鷺澤有里栖、小話集   作:サーたん

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有里栖と幼馴染設定のもう一人のヒロインは美嶋未羽です。今回はこの二人と一澄のお話。もちろん有里栖と付き合ってるルートです。


有里栖の相談

 とある休日の昼下がり、食材の買い込みで俺は単独で近所の商店街を訪れていた。ふと、ゲームショップ見知った二人の顔を見かける。

 

「有里栖と……美嶋さん?」

「一澄、おいーっす」

「あ、常坂先輩どうもこんにちは」

 

 元気良く挨拶する有里栖と、少し恐縮しながら敬礼する美嶋さん。二人に近づく。

 

「おいーっす。どうした? 美嶋さんと買い物か?」

「ま、まあそんなところかな。みうたんと遊びに来たの。一澄は買い物?」

 

 有里栖が言葉を濁す。そんな有里栖に美嶋さんが苦笑いする。どうしたんだ?

 

「ああ、お米を切らしたから買いに来たんだ」

「お米がなくなるとは一大事だね。二乃ちゃんたちがお腹をすかせたら悪いから、私たちは放っておいて早く買いに行った方が良いよ?」

「……有里栖?」

 

 今日の有里栖が何か変だ。俺と会ったらもっと話すのに、一刻も早く俺をここから追い出したいように思える。美嶋さんがいるからか? それにしたって……

 

「有里栖ちゃんやっぱり常坂先輩に言った方が……」

「みうたん、それは……!」

 

 慌てるように美嶋さんの口を抑える有里栖。そんな有里栖に弱々しく抵抗する美嶋さん。傍目から見るとじゃれ合ってるようにしか見えない。一応有里栖には俺の気持ちを言っておくか。

 

「有里栖、女の子にしか言えないような話題や、プライベートな話題なら俺は無理矢理は聞かない。いくら恋人でも踏み入ってはいけないラインもあるだろうしな。だがそういうことじゃないならなるべく俺に話して欲しい」

「有里栖ちゃん、常坂先輩は真面目だよ。話さそうよ。少し恥ずかしいかもしれないけど」

「う、うんそうだね……ごめん。話すよ」

 

 そう言って有里栖は美嶋さんと何をしてるか話す。

 

「え……ギャルゲーや乙女ゲーで、俺にしてもらいたいことを研究してるって?」

「うん。周囲に恋愛経験者が少なくって……ネットの意見も信憑性に欠けるし。あ、勘違いはしてほしくないんだけど、一澄の今の状況に不満があるってわけじゃないんだよ。でも新たな刺激が欲しいかなって」

「それで美嶋さんに相談してたってわけか」

「みうたんなら乙女ゲームにはけっこう詳しいからね。おすすめとか色々実物を交えて一緒に話してたんだ」

 

 有里栖の説明に美嶋さんはふんわりと笑いながら頷く。

 

「有里栖ちゃん、さっき私の好きな乙女ゲームのシチュエーションの話をしてた時に色々言ってましたよ、お姫様抱っこや壁ドンとかされてみたいって。他にもあーんとか一緒にポッキーを食べたいとか色々。聞いてる私が恥ずかしかったです」

「ほう?」

「み、みうたんったらそれ言っちゃ恥ずかしいよー!」

 

 有里栖が慌てふためく。小さなお顔が真っ赤かだ。くすくすと美嶋さんが忍び笑い。

 

「有里栖のしてみたいことは後々言及するとして……」

「後で私、言及されちゃうんだ!」

 

 有里栖との付き合いが更に楽しくなりそうで、美嶋さんGJだな。

 

「そんな相談をするとは、有里栖と美嶋さんはかなり仲が良いんだな? 幼馴染だっけ?」

「はい、有里栖ちゃんとひよりちゃんと私の三人で、昔からの幼馴染です」

「白河は相談相手としては、仲間外れなんだな?」

「ひよりんは先日のこともあって相談するのは不安でね。真面目なみうたんなら茶化さず、相談に乗ってくれるかなって」

 

 有里栖の不安はもっともだ。白河も有里栖が本気で悩んでいたらちゃんと力を貸してくれるだろうが、先日のからかいが過って今回の相談からは除外したのだろう。ひよりちゃんは全くと美嶋さんは漏らしていた。

 

「せっかくだし二人の休日の過ごし方を見て良いか? 買い物は急ぎ用じゃないしな」

 

 有里栖と美嶋さんあまり普段は接点がない二人に見えるからどう過ごしてるのか気になるのだ。

 

「私は構わないけど……みうたんは?」

「私も有里栖ちゃんさえ良ければ構わないですよ。隠すようなこともないですし」

「そうだね。お互いにやましいことが無いことを証明しようよ。みうたん」

 

 有里栖がそう言って美嶋さんをそっと抱き寄せる。

 

「有里栖ちゃん……?」

「ま、まさか……有里栖と美嶋さんがそんな関係だったとは完全に予想外だったぞ……!?」

「みうたん可愛らしいもんね……ずっとこうしていたいよぉ……私の彼女にしたいなあ」

「ちょ……有里栖ちゃん……!」

 

 有里栖は美嶋さんの胸元をスリスリする。恥ずかしそうに美嶋さんは身をよじる。

 

「有里栖、彼氏枠は俺確定だが、彼女枠は余ってるぞ?」

「……は!?」

「……有里栖ちゃん、常坂先輩? 怒りますよ?」

 

 美嶋さんは俺たちの悪ふざけにむくれていた。ごめんごめんと有里栖は体を離す。

 

「でも冗談抜きでみうたんと一緒にいると癒やされるんだよね。落ち着くっていうか。一澄もそう思わない?」

「確かに美嶋さんは存在そのものが癒やしだな」

「常坂先輩、そこは有里栖ちゃんの方が俺の癒やしだ、と言った方が女の子的にはポイント高いですよ」

「そうなのか?」

 

 美嶋さんのアドバイスに俺は彼女さんを振り返る。

 

「あー確かにそう言ってくれたら嬉しいかも。さすが乙女ゲームプレイヤーだね。みうたん」

「有里栖ちゃんは私が常坂先輩の癒しだと言われて何か感じないの? 嫉妬とか」

「嫉妬……」

 

 有里栖が逡巡するように目を瞑る。少しして口を開く。

 

「みうたんと一澄は信じてるから。そんな心配していないだけ。本気でみうたんが一澄を好きになったら危機感は抱くかもしれないけど、今はそんな感じでもなさそうだしね」

「有里栖ちゃんったら……私を信じてくれる気持ちは嬉しいけど、彼氏的には嫉妬してくれた方が嬉しいんだよ」

「一澄はそうなの?」

 

 有里栖が俺を見つめると、俺も見つめ返す。

 

「いや有里栖は有里栖のままでいい。それが俺にとっての一番だ」

「一澄……」

「……はぁ、お人好しの彼氏と彼女ですね。お似合いですよお二人共」

 

 俺たちのやり取りにそう結論を下す美嶋さん。どこか呆れつつも美嶋さんは最後には笑顔で俺たちを見守ってくれていた。俺たちに力を貸してくれる素敵な幼馴染さんがいる。これからも有里栖との付き合いも良好な関係を保っていけそうに思えた。

 

 因みに有里栖と美嶋さんへの付き合いは、多忙の義両親が帰宅したという一報により後日に見送られた。

 

 

 




未羽と有里栖の関係はもっと原作で掘り下げて欲しかった。そんな願望が含まれた話でした。続くかも。
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