それからというもの、サヤが作成した不老不死の霊薬(数ヶ月限定)は爆発的に売れた。
最初は山海経高級中学校内部でだけ販売をしていたが、名前は広く知られている練丹術研究会が正式に販売しはじめたこと、そしてシャーレの先生が効果を証明しているということが相まって、口コミは瞬く間に拡散され、注文がひっきりなしになっていった。
サヤは不老不死の霊薬をひたすら作るロボットに成り果て、私が様子を見に行った時には屍のようになりながら『不老不死の霊薬の詳細な効果測定と研究がままならないのだ……』とぼやいていた。
そんなことがありながらも、時は流れ
「ゲヘナとトリニティの首脳部、エデン条約調印に最終的な合意へ」
街の各地に設置されている大型モニターには、クロノス報道部の学生が本日「通功の古聖堂」にて行われる調印式についての解説を行っている。
そんな中私は古聖堂内部の中央ホールに来ていた。
“まだしばらく暇そうだし、てきとうにぶらつこうかな”
そう考えながら歩いていると、トリニティの正義実現委員会とゲヘナの風紀委員らしき部員が近寄ってきた。
「すみません、業者の方ですか?こちらは入れませんのでご遠慮を」
「そこ、こっちは関係者専用だ。見物人はあっちの方に」
“一応関係者です……。”
「……そこの風紀委員の方、今この線を越えませんでしたか?」
「は?そっちが線を踏んでたから、どかそうとしたんだけど?」
そうして正義実現委員会と風紀委員が言い合いを始め、危うく戦闘になりかけたがツルギとヒナタが仲裁してくれた。そしてツルギと別れた後、ヒナタに古聖堂を案内してもらうことになったのだが…。
《ピロリン♪ピロリン♪》
静かな古聖堂に着信音が響き渡る。「シッテムの箱」とは別に私が持っている仕事用のスマートフォンからだ。
“着信?サヤからだ”
ヒナタにちょっとごめんねと謝りながら距離を取り、電話に出た。
“サヤ?どうしたの?”
『………』
“サヤ?大丈夫?”
『先生……その……』
“……。うん…どうしたの?”
“(いつものサヤとは様子が違う。何かに酷く動揺…いや、憔悴しているような…)”
『その……出来れば、直接会って話したいのだ……』
“分かった、すぐ向かうね”
電話を切り、ヒナタに用事が出来たと言い、返事も聞かずに駆け出した。
そして走りながら、最寄り駅に向かっていた。
その時だった。
空がほんの少し明るくなり、息を乱しながらもふと私は空を見上げる。
“なんだ?光が………!アロッ”
ドカアアァァァァァン!!!
直後、極大の光と衝撃により、あなたの意識は途切れた。
「……い!」
「先生、目を覚ましてください!」
“アロナ……?”
「先生、大丈夫ですか!?気を確かに……!」
“いったい何が……。”
「古聖堂が爆破させられて……何とか先生を守ろうとしたのですが……。」
「もうこれ以上は…………しっかり……力が……」
“アロナ……!?”
目を覚ますとあなたは瓦礫の間に収まる形で倒れていた。幸いにも自力で抜け出すことができ、周りを見渡すと一面全ての建物が崩壊し、瓦礫の山が出来ていた。
あなたは半ば茫然となりながらも、怪我人がいないかゆっくりと歩き始める。
すると、あなたは何かを発見する。
瓦礫の向こうにいくつかの、いや、いくつも光が見える。
きっと何かの。そう、飛び散ったガラスや金属の破片が光を反射しているんだ。
それに 私は残業続きで、
わたしは 疲れてるんだ 。
何か 見間 違い、
違いない。
そう。
そうだ、
きっとそうだ。
そうにちがいにない。
ちがいないんだ。
フラフラとあなたは、自問自答しながらそれに近づく
みる
「う、…ぁ……っげォァッ」
顔を背けてあなたは胃の内容物をぶちまける。
今朝ユウカの鼻歌を聴きながら淹れてもらったコーヒー。
エンジェル24でソラと楽しく会話しながら買ったサンドイッチの具材と栄養ドリンク。
昨夜夜食として美味しく食べた、ほとんどが胃液で消化されていてドロドロになったカップラーメンの麺。
それらが全て喉から吐き出された。
「えォ…がっ、ぜひゅっ…はぁ……はぁ……」
吐ききった後、あなたはもう一度そちらに視線を向ける。
そこには赤色を主として黒色、茶色、黄色など様々な色が混ざりあったおぞましいナニか、そしてその上部には爛々と輝くヘイローが存在していた。
巡航ミサイルの爆風による影響か、それとも火事によるものか分からないが、その生徒は胸部より下、そして右腕の肘より下が欠けていた。
加えて…これは建物が崩れた残骸だろうか。その生徒の鼻より上を完全に押し潰していた。頭部付近には、 まるで糊を多く付け過ぎると紙と紙の間からはみ出てしまうように 半ば液体となっている脳漿が押し出されていた。
にも関わらず、生きている。
その生徒は通常人間が死の直前に見せる下顎呼吸のように、口をガチガチと動かしている。
それだけならば、死の直前であるが奇跡的に肉体が生き残っている。そう解釈できるだろう。
ただ一つ異常なのは、ヘイローが輝いていることだ。
それも切れ欠けの蛍光灯のように明滅しているのではなく、真新しいLED電球のように。
それにヘイローの位置もおかしい。通常生徒の頭上後方にあるはずのヘイローが、その生徒に限っては口の真上に浮いている。
これ以上見ていられず、目を背ける。
落ち着け、落ち着け、とあなたは心の中でひたすら繰り返す。
あなたが周りを見渡すと、いくつもある光は全てそのナニかと同じものであった。
いや、それだけではない。生徒以外の…恐らく一般市民である住人やロボットのものらしきナニかも散らばっていた。
それらを良くみてみると、いずれも僅かに動いている。
中には、ドクッ、ドクッ、と元気良く鼓動を続けるナニかもあった。
あまりの光景にあなたは眩暈を起こして倒れそうになり反射的に手を地面につくが、そこにも別の「生徒」がいて、思わず押し倒した形になってしまった。
シーンが違えばまるでその「生徒」とそのままキスをしていそうな距離まで顔を近づけてしまったあなたは、思わず硬直する。顔が潰れており誰かは分からないが、見覚えのある角があった。
「 フ、フウ、ッ」
あなたは咄嗟に口を噤んだ。それを口にしてしまえば終わると思ったからだ。
そしてその直後、あなたは地面についた手の中に違和感を感じ、右手だけを表に向けた。
「あ"
手の中には長い髪の毛が数本とフ◼️◼️の頭からで き
と思わ る◼️漿、そして◼️◼️◼️の 液 べっとり 付着 てい 。
◼️◼️◼️の 液がうでからたれて、ちぎれる寸前だった◼️◼️が、ボトッとおちて、それが◼️ ◼️のかおのよこに ちて、それで ◼️の おは、
"そうだ"
"こんな所に彼女がいるはずがない"
"今は丁度お昼前だし、大量のゲヘナ生の給食を作っているに違いない"
"いや、もしかしたらまたジト目になってハルナに誘拐されているかも"
そのように想像して先生は思わずクスッとしながら、おもむろに立ち上がる。地面に手をついて汚れてしまったので、軽くぱっぱっと手を払った後、何度か自分のズボンで拭き汚れを落とす。
"そういえば、フウカは今どこにいるんだろう。今日は和食の気分だし、私もフウカに何か作って貰おうか"
そう思い、モモトークを開いてフウカの連絡を取る。
そして先生はフラフラとした足どりでありながらも、ほぼ無意識に「なんとかして」もらえそうな人物の元へと向かった。
『給食部』と車体に書かれたバイクを残して。
問1、フウカの顔は潰れていますが、幸いにも聴覚器官及び脳の聴覚野は潰れていません。この時の彼女の心情を述べよ。
蛇足1:
モモトークの内容で「私、今ちょうどゲヘナにいて~」と言っていますが、普通にトリニティにいます。なんでこの人嘘なんかついてるんですか?
蛇足2:
「キヴォトス最高の神秘」ー小鳥遊ホシノに対して黒服はそう評価していました。「最高の」ということは、生徒が有している神秘にも高い・低い、言い換えれば強い・弱いのような強度の差があると考えられます。小鳥遊ホシノやヒナなどは強靭な物理的耐性があり、ツルギのような生徒は尋常ではない再生力があります。しかし普通(ここではモブを指す)の生徒、すなわちブルーアーカイブという物語、テキスト上においてあまり重要ではない者に上記の生徒のような耐久力や再生力はそこまでないのではと考えました。例えばゲーム内ではモブ生徒が負傷している描写が複数ありますし、トリニティバンドイベではヨシミやナツなどモブ生徒よりは比較的能力が高い、あるいは神秘が"強い"と推測される生徒にも青タンや傷が出来ていました(ギャグ描写であった可能性を除くものとする)。
以上のことから、巡航ミサイルによる爆風や衝撃によって伴う破片物だけであれば一般生徒でも耐久は可能であるが、建物の倒壊や重量物の衝突、火事による影響などは一般生徒を十分█に至らしめるだけの影響力があると解釈しました。とりわけトリニティという由緒正しき建物が立ち並んでいそうな土地では、ミレニアムのように建造物がそろって堅固というわけではなさそうなので、本作品では原作よりも巡航ミサイルによる影響を盛りました。
と、生徒がバラバラになった理由を適当につらつらと述べた訳ですが、結局のところ生徒が臓物だけになってもヘイローがばっちり付いているというのを書きたかっただけです。
██スパゲッティ美味しい生徒ランキングというものがあるのなら、生徒(██のすがた)になっても歴戦の先生方なら受け入れられるのではと思って……
次回が恐らく最終回になると思います。