「は?……え?」
目の前の光景に目を疑った。さっきまで何も無かった手にはしっかりとビームサーベルが握られていて、獣の脳天を貫いている。意識が無くなり体を支えられなくなった獣はそのまま自重で倒れる
「ガァッ!!ガヴッ!!」
「ッ!そうだ!もう一匹!」
仲間の敵討ちと言わんばかりに目にも止まらない速さで一直線に突進してくる
「早ッ……チィッ!!」
もう一度脳天目掛けビームサーベルを突き出すが、獣はそれを避け秀の右腕に噛み付く
「グッ‥‥アアァァァァァッ!!クソッ!放し……やがれ!!」
余りにも激痛に手にしたサーベルを落としてしまう、振り払おうと獣の頭部を何度も殴り付けるが意地でも離さまいと、更に力を込め噛み付く
「クゥ‥‥!!サーベルが出たんなら……コレも出るだろッ!!」
思い浮かべたのは頭部バルカン砲、秀の思った通り耳の上から発砲音が鳴り、獣の顔面に鉛玉が命中する
「キャン!!!」
噛み付いていた口を放した隙に、落としたグリップを拾いビームサーベルを展開し、血だらけの顔を向け"グルルゥ"と低く唸る獣を睨みつける秀。数秒の硬直状態、先に動いたのは獣だった。さっきと同じ様に、猛スピードで突っ込んでくる
(闇雲に攻撃してもダメだ!狙うのは……)「コイツで!!」
突っ込んでくる獣の足元を狙い、バルカンを撃つ。獣はそれを避けるように空中に飛んだ
「この瞬間を……待っていたんだッ!!!!」
脚に力を込め飛び上がる、血塗れの右手で狙いを定め左手のビームサーベルを後ろに持ち…
「タァぁぁぁ!!!」
雄叫びをあげ、大きな口を開いた獣の顔面目掛け左手のサーベルを振り下ろす。まるでバターを切るようにサーベルは獣を切り裂き、二つの肉塊に成り果てベチャっと嫌な音を立て地面に落ちる。
「はぁ……はぁ……、やった……のか?俺…が…グゥッ!!」
片足を地面に付けながら着地し辺りに焦げ臭さと血の匂いが漂う中、そう呟く。安堵したその時、腹から今まで感じたことのない程の激痛を感じる。その場に倒れ身体を丸めながら痛みに耐える秀、恐る恐る腹を見るとそこには深い引っ掻き傷が出来ていて、夥しい程の血が出ていた
「まさか…あの……時にぃ……!」
最早立てる気力などなかった、疲労と大量の出血が重なった為か徐々に意識がなくなり、瞼も重くなっていく
(嗚呼……俺…死ぬのか…)
助からない…そう思った時近づいてくる足音が聞こえてきた
(だ……れ…だ?)
視界がボヤけ、はっきり見えない。だが誰かがそこにいる……秀は無意識にその誰かに血塗れの手を差し伸ばしていた
「……たす…け…」
"助けて"と言い終わる前に、目の前が真っ暗になる。完全に意識が無くなる前微かに花の香りを感じ、秀の意識はなくなった
「……イ…ん…い」
「……きんか……!!」
(誰だ…誰かが……よんでる?…)
「はよ起きんかい!ワレ!!」
「うわぁぁぁ!!誰!誰!って耳痛ッッッた!!」
まるで雷が落ちたような大声に飛び起き、それと同時には味わった事のない耳の痛みが秀を襲い悶えていると、誰が目の前に水が入ったコップを置く
「ほら水や。これ飲んで落ち着きぃ」
「あ……ありがとうございます……、って起こしてくれるのは有り難いですけど、もう少し普……通…に…」
耳を押さえながら目の前の人に抗議を入れようと顔を上げ、言葉を失った。何せ秀の目の前に居たのは自身が最も慣れ親しんだ者だった
「あ……RX-78-2……ガン‥ダム…?」
「おう!おっちゃんやで〜」
「な……なんでガンダムが?それにあん時の幻聴と同じ声……そうだ!ここは……!?」
辺りを見渡すとそこは格納庫のブリッジに秀とガンダムが立っている。そして……無数のMSがこの格納庫に格納されていたのだ
「ど……どうなってんだ?」
「まぁなんや、とりあえず場所変えよか?」
混乱する秀の肩に手を置き先に歩いて行くガンダム、秀はただその後を追うしかなかった…
「ってゆうのが、ジブンがあの場所にいた訳や。今流行りの異世界転生ちゅう奴やな。あっマスター、オイルおかわり」
「そ……そうなんですか…」
秀達は目が覚めた格納庫から、洒落たバーに場所を移し何故自分があの場所に居たのかを聞かされる。どうやら秀は寝ている間に死んでしまったのだがそれは神様の手違いであり、なんとか手違いを誤魔化そうとしたが一度死んだ人間を元の世界に生き返す事は出来ない為、適当に選んび適当な特典をつけて転生させた……と言うことらしい
「ところで……ガンダムさん「ガンダムでええで?」…ガンダムはやっぱり、特典って事になります?」
「まぁそないなところや、ワイらは坊が今まで作ったガンプラを出来る限り再現したもんやし、今はワシとマスター、ジムにザクんとこの奴しかおらんけどまだまだ増えると思うで?」
「マジですか……」
「マジや」
まだ増える…とガンダムの言葉に軽く驚いていると、目の前にメロンソーダが置かれガンダムにはショットグラスに入ってオイルを置く。因みにマスターと言われている人?機体?はG-3ガンダム、簡単に言えばガンダムの弟にあたる……のか?お喋りなガンダムとは違い、無口な機体である
気になる事をアレやこれやと聞いていると、突然秀の身体が薄く光出す
「ちょっ!なんですかコレ!」
「あ〜、ぼちぼち頃合いやな。目ぇ覚めたらおっちゃんの事呼んだってな〜」
「わ…分かりました…」
最後2人にお辞儀をすると身体から出る光がどんどんと強くなっていき、目の前が真っ白になった
こんな作品でも気に入って貰えれば幸いです…