“来たよ、サヤ”
研究室の扉をノックしながらサヤに呼びかける
「先生!早く来て!」
バタン!とサヤが勢いよく扉を開け、そのまま私の腕を両手を掴み、部屋の中に引き入れる
随分とテンションが上がっているようだ
“わわっ、サヤ!”
サヤをなだめようとするが、本人は興奮冷めやらぬといった感じで、私は部屋の奥まで連れていかれた…
「これを見てなのだ、先生!」
サヤにそう言われ、目の前にある紫色の液体が入ったフラスコに目をやる
“これが…不老不死の霊薬?”
「そうなのだ!…と言いたいところだけど完全な不老不死の霊薬とは言い難いのだ」
“と、いうと?”
「理論上は間違いなく不老不死になれる霊薬ではあるのだ。ただ、効果が持続するのは良くて数ヶ月だと思うのだ」
“それでも十分凄いと思うけど…どうしてそれが分かるの?”
「不老不死の霊薬を作る上で一番の難所と言えるのは、肉体の永久的変化。…先生はなんで人や生き物には寿命があるのか分かるのだ?」
“うーん、難しい問いだけど…”
“サヤの意図に合わせて言うなら…肉体の設計図、DNAによって決められているから、とか?”
「うん、正確にいうなら色々要因はあるけど、究極的には遺伝子によって決められているからという認識でいいのだ。」
「それを踏まえると、不老不死にするということは肉体の遺伝子情報を書き換える必要がある、ということになるのだ。でもそれは…」
“…なるほど、確かにそれは倫理的にね…”
「うん、倫理道徳を完全に無視すれば不老不死の肉体を造るのは不可能ではないと思うのだ。それに別のアプローチ、それこそミレニアムサイエンススクールの科学技術の粋を集めれば、意識だけを機械に移して事実上の不老不死にするなんてことも恐らく可能だと思うのだ」
「でもボク様の追い求める不老不死はそういうものじゃなくて…そこでボク様は肉体の遺伝子情報をなるべく変質させずに不老不死を実現する霊薬を研究してきたのだ」
“なるほど、つまりその成果が今目の前にある霊薬というわけだね?”
「そうなのだ!効果は数ヶ月しか続かない代わりに、疲労・怪我・病気に対して効果的な効能をもたらし、致命的な怪我を負ったとしても死なない!……はずなのだ」
“………”
“つまりこれを私が飲むと…”
「…うん、ネズ助はどこかに行ってしまっているし、ボク様は霊薬の効果を検証する必要があるからこれを飲む訳にはいかないのだ」
“これ、本当に安全?”
「安全性に関しては心配しなくていいのだ!人体に有毒な材料は使ってないから!」
“……”
“覚悟を決めるか…”
そう呟いてサヤが見守る中、私はフラスコの栓を外し、一思いに紫色の液体を仰ぐ。
その後二人は黙り込み、何か変化があるか待った
“何も…起きないね”
「うん、まあ速効性は元々ないだろうと思ってたのだ」
私は肩の力を抜き、安堵する。少なくとも灰色の毛が身体中に生えてきたりするなんてことがなくて良かった
「後10分か20分待ってみて、身体に拒絶反応が出なければ安全だと思うから、暫くここで座っておいてほしいのだ」
“分かったよ”
その後、サヤと雑談をしながら一時の休憩時間を楽しんだ。
翌日
可及的速やかに曇らせからしか得られない栄養を先生方にお届けしたいのですが……中々難しいものですね。
参考元
〇佐藤ちなみに様「博士/博士(CV:重音テトSV)」
https://youtu.be/QzyRrsDuajc?si=FSCwdry5_DBajaq9
〇江芹ケイ様「モモトーク風レイアウト」
https://syosetu.org/novel/334672/