かなくても面倒見てくれるって言ってるんだし、いいんじゃないかい?」
手応えを感じたモモンガはここぞとばかりに口を開く。
「はい!お任せ下さい!彼女達は、私が絶対に幸せにします!」
「ぶっふぅ!」
思わず噴いてしまうぶくぶく茶釜。これはモモンガが悪い。紫も目を覆っている。
「ん?君はもしかして、娘とそういう関係なのかい?」
「……あ。い、いえ。そういう訳では無くてですね。」
途端にしどろもどろになる鈴木悟。
「ははっ。冗談だよ。まあ娘もいい歳だから気が向いたら貰ってやってくれ。」
「ちょ、」
思わず口を挟もうとするぶくぶく茶釜だが、強制的に紫に口を塞がれる。
「では、とりあえず必要な物だけ纏めて頂けますか?すぐに向かいますので。」
紫がそういうと絶対に異世界で必要ないであろう通帳や印鑑を用意し始める両親に苦笑いするぶくぶく茶釜。
「さて、じゃあご両親は来てくれるそうだし……ペロロンチーノさんの部屋に向かいますか。」
ちなみに彼はぶくぶく茶釜の決定により拒否権無しである。
モモンガ達は階段を上り、彼の部屋の前に立つ。そして、ノックもなしにその扉を開いた。
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