腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする 作:サボテンダーイオウ
ザフトは全軍停止の命を受け、一時撤退。
キラたちはアークエンジェルへ帰還――しかしその先に待っていたのは、フラガ大尉の鉄拳制裁。
「嬢ちゃ~ん? 説明、してくれるよな~?」
「いたっ! 頭ぐりぐり禁止ぃぃ!」
「アマキさん、代われるなら代わりたい!(むしろ代わりたい!)」
涙目のアマキに呆れるキラ、そして整備班からの冷たい視線。
「結果オーライだったんだし、いいじゃん」
「オーライじゃねぇ! この後どうすんだ!」
「ラクス返して、合流して――」
「アホか! そんな簡単にいくわけないだろ!」
さらにフラガからの手刀が炸裂。「いたっ!」と呻きつつ、アマキは首根っこを掴まれブリッジへ連行される。
マリューの声が凍りついた艦内に響き渡る。
「すんませーん」
「全然、反省してないわね。この子」
「土下座でもすればいいんすかね」
「開き直ったわ。独房でもどうかしら?」
「独房で決定でしょう」
「クソ申し訳ありませんでしたぁーーっ!!」
――アマキ、豪快な土下座を披露。
マリュー&ナタルが沈黙のまま冷たい視線を送り、しばらくの間、ため息しか返ってこなかった。
「もう……こうなっては仕方ないわ」
マリューが額に手を添えながら呟く。
「できるだけ早く、ラクスさんを向こうにお返ししましょう。何があるか分からないけれど、準備だけは万全にしておかなくちゃ」
「了解しました」
ナタルは冷静に返答。
視線は依然、アマキに刺さり続けている。
「アマキさんには、あとで反省文を書いてもらいますから」
「了解っす」
――そして、マリュー&ナタルの見事なシンクロため息が、艦内をじわっと包み込むのだった。
アマキが黙々と反省文を綴る頃――キラはひとり、展望デッキへ足を運んでいた。
目の前には宇宙。背後には誰もいない静寂。
それでも、心はとめどなくざわついていた。ぽつぽつと涙が流れ出す。小さな粒が、宙にふわりと浮かびあがる。やがて――堰を切ったように叫びが溢れた。
「うわぁぁあああ……」
そのとき、背後からふわりと声が届く。
「どうなさいましたの?」
振り返れば、そこに浮かんでいたのはラクス。
可憐な姿で、悪びれた様子など一切なく。
「ど、どうしてこんなところに……」
「大きなお声が聞こえましたものですから」
キラが目を丸くする間に、ラクスは静かに近づく。
「ダメですよ。勝手に出歩いたら――またアマキさんに怒られてしまいますよ」
「うふ。それもまた楽しいのです。わたくしのために必死に探されるアマキ様を想像するだけで、胸がドキドキしてしまいますの」
キラは苦笑しつつ、そっと手を伸ばす。
「ほら、部屋に戻りましょう」
ラクスはその手を取らず、ふわりと天井近くへ舞い上がった。
「戦いは終わったのですね。なのに――貴方は、とても悲しそうなお顔をしていらっしゃる」
キラはその言葉に、心の鍵が外れたような気がした。
そして、顔を崩しながら静かに語り出す。
「僕は……僕は、アマキさんへの恋心を自覚してから……誰かがアマキさんと関わるだけで、全力で妨害したくなるくらい大好きなんです。でも、それはできない。嫌われたくない。
だから全部受け入れようって決めたけど……無理なんだよ。だって……!」
キラの声が震える。感情があふれ出す。
その陰で偶然聞いてしまっていたカズイは、そっと立ち去る。
秘密かと思いきや、恋の話。
いたたまれない気持ちになって――「聞いてないことにしよう」と背を向けた。
そしてキラの告白に、ラクスはやさしく微笑んだ。
「そうでしたの……わたくしも、よく分かりますわ。そのお気持ち」
「え……?」
「アマキ様は、わたくしにとって尊い方。“推しを推す”という気持ち――初めて、理解いたしました」
「……おし?」
聞き慣れぬ言葉に、きょとんとするキラ。ラクスは気に留めず、話を続ける。
「わたくしを“普通の女の子”として接してくださる、唯一無二のお方――アマキ様。
……キラ、わたくしは貴方の味方です。貴方なら……アマキ様を、託せるような気がいたしますの」
キラの目に、再び涙が滲む。
けれど――今度は、温かい感情に包まれていた。
「ありがとう、ラクスさん」
「どうぞ、“ラクス”と」
「ラクス……!」
「キラ」
ふたりは、静かに手を取り合った。
互いの気持ちを受け入れ、交差した心が結ばれていく。
強く――けれどやさしく。
宇宙にふわりと浮かんだ、信頼と共鳴の瞬間だった。
返還の場。
イージス、エリス、ストライク――三機が静かに並び、互いに距離を保つ。
どこか張り詰めた空気。
そして、各機のコクピットが静かに開く。
「アスラン・ザラ……来たか」
『エリスのパイロットか』
アスランの声は静かだが、冷えた火花のような鋭さを含んでいた。
「ラクス。君から何か、言葉を」
促されてラクスはイージスへと振り向き、優しく手を振る。
『はい、アスラン。お久しぶりですわ』
『……確認した』
アスランは応じながら、静かに機体から降りる。両腕を広げ、ラクスを受け止める体勢で待つ。アマキはラクスの背中に手を添えようとするが――ラクスがそっとその手を押し返す。
『お待ちください』
「……どうした? アスランが待ってるぞ」
ラクスの瞳は、どこか切なげだった。
『……また、お会いできますか? アマキ様』
少しだけ、声が震えていた。
「できるさ。きっとな」(……脱走だけは勘弁して)
『ええ。きっと』(つては確保してございますので、ご安心を)
アマキの背筋に微かな悪寒。
――いや、気のせいだと自分に言い聞かせて。
今度こそ、ラクスの背を押した。
彼女は静かに向き直り、そのままふわふわとアスランの腕の中へと収まった。
その瞬間、アスランはふと視線がラクスのお腹に向かう。
……え? ポコッと?
(これは……気のせい……気のせいだ)
とにかく今、目の前の交渉に集中するしかない。
『キラは――こちらに返してもらえないのか?』
アスランの問いかけに、アマキは冷静に答えた。
「キラが、君たちと行きたいと言うのなら、連れて行って構わない。彼の意思を尊重する」
『アマキさん!?』
驚くキラの声が、通信越しに跳ねる。
アマキは、彼に向かって静かに語りかけた。
「キラ。君がこれから苦しまないで済むチャンスなんだ。同胞を殺さなくて済むなら、それが一番じゃないか」
『でも僕は――っ!』
その続きは、アマキが被せるように遮った。
「ご両親がオーブにいるなら、交渉次第ではプラントに呼ぶことだってできるかもしれない。……もう、人を殺さなくていいんだよ」
キラに、これ以上“戦う痛み”を味あわせたくない。その一心で、アマキは言葉を尽くす。
『キラ、来い! 一緒にプラントに行こう!』
『キラ……』
アスランとラクスが、キラに手を差し伸べる。その声は、温かく、切実だった。
アマキもまた、心のなかで願っていた。
(キラ……行くんだ。君には平穏な場所が必要だ)
だが――キラの答えは、もうとっくに決まっていた。
『僕は――行かない!』
『キラっ!?』
『アスラン……僕は行かない。アマキさんを、一人にしたくない!』
その言葉は、強く、揺るぎなかった。
「キラ……」
アスランの表情が、僅かに揺らぐ。
道を違えるという現実が、静かに迫ってくる。
『ならば――次は、戦場でお前を撃つ』
『……僕もだよ、アスラン』
選ばれなかった道。
それが、ふたりの決別だった。
そして、その選択こそが――キラの戦う理由になる。
おまけ
フレイ「アンタ、自分もコーディネーターだからって本気で歌ってないんでしょ?」
キラ「いや、ラクスさんは歌姫だから。僕はそういうの苦手だし」
アマキ「フレイだって歌ってみればいいじゃないか」
フレイ「私?私は・・舞台が整ってないと無理なの。アマキさんが一緒に歌ってくれたら私も歌えるわ」
アマキ「私?無理無理。音痴だもん。ラクスなら歌ってくれるかも」
ラクス「わたくしですか?フレイさんがよろしければ」
アマキ「じゃあさみんなで歌えば?」
「「「賛成」」」
ラクス「ではさんはい!」
アマキ「ほげ~」「「「~♪」」」
フレイ「……何いまの」
キラ「アマキさんだったりする?」
アマキ「ん?なに?」
ラクス「独特な声ですわね」
アマキ「ほげ~」
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