黒崎一護なオリ主と五条悟   作:ラムセス_

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 総則追加を検討中。

 それは「100点を消費して、かつ身代わりを立てることで死滅回游から離脱できる」というものだ。

 

 これは結構な問題だ。

 なにせ、総則を追加するとプレイヤー全員にそれが通知されるシステムになっている。

 出たいがために人殺しに手を染めるやつが出るかもしれない。

 つまり、殺し合いに一定の理を持たせてしまうことを危惧しているわけだ。

 

「俺は賛成できねぇ。お前の姉さんには術師と米軍が共同で守ってるホテルで安全に暮らしてもらった方がいい」

「そう、……だな」

 

 伏黒は曖昧に頷いた。

 相手は家族。やはり逸る気持ちは否定できないのだろう。

 19日は目前で、それを鑑みてもゆとりを持ってもう来てもらった方が安全なはずだ。

 

「心配すんなよ伏黒、俺らでしっかり守ればお前の姉さんも安全なんだ。黒幕さえ対処しちまえばそれで終わりだ」

「……ああ。そうだな。悪い、俺も焦ってた」

 

 

 そう、言っていたのに。

 

 

「なぁんだ。100点もらえないんだ。なら仕方ない。貴方達は放っておいて、宿儺のところへ行こうっと」

「津美紀…?」

 

 呆然と、伏黒はやってきた姉の前で立ち尽くすしかなった。

 悪辣に笑む目の前の女が誰なのか分からずに、自失してただ隙を晒すのみ。

 

 横についていた虎杖と来栖が臨戦態勢に入った。

 

 何の術式かわからないが、津美紀の背後にパキパキと構築されていくのは虫の羽のように見える。

 

「通してくれないの?」

「誰が通すかよ!伏黒の姉ちゃんを返せ!」

「無理よ。もう私のものだもの。そんなこともわからないの?」

 

 殴りかかる虎杖をひらりと避けて、津美紀の体を乗っ取った誰かは優雅に微笑んだ。

 

 こうなってしまっては仕方ない。

 本来虎杖に使う予定だったから伏せて置きたかったのだが、ここは聖別(アウスヴェーレン)を使うしかない。

 

 目を合わせてぶっつけ本番。

 相手の魂を補完して増強させる。

 幸いなことに伸び代はそこまでなかったらしく、聖文字(シュリフト)が宿る気配はなかった。

 

 ぐんと増した己の呪力に驚いたのか、津美紀が首を傾げて瞬いた。

 

「なぁに、それ。変な術式。相手の力を増幅させることが発動条件になってるなんて」

「そんだけ重い術式ってこった。無事で済むと思うんじゃねーぞ」

「あらやだ。仲間のお姉さんを殺すの?」

 

 くすくすと笑って津美紀が妖艶に手足を伸ばす。

 そして恋する乙女のように遠くを見てため息をついた。

 

「あーあ。目覚めてから初めての戦いは宿儺であって欲しかったのに。ままならないものね」

「初恋は実らないってやつじゃねーの?大人しくここで俺らにぶっ倒されろよ」

 

 未だ呆然とする伏黒の代わりに、虎杖が挑戦的に津美紀を睨みつけている。

 俺は大声で叫んだ。

 

「一分時間を稼いでくれ!俺の術式で津美紀の中にいる誰かを引き剥がす!」

「!できるのか?」

「出来る!この技の原理上、できないはずがねぇからな!」

 

 素早く反応したのは伏黒で、その瞳に希望が見え隠れしている。

 伏黒の希望を潰すわけにはいかない。

 

 俺は全力で内側にて霊圧を滞留させた。

 

 虎杖の膂力から放たれるストレートパンチを容易く受け止め、津美紀は虫のような腕を纏った。

 伏黒の鵺を切り裂いて落とし、天使の発する光の柱の間を縫って凄絶に笑う。

 

 そして異形のような虫の鎧を纏い、伏黒の肩を抉り取った。

 あまりにも速すぎる。かつ、膂力がありすぎる。

 虫の鎧を纏うだけあり、今の津美紀は人のサイズにまで膨れ上がった昆虫並みのスペックを実現していた。

 

 脇腹を爪で切り裂かれ、虎杖の動きが若干鈍る。

 それでも食らいついていけるのは、普段俺の速度、俺の膂力を体感しているからかもしれない。

 

 俺は己の袂に全力で神経を集中する。

 

 見分けろ、魂の輪郭を。能力の境目を。

 混ざり沈められた本来の魂を掬い上げ、津美紀の魂に混じり合った何者かのみを聖別する。

 

 失敗すれば津美紀ごと灰になる危険な賭けだ。失敗は許されない。

 

「───掲げよ」

 

 両手を広げる。

 いつかのユーハバッハのように、全能を主張して能力を制御する。

 

 俺は両の眼にて対象たる津美紀を視認した。

 

「銀の紋章・灰色の草原・光に埋もれた円環の途・瑪瑙の眼球・黄金の舌・頭蓋の盃・アドナイェウスの棺」

 

 津美紀が激戦の中、俺にかまいたちのような一撃をお見舞いしてくる。

 それも伏黒の脱兎が代わりにくらって壁となり、俺の元に届くことはなかった。

 

 俺は霊圧を、他人の身に宿ったかけらを全力で引き戻した。

 

「掲げるものは お前の心臓」

「っ、ぁ!!!」

 

 勝負は一瞬だった。

 突如降り立った光の柱を避けきれず、津美紀は聖別の光に飲まれて絶叫した。

 

 そして、そのままふらりと地面に倒れ込む。

 

 回収された魂が俺の中で消化されていくのを感じる。

 気分のいいものではなかった。

 

 と、そこでふと疑問を抱いた。

 先ほどの聖別で、何故か魂がもう一つ取り込まれたのだ。

 俺が力を分け与えたのは津美紀だけのはずだが……まさか、俺の体を使っていたという推定宿儺なのか?

 

 消化は一瞬だ。

 すでに消化し終えたそれが何者だったのか確認する術もなく、俺はややもやもやとした気持ちを抱えるしかない。

 

 伏黒が津美紀に駆け寄ると、頭を振って眉を顰めた津美紀がぱちぱちと瞬きした。

 

「え、誰?……恵?」

「本物、なのか。お前は本当に津美紀なのか?」

 

 津美紀を抱き寄せつつも、未だ疑心暗鬼らしい伏黒に俺が口を開く。

 

「霊圧がさっきと違ぇ。たぶん、それが本物の津美紀さんの呪力なんだろ」

「………!」

 

 じわり、と伏黒の瞳に涙が浮かぶ。

 そしてそれを乱暴に制服の袖で拭って、「よかった」と小さく呟いた。

 

 すると、頭を押さえて津美紀が僅かに顔を顰める。

 

「っ……痛」

「黒崎!反転術式を!」

「おう、それと念の為ホテルに在中してる医者の人にも見てもらうか」

 

 避難民の中に多少の医者がいたので、現在常駐医をやってもらっているのだ。

 患者に親身になってくれるいい人で、津美紀を見せる分にも十分だろう。

 

「…………なるほどな」

 

 いつもの侮蔑の笑いをさっぱりと消し去った両面宿儺が、虎杖の手の甲から俺を一つの瞳で睨め上げていた。

 

「力の下賜と、その強制簒奪。人間ではないな、貴様は」

「だとしたら何だよ」

「貴様からの力は受け取らん。その上で、貴様は俺が潰す。必ずだ」

 

 それだけ言って、憎悪すら感じる鋭い視線は閉じていった。

 

 

 

 

 ただただ真っ白な空間で、同じく真白い椅子に背を預けたユーハバッハがその瞳を開けた。

 床には光に焼かれたようなわずかな跡が残っている。

 

 ユーハバッハはポツリと言葉を落とした。

 

「あっけないものだ。所詮、その程度ということか」

「けどこれで虎杖の中にいる奴に同じ手は通用しねぇな。聖別を避けるにゃ力の受け取りを拒否さえすればいいだけの話だ」

 

 肩をすくめてホワイトが近場の柱に寄りかかった。

 ユーハバッハもそれに同意する。

 

「そうだな。だが、既にあの二人の力は完全に一護のものとなった。あの大雑把な一護のことだ。使いはしないだろうが…」

「王にも困ったもんだよなぁ。どうしてあんな脳筋になっちまったんだか。おっさんの教育が悪いせいじゃねぇか?」

「………」

「いやそこで無言止めろや」

 

 ホワイトのツッコミにむっつりと黙り込んだユーハバッハは、立ち上がってその空間を後にしようとして。

 そこで。

 

 

「どうも。新規入居者です。よろしく頼むよ」

 

 

 額に縫い目を持った男が、乱入を果たしたのだった。

 




羂索「いやー、いい物件だね!!眺めもいい!駅も近い!」
一護主「……解?捌?なんだこれ」
万「ッシャオラァ!宿儺と永遠の愛の巣ッ!ここが天国!」
宿儺「【★1 他入居者の素行も悪く最悪の物件です。絶対に入居しないようにしましょう】」
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