腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする   作:サボテンダーイオウ

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お待たせしました。久しぶりの更新です。


PHASE-29約束の地に

アークエンジェルはアラスカ入港に伴う手続きを行っていた。

ストライク、エリスを失い痛手を負いながらも感傷に浸る余裕はなく、時間は無情に過ぎ去っていく。クルーの疲労が限界まできていて休息も必要なほどだった。

 

『エックスアルファアルファ、チャンネルオメガスリーにて誘導システムオンライン。シークエンスゴー』

 

「入港管制局より入電。オメガスリーにて誘導システムオンライン。シークエンス、ゴー」

 

マリューは一つ頷いて見せて次の指示を出す。彼女の隣にはナタルが立っていた。

 

「シグナルを確認したら操艦を自動操縦に切り替えて、少尉。後はあちらに任せます」

 

「誘導信号確認。ナブコムエンゲージ、操艦を自動操縦に切り替えます」

 

ノイマンはアークエンジェルを自動操縦に切り替え護送艦と共に海を進んでいく。

 

◇◇◇

アークエンジェルが無事にアラスカにたどり着いたことをよく覆わない高官たちは悪だくみの会を開いていた。暗がりの中薄明かりに映し出されるのはあくどいおじさんたちばかり。

 

「アークエンジェルか、よもや辿り着くとはな」

 

「ハルバートンの執念が護ってでもいるんでしょうかね」

 

「ふん!護ってきたのはコーディネイターの子供とナチュラルの少女ですよ?」

 

「そうはっきりと言うな、サザーランド大佐。だがまぁ、土壇場に来てストライク、エリスとそのパイロット二人がMIAと言うのは何と言うか、幸いであったな」

 

「GATシリーズは今後我等の旗頭になるべきものです。しかしそれがコーディネイターの子供に操られていたのでは話にならない。ナチュラルの少女に関しては惜しいとは思いますが死んでしまったのは残念です。利用価値はありました」

 

確かにな。所詮奴等には敵わぬものと目の前で実例を見せるようなものだ」

 

「全ての技術は既に受け継がれ、更に発展しています。今度こそ、我々の為に」

 

「アズラエルにはなんと?」

 

「問題は全てこちらで修正すると伝えてあります。不運な出来事だったのですよ、全ては。そしておそらくはこれから起こることも。全ては、青き清浄なる世界の為に」

 

合言葉を言わずにはいられないおっさんたちであった。

 

◇◇◇

ブリッジではマリュー並びナタルが高官相手と通信でやり取りをしていた。

 

「統合作戦室より第8艦隊所属艦アークエンジェルへ通達。軍令部ウィリアム・サザーランド大佐発。長きに渡る、激戦の労を労う。事情聴取せねばならぬ事態でもあるので、貴艦乗員は、別命あるまで現状のまま艦内待機を命ずる」

 

「ぇ?現状のまま、でありますか?」

 

マリューはここで違和感を覚えた。あれだけ長い航海をしてきた部下に対するぞんざいな扱い。クルーたちも無言で納得していない表情になる。

 

「そうだ。パナマ侵攻の噂のおかげでここも忙しくてな。ま、とりあえず休んでくれ」

 

そういって通信は切られた。

 

「……変ね…」

 

「確かにそうですが、何か考えがあるのでは?」

 

「こちらは先の戦闘でボロボロ。装備もまともにない。まるで使い捨てだわ」

 

素直に言うとナタルは分かりやすく眉間にしわを寄せる。

 

「艦長、それは言い過ぎでは…」

 

「でも貴方だって気になる顔しているわ」

 

「…それは、そうですが…」

 

「これから何かあると考えてもいいわね」

 

アマキと過ごした期間は短いながらも破天荒の相手をしていれば先回りの読みが働いても可笑しくはない。

ここでもその違和感を感じたマリューはナタルに忠告する。

 

「………」

 

ナタルもマリューの勘は結構当たるものと分かっているのでなんとも言えない表情になる。

 

◇◇◇

ザフト軍カーペンタリア基地に戻ったアスランは病室送りとなりベッドに横たわり、夕日を大きな窓からぼんやりと眺めていた。脳裏に次々と浮かぶのは、ニコルが死んでいったところ、ストライクに組み付いて自爆スイッチを押したところ、カガリにキラどれだけ優しいやつだったか涙ながらに訴えられたところ。

一体、自分は何がしたかったのか、何を目指しているのかわからなくなってしまった。

そこへドアがノックされクルーゼがやってきた。

 

「クルーゼだ、入るぞ」

 

「あ…隊長」

 

敬礼しようとするのを手で制した。

 

「そのままでよい」

 

「申し訳…ありません…」

 

アスランは今までの失態を犯したことを申し訳なさそうに詫びた。

 

「いや、報告は聞いた。君はよくやってくれたよ」

 

「いいえ…」

 

「私こそ対応が遅れてすまなかったな。確かに犠牲も大きかったが、それもやむを得ん。それほどに強敵だったということだ。君の友人は」

 

「……」

 

キラはアスラン以外にとっては敵という認識でしかない。

 

「辛い戦いだったと思うが、ニコル、モラシム隊長、他にも多くの兵が彼によって命を奪われたのだ。それを討った君の強さは本国でも高く評価されているよ。君にはネビラ勲章が授与されるそうだ」

 

「ぇぇ?」

 

自分には不釣り合いな賞だ。そんな大層なことした覚えはない。まるで英雄のようではないか。友を殺したことを賞賛されるなど。アスランは不快でしかなかった。表情には出さなかったが。

 

「私としては残念だが本日付で国防委員会直属の特務隊へ転属との通達も来ている」

 

「そんな…隊長!」

 

まるでお膳立てされているような展開にアスランはついていけなかった。だがクルーゼはアスランの手柄として喜んで見せた。

 

「トップガンだな、アスラン。君は最新鋭機のパイロットとなる。その機体受領の為にも即刻本国へ戻ってほしいそうだ」

 

「しかし…」

 

「お父上が評議会議長となられたのは聞いたかね?」

 

「ぁ…はい」

 

「ザラ議長は戦争の早期終結を切に願っておられる。本当に早く終わらせたいものだな、こんな戦争は。その為にも君もまた力を尽くしてくれたまえ」

 

肩を叩かれ励ましを受けるアスラン。

流されるまま自分の意見などないに等しい環境にさらに身を置くことになる。その事実はぽっかりと心に穴が空き考える余裕もないアスランにとってはいいことなのかもしれない。

 

◇◇◇

キラはアマキとの再会が嬉しいばかりに周りの状況に気づいておらず、ようやっと自分が見慣れぬ土地にいることに気づいた。キラのために用意された場所だが、スケスケでアマキは好まなかった。アマキはちゃんと屋敷に客室ようの部屋を用意してもらっている。

 

「そういえば、ここ…は…?」

 

しっかりとアマキの手を離さずに周りを見る余裕が生まれたキラは、見たことない場所だと首を捻る。

 

「お解りになります?ここはプラントですわ」

 

それに答えたのはピンクの髪の少女。

ラクスがピンクハロを伴いお盆に通人分のお茶セットを持ってきてアマキの隣にやってきた。

 

「ハロ!ゲンキ!オマエ!ゲンキカ!?」

 

「ラクス。…プラント?僕、いつの間に宇宙に…」

 

これには誰だって驚くだろう。

 

「とにかくが覚めてよかったですわ。これも愛の力ですわね。アマキ様に対する愛は誰よりも深いのですね。もちろんわたくしも負けておりませんが」

 

そう言ってテーブルにお盆を乗せるとなぜか頬をピンクに染めるラクス。すすすとアマキの隣に座るとちゃっかりと彼女の横を占拠する。だがそこはキラのベッドだ。

それはもう推しがこんなに近くにいるのだ。はしゃいでしまうのも頷ける。だがアマキはラクスを手で押しのけ塩対応だ。

 

「ラクス、変なところで対抗しないで」

 

「もう!やっとアマキ様と共にいられるというのに酷いですわ」

 

ぷんぷんと怒ってみせるラクスは年相応の少女のように振舞って見せる。ずいぶんとキラが眠っている間、アマキとの生活を楽しんだようだ。アマキとしては少しげっそりとしている。ラクスの元にやってきたはいいが、前よりもべったりとくっ付いてくるようになりアイドル活動はいいのかと尋ねたくらいだ。本人はセーブしておりますのとのたまっていたが本当は全予定キャンセルして貢いでいる。

 

「マイド!マイド!」

 

ピンクハロがラクスの手から離れてキラのひざ元に飛んでくる。そこへもう一人男性が騒ぎを聞きつけてやってきた。杖を頼りにだがしっかりとした足取りでキラのベッドに近づく。

 

「彼が目を覚ましたのですね?」

 

「はい!マルキオ様」

 

「こんにちは、マルキオ様」

 

アマキが手を挙げてフランクに挨拶をする。数日間だが仲良くなったらしい。最初こそ驚いていたが、マルキオ様もアマキの奔放さに慣れた様子。マリューの願いによりアマキ沼が着実に広がりつつある。

 

「はい、こんにちは。アマキさん。キラさんが目を覚まされて嬉しそうですね。キラさん、驚かれたのではありませんか?このような場所で。ラクス様がどうしてもベッドはここに置くのだと聞かなくて」

 

「だって、こちらの方が気持ちいいじゃありませんか、お部屋より。ねぇ?」

 

ラクスがキラに同意を求めるがアマキは顔を渋くさせる。

 

「スケスケだけどね」

 

「ちょっと黙っててね。僕は…」

 

素早くピンクハロをつかんでアマキに投げると黙らせるキラ。マルキオ導師は動じることなくここまでの経緯を打ち明けた。

 

「貴方はアマキさんによって運び込まれたのです。私の祈りの庭に」

 

そういうとキラは地球で起こった事を思い出して、身を竦ませる。冷や汗が体中からあふれ出て息が荒くなる。

 

「あ…ぁ…」

 

「そして私が三人をここへお連れしました」

 

マルキオの言葉はキラには届いておらず、アマキがキラの異変にいち早く気づき彼の名を呼ぶ。

 

「キラ?」

 

「…どう…して……どう…して…僕…」

 

アスランと戦って、アスランは自爆装置を押して、そこまで覚えているが、それ以降全く記憶がない。アスランがどうなったかさえも思い出せない。自分だけ助かったのか。

親友を殺そうとした。その恐ろしい事実がキラを責め立てる。

 

「貴方はSEEDを持つ者。故に」

 

「あぁぁ!」

 

キラが頭を抱えて前のめりになる。アマキとラクスがキラ豹変ぶりに驚き彼に寄り添う。

 

「「キラ!?」」

 

「う゛う゛ぅぅ…」

 

「アカンデー」

 

大粒の涙を零してキラは自分の行いを責めた。

もう取り返しのつかないことなのに、どうしてああなってしまったのか。理性など吹き飛んでいた。アマキが殺されたと思い込んでしまったから。

 

「うぅ………僕は…アスランと…戦って…死んだ…はず…なのに…う、ぅ…」

 

「キラ…」

 

キラの心は傷つき、悲しみに溢れている。アマキでさえ彼の悲しみを完全になくすことはできない。自分で受け止めなければ。ただ、彼の手に自分の手を重ねて気持ちを添わす。

 

「テヤンデー」

 

「どうしよもなかった…。アマキさんはアスランの仲間を殺して…」

 

「生きてますよ」

 

「アスランは……え?」

 

キラはきょとんと涙が溜まった目を瞬かせる。そこには灰色のカラーシャツに黒のスラックスを履いた柔和な少年がいつの間にか立っていた。アマキは普通に対応する。

 

「あ、ニコル。来たの」

 

「はい。キラさんが目を覚ましたと伺ったので」

 

そう言ってペコリと軽く頭を下げキラに挨拶をする。アマキも何気なく紹介をした。

 

「キラ、紹介するね。彼はニコル・アマルフィ。私が殺したと見せかけて一緒に抜けだした逃亡犯で目下ラクス邸に隠れ蓑中」

 

「初めまして。貴方のことはアスランからよく聞いてました」

 

キラはん-と少し呻いてこめかみに手を当てた。

 

「ごめ、ん、頭の処理が……追い付かない」

 

「あー、そうですよね。すいません」

 

申し訳ないとアマキは眉をハの字にさせる。ちゃんと自覚はしているようだ。自分の無茶ぶりに。

 

「つまり、アマキ様は自爆したと見せかけてニコルさんを伴って戦線離脱するつもりだったということですわ」

 

ラクスが簡単に説明してあげたことでキラの冷たい視線がアマキに突き刺さる。ビシバシと。

 

「………じば、く…ねぇ…」

 

「あ、はい。自爆です」

 

認めるとさらに冷ややかな視線にアマキは背筋が凍り付きそうになる。

 

「ヒエっ!」

 

ラクスがまぁまぁと二人の間を諫めた。キラの涙はいつの間にか引っ込んでいた。

 

「でもそれは仕方のないことではありませんか?戦争であれば」

 

「戦争、か」

 

「これは難しい問題ですよね」

 

巷で自爆がはやりなのか。

とりあえず自爆コンビは黙ってろと言いたかったが、ぐっとこらえた。まだ傷も痛む。余計な力は使わずここぞというときに温存しておかないと。またアマキに驚かされることもありそうだし。

ラクスは静かに問うた。

 

「お二人とも敵として戦われたのでしょう?違いますか?」

 

「…敵…か」

 

敵である以上、戦わなきゃいけないのか。

 

 

「まぁお茶飲もうか。せっかく温かいのもってきてもらったし。マルキオ様もこちらにどうぞ。椅子持ってきますから」

 

アマキがそう言って自分が座っていた席を勧める。

 

「いえ、まだキラさんも目が覚めたところでしょうし。私は遠慮させてもらいます」

 

そう遠慮するマルキオにアマキはぐいぐいと進める。

 

「そういわずに。マルキオ様もグルですから」

 

「グルですか。なんだか楽しそうですね」

 

なかなかマルキオ導師に対してアマキは無礼講で面白い存在であると彼は思った。だからこそ、彼女の願いを聞き入れここまで運んだのだ。

ニコルもお茶会に参加したいらしい。だが本音はラクスとの対談である。

 

「あ、僕はいただきます。ラクス様ともお話したいですし」

 

「では、椅子をもってきてもらいましょうか」

 

「ラクス今日のケーキは何~?」

 

「今日はシフォンケーキを作ってみましたの。柔らかいからキラでも食べれますわ」

 

ほのぼのとした空気がキラの周りで発生し、それぞれが自分の役割で動きお茶会は始まる。

黄昏ている暇はないらしい。キラはすぐに食べることはできないでも、アマキたちの話に耳を澄ませて少しまた寝入った。

 

◇◇◇

 

プラント評議会では今後のやり取りで協議が行われ、穏健派のクラインと過激派のザラで意見が真っ二つに分かれた。だがシーゲル・クラインは議長の座をザラに奪われたようなものなので立場は弱い。結局は言いくるめられて終わりになる。

 

一方アラスカ本部ジョシュワでは依然アークエンジェルへの対応はおざなりであった。

 

「統合作戦室」

 

「第8艦隊所属艦アークエンジェル、当艦への指示についてお伺いしたい」

 

「貴艦への指示は、全てサザーランド大佐より発令されます」

 

「では大佐に繋いでいただきたい!」

 

「大佐は現在会議中です。通信はお繋ぎできません」

 

「くっ!こちらには、ザフト軍パイロットの捕虜が居る旨も報告してあるはずです!それに対してすらまだ…」

 

「貴艦への指示は依然、現状のまま艦内待機です。現在はそれ以上申し上げられません」

 

「うっ…」

 

再三頼み込んでも一方的に待機の指示のみ。まるで時間稼ぎでもしているのかのようでマリューの中で焦りが生まれた。

 

フレイはトリィを肩に乗せてミリアリアの様子を見に行った。精神が不安定で何をするかわからないから交代で面倒を見ていたのだ。通路で三人を見かけ小走りで駆け寄っていく。

 

「サイ…ミリアリアは?」

 

「うん。今から食堂連れてくとこ」

 

トールがフレイに誘いをかける。

 

「フレイも一緒に行こうぜ」

 

だがミリアリアの目元にクマがあるのを見て先に医務室へ行くことを提案した。

 

「……眠れてなさそうなら先に医務室行きましょ?お薬もらってこなきゃ」

 

「じゃ俺先に食堂行って準備するわ」

 

トールと別れ三人で医務室へ入る。中へ入ると先生の姿が見当たらず

 

「失礼します。中で待ってて。先生に薬かなんかもらおう。少し眠らないとさ、ね?」

 

「先生探してくるわ」

 

サイとフレイは先生を探しに行った。ミリアリアを残して。それがまずかった。中には捕虜として捕らわれたディアッカがいたのだ。ベッドのカーテンの隙間からディアッカが気だるげに顔を出す。

 

「なぁ先生よぉ…」

 

「ぁ!」

 

運悪くミリアリアを顔を合わせてしまう。

 

「あれ?」

 

「はっ!」

 

ミリアリアはディアッカの存在に顔を凍り付かせ動けなくなってしまう。

 

ディアッカは鬱陶しそうにミリアリアに言い放つ。

 

「なんだよ、その面は」

 

「うぅ…」

 

「俺が怖い?珍しい?大丈夫だよ。ちゃ~と繋がれてっから」

 

手錠されていることを見せびらかす。

捕虜でありながらナチュラルに対して小ばかにした態度を取り領発してさえいる。女だてらなにもできないと思っているのだろう。

 

「ハァ…」

 

「っつーか、お前まーた泣いてんの?なんでそんな奴がこんな船乗ってんだかー」

 

「……」

 

「そんなに怖いんだったら、兵隊なんかやってんじゃねぇっつーの。なぁ、それともバカで役立たずなナチュラルの友達でも死んだかぁあ?」

 

此奴が殺したんだ。二人を。

ミリアリアは近くにあった医療用ハサミを片手に持ち、ふらりとディアッカが寝るベッドへと歩みより「え゛え゛い!!」と声を上げて襲いかかった。

 

「うっ…何すんだよ!こいつ!」

 

「ハァ…ハァ…うわあ゛あ゛ぁぁ!!」

 

ミリアリアは血走った目でディアッカを執拗に襲い掛かる。

 

「…うわ!」

 

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…うわあ゛ぁ!」

 

ハサミを振り回し、ディアッカのこめかみをかすめ傷を負わす。

 

だが騒動を聞きつけたフレイ達が戻ってきてミリアリアを止めに入る。

 

「ミリアリア!?」「ミリィ!」

 

「ミリアリア!駄目っ」

 

サイとトールがミリアリアを羽交い絞めし、フレイがミリアリアのハサミを奪い取った。暴れるミリアリアは鬼気迫る表情で恐れおののくディアッカを睨みつける。

 

「離して!」

 

「落ち着くんだミリィ!」

 

現実を受け入れたくない気持ちはわかる。

だがミリアリアの心の傷はそう簡単に塞がらない。大切な人が一気に二人も消えてしまったのだ。

 

「キラが、アマキさんが居ないのに!なんで…こんな奴!こんな奴がここに居るのよ!!」

 

ディアッカはこんな少女に襲われたことで気づいた。

この少女にとって、その二人はとても大切な人だったと。自分たちと同じように悲しみを感じ、喜びを共有できる存在がいることを。襲われたことでまざまざと感じ取ったのだ。

 

「…」

 

「ミリアリア!」

 

「なんでぇ…二人が居ないのになんで…」

 

泥沼劇場勃発にこのままでは血みどろ劇場に進化してしまうと考えたフレイはたまらずに叫んだ。

 

「アマキさん生きてるのよっ!」

 

ミリアリア、サイ、トールはフレイの言葉に驚きを隠せず、同時に疑問が口に出る。

 

「……え」

 

「アマキさんが、生きてる?」

 

「……生きてる…なんで知ってるんだ。フレイが」

 

「あ、言っちゃった」

 

フレイはつい口を押えて青い顔になってしまう。

その頃、ブリッジではついに問題のサザーランド大佐から出頭命令が下る。

 

「明日から第8艦隊所属艦アークエンジェルのこれまでの軍務について査問を行う」

 

「「は!」」

 

マリュー、ナタル共に敬礼で答えた。

 

「マリュー・ラミアス少佐、ムウ・ラ・フラガ少佐、ナタル・バジルール中尉は明0700、こちらへ出頭したまえ」

 

この出頭が吉と出るか、凶と出るか。




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