腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする   作:サボテンダーイオウ

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「やーい、やーい、ここまでおいで~。お尻ぺんぺんしてやる~」


PHASE-37決戦の宇宙へ

先の戦闘で思わぬ援軍が現れたことは吉兆となるか。それを知るのは宇宙へ受けたものだけである。ラクスがシーゲルパパを買い物袋に突っ込んだことでプラントでは生死が確認できず、パトリック・ザラがやきもきしていることだろう。隙あらば暗殺してやろうとたくらんでいたのにその本人の生存が確認できなければおちおちと寝ることもできないだろう。アマキがラクスに好意で差し出した買い物袋がこんなところでフラグを折るとは誰が予想できただろうか。

いずれは死の運命から逃れられることはできない。だがほんの少しの介入者がいればもしかしたらその死はもう少し先の未来になるやもしれない。アマキがいることで少しずつその運命が書き換えられようとしていた。

 

本人にその気はなくとも。彼女を中心にもっと運命は変わっていくかも、しれない。

その矛先として今はオーブである。

地球軍は確実にオーブを落とすつもりでいた。戦闘も時間が進めば過激化を増していき、死者も増える。にわかで新米パイロット達が先に殺されていく中、少しでも生き残るすべを模索してキラ達は奮闘している。向こうのMSも補給が終わったのか、戦闘を再開させてきた。オペレーターがそれを捉えれ次々と報告を上げる。

 

「レーダーに機影!」

「ミサイル接近!」

「モビルスーツ群航空機隊オノゴロを目標に侵攻中!」

 

待機していたアマキとキラの耳にもけたたましいアラームの音が耳に入り自然と頭上を見上げ反応した。

 

「来たな」

「うん」

「迎撃ー!モビルスーツ隊発進急げ!」

 

慌ただしくなる場内に警備員の怒鳴り声。アマキ達も準備に走るとそこへアスランとディアッカが血相を変えて駆け寄ってくる。

 

「キラ、アマキ!」

「…アスラン!」

 

アスランは沈痛な面持ちでキラの肩に手を置いて引き留めようとする。アスランなりに意思表示でアマキは絶対死ななそうなので心配はまったくない。

 

「この状況ではどのみちオーブに勝ち目はない。お前たちなら解ってるんだろ?」

「ぇ?…うん。多分みんなもね。でも、勝ち目がないから戦うのを止めて言いなりになるってそんなことできないよね」

「諦めたらそこで終いだ。地球軍の言いなりのまま今度はプラントへ向けた攻撃をさせられるだろう。それでは終わりがない」

 

ヘルメットを脇に抱えたアマキもスノーホワイトへ向かうためタラップに乗り込む。その後ろ姿は潔いものだ。まったく躊躇いがない。この勝ち目のない戦闘に希望があるように。その姿は眩しく見えてしまう。

 

「キラ、アマキ…」

 

キラは優しくアスランの手を降ろさせ言葉を続ける。

 

「それに大切なのは何の為に戦うかで、だから僕らも行くんだ。ほんとは戦いたくない。でも大切な人が戦うのに僕だけ下がったままいるなんでできない」

 

そう言ってキラが視線を移すのはアマキだった。彼女だけじゃない。ほかにもキラには守りたい人達がたくさんいる。だからこそ戦場の向かうのだ。アスランは苦虫を嚙み潰したよう顔になる。

 

「じゃ、私も行くよ。皆も後でね」

「………」

 

スチャと二本指敬礼をして口元に笑みを見せたアマキは一足先にスノーホワイトへ乗り込む。キラはそれをしっかりと見送ってから自分のタラップに乗り込んで上へ上昇させる。去り際に見せるのは笑顔だった。

 

「ごめんね、アスラン。ありがとう。話せて嬉しかった」

「キラ…」

 

二機は戦闘へ向かう為ゆっくりと歩行を始めた中、アスランの中で燻っている何かが揺らめきだした気がした。

もう答えはでているはず。だがまだ二の足を踏んでしまう。そこへディアッカがしっかりとパイロットスーツに着替えて「まいったねぇ。んー」とわざとらしく登場する。

 

「ディアッカ…!」

「お前、あれらの奪還命令受けてんだろ?ハァ…やっぱまずいんだろうなぁ。俺達ザフトが介入しちゃぁよー」

「くっ…」

 

そうだ。アスランには父から受けた任務がある。だがその任務をこなすということはキラ達と敵対するということ。

その事実をアスランには受け入れることができない。もうすでに心は決まっているのだ。

 

「だが…俺はあいつ…あいつらを死なせたくない!」

「めずらしく、てか、初めて意見が合うじゃんか。アイツら死なせちゃ目覚めが悪いからな」

「…ああ…!」

 

守りたい気持ちに人種は関係ない。その気持ちが原動力となって彼らを動かすのだ。

 

人々の祈りとは裏腹に地球軍は容赦なくミサイルの雨を大地に振らせようとする。

アークエンジェルが必死の迎撃を開始した。無論、オーブ軍の援軍もあるが数に勝るは地球軍にある。どこまで持ちこたえられるか。

 

「バリアント、てぇー!」

 

声を張り上げ指示を飛ばすマリューやナタル、そしてストライクに乗るムウやアストレイ三人娘たち。

ミサイルの雨に地球軍のMS攻撃に対してオーブもアストレイ機で迎え撃つ。スノーホワイトはアークエンジェルの援護をしつつ敵を同時に何機も撃ち落とす。フリーダムもまた同様にコクピット以外を狙い撃ち落とすさまは見事で圧巻されるものだ。そこへ例の問題児三機が突入してくる。粘着度が寄り増してフリーダムやスノーホワイトに突っかかってこようとするのだ。

 

『へへ、見つけたぜ、昨日の強い奴!倒すっ!』

「しつこい奴!キラっ」

『くっ!」」

 

曲がるビームが容赦なくフリーダムを襲いかかりそれをすれすれで避ける。がそこへ別機が攻撃を仕掛けてくるがスノーホワイトが盾となりフリーダムを庇いながらバスターライフルで迎撃する。奴らは以前の威力を学習したのかすぐに後退してはまた襲い掛かってくる。

 

『アマキ!』

「大丈夫!それよりもこっち集中戦なるよ」

 

まだまだ余裕そうにアマキが態勢を変え接近戦に持ち込もうとバスターライフルからビームサーベルに持ち替え積極的に斬りかかりに行く。その俊敏な動きに敵、カラミティが怒りを覚えて襲い掛かる。以前の攻撃で両足を吹っ飛ばされたことを根に思っているのだ。

 

『お前目障りなんだよ!』

「頭に血が上ったら周りが見えなくなるよ」

『ここで落としてやる!』

 

カラミティは目標がスノーホワイト一機だけしか目に見ていないようで彼女に攻撃を集中させる。ほか二機はフリーダムに標的を定め空中で襲い掛かる。

 

『やらせるかっ!』

 

そこへビームブーメランなるものが二機の間に割って入るように敵の意識を削ぐ。続いて頭上から放たれる先制のビームが敵の動きを制し、そこへ現れるのは紅き正義の名を戴く機体ジャスティスだった。彼はキラ達を助けに来たのだ。

 

『キラ!』

『アスラン!どうして!?』

 

戸惑うキラをよそに敵は待ってはくれない。飛び交うビームと巨大な鎌を避けつつ、ジャスティスもフリーダムを助けようと二機を退けるため動く。

 

「キラ!」

『このぉぉ!』

『はぁぁ!』

『揃ったなぁ!赤いのも!』

『俺達にだって解ってるさ!戦ってでも守らなきゃいけないものがあることぐらい!』

『ええい!』

『アスラン!』

『蹴散らすぞ!』『…うん!くっ!』

 

フリーダム、ジャスティスが揃って二機の対応にあたりアマキは少しほっとした。

 

「よし!これでイーブンになったじゃん。よし、やってやんよ!」

 

気合が入りスノーホワイトは大きく翼を広げカラミティ突っ込んでいった。

 

 

オーブ司令部では戦闘の過酷さがひしひしと報告で伝えられ緊迫した空気を一層際立たせていた。

 

「はい、はい、戦闘は西アララギ市街に移動…」

 

カガリは拳を握りしめ悔しさを滲ませた。その目には、戦場に出られない苛立ちが浮かんでいてつい体が動き出す。

 

「くっ!」

「カガリ!」

 

だがその瞬間、キサカが彼女の肩を掴んだ。カガリはキサカの手を振り払おうと必死になる。

 

「離せ!私も出る!」

「バカを言うな!」

 

キサカは怒鳴りつけ強く彼女を引き止めた。カガリは人がドンドン死んでいき制圧されていく自分の国を見ていられなかったのだ。だが指揮官が感情に流されたままでは部下は迷いを生む。それでは勝てる戦も勝てなくなるのだ。そのことが頭に叩き込まれているキサカはカガリの行動を理解し、それもまた過ちだと知っている。

 

「自分だけこんなところで見ていられるか!」

「指揮官が持ち場を離れてどうする!いい加減学びなさい!」

 

キサカの正論に言い返すこともできない少女に指揮官としての器を問うのは難しい話だった。だがそれでもキサカは彼女を守る義務がある。今までもこれからも。

 

「くっ…でも!」

 

カガリは必死に抵抗しながら叫んだ。あふれ出る感情につい涙も出てきてしまう。だがそれもキサカに咎められてしまう。

 

「泣くのも駄目です!」

「うう…」

 

生粋の軍人でさえ戸惑う状況なのにまだ10代の子供に背負わすには厳しい現実だった。

一方、ウズミは一刻の猶予もないと判断しオノゴロは放棄しカグヤに集結の号令を出すのであった。

 

深海ではザフトの潜水艦が戦闘を静観しつつ虎視眈々と新たなガンダム三機を観測していた。

彼らにとってはオーブで行われている戦闘など関係ないのだ。まるで他人事のようである。

 

「オーブはよく持ち堪えていますな」

「あの物量では時間の問題だろうがな。やはり侮れん国だよ。地球軍がムキになるのも解る。あの見慣れぬモビルスーツどものデータは?」

「最優先で取らせておりますが、この位置ですから…」

 

そう多くは見込めないということだ。クルーゼは一つ息をつくと腕組みを解いた。

 

「いずれどれかと相見える時が来るのか来ぬのか。まぁいいさ、ザラ議長の喜びそうな土産話にはなる。何か変化があったら知らせてくれ」

「は!」

 

艦長に背を向けて、部屋を出ようとするときにイザークの前を通ると彼の表情に思うところがあるのか確信めいたことで彼を驚かせる。

 

「面白くなさそうだな、イザーク。自分もあの中に飛んでいって戦いたいかね?」

「ぇ?ぁ…いえ」

「オーブはザフトからの支援も拒否しているからな。仕方あるまい」

「自分は別に!」

 

否定しようとするが、自分の中で感じるわだかまりが最後まで言わせようとはしない。イザークの中に確かに芽生えたそれは。疑念。ザフトのしようとしていることが果たして正しいことなのか。今まで確実だったものが突然揺らぎ始めたらどうなるか。それは彼自身にもわからない。

 

「ある程度見届けたらカーペンタリアへ帰投する。パナマからずっと狭い艦内暮らしでもううんざりだろうが、あと少し我慢してくれたまえ」

「…ハッ!」

 

敬礼をして今度こそ部屋を出ていく上司を見送り、イザークはまた海上の画面を見つめた。

そこにはあの自分を助けてくれた機体が二機いたことをしっかりと分かっていた上で。

 

ウズミからのカグヤ集結の号令を受けカグヤに向かったアークエンジェルと敵部隊が補給のため一旦引いたタイミングでキラたちもカグヤに降り立ちウズミの元に向かった。ちょうどドアが開いたタイミングでマリューの驚愕した声が響いていた。

 

「オーブを離脱!?我々に脱出せよとそう仰るのですか、ウズミ様?」

「あなた方にももうお解りであろう。オーブが失われるのももはや時間の問題だ」

 

大人組たちは言葉に詰まった。実際これ以上は持ち堪えることも難しいだろう。地球軍の勢いはますばかりで犠牲者が増える一方の負け戦になることは明白である。だがカガリが信じられないと言った様子で声を上げる。彼女の顔に疲労が滲み出ているように皆、長時間の戦闘でギリギリのところまで来ているのだ。

 

「お、お父様、何を!?」

「人々は避難した。支援の手もある。あとの責めは我等が負う」

「……」

「が、例えオーブを失っても失ってはならぬものがあろう。地球軍の背後にはブルーコスモスの盟主、ムルタ・アズラエルの姿がある」

 

そしてシーゲルが付け加えた。

 

「そしてプラントもパトリックの手の内だ。我らコーディネーターを新たな種とするという根底の元に皆を決起させようとしている」

「「「………」」」

「このまま進めば世界はやがて認めぬ者同士が際限なく争うばかりのものとなろう。そんなもので良いか!?君達の未来は。別の未来を知る者なら、今ここにある小さな灯を抱いて、そこへ向かえ。またも過酷な道だが、解ってもらえような?マリュー・ラミアス」

「小さくとも強い灯は消えぬと、私達も信じております」

「では、急ぎ準備を」

「は!」

 

時間がないのは分かっている。マリューらも他のクルーの命を背負っている分急がなくてはいけない。のは分かっているが納得していない人物が一人いた。

 

「ちょっとまっっったーー!」

 

腹の底からため込んだ大きな声で皆の動きを一斉に止めさせ注目させる。それはアマキだった。

誰からも視線を集める中全く気にすることなくウズミに向かってずかずかと歩んでいくとピタリとぶつかりそうになる距離でわざと止まる。

どうにもこの少女がウズミは苦手だった。カガリから申し訳なさそうの説明と共にシーゲルを連れてこられた時には卒倒したかったがたたらを踏んで踏ん張った。だってこれでも元オーブ首相だもん。でも頭と胃がやられた。この少女の所為で。いや全部この少女の所為だ。

だから苦手なのだ。その人物に近寄られてくるだけで拒否反応でそう。

 

「ん、何かね。アマキ君。ちょっと距離が近いのだが……」

 

じろじろとウズミの顔を覗き込んでは確信を突いたことを言ってのけた。

 

「それって皆で行くってことですねよ~。ウズミ様以下主だった方々だけ残って自爆とかしないですよね~?」

 

自分が自爆しておいて他人を指摘するのはどうかと思うがウズミは分かりやすく呻いて反応してしまった。

 

「ぐっ!」(なぜわかった!?)

 

アマキは目を細めてふーんとこぼすと、そこから早口で反論も許さないマシンガントークをウズミにぶつけた。

 

「あ、図星だ。これ皆で自爆する奴だ。あーあ、勝手に理想語って押し付けといて自分はあっさり死ぬんだ。へぇー、オーブの元首相は自爆が好きなんだ。でもそれって自分だけやるんですか?他の人巻き込んでませんか?もしかして道ずれ?他の人も家族がいたりするのに自分が死ぬからお前たちも一緒に死んでくれとか言ってません?長たる方が言い出したら下の方々は嫌とは言えませんよね。今時死んで後悔させてやるとかないですよね。マスドライバーが地球軍の目当てだってわかってるなら遠隔操作できるでしょ?まさかガンダム作っておいてそれは無理だなとか言います普通?できるよね~、できないわけないよね~。できること知ってて言ってるんだったら失望ですよ。カガリに尊敬できる父親って背中見せなくていいんですか~?カガリがお嫁に行くときバージンロード一緒に歩いてあげないんですか~?一人って寂しいですよね~。あーカガリの泣く姿が想像できるわ〜。泣いてる泣いてる、ウェディングドレス着て泣いてるカガリが想像ついて胸が痛い〜。お父様の馬鹿ー!って叫びながら泣いてるカガリが想像できて辛い〜」

「なっ!」

 

言いたい放題言われてパクパクと開いた口が塞がらないウズミ。けちょんけちょんにここまで非難されることなど初めてだろう。わかりやすく顔が真っ赤になっていく。だがおっさんの反論など痛くもかゆくもない。だってアマキだし。

 

「カガリ、買い物袋貸してあげるからウズミ様吸い込んでおきなよ。皆で宇宙行こうよ。ね。仲間外れなんて可哀そうじゃない」

 

悪魔の声ならぬアマキの魅惑的な囁きがカガリの耳に入る。いつもの常識的なカガリもこの時ばかりはその声に乗った。

 

「え、ああ。そうだな。吸い込んどくわ」

 

あっさりと頷くカガリにくわっと目をかっぴらいて信じられないといった顔をするウズミ。

 

「カガリ!?父の決断をくだらないと申すか!」

「お父様、始めたものなら最後まで責任を持たないと示しがつきませんよ。潔く決断してください」

「くっ、アマキ君に染められてしまったか。悪の親玉のような娘だな」

 

愛しき娘に冷めた視線を投げられウズミは悔しみながらうめいた。シーゲルのように異空間に放り込まれるのは嫌らしい。シーゲルはうんうんと頷いてさすがラクスが認めた相手と褒めていた。

アマキはパンパンッと手を叩いて話はおしまいだと知らせて

 

「さぁ、忙しくなるよ!」

 

とアマキの掛け声で皆行動を開始し、急ピッチでアークエンジェルへブースターが取り付けられる事になる。やれることは最後までやるの根性で一機団結し、瞬く間にアークエンジェルは宇宙へ向けての姿に改造された。クサナギの予備ブースターを取り付けローエングリンを撃つと同時に全開させて宇宙へレッツゴーというものだ。

 

「アークエンジェルの方はどうか?」

「現在、ブースターの最終チェック中です」 

 

ウズミがカガリの肩を抱き寄せて決意新たに言い切った。

 

「よし!行くぞカガリ!お前のバージンロードには私が必ず着いて行くから泣かせはしないっ!」

「お父様!」

 

頼もしいとカガリは歓喜に満ちた声で応え、こうしてウズミ達もクサナギに乗りこむことになった。一部の人達はアマキのたきつけるような行動に感謝していたり、アイドル活動に興味持ったりしていた。高官に売り込むチャンスとミリアリアは後でしっかりと布教するつもりである。

さて、出発までの少ない時間、キラ達は機体の下で休憩を取っていた。アマキは最後の晩餐とまではいかないがフレイからの差し入れで山ほど皿に盛られた塩おむすびをキラの隣で美味しそうに頬張っていた。

 

「…ザフトのアスラン・ザラか。彼女には解ってたんだな」

 

アスランはアマキの豪快な食べっぷりにげっそりした様子で見ていたが、ふと思い出したようにつぶやいた。

 

「彼女?ああ、ラクスだね」

「……ラクスに叱られたんだろ。ぷぷっ」

「アマキご飯粒飛んでるよ。フフ、可愛いなー」

 

キラが甲斐甲斐しく世話をするのを呆れてみているディアッカ。こいつらバカップルだよなと内心思っている。

アスランはしっかりと突っ込むことは忘れずに真面目モードに語りだした。

 

「うるさい!……国、軍の命令に従って敵を討つ。それでいいんだと思っていた。仕方ないとそれで、こんな戦争が一日でも早く終わるならと。でも、俺達は本当は何とどう戦わなくちゃいけなかったんだ?」

 

自問自答して答えがでるならとっくに誰だって出ている。だからキラは代わりに答えた。

 

「一緒に行こう、アスラン」

「え?キラも口元に米粒が付いてるぞ」

「あ、ほんとだ。……みんなで一緒に探せばいいよ、それをさ」

「…うん。食べてからでいいぞ。それ」

「……もぐもぐ、…自爆しようとしたウズミ様を説得したアマキもいるから、きっと大丈夫だよ」

「そうだな、敵にまわしたくないな」

「そーそー」

 

アスランとディアッカはこくこくと意味深に頷いた。しかしこんな時にまで腹いっぱい食べようとするアマキを見ていると自然と緊張もほぐれてくるから不思議なものだ。小動物ではない、野生動物だが餌付けをすると可愛く見えるかもしれない。

 

「なんだよ、それ。失礼なっ」

「褒めてるんだよ。アマキは頼もしいって」

 

キラのフォローにアマキは面白くなさそうに唇を尖らせる。キラは楽しそうに唇をつんつんと突っついた。

アスランとディアッカは再度バカップルと心の中で呟いた。

 

「ふーん、そういう意味には聞こえなかったけどね」

「大丈夫。アマキの凄さは皆が理解してるから」

「「そーそー」」

「なんか失礼だよなホント!」

 

その後準備ができたアークエンジェルとともに皆を乗せたクサナギは発進。ずいぶんな大所帯となったものだがこれはこれで頼もしい。人員が増えればそれだけやれることも増えてくるはず。キラ達はそれぞれの機体に搭乗しクサナギと通信を取る。

 

『僕たちは発進を援護します。アークエンジェルは行ってください。クサナギは!?』

「すぐにでる!すまん!」

「私達はクサナギに掴まっていけばいいんだな」

「ああ。後は頼んだぞ」

 

しっかりと二人は頷き返し、アスランはディアッカへ指示を出す。

 

「空中戦になる。バスターでは無理だ。ディアッカはアークエンジェルへ!」

「チッ!」

 

舌打ちしつつ、しょうがないと受け入れる彼に宇宙でしっかりと働いてもらおうディアッカ君と手を振るスノーホワイト。

マリューはそれぞれに指示を出し緊張感に溢れた面持ちでしっかりと椅子に腰かけベルトを締めた。それぞれ大気圏に突入まで間に飛ばされないようにシートベルトを装着して皆、空へ挑む。

 

「艦首上げ20。ローエングリンスタンバイ」

 

アークエンジェルが少しずつ浮上していき動き出したことで敵三機もこちらの動きに感づいたようだ。

三機も浮上し背にアークエンジェルを庇いながら敵三機と相対する。

 

『来るぞ!キラ、アマキ!』

『発進急いで下さい!』

「いっけぇぇええーー!」

「てぇーー!」

 

空へと放たれるろローエングリンの勢いにより空間が生まれその勢いでブースターもパワーアップされ高く高く空へ舞い上がる。

だがカラミティがアークエンジェルを落とそうと長射程ビーム砲を準備しようとするのを後ろからジャスティス、フリーダム、スノーホワイトが三機で邪魔をしカラミティとレイダーの気を削ぐ。

 

『チィ!」 

『くっ!』

「ぇぇぃ!」

 

続いてクサナギも空へ上がろうとし、全ての人間が退去しオノゴロは遠隔操作にて自爆プログラムが作動しカウントダウンが始まる。これを逃せば取り返しがつかない。アマキは二人を呼んで先駆けてクサナギを目指す。

 

「二人とも!」

『アスラン!』

『ああ!』

 

二機は三機に攻撃をしながらクサナギへ合流しようとする。

 

『くっそー!』

「「うぅぅぅ…」」

『落ちろぉぉ!!』

 

先に無事掴まることができたスノーホワイトが二機に向かって手を差し出してまず捕まえたのがフリーダム。そして二人がかりでジャスティスへ手を伸ばす。

 

「キラ、アスラン!」

『アスラン手をっ!』

『ああ!!』

 

ガシッ!

しっかりと摑まえることができた。後は流れに逆らうようにジャスティスを引っ張り上げれば怖いものなしである。しっかりと明日着いた状態で後方でしぶとくついてきている三機達に最後の置き土産を与えることにした。三人は何も言わずとも視線で頷き合い

 

『ああ!』『うん!』

「よし!景気よくぶっ放すか」

 

それぞれ二機はフルバーストとなり、スノーホワイトもモードアンセムに切り替え容赦なく三機に牽制しまくる。ついでにオノゴロ自爆プログラムも作動ししっかりと大きな爆炎も上がり、地球軍の慌てた顔が目に浮かぶようだ。

 

「さらば地球よ!また会う日まで」

『ちゃんと帰ってくるから』

『いちいち大げさな奴だな』

 

こうしてアークエンジェルと希望の船そして三機達は空高く宇宙を目指して上がっていた。




「やーい、やーい、ここまでおいで~。お尻ぺんぺんしてやる~」

アマキ、気分良くお尻ぺんぺんのポーズを取る。

『やめなよ、アマキ』
『はしたない奴だな』

キラはやめさせようとチョップする構えをする。アスラン放置。
後で馬鹿なことをしていたことをアスランから報告され、カガリにヘッドロック仕掛けられるアマキであった。

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