腹減り少女はSEED世界で爆発少女にレベルアップする   作:サボテンダーイオウ

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そこにいえはなかった。


PHASE-α4 いえ、ない。

「あ、お店があるー」

 

「あっちは高速インターだ。向こうは田んぼもあるぞ」

 

「田んぼ、ですか」

 

「お米作ってるんだ」

 

「手作りですのね」

 

ゆったりとしたバスの旅は約20分。

窓の外に広がる田園風景や街並みに、ラクスとキラは目を輝かせていた。

アマキはそんな二人の反応に、どこか誇らしげな気持ちになる。

後部座席に三人で並んで座り窓の外から眺める景色を楽しみながらアマキの説明のもと、二人は珍しいものに目移りしながら楽しんだ。車内ではラクスの髪が目立たないよう、シニョンにして帽子をかぶってもらった。

こちらではコスプレか、髪を染めないかぎりピンクにはならないので乗客からいらぬ視線を浴びないよう、アマキなりの配慮だった。

丁度こちらでは土曜日ということもあり、バスの便自体は少なくゆったりと快適に乗れた。

 

目的地であるバス停に停まる時、ラクスは降車ボタンを押してみたいと言っていたのでそこはウキウキしていたラクスが押していた。

 

ぴんぽ~ん。

 

「まぁ!」

 

「へぇ~」

 

「音が可愛いよね」

 

事前に渡していた小銭を二人は興味深そうに100円や10円をひっくり返してはじっくり観察していた。

バスは市街地の停留所にて停まり、二人には小銭を渡して箱に入れるよう教えアマキが先にお手本を見せる。

 

「ここだよ」

 

「この箱がお金を入れるところですのね」

 

「面白いなぁ」

 

二人もアマキに倣って同じようにお金を運賃箱へ入れる。ステップを降りて開いたドアの先から降りていく。

そこは車が何台も通過する表通りで、歩道に降りたところでアマキは二人に

 

「ここからまた少し歩くけど足とか痛くない?コンビニで甘いものを買って少し休もうか。丁度そこにあるし。ラクスそれ貸して」

 

と二人に休憩を提案し、ラクスの旅行鞄もさりげなく持ってあげる。

 

「ありがとうございます。コンビニとはお店のことでしょうか」

 

「そうだね。ここら辺は僕らと変わらないね」

 

二人は納得してコンビニへ向かうことになった。と言ってもすぐ目と鼻差の先にある。買ったものをすぐ食べることができるカウンターと椅子も置いてあり、軽く食べるにはうってつけだ。

 

自動ドアが開くと家のチャイムが鳴る仕様だが、二人はどこからときょろきょろとあたりを見渡した。

 

「まぁ、扉が開いたら音楽が鳴るなんて……まるで歓迎されているみたいですわ」

 

「あれ、歓迎のファンファーレじゃないからね」

 

納得するキラにアマキは頷いて色々と説明を始めた。

 

「そうそう。ほら、こっちは雑誌コーナーとかね。漫画とかも置いてあるよ」

 

「あ、僕ちょっと読んでていい?」

 

わくわくしながらキラは立ち読みを始めたのでアマキはかごを手に取ってラクスと共に軽食を選びに誘った。

 

「いいよ。じゃあラクスは私と軽いもの買おうか」

 

「はい」

 

レジ前を通過しておにぎりやサンドイッチの棚の前に来るとその種類の多さからラクスから感嘆の声が漏れる。裏側にはパンの種類の多さにも驚いていたが、

 

「たくさんありますのね……。目移りしてしまいそうですわ」

 

「おにぎりとかサンドイッチもあるよ。カップラーメンとかも」

 

「では明太子おにぎりを……サラダも欲しいですわね」

 

「私は何にしようかな~。ツナとわかめと焼肉と高菜と」

 

「全部炭水化物ではありませんか。もっと野菜を!」

 

おにぎりをかごに入れていくアマキに対して色彩弁当にシフトチェンジしたラクス。サラダもかごにガバッと入れる。

キラのは適当に選んでおいた。大体アマキが選んだものなら嫌とは言わないはずだ。

二人でうろうろしながらお菓子コーナーまでたどり着く。腰を屈めて物珍しそうにラクスが見入る。

 

「可愛らしいお菓子が箱に入ってありますわ」

 

「ああ、それ食玩だね。お菓子が一緒に付属してるおもちゃだよ」

 

「食玩というのですか」

 

「なんかほしいのあった?」

 

ラクスが気になったのは動物をリアルに作った食玩シリーズ。それを一つ手に取り、裏の説明を読んでいる。

どうやら12個の内のどれかが入ってるようだ。代表的なものからマイナーなものまで勢ぞろい。

 

「いえ、面白くて」

 

「そうだよね、私もつい色々見ちゃうよ。最近のアニメとかどうなんだろうな。全然疎いからわからないや」

 

「おひとつ頂いてもよろしいでしょうか」

 

「いいよ。一つでいいの?」

 

「はい。これも運ですもの」

 

何が気に入ったのかわからないがラクスが欲しがるのは珍しい。彼女が些細なことで喜んでくれるのが嬉しかったアマキも共に笑みが浮かんだ。

 

「気に入ったの出るといいね」

 

「はい。後のお楽しみですわ」

 

ラクスも小さく微笑んでレジに向かった。

お会計はラクスがやってみたいというのでやらせてはみたが、店員さん相手でも言葉遣いが丁寧で所作も綺麗なラクスは可愛い少女なのでぽやーと店員さんも見とれるくらいだった。

何とか会計を済まし、今だ立ち読みしているキラの肩に手をかけるとハッと我に返ったキラ。

 

「キラ、熱中してたな」

 

「ごめん、この漫画面白くて…ついね」

 

苦笑するキラにアマキは彼が喜びそうな提案をした。

 

「今度買いに行こうか。書店もあるしキラの好きな漫画たくさんあるよ」

 

「やった!」

 

年相応に喜んでキラは素直に後ろから付いてくる。隅に置いてあるイートインコーナーで買った食べ物を食べることにした。

あーだこーだと言い合いながら仲良く食べ、お腹も膨れトイレも済ませたので三人はアマキの自宅を目指してコンビニを後にした。

大通りから細い道に入り、色々とアマキから説明を受けながら二人は始終「「へ~」」と応えながら住宅街へと向かっていく。

 

「あともうちょっとだ」

 

「アレはなんですの?」

 

通りがかりに向こう側にあるお店を指さしたラクス。

 

「ああ、あれ流行りの茶屋さんだな。若い人にも人気があるんだ」

 

「へぇ、今度行こうよ。二人で」

 

キラからのデートのお誘いをさらっと流すアマキ。

 

「ああ。今度な。あ、ここは横断歩道は押しボタン式だからそこのボタン押して」

 

「これですわね」

 

ぽちっとな。

 

「じゃ、歩行者信号が青になったら渡って…」

 

「さすがに分かるって」

 

「一応説明してるのっ!」

 

呆れ気味のキラに対してやや声を強くして言い返す。轢かれたら大変!

三人はしっかりと青になったことを確認した上で歩道を渡り反対側の小道へ入っていく。その通りには歯科クリニックがあったりと密集した住宅街ながらも車は何台も通っていく。どうやらメインの道路とも繋がっている道らしく普段の平日は交通量は多いとのこと。保育園も近いし立地としては最高。

 

「もうすぐだよ。この辺も新しい家が増えたなー」

 

「アマキってこの世界で育ったの?」

 

最初はキラの何気ない質問だった。アマキもさらっと答える。

 

「元々いた世界だからね。そのあと色々あって転々としてたけどさ。落ち着いたから戻ってきたって感じ?」

 

「へー。実はアマキって…何歳なの?」

 

唐突で最も謎である質問にアマキの表情は固まった。そして、口をぎゅっと真一文字にし押し黙る。

 

「………」

 

「…どうして黙るの」

 

どうやって説明しようかとぐるぐる頭の中を駆け回っていたが、結局逃げることにした。秘儀!逃げるが勝ち。

 

「女に年齢を聞くなんて野暮だよね、ラクス」

 

「そうですわね。キラは野暮ですわ」

 

「ラクスを味方にしないでよっ」

 

むぅと拗ねるキラにアマキはその辺の質問はまた今度ということで流す。言えたら、いいな。

なんだかんだ言って話している間に歩いていたらついに目的地に到着。

 

「ほら、ここをまがったところが………あれ?」

 

「やっと着いた~って、え、ここ」

 

「……アマキ様のお家は…ここなんですの?」

 

三人が固まった先にあったのは真新しい駐車場だった。

看板立っており月極駐車場となっており、二台くらいすでに契約済みのようだ。

 

「あれあれあれ?」

 

慌ててアマキはその駐車場付近をうろうろと見渡したが、やはり記憶に間違いはない。

かつてここにアマキが住んでいた家があったのだ。確かに!まるでそこだけごっそり消えてしまったかのように。

隣ン家のお隣さんに変化はなくお向かいの家だって記憶にあるそのままだ。じゃあ、家は??

昭和に建てられたボロボロだけど懐かしい我が家は?どこへ?消えた?ロケットに乗って消えた?

思い出がボロボロと音を立てて崩れていく。

 

「……ない。ない……ないぃぃぃぃぃぃぃぃーーー!!」

 

頭抱えてふるふると肩を震わせ、天に向かって絶叫するしかないアマキだった。

 

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