腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする   作:サボテンダーイオウ

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腹減り少女の血が騒ぐ。


PHASE-04フェイズシフトダウン

アークエンジェルの進路上に、ザフトが投入したモビルスーツ四機が迫っているという報がミリアリアから入った。

 

『アマキさん!気をつけて!』

 

「了解」

 

先頭に姿を現したのはイージス。後方に三機が続く。

アマキは状況を瞬時に読み取り、通信を開いた。

 

「キラ、君はイージスを相手にして。後ろは私がやる」

 

『えっ、でも──』

 

「私は大丈夫。彼と話してきて」

 

『……気をつけて!』

 

キラは応答を終え、イージスへと真っすぐ飛んでいく。

アークエンジェルからの援護射撃が交差し、戦闘の火蓋が切られる。

 

「さて、お手並み拝見といこうか。ただし、ここから先へは行かせない」

 

アマキは唇の端を吊り上げ、エリスとともに戦場へ飛び込んだ。

 

一方、デュエルに搭乗するイザークは謎の機体に少し興味があっ

た。

 

『いたな……アイツはオレがやる。ニコル、ディアッカは足つきを狙え』

 

ミゲルの敗因、それが“コクピットを外した”という話が本当なら、あの機体の能力は並外れている。

その鼻を折るのは自分だとイザークは意気込み、突撃する。

だが、エリスの動きは読まれているかのように華麗で速い。

 

避けられた直後、膝蹴りを受けて吹き飛ばされかけ、足を掴まれたままブリッツ側へ投げつけられた。

 

『このぉ!』

 

「うるさい」

 

イザークの叫びがデュエルの通信内を震わせる。

 

『イザーク!』

 

ニコルが叫ぶ。

 

「次はお前だ」

 

『イザークを返せ!!』

 

ブリッツが冷静さを欠き、突進。だがエリスは回転を加え、デュエルをブリッツめがけて投げつける。

二機が衝突し、激しく吹き飛ぶ。

その間隙を狙い、エリスはビームライフルで容赦なく叩き込む。

仲間の惨状に血が上ったバスターが吼えた。

 

『テメェーー!!』

 

上空からの砲撃を瞬時に察知し、アマキはスラスターで急加速、同時に回転しながらビームライフルを構える。

 

「熱くなったら終わりだよ」

 

三連射。右肩、左腕、頭部。

狙撃の精度が異様に高く、バスターは動揺する。

その隙にアマキはビームソードで接近戦へ移行。

──だがその頃、イージスとの戦闘でストライクはパワー切れを起こし、フェイズシフト装甲がダウン。

拘束されたキラは、イージスに引かれてガモフへ連行されようとしていた。

 

『くそぉ!僕はザフトなんか行かない!』

 

『一緒に来い、じゃなきゃお前を撃たなきゃいけなくなる』

 

『それでも行かないっ!!』

 

『キラ!我儘を言うな!お前はコーディネーターだろ!?』

 

悲痛なアスランの叫び。それは友情でも正義でもない、立場の叫びだった。

その時、割り込むような悲鳴が通信に入る。

 

「キラッ!!」

 

エリスがストライクへと向かって飛び出す。

 

『アマキさんっ!!』

 

キラは息を飲む。ああ、僕には“帰るべき場所”がある。

 

「キラを、放せぇぇぇえええーー!!」

 

『おんな!?』

 

アスランはその瞬間、相手が少女だと気づき、迷いが生まれた。

その一瞬、フラガのメビウスゼロが突撃し、拘束が破られる。

 

『坊主ー!行けぇぇ!!』

 

イージスはやむなくMS形態に戻り、キラはアマキと合流。

 

「キラ!」

 

『アマキさん!』

 

「ここは私に任せて、ランチャー装備して!」

 

『うん!』

 

 

──だがエリスにも限界が来ていた。フェイズシフトが切れ、三機が集中砲火を浴びせてくる。

赤いアラームが点灯する中、アマキは叫びを噛み殺す。

 

『嬢ちゃん!!』

 

『死ねぇぇぇ!!』

 

──その時。

 

『アマキさんっ!!』

 

ランチャー装備のストライクから、強烈なビームが放たれた。

デュエルの腕を撃ち抜き、戦線は崩れる。

バスター、ブリッツ、イージスは後退。

追撃しようとするキラに、アークエンジェルから帰投指令が入り、ストライク、エリス、メビウスゼロは無事に帰還した。

 

ストライク、エリス、メビウスゼロがアークエンジェルへ無事帰還した。

格納庫に機体が着艦すると、最初にフラガが姿を現す。

その後、エリスから降りたアマキはヘルメットを外し、深く息を吐いた。

肩を下ろしたその瞬間、背後からフラガが近づいてくる。

 

「嬢ちゃん、危機一髪だったな」

 

「誤算でした。もっと気をつけておくべきでした……おわ!」

 

落ち込むアマキを見て、フラガはわしゃわしゃと頭を撫でて元気づける。

指先が乱暴に髪をかき分けるが、その感触は不思議と温かかった。

 

「落ち込むなって。嬢ちゃんも坊主も、よく頑張ったさ」

 

「……大尉……」

 

ふと、アマキの目がストライクを捉える。

 

「そういえば、キラがまだ──」

 

「っ……キラ!」

 

ヘルメットを手放し、ストライクへ駆け寄る。

周囲には整備員が集まっていたが、彼の姿は見えない。

アマキは素早くコクピットの手動解除レバーに手をかける。

 

「キラ! 大丈夫!?」

 

カバーが開いた瞬間、硬直したまま荒い息を繰り返すキラの姿があった。

その顔には汗が滲み、瞳は恐怖と疲労で霞んでいた。

アマキは迷わず中へと入り、キラの手に自分の手を重ねる。

ヘルメット越しに、そっと顔を近づけた。

 

「もう終わったよ。キラ」

 

「……アマキ、さん……」

 

その声に、キラの張り詰めていた心がわずかにほどける。

アマキがそっとヘルメットを外すと、汗に濡れた額と、震える瞳が露わになる。

 

「キラのおかげで、みんなが助かった。ありがとう」

 

その言葉に、キラの瞳から静かに涙がこぼれ落ちた。

唇をぎゅっと結び、言葉を詰まらせながら、アマキの胸へと飛び込む。

 

「うわっ──!」

 

「……うぅ……」

 

勢いのまま二人はコクピットから崩れるように滑り降りる。

整備員たちは息を呑み、周囲に静寂が訪れた。

顔をアマキの胸に埋めてしがみつくキラ。

アマキは何も言わずにその背を包み込むように抱きしめる。

そして、囁くように言った。

 

「おかえり、キラ」

 

その一言で、キラの胸に溜まっていた感情がすべて溶けていった。

──アスランのこと。

──死を覚悟した瞬間。

──アマキと二度と会えないかもしれないという不安。

 

どれも言葉にならず、ただ涙になって流れ落ちる。でも、アマキがいた。

だから諦めなかった。だから──生きて帰れた。

この温もりを、言葉を、離したくない。

誰にも渡さない。いや、渡せない。キラはそう強く思った。

 

そして、震える声で絞り出した言葉。

 

「ただいま……アマキさん」

 

これは感謝でも、報告でもない。

 

──伝えたいんだ。僕の、想いを。

 

◇◇◇

 

アルテミス入港前、フラガから一言が飛んでいた。

 

「機体のOSにロックかけとけ。何かあるかもしれん」

 

アマキはその言葉に少し眉を寄せる。きな臭い空気を感じた。

幸いOSは扱えるレベルには達している。キラのような速度には届かなくても、設定をいじるくらいは問題ない。

 

「自分以外、動かせないようにしとくか」

 

念のため、エリスはアマキ以外の操作を拒む状態に。

キラに言わせれば「アマキさんも十分速い方ですよ」とのことだったが──

「どうせお世辞でしょ」と小声で笑いながら、チェックを終えた。

 

──そして、なんだかんだあって無事にアルテミスへ入港。

だが出迎えにいたのは銃を構えた兵士たち。

厳つい顔、無言の威圧。避難民たちがざわつくなか、静かに格納庫に着艦するアークエンジェル。

そのなかで、アマキはひとり、伸びをしながらふわっとあくびをした。

 

「はぁ〜……寝たい。マジで寝たい。一難去ってまた一難だし、金品でも盗めないかなー。いや、食料でもいい……あ、チョコ食べたい。甘いやつ、しみるやつ」

 

兵士たちの銃口すら眼中にないような、その脱力感。

ミリアリアが呆れたように笑みを浮かべ、ぽつりと呟いた。

 

「アマキさんって……ほんと大物だわ」

 

キラも同意するように頷いた。

 

「アマキさんがいると、なんか……何とかなる気がする」

 

銃と緊張に囲まれた歓迎ムードは、アマキのあくびとチョコへの渇望によって、少しだけやわらいでいく。

──とにかく、“熱烈な歓迎”を受けたのだった。




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