黒崎一護なオリ主と五条悟   作:ラムセス_

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修行中

 

 ぽん!と軽い爆発音が室内に響き渡り、五条はあちゃー、と額に手を当てた。

 

「本日もスリーアウト、このぬいぐるみも安くないんだよ?」

「し、仕方ねーだろ!!ちょっと力を入れただけで爆発しちまうんだから!」

「ちょっとねぇ」

 

 どうにも、自分の弟子である黒崎一護という男は自分の怪獣具合をわかっていないようだ。

 五条はパンパンと手を叩いて注目を促し、少しばかり事例を見せることにした。

 

「なんだよ」

「えー、注目注目。今の呪力でできることー」

 

 木でできたカカシに人差し指を向けて、先ほど一護が発したのと同じだけの呪力を弾丸として打ち出す。

 ぐんと五条の呪力が持っていかれる。結構馬鹿にならない消費だ。

 

 呪力弾は瞬時に着弾し、派手な破壊音と共に上半身丸々消し飛ばされたカカシは粉となって散乱した。

 部屋に沈黙が満ちる。

 

「はい。さっきこめられた呪力と同量の呪力を射出するだけでこの通り。敵は粉々になります」

「ぐ、う、うおーーー!!!」

 

 やけくそになって一護が叫んだ。

 可哀想に、自分が化け物であることを理解できていないらしい。

 

 ここ3日、五条たちは3人で高専の地下に篭って修行漬けの日々を送っていた。

 悠仁は映画を見ながら呪力を一定に保つ訓練、一護は手加減の練習をそれぞれ行なっている。

 

 悠仁の方は意外と順調で、早々に呪骸に殴られることも少なくなってきた。

 一護の方はご覧の通り、悲しいほどに進展がないのが現状である。

 

 そこで、「ふげっ!?」と映画を見ながら寝てしまったらしい悠仁がクマのボクシングぬいぐるみに殴られる生々しい音が響いた。

 もんどりうって目を覚ました悠仁は、一護が無気力に倒れ伏しているのを見てパチクリと目を瞬かせる。

 

「あぇ、まだダメっぽい?」

「うん。ぜんっぜん進展なし。またさっきぬいぐるみが爆発四散したよ」

「というかこの人形爆発とかするのか…俺もやってみよ」

 

 ムムムと殴られた恨みにか、爆発させようと悠仁が人形を両手で持って呪力を込めた。

 もちろん、爆発する気配は1ミリもない。

 

「いやぁ、悠仁の出力じゃ無理無理。純粋に呪力を込めるだけで一瞬で破裂させるなんて、悠仁100人が一斉に全力でやってできるかどうか」

「うげ、さすがゴジラ」

「ゴジラじゃねーよ!!失敬だぞテメーら!!」

「でもビーム出るじゃん?」

「出るけども!出るけども!!!」

 

 ギャースと一護が喚いた。

 ノーマル状態と角ありと天使の三形態があるあたり、三ツ首のキングギドラかもしれない。

 悠仁が憐れんだようにハの字に眉を下げて、恐る恐る進言する。

 

「俺がコツ教えてやろっか?なんかだいぶ俺の方もわかってきたし」

「お、まじか。頼む」

 

 虎杖が呪力を流し込まれてグースカ寝ている呪骸を突き出して「こんな感じでさ」と近場にあった椅子に座った。

 

「交通整理のおっちゃんをイメージすると楽っぽい。こう、渋滞してる十字路の真ん中に立って旗振ってる感じ」

「………おう」

 

 一護はしばらく黙り込んだ後、重々しく頷いた。

 かなりクセの強い表現だ。一護も予想外の方向性に困っているのだろう。

 五条はその愉快な助け合いを観察しながら、ぷすぷすと含み笑いをした。

 

 と、その時。

 一護のスマホの着信音がけたたましく鳴り響いた。

 五条もそうだが、特級は暇ではない。どうも上からの緊急の任務が入ったようだ。

 

 一護はハッと顔を上げて「悪ぃ」と悠仁に軽く謝った。

 

「任務が入ったみたいだ。俺ちょっと行ってくる」

「いてらー」

「お土産よろしく!」

 

 地元名物を要求すれば、「そんな暇ねーよ!!」と怒声が飛んでくる。

 ここ一連の流れで完全に拗ねてしまったようだ。

 

 瞬間、彼独自の移動法を使ったのか、しゅんっと姿がかき消えた。

 悠仁が「うおっ!?消えた!」と仰天して辺りを見回す。

 

「悠仁、あれ初めて見たっけ?」

「なにあれ。テレポート?」

 

 五条はあれ?と首を傾げた。ちょうどタイミング悪く悠仁はこれまで見たことがなかったらしい。

 同時にべろりと頬に現れた口がおどろおどろしい響きをもって言葉を発する。

 

「随分と器用なことをする。大道芸か?」

「あー、宿儺もそう思うんだ」

 

 五条は頷いて同意した。

 大道芸、まさにその言葉はピッタリと当てはまる。

 悠仁だけがその言葉についていけず疑問符を散らしている。

 

「どゆこと?」

「あの一護が使った瞬間移動みたいなやつ。あれ、三つの移動方法がごちゃ混ぜになったものなんだよ」

 

 ほへーという顔をして悠仁がぬいぐるみの上に顎を置いた。

 呪力操作ももう慣れたものだ。

 

 五条の見る限り、彼の呪力操作による歩法はこの三つ。

 

 一つ目が呪力の流れを細い川みたいに作って、そこに身を任せる移動方法。

 たしかこれを一護は瞬歩と呼んでいた。

 

 二つ目が呪力ポイントを設定して、そこに磁力みたいに体を引き付ける移動方法。

 ソニードとやらだったか、そんな名前がついていたはずだ。

 

 三つ目が呪力で板を作って、そこに体を乗せるやり方。

 飛廉脚というらしい。

 

 指折り数え上げれば、虎杖はぬいぐるみの両手を手でふにゃふにゃと動かしながらへぇー、と気の抜けた声を上げた。

 

「先生もできんの?」

「出来そうだけどやらないよ。正直、術式を使わず瞬間移動がしたいなら足の裏で呪力を爆発させた方がずっと話が早いし。あんな繊細な移動方法を使ってたらそっちに脳のリソースが取られて本末転倒さ」

 

 だから宿儺も「大道芸か」と言ったのだろう。

 とはいえ、一護自身はあれをごちゃ混ぜにしたものを息をするように使っているから話は別なのかもしれないが。

 

 五条が全く一緒のことをしようとしたら、それだけで通常使える術式の範囲が五割は少なくなることだろう。

 これは器用としか言いようがない。

 

「ここまでできて、どうして呪骸が破裂するのか。コレガワカラナイ」

「ね、根が深い……、」

 

 うーむと腕を組めば、悠仁は実にしょっぱい顔をしたのだった。

 




・ゴジラ氏
一級三体を遠目から虚閃で一撃で祓い、うっかりそのまま補助監督の張った帳を内側からぶち破った。
無論怒られた。
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