「あ〜〜……、やっぱメイス修正かぁ〜。まぁ、しょうがないよな」
スマホに表示されたアプリのタイムラインに目を通す青年、「大和秀」
彼が読んでいるのは現在流行しているガンダムゲー、「ガンダムブレイカー4」で猛威を奮っている武器、超大型メイスの弱体化の記事である。圧倒的な手数にバクレベルなダメージを叩き出すメイスの弱体化に数多くのプレイヤーが涙を流し、感謝の言葉を呟いていく。(因みに秀もその一人である)
「ふぅ、今日はここまで…‥ってヤべッ!もうこんな時間かよ!」
ふと時計を見ると針は深夜2時を指している、いくら時間に余裕のある学生でも流石に寝る時間である。モニターとゲーム機の電源を落とし、ベッドへ身を投げ出す
「明日は……朝から部室に顔出して…‥そんで…」
あれこれ考えている内に瞼が重くなっていき、そのまま意識を手放して眠りにつく秀。目覚めればガンプラが飾り付けられている棚が目の前に飛び込んでくる……
のではなく、何故か代わりにあるのは木!木!!木!!!
「何処じゃココォオオオオオ!!!」
誰だろと我が家のベットで寝ていて、目が覚めたら森のど真ん中にいたら錯乱するだろう……
「本当何処だよここ…朝の森ってこんなに暗いのか?それに…… スーパーキノコのようなきのこがあるんだけど‥」
(……イ、オ…イ)
「?……誰かの声?いや、こんな森深くに人なんて居るわけないだろ…幻聴か?」
気を紛らす為に顔を叩きこの暗い森を抜けるため、獣道を足元に注意しながら進んでいくが一向に景色が変わらずそれどころか奥へ進んでいるような感覚に陥っていく。歩き疲れその場に座り込む、それと同時に秀の腹から大きな音が鳴る
「腹減ったなぁ〜〜……あのキノコ…食えないか……ん?」
食えないかと目を向けたキノコの先に白い何かが見える、体を起こし近づいていく
「な……なんだよこれ…ウッ、ウェッ‥⁉︎」
そこにあったのは、無惨に喰われ骨が見えている人の死体だった
「ハァ…ハァ…ここに迷い込んだ人……なのか…なら野犬の仕業…?いや野犬にしちゃ歯形がデカいし…(坊!避けるんや!)また幻聴「グギャヴッ!」ッ?!!」
幻聴が聞こえたその時、茂みからとても野犬とは思えない程の大きさの犬の様な動物が二匹、こちらに飛びかかってきた。間一髪の所で身を屈めた為当たる事は無かったが、二匹は秀の事を新たな獲物と認識したようで口からヨダレをたらしている
「オイオイ!冗談じゃねぇぞッ!」
重い体に鞭を打ち全速力で走り出す秀、それを追いかける二匹の獣、もはや道と呼べない場所をがむしゃらに走っているため、何度も転びそうになるが意地でも体勢を立て直す。転んだら最後…あの死体と同じ末路だ
(クソッ!こんな訳の分からない場所で死んでたまるか!!)
そんな事を考えているが故だろうか、それとも足元が見えない為か、何かに足を引っ掛け秀はバランスを崩し、そのまま地面に倒れ込む。それを好機と見た二匹の獣が、倒れている秀の周りを取り囲む
「ガルルゥ…」
「く…来るな!来るんじゃねぇ!!」
叫びながら手元にある石を獣に投げるが効果はない、やがて一匹がこちら目掛けて飛び込んでくる。
(ちっきしょう…これが…俺の最後かよ…)
飛び込んでくる獣の動きがゆっくりと見える、俗に言う走馬灯と言うやつだろうか…秀は諦めたように目を閉じた……その時だ
(腕伸ばして前に出えッ!!)
(!!)
(はよせぇ!死にたいんか!)
「ぐぅ……ウァァァァァァァッ!!」
藁にもすがる思いで幻聴の言う通りに腕を前方に突き出す、するとジュゥ…っと何かが溶けるような音と肉が焼ける匂いが漂う。恐る恐る目を開くとそこには、いつの間にか手にしたビームサーベルで額から頭目掛けて貫通している獣の姿があった