黒崎一護なオリ主と五条悟   作:ラムセス_

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渋谷事変①

 京都校のメカ丸が内通者として捕縛、保護されたらしい。

 

 捕えられたメカ丸は相手側の呪詛師を裏切ってこちらについたとのこと。

 まさに二重スパイというやつだ。映画か何かのようだ。

 それによると、渋谷で五条悟を狙い呪詛師による大規模な破壊工作が行われるらしいのだ。

 

 呪術による大規模テロ。

 これまで長く政府により危惧されながら、実際起こってこなかった事態。

 それがハロウィンの日に起こるのだ。

 

 黒幕も初めからメカ丸の裏切りを想定していたのか、メカ丸には細かな計画は伝えられていなかったようだ。

 聞き出せた内容は渋谷のハロウィンで何かが起こるというだけ。

 暗中模索というには危機感が先んずるが、この場合は仕方なかろう。

 

 それと、メカ丸本人の処遇について。

 

 彼は裏切り者だが、この情報を伝えていたことで情状酌量の余地ありとして、今のところ比較的待遇はいいとのこと。

 このことには俺も一安心だった。

 交流会の野球で少し話しただけであまり接点がないが、やはり顔見知りが酷い状況に置かれるのは心苦しいものだ。

 

 黒幕たる男と一戦交えてボロボロでなんとか生き延びたメカ丸は、重傷で女医さんの治療を受けているらしい。

 

 

 高専地下の密談室にて、俺を含めた3人の人間が集まっている。

 

 1人は冥冥。一級術師で独特なキャラをした拝金主義系の御仁。

 1人は五条悟。イライラと指で椅子の肘掛けを叩いている。

 そして最後が俺、黒崎一護だ。

 

「件の黒幕は夏油傑と名乗ったらしい。見た目も、記録にある夏油本人と同様だったと。彼が生きていたとは思わないが…」

 

 冥冥が意味ありげな顔で五条へと視線を向ける。

 五条はそれに舌打ちで返した。

 

「どうせ死体をこねくり回して作った人形でしょ。ふざけやがって」

「キレんなよ、五条。相手の思う壺だろ」

「一護、分かってても納得できない事柄が世の中にはあるんだよ。……下手人は僕が潰す」

 

 キレ散らかしている五条がぎり、と深く歯軋りをしている。

 

 まあ、親友の遺骸を使われたら俺でもキレるのは間違いない。

 俺で言ったら雨竜やチャドの体を勝手に使われたようなもんだからな。

 

 くすくすと冥冥さんが笑って俺をするりと見る。

 

「それと、君が祓ったはずの人型特級呪霊が生きていたらしい。取り逃すとは、まだまだだね」

「う……すんません。探知能力をもっと鍛えます」

「と言うかそれ以前に攻撃が大雑把すぎるんだよ。街中の地下下水道なんて、一護だとまともに身動きも取れないでしょ」

「テメーはテメーでさりげなく俺をゴジラ扱いしてんじゃねーよ!身動きぐらい取れるわ!」

 

 ギャースと叫べば「図星?図星?」と五条が煽ってくる。野郎調子に乗りやがって。

 それを面白い見せ物でも見るように見る冥冥さんも大概人が悪い。

 まぁ、人が悪くない呪術師の方が少ないのではあるが。

 

「なんにせよ、今回はまだ術式をかろうじて発動できる程度の力しか持っていなかったようだね。完全に回復されると厄介だ」

「そんときは俺が責任もって祓うとするか。アイツ、なんか特級呪霊にしては弱かったし」

「産まれたてなんてそんなもんでしょ」

 

 メカ丸の証言だと名前は真人とか言ったか。

 あの程度の呪霊なら全盛期でも別に脅威でもなんでもない。

 

 俺たちは頷き合い、今後の動きについて詰めることとした。

 ハロウィンは明日。

 

 俺たち呪術師の威信にかけて、この大規模テロは止めなければならない。

 

 

 

 

 

 その日。

 

 警戒体制の敷かれたそこで、警備の穴をすり抜けて半径400mの帳が張られることとなった。

 一般人のみが出られない、特殊な嘱託式の帳だ。

 その性質だけで、なんらかの目的があることが呪術師達にも察せられただろう。

 

 呪術師は班分けされていた。

 七海班、禪院班、日下部班、冥冥班の四つだ。そのどれもが一級術師の引率によってまとめられている。

 

 五条・黒崎は帳の中に直接入って単独行動。黒崎の肉体は高専の中に隠されているそうだ。

 

 役割としては五条が強襲。

 黒崎に関してはその特異な技術でもっての連絡役としての活躍が期待されているらしい。

 

 はじめ、黒崎を用いて帳自体を壊すことも検討されたが、これほどの都心部で力を解放すれば一歩間違えれば大惨事となることが予想できたため保留となった。

 帳を破壊するはずが街を破壊しては意味がない、ということだ。

 

 こちらの指名先は五条悟。

 特級二名を投入したこの布陣で、呪術師達に負けはない。

 そのように上層部は考えていた。

 

 

 対するは、未だ万全でない特級呪霊真人。

 呪胎からの羽化を遂げた陀艮。

 呪胎九相図の一から三番は受肉済みで、やる気はないものの働く気は十分にあるようだ。

 そして呪詛師達。こちらは羂索にとってはおまけでしかない。

 ミミナナを含めた元夏油一派と真人には、手薄となった高専襲撃の依頼をかけてあるので別行動だ。

 

 集めた指は想定よりわずかに少ないが……この程度なら特段問題はないだろう。

 

 羂索は嗤って、その時の到来を待つ。

 

 呪術の新時代が来るのはまだ先かもしれない。

 あの黒崎一護の出現は想定外だった。

 

 百年ほどの計画延期も考えたが。

 この激動の時代に更なる混乱を落とすため計画を強行するのも悪くない。

 

 獄門疆を手の中で転がし、静かに目を伏せる。

 

 渋谷事変は今、始まったばかりだ。

 




・縛りの破りについて
交流戦での一件で京都校の一派が撤退中、羂索一派呪詛師二名と交戦したようです。
それが縛りに抵触した模様。

・羂索の思惑
獄門疆の脳内一分について、あらかじめ羂索の存在を分かっていたとしても直接姿を見られない限り青い青春は超えられないと想定しているようだ。
とはいえ、失敗した時のために逃走手筈も整えている。
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