腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする   作:サボテンダーイオウ

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「けっけっけ~」

女の子の笑い方じゃない。


PHASE-43受け止めてくれる場所

ラウ・ル・クルーゼを引き込んだことで要らぬ混乱を招いたアマキは目下、八つ当たりという名のレイダーを追いかけまわしている。

なぜかって?MS状態のレイダーの両翼を真っ二つにするためである。スノーホワイトの目がアマキの感情を現すかのように爛々と光っている。

 

『けけけ~~!』

 

『ちょっ、コイツなんで俺の後ろバッカ付いてくるんだよ!?』

 

『斬らせろ~~斬らせろ~~』

 

白き翼をはためかせ追いかけまわす姿はアスランから見ても異様だった。だがアマキの好きにさせていた。だって巻き込まれたくないもん。キラはああ、アマキは絶好調だねと微笑ましい視線で見つつ、目の前のカラミティにアマキに教わったやり方で打撃をぶち込んで長射程ビーム砲を片方ぶっ壊した。キラもキラである。

八つ当たり対象となったレイダーはしっかりと振り回されたのちに見事に両翼斬られてしまった。

アスランもアマキとキラの無茶苦茶ぶりに感化されて、フォビドゥンに防御されるんなら、また防御された瞬間に真下に潜り込んでビームサーベル突き刺してやればいいんじゃんということで実行。

 

『うぉぉぉおーー!!』

 

『ぎゃぁあああ!!』

 

正攻法など戦場では難しいもの。思いつきと判断力が互いの生死を決めるのだ。

 

◇◇◇

 

イザークは結局ヴェサリウスに戻りアデスに助言を求めた。

 

「これこれこーで隊長は足つきに囚われた!」

 

「……クルーゼ隊長が我らを裏切ったのか…?」

 

信じられないと言った表情になるアデスに対してイザークは必死に説明する。

 

「そんなわけないっ!隊長は、クルーゼ隊長は!手錠されていたんだぞっ!」

 

「!」

 

「しかも、しかもっ!仮面が取れていたっ」

 

「なんだとっ!?」

 

「あの隊長が仮面を取られた……わかった。では我らは一旦撤退する!」

 

「はぁ!?」

 

イザークは聞き間違いかと思った。だがアデス艦長は真面目な顔で言った。

 

「あの用心深い隊長が仮面を外されたんだぞ。これは重大な事件だ。いや、隊長からのメッセージかもしれん」

 

「いや確かにそうだがって!メッセージって一体なんだ!?」

 

と、一時離脱というわけでヴェサリウス以下二隻はプラントに戻ることになる。やや納得しがたそうなイザークではあるが、足付きにクルーゼが捕らわれている以上深追いも出来ず上層部の判断を仰ぐしかない。それに、ディアッカからの告白が彼の頭から離れないのだ。

 

ただ言われるままにナチュラルを倒して、それで平和に繋がるのかと。

イザークとてそれはわかっている。

それを行動に移すには、プラントから離反するということだ。今彼にそれを実行することはできない。ディアッカ達がどう行動するか分からないかプラントを守れるのは自分達だけと責任感があるからだ。

決して!ディアッカの言うウハウハな環境が妬ましいとかそんなんじゃないやい。

 

 

◇◇◇

 

アークエンジェル、クサナギ、エターナルと迫られ、ドミニオンは窮地に立たされる。ブリッジ内ではアズラエルが動揺する姿があり、艦長は反対に呑気に状況を分析していた。

 

「おいおい!こっち人気ありすぎじゃね?」

 

「なんとかして下さいよ!」

 

外側に向かって指をさして焦ったように主張するアズラエル。艦長は顎に手をやりわざとらしく言いのけた。

 

「なんとかつってもねー。俺ただの雇われだしー所詮アンタの下っ端ですからー」

 

「君!ボーナス弾むからあいつ等蹴散らしてくださいっ!」

 

アズラエルも必死になる。艦長にとってはボーナスなんぞどうでもいいが、コンディションがいまいちである。それに向こうのスノーホワイトはレイダーの両翼を斬り落とすという所業に出ている。バーサーカー状態で、こちらがまともに立ち撃てる状況ではない。ザフト艦も撤退するという謎の状況。ここで墜ちても意味がない。

こちらが振りということは……。

 

答えは一つしかない。

 

「信号弾出せ!」

 

「ハッ!信号弾発射!」

 

「なっ!」

 

予想外の行動にアズラエルは言葉を失う。その間に三機に敵を撒くよう指示を出し、ドミニオンが撤退するため宙域を離脱する準備に入る。まさかの撤退に三機から不満の声が上がるが、艦長からの

 

「だったらそのまま死ね」

 

との声で確実に置いていくつもりであると理解した三人は不平不満を零しつつその場を離脱するため、キラ達に牽制をしつつ撤退の帰路につく。

キラ達もそれ以上深追いするつもりはなく、味方機に損傷がないことを確認しエターナルに帰還する。

 

だが格納庫に戻りついた時、なかなかスノーホワイトから降りてこないことに心配したキラがアマキに声を掛けに行った時、内部シートに身を預けぐったりとしている彼女を見つけキラは目を見張り声を荒げた。

 

「アマキ!」

 

アスランもキラの慌てた様子に後ろから心配そうに顔を覗かせた。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「うう、もう一歩も動けない」

 

キラに支えられながらコクピットから出てきたアマキは辛そうにお腹を抑えている。以前に砂漠で会った出来事をキラにかいつまんで聞かされていたので、今回の様子を見るに……。

 

「…まさかこれが、例のやつか?」

 

「多分そうだと思う」

 

神妙な顔になるキラに対してアスランは「はぁ」と眉間を抑えて重いため息をついた。

アマキのヘルメットを手にしてキラにお姫様抱っこされて運ばれるアマキの後ろに続いて戻るアスランだった。

 

 

◇◇◇

 

アークエンジェルではマリューのところへ戻ってきたムウと共にエターナルから通信が入る。

 

「え!?…そう…分かったわ。…ええ…みんな疲れていると思うけど…ええ…そう…じゃお願いね。アマキさん、倒れたそうよ」

 

「何?」

 

ムウは吃驚してまさかと深刻そうな顔になるが、マリューの続きの言葉を聞いてほっとする。

 

「空腹で。はしゃぎすぎて忘れてたみたいだわ」

 

「あ、そっちか。無理もないな、3時のおやつ与えてる暇もなかったからな。しっかし、親父も碌なことしないな。傲慢で横暴で疑り深くてさ、俺がガキの頃死んだけどそんな印象しかなくてさ。まさか、あんなことしてたなんて、おまけに失敗作?テロメアが短くて老化が早いって…なんだよそりゃ!」

 

つい、自分の父親に対して怒りがこみ上げ口調も荒くなってしまう。そんな憤りを覚えるムウに寄り添うマリューはそっと肩に手を置いた。

 

「あなたのせいではないのよ。ムウ」

 

「奴には過去も未来も、もしかしたら自分すらないんだ」

 

クルーゼは被害者であり、父の実験の犠牲者でもある。

 

「でも今はアマキさんに救われたのでしょう?どんな形であれ」

 

そう、アマキが引っ張りこんでこなければ共に戦うことなど不可能だったはずだ。自分の父親の不始末をアマキに背負わせてしまったようで罪悪感を覚えるが、何より結果論だ。ウジウジ悩むよりも未来のことを考えようと思う。ムウは苦笑しながら言った。

 

「……確かにな。アマキには足向けて寝られねーわ」

 

「フフ、あの破天荒な性格も褒めてあげる事ができるわね」

 

とかなんとかマリューは言っているが、でも度々同じことをされても困るのでそこは大人のけじめとしてしっかりと後で叱られるアマキであった。話とちゃうやん。

 

 

エターナルの食堂ではニコルや合流したディアッカを含めて7人で食事会となった。大盛のナポリタンである。でっかい肉団子付き。ラクスがそれぞれのお皿に盛り付けていく中、アマキはじゅるりとよだれが出かかっていた。

 

「「「いただきますっ!」」」

 

カガリがプリプリしながら肉団子を頬張る。フォークとナイフを使ってお上品に食べて見せる。口調は荒いが。

 

「ったく!ちゃんと食べとけよ!お前は!」

 

「まぁまぁ、カガリさん。アマキ様もゆっくり食べてくださいな。まだたくさんありますから」

 

ラクス特製ナポリタンはアマキ用の皿にだけ大盛で盛られている。愛情も盛られている。

もぎゅもぎゅ。

くちいっぱいに入れてまるでリスのようだ。ラクスから見れば微笑ましい姿だがキラからしてみれば危ないものだ。

 

「そうだよ。喉詰まらせるから」

 

「うぐっ!」

 

「あ!」

 

「言ったそばから!」

 

キラがアマキに水を差し出すとそれを素早く受け取って口に流し込む。

 

「お約束な人ですね」

 

「まさか腹減って動けないとかマジありえねぇな」

 

呆れながら静かにお手本なような食べ方をするニコルと漫画みたいな展開にディアッカも呆れていた。

 

「ぅぅ…うっ!…ぁ…はぁ…ごめん、ありがとう」

 

なんとか落ち着いたところで本題に入る。アスランも通信で聞いていたから目玉が飛び出るほど驚いたものだ。

 

「しかし、どうする。クルーゼ隊長の扱いは」

 

「まさかの隊長ですからね。僕も何か言われるかも」

 

「クルーゼ隊長だって似たようなもんだろ?あー、でも嫌味くらい言われるか」

 

元クルーゼ隊の三人が悩む側でカガリはとりあえず問題を丸投げした。

 

「…コイツに聞いてくれ。私は管轄外だ」

 

「そうだね。とりあえずこっちに移ってもらおうか。バルトフェルドさんも知り合いらしいし、アークエンジェルだと気遣いしそうだしね」

 

キラなりにクルーゼの身を案じている。確かに戦い合った仲だが、アマキがらみの縁ということで、

ナチュラルばかりと言うのはやはり居心地が悪いかもしれない。

やっぱりそうなるよなと三人は元上司との再会に腹を括った。

 

「そうですわね、あらアマキ様ったら。お口にソースが付いてますわ」

 

ふきふき。

ラクスは新妻よろしく丁寧にアマキの口元を拭いてあげた。

 

「あ、ありがと」

 

「あ!僕がやるのに」

 

「キラの仕事ではありません。わたくしのやるべき事ですわ」

 

「僕は!アマキの恋人だ」

 

「わたくしも立候補しております。アマキ様から聞きました。仮交際なのでしょう?ならばわたくしにもチャンスはありますもの」

 

澄まし顔でさらっと言うラクス。ますますキラの表情が険しくなる。

 

「ちょ、二人とも」

 

「アマキ様?」「アマキ?」

 

二人に詰め寄られタジタジになるアマキ。見かねてカガリが仲裁に入った。

 

「お前ら!静かに食べろっ!やかましいだろーが!」

 

違った。食事は静かに食べる派らしい。

 

(元上司がいるって、嫌だよな)

 

「賑やかだな、アマキさんがいると」

 

「あー、お腹いっぱいいっぱい」

 

アスランは元上司の存在にやきもきしていたり、ニコルは改めてアマキの存在に凄さを感じていたり、ディアッカは俺も彼女欲しいわーと羨ましがったり。

すっかり食べ終えたアマキとキラ、ラクスは食堂をあとにしてエターナルの自室に向かっていた。クルーゼ用の薬を探しに行くためだ。

 

「げぷー、食べた食べた!よし!これでまた戦えるぞー!」

 

アマキは満足そうにお腹をさすり、妊娠何ヶ月状態である。キラとラクスは停戦状態となって恋人云々の話は保留となった。今はこの争いを終わらせるために奮闘することになる。逆に言うならばアマキにとって終わった後が修羅場となるだろう。

キラの生い立ちは掻い摘んで聞かされたので、ラクスなりにキラを気遣ってはいた。普段通りの対応をしていたのもキラを励ましてのことだ。

 

「無理はなさらないでくださいね、アマキ様。キラも」

 

アマキの後ろを行くキラの背中に声を掛けたのはラクスだった。その声にアマキとキラは振り返る。

 

「僕?あーメンデルの話ね。うん、少しモヤモヤは残るけどアマキがいるから大丈夫」

 

彼のその表情から無理をしているようには見えなかった。

確かに少しはショックだったが、それもアマキの存在に比べれば些細、ということはないが、気になるレベルではない。

なんせアマキは異世界を飛び越えてきているのだ。それも四次元買い物袋なるものもある。遺伝子を弄って産まれたキラが霞むくらい強烈な存在だ。もし、アマキの出自を快くない輩に知られた場合、アマキ自身の身にも危険が及ぶことになる。少なくとも、アマキに関りがあった人間関係で彼女の情報を簡単に吐くような人はいないだろう。そしてラクスの不安などものともしないはずだ。

当のアマキはケロっとした顔で言うのだろう。私普通だよ、なんて。その素直さ、潔さに皆、惹かれるのだろう。裏表のない彼女に。

 

「そうか、どんな生まれだからってキラはキラだ。な、ラクス」

 

「ええ。わたくしたちの知るキラは一人だけです」

 

 

微笑み合う二人からの励ましの言葉にキラは嬉しそうに目を細めた。

 

「…!ありがとう、二人とも」

 

「これからの未来を勝ち取るためにも共に行きましょう」

 

そう言ってラクスが最初にキラの手を取り、そしてアマキの方に近づき手を取ってぎゅっと握りしめる。

 

「ああ。できるさ、私たちなら」

 

「うん!」

 

繋がった手と手から互いの温かさを感じ取れる。

自分以外の誰かが自分を受け止めてくれ、認めてくれている。

その尊さがどれだけ価値あるものか。この争いの中で切れることのない絆が確かに、強く感じられる瞬間だった。

 




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