黒崎一護なオリ主と五条悟   作:ラムセス_

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同期の影響

 

 渋谷の一件はその後。未曾有の大災害として世間を騒がせることになった。

 

 百名以上の一般人が命を落とし、数千人が重軽傷を負い、経済的損失は計り知れない。

 表向きは有害ガスが漏れたことによる集団幻覚とのことではあったが。

 それを信じない人々により多くの都市伝説が噂され、陰謀論の入れ食い状態となっていた。

 

 そんな中。

 肉体を失った俺は、東京校の連中を相手に、手加減の練習に精を出していた。

 

 つまり、俺がもっと強ければ今回のようなことにはならなかっただろうという考えだ。

 

 フィールドは交流試合を行った森だ。

 わらわらと夜蛾学長の作った呪骸が縦横無尽に動き回るなんとも牧歌的な景色だ。

 ここにおいて一年を相手にして、かつ森を破壊したり呪骸を壊したりしたら負けとなる。

 

「破道の一、衝!」

 

 白打メインで威力を比較的制限しやすい鬼道を放てば、凄まじい衝撃波が森の木々を抜けてギリギリ呪骸達を掠めていく。

 

 その隙を縫って虎杖が打ち込んでくる。

 本気なのかタイミングが良かったのか、俺の肩に決まった拳から黒い閃光が飛び散る。

 しかし残念。

 それを霊圧の壁で受ければ、その表層すら削れずに威力が散らされる。

 虎杖は拳を押さえて憤慨した。

 

「だから硬すぎだって!!黒閃ノーダメはズルだろ!」

「オメーの拳に力が入ってねーのが悪い。もっと気合い入れろ」

「入れてる!これ以上なく入れてるから!!」

 

 お返しに斬月の柄で思いっきりぶっ飛ばせば、威力を受け流し損ねた虎杖がもんどり打って樹木に叩きつけられる。

 これぐらいなら虎杖の頑丈さなら問題なかろう。

 

 虎杖の頭上を通り、鵺が木々を縫ってこちらに迫る。

 同時に脱兎がわらわらと地上を埋め尽くした。

 

 破壊はできないし非常に脆いので、鵺に関しては適当に白打で下へとカチ下ろしてノックアウトさせる。

 羽が帯電しているようだがその程度なら特段の防御策を取る必要もない。

 

 脱兎は数こそ多いが威力がないので無視。

 

 びよん、と頭の上に乗って髪の毛をむしってくるのが地味に邪魔だが、どちらかといえば視界が制限される方が鬱陶しいぐらいだ。

 髪?ん……まさか。

 

 脱兎の向かう先にいたのは、釘を携えて青筋を立てた釘崎だった。

 

「油断しすぎ。舐めすぎ。本気出さな過ぎ」

「お、う……」

 

 呪力を込めたトンカチと釘で、恨みの籠った全力の一撃が俺を捉える

 

 芻霊呪法、共鳴り。

 

 髪を媒介にした呪詛は速やかに俺の霊体へと到達し、体内から呪詛の棘が生え……なかった。

 は?と呆然と釘崎が立ち尽くす。

 

 媒体として髪の価値が低いこともあったのだろうが、それ以上に。

 

「心臓周りを霊圧、呪力で固めたからな。つか、それ言うなら本気出しても大丈夫な程度にお前らも気合い入れろよな」

「嘘でしょ…バケモンかよ」

「バケモンで悪かったな!」

 

 今度は霊圧を急激に上げて、面制圧攻撃とする。

 遠慮なしだ。魂を潰しかねないほどの霊圧を込めてこの半径50mほどを圧迫する。

 

 周りの呪骸は無事だ。

 霊圧のコントロールで意図的に対象だけを威圧できるようになったからな。昨日。

 

 かっ、と苦悶の声をあげて虎杖、釘崎、伏黒が地面へと倒れ込む。

 全員が膝をついたので、これにて試合終了である。

 霊圧を解除すれば、肩で息をして心臓を押さえた伏黒が、這う這うの体といった感じで言葉を紡ぐ。

 

「いつ、のまにそんな器用なことができるようになったんだ」

「昨日。よく分かんねーけど、何故か急に緻密な力の制御ができるようになって」

 

 何かから技術が流れ込んでくるかのような感覚だった。

 今はまだこの程度だが、一週間もすればもう少し高度な霊圧操作が可能になっていることだろう。

 

 まぁ、少しどころでなく不気味だが。

 

「肉体からのフィードバックか」

「フィードバック?」

 

 虎杖の手から口を出した宿儺が、何故かこちらへとじっと意識を向けている。

 

「気に入らんな。何かのバグか、俺が二人いる。俺は俺一人だけでいい」

「え、どゆこと?もっと詳しく」

 

 虎杖が何が何だかという顔で宿儺に話しかけるのだが。

 宿儺はそれをまるで無視して俺に集中している。

 

「貴様らを倒すのは俺だ。そこを履き違えれば殺すぞ」

 

 それだけ言ってむっつりと宿儺は黙り込んだ。

 何が何だかわからないが。まさか、俺の肉体をいま持っているのは両面宿儺なのか?

 

 

 いつのまにか今日の任務を終えてこちらを見ていたらしい五条が、すいっと空から降りてきて口を挟んだ。

 

「肉体からのフィードバックってことは、呪力操作の上達に関わるような何かが肉体の方に起こってるってことかな」

「つまりどういうことだよ」

「君の体、宿儺の器にされてない?って話」

「げ」

 

 俺は思わず顔を顰めた。

 宿儺が肉体を使っているということは、その状態で俺が戻ったらどんなカオスになるかわかったものではない。

 

 ただでさえ毎晩、本物の斬月二人に「一護はこんなんじゃない」「解釈違いにも程がある」「お前は一護のことが何もわかってない」と、こんこんと説教されているというのに。

 これ以上面倒くさい住人を増やしてたまるか。

 

 ふと見ると、地上に降りた五条が指をちょいちょい、とこちらへと立てて手招きしていた。

 

「あん?なんだよ」

「来なよ。夜じゃないけど偶には日のあるうちの手合わせも新鮮でいいでしょ」

「おい、虎杖たちが巻き込まれたらどうすんだよ」

「巻き込まれないように戦うのが訓練でしょ」

「ぐ……」

 

 呑気な声でからからと笑う五条はいかにも楽しそうだ。

 これは断れない流れ。

 ため息をついて構えれば、「あ、そうそう」と気の抜けた声で五条が注意を促した。

 

「野薔薇、恵、悠仁。下手したら死ぬと思うけど、頑張って生き残ってね。格上からの攻撃に耐える訓練ってことで」

「!押忍!」

 

 威勢よく返事をしたのは虎杖だ。

 安請け合いしやがって。ほんとに死ぬなよ。

 

 同時に進化した無下限を纏い直して、五条がニヤリと愉悦に笑む。

 これで俺も真の斬月を出さざるを得なくなった。

 

 斬月を鞘と剣両方に分け、始解と同時に虚化、完聖体を発動。

 

 瞬間。

 挨拶がわりに黒虚閃を乱舞させる。

 

 ギギギギと空間を削る音と呪力による閃光、そして凄まじい爆風があたりの木々を揺らした。

 

 閃光が木を抉る、と見せかけてギリギリ地面を抉り。

 呪骸にあたる、と見せかけて枝を擦り空へと抜けていく。

 神経が削られそうな緻密な霊圧操作を要求されている。

 

 それをワープするような速さでかわした五条が、凄絶な笑みのままこちらに獄門疆すら破った茈をぶっ飛ばしてくる。

 同時に概念にまで足をかけた蒼を設置。俺の機動力を削いでくる。

 見えぬ質量が空間を歪ませながら俺の髪を数本薙いだ。

 

 苦し紛れに虚弾を連打すれば、それを五条が無下限で受けて余波が地上へと流れ込む。

 

 一年生諸君が悲鳴をあげて逃げ惑った。

 

「待て待て待て待て!!!死ぬ!私ら死ぬから!ふざけんなこのゴリラども!」

「ゴリラはパンダ先輩に失礼だろ。世界観的にはたぶんドラゴ◯ボールだと思う」

「おい小僧、あっちの木の上に陣取れ。その方がよく見える」

「見える以前に死ぬんだよ!?」

 

 などとワイワイ話しながらも全力疾走で逃げ回る虎杖達は元気だ。

 意外と余裕あるなあいつら。

 

 月牙天衝を放つ、と見せかけてその場で増幅、加速させて収束するゼロ距離月牙として設置技に改造する。

 それをかわしきれなかった五条が脇腹を切り裂かれたようだ。

 そのまま反転術式でそれを素早く治癒している。

 

「いいね。呪力の流れがどんどん洗練されてきてる。唯一の欠点が解消されて、継戦能力も上がったはずだよ」

「……いや、正直俺呪力で苦労した経験ねーしな。よく分からねー」

「うーんまさにゴジラ。でもほんと今、事実上呪力が無限にあるに近しいからね。特級過呪怨霊・祈本里香もびっくりだからね」

 

 びしぃ!と指差しで五条が指摘するものの、俺の方は戦闘にそんな違いを見出していないから仕方ないだろうに。

 あえていうなら多少手加減ができるようになったのと、鬼道が使いやすくなったぐらいか。

 

 五条がダメだこりゃといいたげに肩をすくめた。

 

「まぁ、そこの違いを感じ取れるほど追い詰められない僕の力不足ってことか。あー、やだやだ。もう一段階無下限を改良してみたし、今晩使うからそのつもりで」

「おう。じゃ、今回はこの辺で……」

「冗談。夕飯まではぶっ通しで行こう。その後ビフテキ僕の奢りだから」

 

 土埃まみれで頭をガードしていた虎杖がガバッと起き上がって「ビフテキ!!!」と叫んだ。

 木の影に隠れたまま釘崎が「シースーだろうがそこは!!」と怒っている。

 

「俺、ラーメンがいいんだけど」

「じゃ、ラーメンで。特級権限で今晩はラーメン奢りになりましたー!」

 

 ぱちぱちぱちー!と拍手する五条。

 なお、虎杖と釘崎は激しくブーイングしている。伏黒は他人のふりをしているようだ。

 

 悪かったな、俺はラーメン派なんだ。

 

 そんなこんなで、俺たちはその晩パンチの効いたラーメンを堪能した。

 




・肉体
呪術高専を上げて人海戦術で捜索中。
基本は一護もそれに加わっている。

・ラーメン
仕方ないので死神化した状態で食べた。
側から見れば完全に心霊現象である。

・宿儺
チャンイチの肉体が霊体に極度に親和性と補完性を持っていたため、バグって二人になってしまった。
互いに「俺が本体だ」と思っている。
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