腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする 作:サボテンダーイオウ
カンザーキ中佐の指揮の元、ドミニオンの試運転ならぬ訓練が月面基地にて行われた。新たにドミニオンに配属された士官たちはまだ扱いになれておらず、艦長の指示に的確に対応することはできずあたふたとする場面もあり、実地シミュレーションでは敵艦に墜とされることとなる。どやされるかと思いきや、艦長は「まぁこんなもんだよな。まずは死なないところからやってくか」とあっけらかんとした態度で士官たちに接しどやすこともなく逆に士官たちの方が呆気にとられることもあった。そこへ例の将校がある人物を連れてやってきた。
「すまんな、気合いの入っているところを」
「マジ、そうですね」
すげなく言い返されると苛立ちを感じるがそこはしっかりと抑える。まともに付き合ってられない人物なのだ。
「グッ。……こほん、紹介する。こちらは国防産業連合理事のムルタ・アズラエル氏だ。君もお名前くらいは聞いているだろう」
「はぁ」(知らねーよ)
「この艦に配備される、3機の最新鋭モビルスーツのオブザーバーとして、共に乗艦する。頼むぞ。くれぐれも、くれぐれも!面倒を起こすなよ」
将校に念押しされるカンザーキ中佐は将校が心配になるくらいの軽さでアズラエル理事に挨拶をした。
「よろしくお願いしやーす」
「……よろしく、艦長さん」(軽いな)
無論、アズラエルの頬がピキッと固まったが、こういう人種もいるのだと受け止めた。なんせ、モルモットの三人よりはましなほうだろうと考えたのだ。
「ウッス、タクミ・カンザーキ中佐であります」
いや、うん、少しはまともかもしれない。礼儀はちゃんとある。礼儀は。
アズラエルは将校の方を向いて
「……しかし、僕らの乗る船の艦長さんが、こんな若そうな男で大丈夫ですか?随分と若そうだが……」(年齢偽ってるわけじゃないよな。失敗だな、今更変更はできないか……)
「ご心配なく!彼は性格は難ありですがその腕前は確かなものです」
将校はアズラエルのジト目に耐えながらなんとか話を進めようとする。
アズラエルは顎に手を当てながらカンザーキ中佐の隠された目元を探ろうと視線を強くする。
「へぇ」
するとカンザーキ中佐は後ろ頭を掻いてなぜか照れだした。
「そんなにじっと見られると照れるんスけど」
「……そういうつもりじゃないんだけどね……。なんにせよ期待させてもらいますよ。僕らはあのアークエンジェルを討ちに行くんですから」
アズラエルは若干引き気味になりながらこれからの行動をさらっと話した。
「…なるほど、そりゃ大仕事だわ」
カンザーキ中佐は帽子をくいっと少しだけ上げると少しだけ瞳を見せ、口角が上がっていた。
彼の獲物はただ一つ。星から零れ落ちた少女、一人だけだ。
◇◇◇
ヴェサリウスでは逃げたエターナルの居場所について割り出していた。クルーゼや、イザークがオペレータが割り出した航路を共に画面で見る。新たにクルーゼ隊に配属された者も共に。
「ヤキン・ドゥーエの追跡データから割り出した、エターナルの予測進路です」
大方の予想通りのようで顔をしかめるアデス艦長に対してクルーゼは余裕しゃくしゃくと言った風だ。
「L4コロニー群ですか、やはり」
「………」
「困ったものですな、あれには。妙な連中が根城にしたり、今度のように使われたりで」
「クライン派がさほどの規模とも思えんが、厭戦気分と言うやつからかな。軍内部もだいぶ切り崩されていたようだ。何が出るやら、だな」
クライン派に寝返った者たちも数多くでている。一体誰が味方かもわからない状況だ。
その一人であるエターナル奪取に加担したとされるアンドリュー・バルドフェルド。彼もまたザラ委員長を見事欺いた男だ。
「バルトフェルド隊長には私もお会いしたことがありますが、よもや彼だとは…」
「口の上手い陽気な男さ。ザラ議長もまんまとそれに一杯食わされたのだろう。奇跡のヒーローだしな」
アデスに顔を向けてそう皮肉を込めていうとアデスは不快な顔をになる。
「そのとばっちりを受ける我々は堪りませんよ」
「フ、仕方なかろう。物事はそうそう頭の中で引いた図面通りにはいかぬものさ。ましてや人が胸の裡に秘めた思惑など、容易に解るものではない。イザーク」
「……っ!」
名を呼ばれイザークはクルーゼを見上げる。彼は熱心にエターナルの航路を見ていた。
「今度出会えばアスランは敵だぞ?」
「………」
もう、古株は一人しかいない。決断ならとっくにしている。
「討てるかな?」
「…無論です!裏切り者など!」
言葉に出すことで揺らぎそうな気持に喝を入れるイザークだった。
◇◇◇
一部機能しているというメンデルにて、これからの作戦について皆で話が行われた。主だったメンバーがアークエンジェルのブリッジに集まる。エターナルからバルドフェルドとアイシャがムウの案内でブリッジへ。
「こいつは確か、開戦前にバイオハザードを起こして破棄されたコロニーだろ?」
「ああ。このメンデルの事故はオレも記憶にある。けっこうな騒ぎだった。でもま、そのおかげか一番損傷は少ないし、とりあえず陣取るにはいいんじゃないの?」
「隠れ家にはうってつけね」
三人がブリッジに着くと大体のメンバーはそろっていた。
ラクスとキラはアマキの両側に陣取り二人に挟まれたアマキはげっそりとした顔をしていた。
「お?なんか疲れてないか?アマキ」
「……聞かないでくれ」
声も辛そうである。ムウは答えに詰まり、悪いことを聞いてしまったっと後悔した。
「あ、…そう…。うん、言わなくてもわかる。お疲れ」
とりあえず労うことを忘れずにマリューの隣に移動する。ここでラクスから話が切り出される。
「当面の問題はやはり月でしょうか?現在地球軍は奪還したビクトリアから次々と部隊を送ってきていると聞いています」
「プラント総攻撃というつもりなのかしらね?」
マリューの問いにバルドフェルドが嫌味なことを一つ言った。
「元々それがやりたくて仕方ない連中がいっぱい居るようだからな。青き清浄なる世界の為に?」
「アンディ」
それにさっと表情を曇らせるマリューとナタル。地球軍に身を置いていた彼女たちにはその言葉は嫌ってほと聞いているはずだ。
アイシャが窘めるようにバルドフェルドの肩に手を置いた。
「…」
「よせよ!」
ついムウは制止をかけた。
「ふ、僕が言ってるわけじゃないよ」
「ま、事実だけどな」
ムウもそこはあっさりと認める。そのブルーコスモスを主体とする地球軍もいるのも事実なわけで、バルドフェルドが納得できない様子で語りだす。
「なんでコーディネイターを討つのが、青き清浄なる世界の為なんだか。そもそも、その青き清浄なる世界ってのが何なんだか知らんが、プラントとしちゃあそんな訳の分からん理由で討たれるのは堪らんさ。しかし、プラントもナチュラルなんか既に邪魔者だっていう風潮だしな、トップは。当然防戦し反撃に出る。二度とそんなことのないようにってね。それがどこまで続くんだか」
ここでシーゲルが口を開いた。
「今になって思えば我らが敵対する理由はなんでもいいのかもしれない」
「お父様?」
「パトリックはエレノアが殺されたから変わってしまった」
「!」
アスランが体をビクンと反応させ、隣居るカガリもそれに気づく。
「大切な人を奪われた瞬間に人は変わる。私ももし、ラクスを失ってしまったらきっとパトリックのようになっていただろう」
「……」
辛そうにいうシーゲルはそう言ってラクスを見つめた。
アスランはぎゅっと拳を握って俯くとカガリはついアスランの手を取っていた。ハッとしてアスランがカガリを見ると彼女は不安げにしながらもアスランを気遣っていて、彼もカガリの優しさに少し安ど感を得た。
「理由は些細で単純なことなのだ。それが火種となって広がっていき大きな戦火へと繋がる。だが……」
「そうだ。私達には大きな希望がついている」
ウズミとシーゲルが揃って視線を向けた先にいたのは、アマキだった。彼女は視線の先が自分に向かっていることに戸惑った。
「……?え、なに?」
「君が私たちの希望だよ」
「なんで私?」
自らに指先を向けて不思議がる様子に、年上のおじ様たちは苦笑しながら言った。
「君がこの世界に迷い込んだ理由は知らないが、運命ではないかと思っているよ」
「ああ。我らの世界に光を導いてくれている」
確かに、己の危機的状況を結果に変えてここまで共にいられることになったのはアマキが直接的にかかわっていること。
だがアマキは慌てて手をパタパタと振って否定した。
「いやいや。偶然にキラに拾われただけで私は大層な役とか無理ですし。それに皆がそれぞれ力を出してここまでこれたんです。私だけの力じゃないですよ」
という彼女の意見だがそこはウズミはさらに言葉を被せる。
「きっかけは些細なことで結果が重要なのだ」
「過大評価しすぎですよ。私は、私が大切な人達が平穏に過ごせるようにしたい。キラ達が笑っていられる世界にしたい。それだけす」
アマキはキラ達を見渡して言う様は一切の躊躇いなく潔い。その姿だからこそ、シーゲルやウズミが絶対的に信用に値する人物なのだ。そんな仲間たちを魅了してやまないアマキの凄さを改めておじ様たちは感じ取った。
「そんな君だからこそ、ここに皆集まったのだろうな」
「ああ、本人がまったく意識していないというのはすごいことですな」
ラクスとキラも対抗するように胸を張って言い始めた。
「あら、お父様。今更ですの?わたくしはアマキ様と出会った時から思っておりましたわ」
「拾ったのは僕だからね」
なんて次から次へと名乗りを上げる仲間たち。マリュー達やバルドフェルド達も同じだ。
アマキが純粋に自分たちの為に行動していることを。損得なしに真っ直ぐなのだ。思考が。やり方はいつもド派手だったり常人では考えつかないことばかりしでかすが基本はいつも皆の為に行動理念にある。その姿に皆、惹かれて集まるのだ。
ラクスが代表して皆に言葉で伝えた。
「時代がそうであるならまた止めるのも私達、人なのです。いつの時代も、私達と同じ想いの人も沢山居るのです。アマキ様のように皆で創りたいと思いますわね、そうでない時代を」
ラクスの気持ちに賛同するように皆はそれぞれ頷き合った。
☆
ドミニオンのコンソールをいじり画面に映し出されるのはコクピット達の情報である。あのアズラエル理事が真っ当な性格にも見えないので一応艦長として全把握しておかないと、であるが建前で本当は気になるから。
「クロト・ブエル。強化インプラントステージ3。X-370の生体CPU。個人データは全て削除。オルガ・サブナック。X-131の生体CPU。ステージ2。やはり個人データは無しか。シャニ・アンドラス。ステージ4。X-252の生体CPU。個人データ無し。3人ともパイロットではなく装備なのか…。なるほどね。ヘビーだわ」
ヘビーで締めくくる。
そこに問題のアズラエル理事がやってくる。
「あとどのくらいですかね、L4は」
「間もなくですよ。しっかし、アズラエル理事の情報網はさすがっすね。もうアークエンジェルの居場所を突きとめるんだから」
プラントにもアズラエルと繋がったやりとりがあるとか?
なんて考えを抱いていることなど彼は知らず、褒められれば気分は良いらしい。自慢げに胸を張る。
「フッ、そうでしょう。僕の情報は確かですからね。それに根拠なしにきてるわけじゃないですよ?」
「何か理由でも?」
「フリーダム、ジャスティス。そしてスノーホワイト。それが例の3機のコードネーム。そいつ絡みでナスカ級が3隻、L4へ向かっているっていうんです。ほんとだったらお終いでしょ?だから行くんですよ」
つまり潰されてしまっては利用価値が無くなる、と。
「なるほどっすね」
「君の仕事しっかり見させてもらいますよ」
「どーぞ、どーぞ」
勝手にピーチクパーチクしてる分には問題ない。彼にとってはどうでも良い存在なのだ。ただ一人を除いて。
◇◇◇
エターナルでは戦闘に向けて調整に入っておりバルドフェルドやラクスがその指示にあたっている。
「弾薬や物資は突っ込めるだけ持ってきてはある。その後の補給ルートも、プラントに残ってる連中がどうにか繋げてくれる手はずになってるからな」
「艦の最終調整はあとどのくらいかかりますか?そう、なるべく急いで下さいね」
テキパキと指示を送るラクスの凄さにムウは関心しながらストライクで運搬作業に当たっていた。
『はあ、凄いもんだね。ピンクのお姫様』
そこにアサギが驚きながら慌てて作業を代わると言ってくる。自分よりも戦場を知る彼にはこんな地味な作業は無用とでも考えているのか。
『少佐!そんなことは私達がやります!』
自分たちよりも大先輩にあたる人に自分たちの仕事をやらせるなど冷や汗ものなのだが、ムウの考えは違うらしい。これもトレーニングの一つと考えている。何分MAとMSの違いは大きい。動き一つに至ってもそうだ。
『いいんだよ。これも訓練の一つでね。君達だって宇宙でのシミュレーション経験あるんだろ?子供にばっかデカい顔させとけるかってね』
『う…』
何よりムウの性分として何もせずにいるよりも体を動かしたいのだろう。自分よりも年下の子供に酷なことを押し付ける彼ではない。そんな彼だからこそマリューも惹かれたのだ。そのマリューはキラと通信で今後の機体の場所について話していた。
「エターナルが専用運用艦だというのなら、フリーダムとジャスティス、そしてスノーホワイトはそちらへ配備した方がいいでしょうね。こちらはストライクとバスターで」
「分かりました。では僕とアマキ、アスランは向こうへ移乗します」
というわけで三人はエターナルへ移ることになったのだが、そこに例の新たな追っかけが現れることになる。
☆
ドミニオンのオペレータがアークエンジェルを捕捉する。
「コロニーメンデル。港内に戦艦の艦影3です。うち1隻をアークエンジェルと確認!」
「どうやら我々の方が早かったようですね。これはラッキー。さ、じゃぁ始めて下さい。船は沈めちゃって構いません。僕が欲しいのは例の3機のモビルスーツだ。こっちも発進準備ですよ。今日こそちゃんと仕事をさせないと」
アズラエルの偉そうな態度は今に始まったことではない。
オブサーバーとして強くは言えないが艦長は気にしていないので軽く流して戦闘の開始を宣言する。
「んじゃま、始めますか。本艦はこれより、戦闘を開始する。イーゲルシュテルン、バリアント起動。ミサイル発射管全門スレッジハマー装填。ローエングリン照準。目標、アークエンジェル級1番艦…アークエンジェルだ」
ドミニオンからの攻撃捕捉によりサイが即座にモニターでアラートと共に感知し、緊張した声音が響く。
「う!接近する大型の熱量感知!戦艦クラスのものと思われます」
「え?」「なんだとっ!」
マリュー達は突然の敵の来訪に戸惑いつつも第一戦闘配備を急がせる。
「距離700。オレンジ11、マーク18アルファ、ライブラリ照合…有りません!」
「総員、第一戦闘配備!」
『総員、第一戦闘配備!繰り返す、総員、第一戦闘配備!』
艦内に響く第一戦闘配備の放送にアマキ達は即座に反応し、出撃準備にかかる。
「来たな」
「二人とも!」
「ああ!」
ドミニオンからのローエングリン発射によりコロニーの一口部分が攻撃を受け、アークエンジェル以下他の皆にも大きく振動が伝わってくる。それに耐えながらアークエンジェルは一足先に港を出ることにした。
「アークエンジェル発進!港の外へ出る!」
『ラミアス艦長』
『クサナギの状況は?』
『出られる。大丈夫だ』
クサナギは出撃できるというがエターナルはまだ無理のようでバルドフェルドから報告を受ける。
『エターナルはまだ最終調整が完了していない』
「分かりました。では港の中で待機を。敵がザフトか連合か分かれば、その狙いも分かります」
『解った!すまん!』
画面を切り終えるとナタルが指示を出す。
「イーゲルシュテルン、バリアント起動。艦尾ミサイル発射管全門装填!」
アークエンジェルは港を出てドミニオンの前に出てきた。
そこへドミニオンからアークエンジェルへ通信が呼び掛けられる。
『こちらは地球連合軍、宇宙戦闘艦ドミニオン。あー、アークエンジェル。聞こえてるなら返事をしろ』
それは若い男の声で彼を知っている者は誰もいなかった。
『そちらに、アマキ・カンザキなる人物がいると思うが素直に引き渡しを要求する。この命令に従わない場合は貴艦を撃破する』
あまりにも突然の要求に皆困惑する中、ミリアリアが声を上げる。
「あ!艦長、敵艦の光学映像です」
前面のモニターに映し出されるのは、アークエンジェルよりも灰色を基調とした艦体でそのまま模写したような姿に皆驚愕した。
「アークエンジェル!?」「秘密裏に造っていたのか…!」
「同型艦か…」
そしてドミニオンから通信映像が届き、そこに映っているのは年若いが階級が上の男だった。
『よう!俺は新たにドミニオンに配属された艦長だ。タクミ・カンザーキだ。よろしく』
軽く手を挙げて気軽に挨拶する素振りを見せ、マリューは怪訝そうに眼を細めた。
「はぁ…。それでアマキさんを引き渡すというのはどういうことですの?理解できないわね」
『あー、それな。俺の事情でしかないわけでアンタらに興味はない。素直に引き渡せ』
「できません」
マリューはきっぱりと断ると、カンザーキ中佐はあっさりと言い放った。
『そうか。だったら潰して回収するだけだ。おい、三機発進させろ』
「なっ!」
なんて切り返しの早い男だ。するとモニター外からもう一人男の笑い声が響く。
『あっはっはっは。どうするものかと聞いていたがいいですね!艦長さん。そうです。敵は撃たねば!』
『アズラエル理事、よこから口出さないでくださいよ』
その名前が出た途端放送を聞いていた者たちは一気に動揺が走った。
『ぐっ、君はいちいち一言が余計なようだね。まぁいい。カラミティ、フォビドゥン、レイダー、発進です。不沈艦アークエンジェル、今日こそ沈めて差し上げる』
偉そうな口ぶりの男はまたも偉そうにそう宣言した。
「アズラエルって…?」
「ブルーコスモスの盟主だ!」
「ええ!」
ドミニオンから例の三機が出撃を開始したのを受け、キラ達も出撃を開始する。
「ドミニオンより、モビルスーツ発進しました!」
「キラ君!アマキさん!ムウ!」
『アマキは渡さない!出撃します!』
突然の無茶ぶりな要求に相当頭にきているキラは怒りを抱きながらフリーダムで飛び出た。
『なんで、私の名前が?まっいっか。了解!出る!』
アマキはあまり気にしたそぶりもなくスノーホワイトを発進させる。
「ストライク、発進どうぞ!」
『いくぜ!』
『アスラン・ザラ、ジャスティス、出る!』
「バスター、行くぜ?」
「バスター発進、どうぞ!」
続けて、ストライク、ジャスティス、バスターが出撃する。
「バスターとストライクはアークエンジェルの援護を!」
キラ達の相手は例の三機となる。先陣をきるキラから二人に指示が入る。
『アスラン、あの3機だ!アマキはできるだけ僕から離れないで!』
『ああ』
『いやキラにくっつけって…』
『いいから!』
『は、はい!』
珍しくキラに語気強く言われアマキは反射的に答えていた。まぁ、それだけ頭にキテいるのだろう。先ほどの件が。それはマリュー達とて同じだ。たとえどんな条件であろうともアマキを差し出すつもりなど毛頭ない。コロニーの近くはデブリが非常に多く舵ひとつ間違えると最悪なことになる。
「デブリに気を付けて!特に、テザー用のメタポリマーストリングは危険よ!」
「解ってます!」
マリューはノイマンにそう指示を出すと、アークエンジェルを前進させる。クサナギも進行を開始しアークエンジェルの後を追う。
「出港後、最大戦速!アークエンジェルの左舷に付く!」
カラミティの長射程ビーム砲が合図となり交戦となる。
『おらぁ!行くぞー!!』
キラは血気盛んに真正面から突っ込んでいくのでアスランは気が気じゃない。
『やらせるか!』
『キラ!』
続いてフォビドゥン、レイダーもスノーホワイトを目標に向かってくる。
『生け捕るったってさあ!』
『テキトーでもいいの?あー、あの白いの獲りたい』
ドミニオンからは次なる手が出される。
「アークエンジェル、及び不明艦1、前進してきます。進路グリーン94、マーク3、ブラボー」
「ミサイル発射管、1番から6番、コリントスの終端誘導を自律制御パターンBにセットして装填。照準、オレンジアルファ17から42まで、5ポイント刻みの射角で発射!同時に転進、進路インディゴ13、マーク20チャーリー、機関最大!」
「そんな明後日の方向にミサイルを撃ってどうするんです?」
「当たったら儲けっすね」
バスターはやストライクはアークエンジェルを狙ってくる地球軍のMS部隊と交戦し確実に仕留めていく。
『ええい!』
『上がった腕前、見せてやるよ!』
順調かと思いきやドミニオンの策にクサナギが引っかかった。仕掛けた罠が作動したのだ。
「敵は1隻だ、エンジン部を…うわ!」
「なんだ!?」
大きく揺れる艦に対して舵が取れなくなり身動きを封じられてしまう。
「解りません!いや…何かケーブルの様な物が船体に!」
「ええ!?」
クサカが指示を出すも
「引きちぎれ!」
「出来ません!」
と力が足りないらしい。ならばとキサカはアサギに指示を飛ばす。
「アサギ、船体に何か絡んだ。外してくれ」
『了解!』
アサギがクサナギの船底に回りこむところをフォビドゥンに見られておりこれはチャンスと言わんばかりにクサナギの方へ向かってくる。
『あ…あれ、もう終わりじゃん?』
『クサナギ!』
アスランは急ぎフォビドゥンの後を追い、アサギとクサナギの援護に向かった。
残された二機はやはりスノーホワイトを狙いたいらしい。執拗に迫ってくるのを寸前でひらりと交わす様は彼女と敵パイロットの技量の凄さを伺い知れる。
『おいシャニ!くっそーあの野郎!もういい俺が白いのもらうっ!』
『こいつ、うぜー!』
『だからやらせるかっ!』
『だからキラ!私だって戦えるからっ』
アマキの訴えには聞く耳を持たずキラはさらにスノーホワイトを背に庇いつつ二機相手に見事な攻防を繰り広げる。
さて、ドミニオンとの戦闘の最中、ヴェサリウスのクルーゼ達はひっそりと静観するかと思いきや、大胆な作戦に出ることにした。
「さてと、どうしたものかな。既に幕が上がっているとはね」
「エターナルの他に2隻。一つは足つきですが…。地球軍側は1隻のようですな」
どういう仲間関係かはまだわからないが、表立って動くのは危険と判断したのか。クルーゼは大胆な行動に出た。
「ともあれこう状況が解らぬのでは、手の打ちようがない。私とイザークでコロニー内部から潜入し、まずは情報収集にあたる」
「隊長自らですか?」
「ヘルダーリンとホイジンガーはここを動くなよ。コロニーメンデル。上手く立ち回ればいろいろなことに片が付く。いいな!」
「「は!」」
というわけで隊長自らがメンデルに乗り込むことになったわけであるが、のちの運命が彼を変えることになる。
そして数あるデブリによりドミニオンの居所を見失ったしまっていたアークエンジェルでは敵艦の捜索に追われていた。
「ドミニオンは!?」
「デブリが多くて…は!グレー19、アルファにドミニオンです!」
まさか頭上の巨大なデブリに潜んでいようとは誰も考えなかった。
「いつの間に!?」
驚愕するマリューに対して、どこか楽し気にカンザーキ中佐は大ダメージを与えようとする。
「当たるかな~。ゴットフリート、てぇ!」
「回避ー!」
マリューの指示によりノイマン操縦の元、アークエンジェルが大きく横に逸れる。
「ぅ…」
「オレンジデルタよりミサイル急速に接近!」
「チィ!迎撃!」
「間に合いません!」
その時、スノーホワイトが翼をアークエンジェルの前面に飛び出した。
『誰が沈ませるかっての!!』
アマキの気合と共にモードアンセムとなりアークエンジェルへ向かってくるミサイル全てを撃ち落とす。アークエンジェルは無事に守られ安堵の息をつくのもつかの間、ドミニオンはしつこくアークエンジェル、スノーホワイトを狙おうとする。
「うーん。上手くいかないもんだ。しっかし、大層なもん与えられたな、アイツ」
何処か嬉し気な声を出す艦長にアズラエルは不服そうな顔をした。
「君、これどうするんです?」
「んじゃ、カラミティとレイダー突っ込ませますか。こういう時はゴリ押しっていうじゃん。バリアント、ゴットフリート、照準敵モビルスーツ、てぇ!」
スノーホワイトへ標準を合わせ文字通りゴリ押しで追い込もうとする作戦に出たようだ。
『せああーー!!』『今度こそ貰ったぜ!』
『っ!』
『アマキッ!!』
二機が迫り来る中、キラの中で種が弾け全てがクリアとなる。彼女を守るため、フリーダムは想像を超える速さでスノーホワイトの前に飛び出るとカラミティとレイダーに対して攻撃の隙さえ与えずに一方的な攻め方で追い詰める。ビーム砲を撃ちまくり、牽制しつつ距離が開いたところへスラスター全開にし一気に懐へ攻め込んだ。
『彼女に手を出すなぁぁーー!!』
キラは激高しながら両手にビームサーベルを装備して叩きつけるように斬りこむ。
『コイツ!』
『テメッ!?』
『キラっ!』
装甲に叩き込まれることによって激しい火花が飛び散り、キラの勢いに負かされるもすぐに調子を取り戻し二対二の協力しながらの戦闘へ突入する。
そしてヴェサリウスからはシグーとデュエルが出撃し、メンデルを目指すことになった。
『いいかなイザーク。行くぞ』
『はい!』
そして敵機を倒した後二人の来訪を頭のどこかで違和感として感じ取ったムウは、ストライクを飛ばし違和感を強く感じる方向へ急がせた。
『この感じ!?まさか!?』
『な…おい!おっさん!』
単独で先に行ってしまうムウに対してディアッカは慌てて声をかけた。ムウはしっかりと言い返す。
『おっさんじゃない!ザフトが居る!』
『あ!?…ッチ!』
こうして二機はメンデルへ戻ることになる。
なぜアマキを欲しがるのか、その理由は?そしてこの先に待ち受けているのはーーー。
お気に入り、評価等よろしくお願いします。励みになります!
ガンダムSEEDDESTINYも読んでみたいか?
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続きを読んでみたい。
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