腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする   作:サボテンダーイオウ

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ラクスの仕業である。


PHASE-20紅に染まる海

砂漠の虎との戦闘に勝利したアークエンジェルは、

煌々と照りつける太陽の下、砂漠を抜け——海を目前に進んでいた。

 

「海へ出ます」

 

ノイマンの声がブリッジに響く。

岩壁を抜け、艦はついに海岸端へと出た。

その瞬間、ブリッジには歓声が上がる。

 

「航海です!」

 

「うわぁ……!」

 

海面には、アークエンジェルに寄り添うようにイルカたちが跳ねていた。

その姿は、まるで祝福のよう。

マリューは粋な計らいを告げる。

 

「少しの時間なら、航海中デッキに出ることを許可します。艦内にもそう伝えて」

 

その言葉に、ミリアリアたちも嬉しそうに笑顔を見せる。

束の間の自由——それは、戦いの中で最も貴重な贈り物だった。

一方、ナタルは気を引き締めていた。

格納庫にいるマードックへ通信を入れる。

 

「マードック曹長、ソナーの準備はどうなっている?」

 

通信の先では、マードックがパソコンとにらめっこするキラの隣で、頭を抱えていた。

 

「今やってまさぁ。坊主が最後の調整に入ってます。もう少し待ってください」

 

『急げよ。それと、自分より上の階級の者に対して“坊主”というのはどうかと思うぞ。規律が乱れるもとだ。注意しろ』

 

ナタルの冷静なツッコミに、皆が苦笑い。

マードックは笑ってごまかす。

 

「急げってさ」

 

「そう言われても……これ、ザフトのなんですよね。そう簡単にはつながりません」

 

どうやら、海面下の敵位置を探知できる装置らしい。

砂漠の虎経由で手に入れたものだろう。

いかにキラでも、調整には時間がかかる。

その頃、アマキは自室のベッドの上で——

勤務中にもかかわらず、買い物袋に頭を突っ込んで中を漁っていた。

 

「やっぱりないなぁー」

 

隣では、フレイがルルと遊びながら、何気なく尋ねる。

ちなみにこちらも勤務中。

アマキがこっそり抜け出したのに、くっ付いてきたのだ。

 

「さっきから一体、何がないの?」

 

「んー?あ、カップラーメン。数が減ってるというか、まったくないんだけど」

 

「ええ?あれだけあったのに!」

 

「そうなんだよね。この間買い物行ったときに、ごっそり買ってきたはずなんだけど……

代わりにさ、こんなの入ってた」

 

アマキが袋から取り出したのは——なぜか、ザフト印のレーション。

フレイはそれを手に取り、顔をしかめる。

 

「なんでザフト!?アマキさん、どこから手に入れたの」

 

「私が聞きたいよ。まぁいいや。小腹空いたし、食べよう」

 

「私にもちょうだい」

 

「いいけど」

 

二人で仲良く半分こ。

味は意外にもフルーツ入りで、そこそこ美味しかった。

 

「ほかにも種類あるな。キラにもあげるか」

 

「今、マードックさんに引っ張られてたものね」

 

そろそろ戻らないと、いないことに気づかれてしまう。

二人はこっそりと部屋を後にする。

キラ用に数種類のレーションを持ち出し、ポケットはパンパン。

ルルは寂しがって、アマキの後をぴょこぴょこついてくる。

何度か部屋に戻そうとしたが、失敗。

仕方なく、フレイに抱えてもらうことにした。

その時——艦内放送が流れる。

 

『少しの間、航海中デッキに出ることを許可します』

 

二人は顔を見合わせて、声を揃える。

 

「「海が見れるー!」」

 

意気揚々と、デッキへと走っていった。

 

外に出ると、どうやら一番乗りだったらしい。

フレイはさっそく隊服を脱ぎ、ラフな格好に着替えて——

ルルと一緒に大はしゃぎで海へと駆けていく。

 

「はぁ〜!解放感、たまらないわ〜!」

 

「……少し暑いな」

 

アマキもフレイの隣で、襟元をパタパタと仰ぐ。

ルルはご機嫌で、ぴょんぴょん跳ね回っている。

 

「でしょ!アマキさんも、上脱いじゃえ!」

 

「え?いいよ、そこまでじゃ……」

 

「いいからいいから♪」

 

「え、ちょっ、引っ張らないで——うわっ!?」

 

フレイに無理やり脱がされそうになったアマキは、体勢を崩して——

そのままフレイごと、デッキの上に倒れ込んでしまう。

 

「いたた……」

 

「わぁ、ドアップアマキさん……」

 

何とかフレイの顔の横に手をついて、潰さずに済んだ。

だが状況的には——アマキがフレイを押し倒しているようにしか見えない。

そして最悪なことに——ガチャ。ドアが開き、二人はそちらに視線を向ける。

 

「「「あ」」」

 

見事に声が揃った。

そこには、休憩に来たキラが立っていた。

その瞬間を、しっかりと目撃してしまったのだ。

キラの顔が、凍りつく。

アマキは状況を理解しておらず、のんきに挨拶する。

 

「よ!」

 

フレイは、わざとらしく体をしならせて——

 

「もう〜、アマキさんったら。こんなところで、大胆〜!」

 

キラはわなわなと震え——

 

「浮気ものーーーっ!!」

 

と、叫んだ。

その声は、外に出ていたクルーたちにも響き渡り——

のちにマリューにこってり絞られるアマキだった。

 

「なんで私だけ!?」

 

◇◇◇

 

壁にもたれて雑談していたアマキ、キラ、フレイの三人。

そこへ、カガリがやってきた。

 

「「「「あ」」」」

 

またも見事に声が揃う。

気まずそうなのは、アマキとカガリだけ。

キラとフレイは、快くカガリを招き入れる。

 

「おいでよ、カガリ。面白いものもらったから一緒に食べよう」

 

「ザフトのレーションよ。意外に美味しいの」

 

フレイの手には、なぜかバニラ味。カガリは一瞬迷ったが、キラの隣にちょこんと座る。

アマキはキラの隣、その隣にフレイ。

 

「ほら、アマキさんにもらったんだ。カガリも好きなの取りなよ」

 

「なんでまたザフトの持ってるんだ」

 

「食べれば?まだあるから」

 

アマキに促され、カガリは無難なチョコレート味を選ぶ。

アマキは、カガリが半ば強引に艦に乗り込んだことを知っている。

だが、上が許可した以上、反対するつもりはない。

本人も覚悟があると見て、それなりに面倒を見るつもりだ。

カガリは、そんなアマキの反応を探るようにチラチラと視線を送る。

 

「お前、気にしてないのか」

「気にしても仕方ないでしょ。カガリが乗るって決めたんだから。受け入れるだけよ」

 

その言葉に、カガリは目を丸くして——

 

「変なやつ」

 

キラとフレイは、二人のやり取りに首をかしげる。

 

「?なんの話?」

 

アマキは口元に指を当てて、いたずらっぽくウインク。

 

「秘密〜」

 

「教えてよ!」

 

「やだ〜」

 

アマキが立ち上がって逃げる。

フレイが追いかける。

キラはため息をついて見守り、カガリはレーションをもぐもぐ。

 

「……意外にうまい」

 

そして、カガリはついに——重大発表をした。

 

「実は、わたしは……カガリ・ユラ・アスハなんだ!」

 

決死の告白。だが三人は、いたって平然と——

 

「「「へー」」」

「なんだその“へー”は!?もっと驚けよ!距離置けよ!なんで平然としてるんだ!」

 

三人はそれぞれ、淡々と理由を述べる。

 

「アマキさんで耐性ついちゃったからね」

 

「今のところ、アマキさん関連なら驚く自信あるわ」

 

「偉そうな態度してたし、驚かない」

 

カガリ、敗北感。

 

「くっ……なんか腹立つ……」

 

キラが疑問をぶつける。

 

「大体なんでオーブのお姫様が破天荒なことばっかりしてるんだ」

 

「そ、それは……いろいろ事情があるんだよ!」

 

アマキが茶々を入れる。

 

「どうせ、“見分を広めるため”とかじゃないの?」

 

「うるさいっ!」

 

図星らしい。すると、フレイが対抗心を燃やす。

 

「オーブが何よ!私はフレイ・アルスター!父はジョージ・アルスター外務次官よ!」

 

胸を張って優雅に自己紹介。だがカガリは、どうでもよさそうに一言。

 

「へー」

 

「何よ!もっと驚きなさいよ!」

 

「さっきと似たようなもんだろっ!」

 

わいわいと騒ぐ二人に、アマキとキラはほっこり。

 

「……そういえば、まだ告白の返事もらってないんだけど」

 

「………敵が来た!」

 

アマキ、戦線離脱。キラ、追撃開始。その時——

 

『総員第二戦闘配備!総員第二戦闘配備!』

 

艦内放送が響く。どうやら、ソナーに敵影が出たらしい。

アマキとキラは、急ぎデッキを出る。去り際、アマキはフレイに叫ぶ。

 

「フレイ!ルルを頼むっ!」

 

「うん!気をつけて!」

 

「おう!」

 

ルルを素早くキャッチしたフレイは、不安そうに見送る。

 

ミリアリアからの情報が届く。

 

『どうやら、敵はディンとグーンらしいわ』

 

アマキはふと、思い出す。

 

「そういえば……エリスに使ってなかったパワーパックがあったな。埃かぶらせておくのも悪いし、使ってみるか」

 

すぐにマードック軍曹へ通信を入れる。

それに便乗して、キラも追加の要望を出す。

 

「確か、第八艦隊からの補給にバズーカーがあったはず。それを持って、僕が水中に潜るよ」

 

「わかった。ディンは私とフラガ少佐で落とす。水中戦は初めてだろうけど、気をつけて」

 

「うん。アマキさんも気をつけて」

 

「了解」

 

こつん。拳を軽く突き合わせ、二人はそれぞれの愛機へと向かう。

 

先にスカイグラスパーが発進。

 

続いて、エリス。そしてストライク。

 

「アマキ・カンザキ、エリス行くぞ」

 

『キラ・ヤマト、ストライク行きます!』

 

空と海——それぞれの戦場へ。

エリスは新たに装備した刀で、見事な立ち回りを見せる。

スカイグラスパーも、エリスの援護を受けて難なく敵機を撃墜。

一方、キラは慣れない水中戦に四苦八苦。

だが、持ち前の集中力と判断力で——

一体目、二体目と、確実に撃破していく。

 

◇◇◇

 

プラント——アプリリウス市。

ニコル・アマルフィは、両親に見送られながら戦艦へと向かっていた。

 

「では」

 

「うむ」

 

「今度も無事で」

 

「はい。行ってまいります」

 

敬礼を交わし、カバンを手に乗艦するニコル。両親は心配そうに、ただ一人の息子の背を見送った。通路で、アスランと合流する。

 

「ニコル」

 

「ああ、アスラン。この間はありがとうございました」

 

ニコルは小さなコンサートを開き、アスランを招待していた。

 

「いいコンサートだったね」

 

「寝てませんでした?」

 

茶目っ気たっぷりに尋ねると、アスランは少し声を上ずらせる。

 

「……そんなことはないよ」

 

「本当はもっとちゃんとしたのをやりたかったんですけどね」

 

「今はな。オペレーション・スピットブレイクが終われば、情勢も変わるだろうから」

 

「ですね。でも今回は、ゆっくりでしたね」

 

その時、アスランがふと呟いた。

 

「ああ……少し、不可解な謎に出会ったがな」

 

「はい?」

 

「ああ、いや!なんでもない」

 

慌てて誤魔化すアスラン。だが、あの“事件”はまだ彼の中に残っていた。——四次元買い物袋事件。頭を突っ込んだ日以来、アスランは魘され、幻覚を見、寝不足が続いていた。

なんとか精神状態は保っているが、アマキ・カンザキは“宇宙人説”がいまだ濃厚である。

 

「僕、降下作戦は初めてなんです」

 

「俺だってそうだよ」

 

「ああ、そうか」

 

和気あいあいとした二人。

だが——この降下作戦で、アスランが“あの張本人”と再会することになるとは、

この時、まだ知らなかった。




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