腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする 作:サボテンダーイオウ
アークエンジェルの進路上に、ザフトが投入したモビルスーツ四機が迫っているという報がミリアリアから入った。
『アマキさん!気をつけて!』
「了解」
先頭に姿を現したのはイージス。後方に三機が続く。
アマキは状況を瞬時に読み取り、通信を開いた。
「キラ、君はイージスを相手にして。後ろは私がやる」
『えっ、でも──』
「私は大丈夫。彼と話してきて」
『……気をつけて!』
キラは応答を終え、イージスへと真っすぐ飛んでいく。
アークエンジェルからの援護射撃が交差し、戦闘の火蓋が切られる。
「さて、お手並み拝見といこうか。ただし、ここから先へは行かせない」
アマキは唇の端を吊り上げ、エリスとともに戦場へ飛び込んだ。
一方、デュエルに搭乗するイザークは謎の機体に少し興味があっ
た。
『いたな……アイツはオレがやる。ニコル、ディアッカは足つきを狙え』
ミゲルの敗因、それが“コクピットを外した”という話が本当なら、あの機体の能力は並外れている。
その鼻を折るのは自分だとイザークは意気込み、突撃する。
だが、エリスの動きは読まれているかのように華麗で速い。
避けられた直後、膝蹴りを受けて吹き飛ばされかけ、足を掴まれたままブリッツ側へ投げつけられた。
『このぉ!』
「うるさい」
イザークの叫びがデュエルの通信内を震わせる。
『イザーク!』
ニコルが叫ぶ。
「次はお前だ」
『イザークを返せ!!』
ブリッツが冷静さを欠き、突進。だがエリスは回転を加え、デュエルをブリッツめがけて投げつける。
二機が衝突し、激しく吹き飛ぶ。
その間隙を狙い、エリスはビームライフルで容赦なく叩き込む。
仲間の惨状に血が上ったバスターが吼えた。
『テメェーー!!』
上空からの砲撃を瞬時に察知し、アマキはスラスターで急加速、同時に回転しながらビームライフルを構える。
「熱くなったら終わりだよ」
三連射。右肩、左腕、頭部。
狙撃の精度が異様に高く、バスターは動揺する。
その隙にアマキはビームソードで接近戦へ移行。
──だがその頃、イージスとの戦闘でストライクはパワー切れを起こし、フェイズシフト装甲がダウン。
拘束されたキラは、イージスに引かれてガモフへ連行されようとしていた。
『くそぉ!僕はザフトなんか行かない!』
『一緒に来い、じゃなきゃお前を撃たなきゃいけなくなる』
『それでも行かないっ!!』
『キラ!我儘を言うな!お前はコーディネーターだろ!?』
悲痛なアスランの叫び。それは友情でも正義でもない、立場の叫びだった。
その時、割り込むような悲鳴が通信に入る。
「キラッ!!」
エリスがストライクへと向かって飛び出す。
『アマキさんっ!!』
キラは息を飲む。ああ、僕には“帰るべき場所”がある。
「キラを、放せぇぇぇえええーー!!」
『おんな!?』
アスランはその瞬間、相手が少女だと気づき、迷いが生まれた。
その一瞬、フラガのメビウスゼロが突撃し、拘束が破られる。
『坊主ー!行けぇぇ!!』
イージスはやむなくMS形態に戻り、キラはアマキと合流。
「キラ!」
『アマキさん!』
「ここは私に任せて、ランチャー装備して!」
『うん!』
──だがエリスにも限界が来ていた。フェイズシフトが切れ、三機が集中砲火を浴びせてくる。
赤いアラームが点灯する中、アマキは叫びを噛み殺す。
『嬢ちゃん!!』
『死ねぇぇぇ!!』
──その時。
『アマキさんっ!!』
ランチャー装備のストライクから、強烈なビームが放たれた。
デュエルの腕を撃ち抜き、戦線は崩れる。
バスター、ブリッツ、イージスは後退。
追撃しようとするキラに、アークエンジェルから帰投指令が入り、ストライク、エリス、メビウスゼロは無事に帰還した。
ストライク、エリス、メビウスゼロがアークエンジェルへ無事帰還した。
格納庫に機体が着艦すると、最初にフラガが姿を現す。
その後、エリスから降りたアマキはヘルメットを外し、深く息を吐いた。
肩を下ろしたその瞬間、背後からフラガが近づいてくる。
「嬢ちゃん、危機一髪だったな」
「誤算でした。もっと気をつけておくべきでした……おわ!」
落ち込むアマキを見て、フラガはわしゃわしゃと頭を撫でて元気づける。
指先が乱暴に髪をかき分けるが、その感触は不思議と温かかった。
「落ち込むなって。嬢ちゃんも坊主も、よく頑張ったさ」
「……大尉……」
ふと、アマキの目がストライクを捉える。
「そういえば、キラがまだ──」
「っ……キラ!」
ヘルメットを手放し、ストライクへ駆け寄る。
周囲には整備員が集まっていたが、彼の姿は見えない。
アマキは素早くコクピットの手動解除レバーに手をかける。
「キラ! 大丈夫!?」
カバーが開いた瞬間、硬直したまま荒い息を繰り返すキラの姿があった。
その顔には汗が滲み、瞳は恐怖と疲労で霞んでいた。
アマキは迷わず中へと入り、キラの手に自分の手を重ねる。
ヘルメット越しに、そっと顔を近づけた。
「もう終わったよ。キラ」
「……アマキ、さん……」
その声に、キラの張り詰めていた心がわずかにほどける。
アマキがそっとヘルメットを外すと、汗に濡れた額と、震える瞳が露わになる。
「キラのおかげで、みんなが助かった。ありがとう」
その言葉に、キラの瞳から静かに涙がこぼれ落ちた。
唇をぎゅっと結び、言葉を詰まらせながら、アマキの胸へと飛び込む。
「うわっ──!」
「……うぅ……」
勢いのまま二人はコクピットから崩れるように滑り降りる。
整備員たちは息を呑み、周囲に静寂が訪れた。
顔をアマキの胸に埋めてしがみつくキラ。
アマキは何も言わずにその背を包み込むように抱きしめる。
そして、囁くように言った。
「おかえり、キラ」
その一言で、キラの胸に溜まっていた感情がすべて溶けていった。
──アスランのこと。
──死を覚悟した瞬間。
──アマキと二度と会えないかもしれないという不安。
どれも言葉にならず、ただ涙になって流れ落ちる。でも、アマキがいた。
だから諦めなかった。だから──生きて帰れた。
この温もりを、言葉を、離したくない。
誰にも渡さない。いや、渡せない。キラはそう強く思った。
そして、震える声で絞り出した言葉。
「ただいま……アマキさん」
これは感謝でも、報告でもない。
──伝えたいんだ。僕の、想いを。
◇◇◇
アルテミス入港前、フラガから一言が飛んでいた。
「機体のOSにロックかけとけ。何かあるかもしれん」
アマキはその言葉に少し眉を寄せる。きな臭い空気を感じた。
幸いOSは扱えるレベルには達している。キラのような速度には届かなくても、設定をいじるくらいは問題ない。
「自分以外、動かせないようにしとくか」
念のため、エリスはアマキ以外の操作を拒む状態に。
キラに言わせれば「アマキさんも十分速い方ですよ」とのことだったが──
「どうせお世辞でしょ」と小声で笑いながら、チェックを終えた。
──そして、なんだかんだあって無事にアルテミスへ入港。
だが出迎えにいたのは銃を構えた兵士たち。
厳つい顔、無言の威圧。避難民たちがざわつくなか、静かに格納庫に着艦するアークエンジェル。
そのなかで、アマキはひとり、伸びをしながらふわっとあくびをした。
「はぁ〜……寝たい。マジで寝たい。一難去ってまた一難だし、金品でも盗めないかなー。いや、食料でもいい……あ、チョコ食べたい。甘いやつ、しみるやつ」
兵士たちの銃口すら眼中にないような、その脱力感。
ミリアリアが呆れたように笑みを浮かべ、ぽつりと呟いた。
「アマキさんって……ほんと大物だわ」
キラも同意するように頷いた。
「アマキさんがいると、なんか……何とかなる気がする」
銃と緊張に囲まれた歓迎ムードは、アマキのあくびとチョコへの渇望によって、少しだけやわらいでいく。
──とにかく、“熱烈な歓迎”を受けたのだった。
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