黒崎一護なオリ主と五条悟   作:ラムセス_

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アパートにて

 

 入学面接試験よりしばらくのち。

 俺は寮だという小綺麗なアパートに案内された。

 

 そこにはすでに先客がいて、廊下でうろちょろする五条と高校生らしき2人の影が見えた。

 段ボールが運び込まれているのを見るに、1人は俺と同じく今日入寮したのだろう。

 

 嫌そうに額に手を当てて肩を落としている黒髪の青年がため息をついている。

 淡い髪色のパーカーの青年が、こちらに気がついたのか歩み寄ってきた。

 

「お、ども。あんたも呪術高専の一年生?」

「まぁな。黒崎一護。そっちは?」

「虎杖悠仁だ。よろしくな!」

「……伏黒恵だ。一年が増えるなんて聞いてないんだが」

 

 虎杖と名乗った青年は、陽のモノらしい元気な挨拶で握手を求めてきた。

 ややむすっとした顔をしたクールそうな黒髪の方は、そのテンションに当てられてお疲れ気味のようだ。

 

 いや、疲れているのは虎杖のせいではなくその隣の五条の適当さ加減の方かもしれない。

 黒髪の青年にジト目で見られている五条は、しかし悪びれた様子もなくはははと笑っている。

 

「いやぁ、言うの忘れちゃってて!ま、そんなことはいいとして!」

「よくないですが」

「今日から向こうの部屋に住むことになった新しい一級術師の黒崎一護君です!はい拍手!」

 

 わー!と何も分かっていない顔でとりあえず虎杖が拍手をした。

 なお俺もわからない。一級っていうと、たしか呪術師における護廷十三隊副隊長みたいな位だったはずだ。

 それがまだ高専に入って間もない俺が?

 

 位などどうでもよかったが、流石に体面は気にする必要があるだろうと俺は声を上げた。

 地位だけのお飾り術師と言われる気はさらさらないからだ。

 

「いやそれ、いいのかよ。俺実績も何もねーし、何より呪術のことなんてかけらも分かってねーんだぞ」

「呪霊はそんなの待ってはくれないからね。実力主義というより、現実問題君みたいな強者を遊ばせておく余裕が無いのさ」

 

 建前なんかよりもひとまず人手が必要、ということらしい。

 特に強力な呪霊に当てることのできる高位の術者は少なく、めちゃくちゃに多忙なのが近年問題視されているらしい。

 

 ようは有能な少人数に仕事が集中し過ぎてヤバい、と。

 

 また五条悟の推薦もあるし、過去10年間のうちにこなした特級案件8件の実績もある。

 そして単独にての国家転覆が可能な戦力もある、ということでの一級認定らしい。

 

 これは暫定的な処置で、後日五条と補助監督を伴った正式な特級任務があり、そこで認定されれば特級に上がるのだという。

 

 なんとも大袈裟な言葉の響きに、俺は視線を横にずらして眉を顰めた。

 

「国家転覆可能ってな…どんな基準だよ。できねーよそんなこと」

「僕の無下限を抜いたあのシン・ゴジラめいたビーム、あれで東京を薙ぎ払えば普通に可能でしょ。空間歪めるほどの呪力なんて、ほぼ怪獣映画の威力だったよ、アレ」

 

 シンゴジってお前、………いや、俺全力の王虚の閃光ならビルを薙ぎ払うぐらいできるだろうけども。

 

 その言葉に反応したのは伏黒と名乗った青年だった。

 訝しげに五条を見て眉間に皺を寄せるあたり、いかに日頃から信頼されていないかがわかる。

 

「無下限を抜いた?本気で言ってます、それ。冗談にしては悪質ですよ」

「もっちろん本当だとも。凄いよ、憂太の呪力量がコップの水なら、このお化けは大浴場ぐらいは軽くある」

「え……嘘ですよね?」

「お化けって失敬な。俺の一番の取り柄が霊圧、じゃない、呪力量なんだから仕方ねーだろ」

 

 絶句する伏黒の様子になんだか恥ずかしさが込み上げてきて俺はパタパタと否定に手を振らなければならなかった。

 オレツエーなんてその時その時の状況次第なんだから、実績を作る前にハードルを上げるのは止めてくれ!

 

「おぉ……ってーと、それって宿儺とどっちが強い感じ?」

「宿儺?なんだそれ」

 

 ひとまず外食、ということで皆で歩きがてら話を続けていると、しばらく黙って様子を見ていた虎杖が口を挟んできた。

 虎杖が出し抜けに言い出したことに伏黒は凍りつき、五条はニヤっと悪質に笑って答えた。

 

「純粋な呪力量なら流石の呪いの王も敵わないんじゃないかな。まぁ、使い方が超雑だから継戦能力と直結してるとは言い難いけど」

「う、うっせーな。悪かったな、呪力操作下手で!」

「難しいのはわかるけど、本当そこは君の直すべきポイントだからね。君の使い方、大雑把過ぎて一般術師なら刀の一振りで呪力切れは確実だから」

「くそぅ……」

 

 ボロクソ言われても何も言い返せず俺はガックリと肩を落とした。

 そんな様子になるほど、と口を開こうとした虎杖悠仁の頬に。

 突如口がニョキっと生えた。

 頬に生えた口はしばし沈黙を守った後、重苦しく喋り出す。

 

「貴様、本当に人間か?」

「あっまた!……悪りぃ、気にしないでくれ」

 

 パチンと己の頬を叩くものの、その頃には口は跡形もなくなくなってしまっていた。

 

 ………。

 いやいやいや、なんだそれ!?

 

「!?!?!?」

「あー、あれ。そういや一護には言ってなかったか。両面宿儺って昔の化け物が体の中に入ってんだよね、悠仁」

「ぅお………本気で第七班じゃねーか。ナルト枠埋まっちまった…」

「七班?」

「いや、こっちの話」

 

 ついメタ的なことを口走ってしまったが、まさか本気で腹に何か封印されてる奴が居るとは。

 これは本気で伏黒あたり名家の出身かもしれない。残る1人は女子で間違いない。

 

 そして先ほどの謎の口が発した言葉に、俺はうーむと腕を組んで考え込んだ。

 

「俺が人間かどうか、か。地味に哲学的な内容だよな。我思う故に我あり的な」

「ある種、あの呪力体の姿が受肉したモノだと言えなくも無いからねぇ、君。どう思う?」

「思うも何も俺は人間だ。けど……」

 

 その先は言わずに、「あ、あそこのラーメン屋にしようぜ」と言って話を打ち切った。

 

 俺は人間だ。けどそれと同時に死神でもある。

 

 それはこの死神のいない世界においては単なる戯言でしか無いけれど。

 間違いなく俺の誇りで、魂の根幹にある信念なのだろう。

 




宿儺「………」
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