腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする 作:サボテンダーイオウ
今年もよろしくお願いします。
砂漠の虎——アンドリュー・バルトフェルドは、冷ややかな表情で作戦の幕開けを告げた。
「では、これよりレジスタンス拠点への攻撃を開始する」
その声は静かでありながら、全軍に緊張を走らせる。
「目標はタッシブ。総員、搭乗!」
ダコスタの号令が響き、パイロットたちは一斉にバクゥへと乗り込んでいく。
砂漠に特化した四足の機動兵器——その姿は、まさに獣の群れ。
バルトフェルドは、作戦の意図を淡々と語る。
「これは“お仕置き”だ。牙を持つ者に立ち向かうとはどういうことか——その意味を、教えてやる」
その言葉には、冷酷な戒めと、戦場の掟が込められていた。
◇◇◇
それは、突然の始まりだった。
キャンプ内が慌ただしくなり、アマキの中にも緊張が走る。
「敵か!?……カップラーメン食べたい」
その瞬間、カガリが走っていくのを見て、反射的にアマキも走り出す。
「あ、待って!」
しがみついていたフレイも、根性で追いかける。
キラとサイも遅れてその後を追った。
開けた場所に出ると、男たちが銃や医療品を車に押し込み、何台もが砂煙を上げて出発していく。
どうやら、彼らの町がザフトに襲われたらしい。
カガリはサイーブに詰め寄り、状況を確認している。
アマキはマリューの姿を見つけ、駆け寄った。
「艦長!」
マリューは混乱の中でも冷静に指示を出す。
「みんな、アークエンジェルに帰投。すぐに戦闘配備について!」
「私とキラは待機か?……カップラーメン食べてもいいかな」
「フラガ少佐に出てもらいます。陽動の可能性もあるから、用意して待機。カップラーメンは諦めなさい」
すげなく却下される。
「くっ……了解!」
「了解です」
アマキたちは急ぎアークエンジェルへ戻った。
その後、フラガ少佐からの連絡待ちとなり、アマキは「どうせなら」とカップラーメンの準備を決意。
「フレイ、買い物袋持ってきてくれる?」
「アマキさん!はいこれ!」
「ありがと、フレイ!」
「もっと頼って?私はアマキさん専属なんだから!」
器用にウインクを飛ばしてくるフレイ。
勝手に専属契約を結ばれているが、些細なことは気にしないアマキだった。
突如、ミリアリアから慌てた通信が入る。
『アマキさん!キラ!すぐに発進して!ザフトを追いかけて、レジスタンスの人たちが報復に向かってるの!』
「無謀なことを……」
「了解です」
アマキは呆れ果て、キラは冷静に返答した。
『キラ・ヤマト、ストライク行きます!』
「アマキ・カンザキ、エリス行くぞ!」
ストライクに続き、エリスも出撃。
空を裂いて、レジスタンスが向かった先へと急行する。
だが、全速力でも間に合うかどうか——。
「実力の差もわからないのか。気持ちだけで先走りやがって……!」
空腹も手伝って、アマキの苛立ちは限界寸前。
言葉遣いも荒くなる。
『…………』
「もし生きてたら殴ってやる。んでもって、腹いっぱいおごらせてやる」
その言葉に、キラは戦慄した。
アマキの気迫は、戦場の敵よりも恐ろしい。
それでも——その怒りの裏には、仲間への深い情があった。
数分後、ザフト軍と交戦中のレジスタンス部隊を確認。
「見つけた!」
『これより戦闘に介入します!』
空からの援護が、今始まる。
※※※
サイーブが乗るジープの背後に、バクゥが迫る。
絶体絶命——その瞬間、一筋のビームがバクゥをかすめ、動きを止めた。
「接近する熱源あり!」
ダコスタがレーダーを見て叫ぶ。
ごぅぅ——と砂漠を裂いて、ストライクとエリスがすさまじい勢いで飛来する。
だが、ストライクのビームはバクゥをそれる。
「砂漠の熱対流か!」
キラは即座に判断し、ストライクを砂地に着地させる。
二、三歩駆けてキーボードを叩き、照準パラメータを調整。
そして——
次の一撃で、見事にバクゥの装甲を捉え、体勢を崩させた。
一方、エリスは別のバクゥを引き寄せ、サイーブたちから引き離すように誘導。
砂漠の地形を利用し、少し離れた場所へと誘い込む。
その様子を、別の高台から見ていたバルトフェルドとダコスタ。
「応援に来たのか?!」
「先日の装備とは違うな……それに、ビームの操縦。即座に熱対流をパラメータに入れたか。フッ、面白くなってきた」
バルトフェルドは場違いな笑みを浮かべ、無線に手を伸ばす。
「カーフッド!バクゥを私と代われ!」
『はぁ!?』
「隊長!」
「撃ち合ってみないとわからないこともあるもんでね」
その表情は、まるで戦場を遊ぶ子供のようだった。
だが——その“遊び”は、命を懸けた真剣勝負。
一方、エリスは別のバクゥを引き離し、レジスタンスから遠ざけるように誘導。
その間にも、アマキの集中力は限界に近づいていた。
「くそっ……腹減って集中できない……」
イライラが募る中、キラの声が通信に入る。
『アマキさん!』
「キラ!」
援護に向かおうとした瞬間、異様に素早いバクゥが接近。
翻弄されるエリス。
正面から来たかと思えば背後を取り、ミサイルで不意打ちを狙ってくる。
「これは……!」
今までの敵とは格が違う。
だが——
「負けてたまるか……私には、アレが……アレが待ってるんだからぁぁぁあ!!」
アマキの中で何かが弾けた。
視界がクリアになり、バクゥの動きがスローモーションのように見える。
倒れこむように避け、すれ違いざまに後ろ脚を片手で掴み上げる。
ビームライフルを捨て、ビームソードに持ち替え——
びしゅーん!!
バクゥの脚を両断。
機体は砂地に突っ込み、動きを止めた。
『なにっ!?……ダコスタ、後退する!』
『了解!』
『まったく予想しない動き……面白くなってきた!』
バルトフェルドは笑みを浮かべ、残りのバクゥと共に撤退していった。
アマキは敵の背を見送りながら、深く息を吐く。
「………」
『アマキさん!大丈夫!?』
ストライクからの通信。
アマキは弱々しく笑みを浮かべる。
「キラか……もうだめかもしれない」
『え!?』
「駄目、無理、一歩も動けない」
突然の弱気発言にキラはパニック。
ストライクを着地させ、急いでエリスのコクピットへ。
ガチャン——
タイミングよく開いたコクピットの中、シートにもたれ動かないアマキ。
「アマキさん!しっかりして!!」
腕を引き寄せ、ヘルメットを外す。
汗で濡れた髪がこぼれ、アマキの顔は今にも消えそうなほど青白い。
「どこか痛むの!?」
「……へ、…」
唇がかすかに動く。
「は、ら」
「はら……?お腹が痛いの?」
違った。
「はら、へった」
「………」
キラは目が点。下で見守っていたカガリは烈火のごとく怒りを爆発させた。
「てんめぇーーー!!人が心配してれば腹減ったとは何事だー!!」
「カガリ、言葉遣いが乱暴だぞ」
キサカがそっとたしなめる。
サイーブたちは呆れて何も言えなかった。
ちなみに、負傷したアフメドは命に別状なく無事だった。
アマキはエリスごとキラに抱っこされてアークエンジェルへ帰還。
フレイが沸かしたお湯で、ついに念願のカップラーメンを食す。
ほくほく顔のアマキ。
フレイはそばで幸せそうに観察。
キラも隣で一緒に食べて、静かに笑う。
マリュー:「戦闘前にちゃんと食べたか、今後はチェックします」
ナタル:「……呆れて小言も出ない」
ムウ:「俺にもくれ」→予備を渡される(嫌そうに)
ミリアリア:記者魂に火がつき、食事シーンを撮りまくる
トール&カズイ:傍観(そしてちょっと羨ましい)
——そして、戦場の夜は静かに更けていった。
ちゃんちゃん。
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