黒崎一護なオリ主と五条悟   作:ラムセス_

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明日の投稿はお休みです。


復活

 

 只今、至極上機嫌だった五条の機嫌が急落し、落差で霜柱ができそうな冷え具合なり。

 

「本当に皆殺しにしてしまおうか、上の連中」

 

 字体が歪んでそうなギシギシとした声色に「おわ……あぁ」とちいかわみたいな引いた声が出てしまう。

 でも俺も平静というわけでもない。悲しいし、なにより酷く悔しかった。

 

 先日の呪胎案件で、3人の同級生のうち1人が死んだ。

 呪霊に殺されたというより、出現した宿儺に体を乗っ取られ殺されたとのことだ。

 

 知り合ってどれほど短い期間だったとして、虎杖は俺とともに戦う戦友だった。

 その心根、性格は死んでいいやつではなかったのに。

 

 俺はやりきれない思いを大きく息をつくことで受け流して、パイプ椅子から立ち上がった。

 しかしながら上の連中の仕業、というとどうも居心地が悪くなる。

 

 憤りを隠す様子のない五条へ視線を向け、俺はそっと後ろから話しかけた。

 

「皆殺しってか、偉い連中はもう皆殺しにされてて幻術かなんかで黒幕に取って代わられてるとか無いよな?」

「なに、陰謀論とか信じるタイプ?みかんが腐ってるのは昔からだよ?」

「いやぁ……ちょっと思っただけだっつの」

 

 よかった。中央四十六室案件ではないようだ。

 ただし軽く答えてくれるものの、相変わらず五条の空気は冷え切っている。

 

 同室にいた伊地知さんがガタガタ震えている。可哀想に。

 そしてそれを意にも介さずリラックスした様子でタバコを吸い続ける女性医師さんは何者だろうか。

 女性医師さんがふー、とタバコの煙を吐き出して顔を上げた。

 

「で、『魂が見つからない』だったっけ?死んだ宿儺の器の」

「ああ。だからもしかしたら宿儺が関係してんじゃねぇかと思ってんだけど」

「なるほどね」

 

 目の前には寝台に寝かされた虎杖の死体がある。

 魂は無い。

 現場となった少年院の周囲を一度探してみたが、それらしい影を見つけることはできなかった。

 

 しかしそれはおかしいのだ。

 俺は今まで虚退治の傍ら、被害を受けて死んでしまった人々の魂葬を行っている。

 だからこそ死した人が整(プラス)となって漂っていることを知っているし、尸魂界と言わずともなんらかの形であの世があることも知っていた。

 

 五条がポンと手を打って得心がいったという顔をした。

 

「ああ、なるほど。君の呪力体は魂を体から出して、それに呪力を纏わせて動かしているんだね。魂を起点にした術なんだ」

「まあ…そうなるけど」

「体からわざわざ出すのは呪力過多で身体にダメージが行かないようにするためかな」

「あーー、感覚的なもんだから俺に聞かれても困る。ただ、俺の術式?はこう使うってだけで」

「そんだけ意味不明な術式を感覚だけで使う君も君だよ。まぁ、感覚だからこそ使えているってのもあるかもしれないけど」

 

 ふーん、と特に興味のなさそうな女医さんがタバコを咥え直した。

 

「この宿儺の器の魂がどこへ行ったか、か。宿儺が小細工したとしたら少々厄介だ、………ね?」

 

 そこまで言ったところでパッと後ろを振り返り、無言で目と目を合わせる。

 

 そこには。

 完璧に霊圧が消えていたはずの虎杖が、むくりと起き上がって「え、なにここ、どこ?」と間の抜けた声をあげていた。

 

 パッと俺に室内の視線が集中する。

 

「虎杖の霊圧、えっと、呪力っすね。相変わらず両面宿儺の方の霊圧も混じってますけど」

「本人か。んー、残念。せっかく器を解体する二つとない機会だったのに」

 

 ふらりと五条が立ち上がる。

 無言のまま虎杖に近寄る五条の足取りは幽鬼のようだ。

 彼は彼で、やはり怒り以上にショックを受けていたということなのだろう。

 

 おかえり、と五条は絞り出すように言った。常の軽さを表したようにも、万感の想いが籠っているようにも聞こえる声だった。

 俺も慌てて虎杖に駆け寄って、はぁと大きなため息をつく。

 

「お前さぁ、軽く死んでんなよ!あの世は良いところってわけでもねーんだぞ!」

「え、なにそれ。行ったことあんの?」

「言葉の綾だ!とにかく、あの宿儺とかいう悪質な呪いに頼るのは金輪際無しだからな!」

「まぁ、それはうん。俺もちょっと後悔してる」

 

 この世界のあの世が尸魂界であるかは定かではないが、もしそうなら地獄よりマシという程度の立ち位置でしかないからな。

 

 原作のルキアは「住み良いところぞ」とかいってたけどとんでもない。

 完全なる運で底辺地区に割り振られたら、クソみたいな生活を強いられること請け合いだ。

 

 眉間に皺を寄せる虎杖の姿を見て、俺はふっと肩の力が抜けていくのを感じた。

 初めての仲間を失うことが、自分で思ってたより意外とストレスだったのかもしれない。

 

 霊体と成れる俺にとって死は今生の別れというわけではない。

 でも。

 

 怖い顔をしていたはずの五条はいつも通りの顔を被り直して、にっこりと微笑んだ。

 

「じゃ、悠仁はこれから修行ね。死なないための基礎能力をつけましょうってこと。一護も任務こなしながらついでに一緒に修行しよっか」

「俺も?」

「いやぁ、イヌガミとの戦い見てたけど、やっぱ呪力の使い方酷いね!ほぼゴジラが暴れてるだけだったし!」

 

 ぐっ、と反論の言葉を飲み込む。

 ゴジラ扱いはどうかとも思いつつ、俺が呪力にかこつけてセーブということを学んで来なかったのは確かだからだ。

 仕方ない、腹を括ろう。

 

 振り返り、虎杖に向かって軽く拳を上げる。

 

「よし、お互い頑張るとするか、虎杖!」

「おう!」

 

 ばしっと拳を合わせ、俺はニッと微笑んだ。

 




・特定疾病呪霊「イヌガミ」
頭が本体。
呪力を血の川に変えて変幻自在の刃とするほか、攻撃の当たったものに呪毒を流し込んで狂死させる術式を持つ。
領域展開にて必中となり、敵は狂犬病による狂死を余儀なくされる凶悪な特級呪霊であった。
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