宴会は夜通し行われた。山の妖怪のほとんどが集めってたそうだ。途中から勇儀と華扇も加わりさらに賑やかになった。僕は少し離れたところで文と話しをした。
「楓さん。昨日私が言いたかったことを話しますね。楓さん、外の話をしてくれませんか。私たち天狗は大天狗様によって決めた戒律によってここから出れません。なのでたまにこの山に来る妖怪や人に外の話を聞きいたりします。でも最近は鬼を恐れてこの山に来る人も少なく、来たとしても陰陽師の連中で会話すらできないのです」
「そんなことだったら聞いていいよ」
僕は今のことを話した。ついでに幻想郷の紹介をしておいた。文は手帖にそのことを書き連ねていた。
「お話ありがとうございました」
文はそういうとまた宴会に参加した。入れ替わるように華扇が僕のそばに来た。なんか疲れているようだった。その手には酒とお猪口を持っていた。
「楓少し飲みませんか。このお酒結構貴重なものなんですよ。ここからちょっと歩いた場所に見晴らしのいいところがあるんですよ」
僕と華扇は移動した。狼の姿だと手が使えないので僕は人間に化けた。
「お疲れ様です。まさか萃香に続き勇儀を倒すとは思いませんでしたよ」
「偶然だよ。それより華扇は試合しないの?」
「しませんよ。それにみんな酔いつぶれた状態で人が来たら封印とかされそうですし」
「それもそうだね。もしかして鬼の中で一番普通なのかも」
「むしろ鬼から見たら私が変わっているんですよ。楓の目線から見たらまともだと思いますけどね」
「そうかもね。僕は妖怪から見ても人間から見ても変わっているど」
「陰陽術の使えるようかいなんてあまりいないですし。」
そういうと華扇はお猪口にいれた酒を飲んだ。僕も少しだけ飲んだ。鬼の酒だから度は強めだ。
「結構強いねこれ」
「まあ鬼の酒ですし。普通のほうがよかったかもしれません」
「別に飲めるからいいよ」
僕たちは酒がきれるまで飲んだ。
朝、宴会場に戻るとほとんどの妖怪が寝ていた。みんな酔いつぶれたのだろう。萃香と勇儀はまだ飲んでいた。あの二人飲みすぎだろ。
「華扇、楓おかえり~。遅かったな。どこで飲んでたの」
「ただいま。萃香。ちょっと近くの岩場で飲んでいました。ここじゃうるさすぎますから」
「宴会は騒ぐからいいんだよ。ってことで飲め」
「遠慮します」
「僕も遠慮するよ。じゃあ僕はもう帰るね。喧嘩の申し出受けてくれてありがとう」
「こちらこそ。でも今度は変な手使うなよ」
「結界も禁止な」
「またいつかお会いしましょう」
「じゃあね」
僕はスキマを開いて都に戻った。妹紅大丈夫かな。
スキマで晴明の屋敷に戻った僕は晴明に会いに行った。
「晴明今戻ったよ」
「どうでしたか?鬼との試合は」
「危なかったよ。結界を壊しちゃうし」
「それは凄いですね」
「そういえば、妹紅はどこ?」
「妹紅ならいつものところで修行中ですよ」
「ありがとう」
僕は部屋を出て修行の間に入る。ここは晴明が作った空間で何をしても外には聞こえないし暴れても壊れない場所だ。
「妹紅帰ったよ」
「楓、おかえり」
妹紅は今妖術の修行をしていた。火の系統の妖術が特に使いやすいらしく、妹紅は基本妖術と陰陽術を合わせて戦う。人間離れしているけど一応は人間だと思う。
「楓、いつものやろう」
「いいよ」
いつものとは簡単な試合だ。先に一発当てたほうの勝ち。というルールでやっている。今のところ僕が全勝している。
「今回、私には秘策があるんだ」
「どんな策があろうとも僕が勝つよ」
「じゃあ始めようか」
「開始!」
妹紅は自分でそういうと突っ込んできた。最近突っ込んでくる相手とばっかり戦っている気がする。妹紅の手には一枚の紙が握られている。前はそんなことしなかったからこれが秘策なのかな。僕は距離をとるようにする。妹紅は紙を僕に向かって投げた。多分式神だろう。
「爆」
式神が僕の近くに来たとき爆発した。僕はそれを空気の壁でふさぐ。煙の量が多い。これは煙幕か。能力を密と疎を操る程度の能力に変える。煙幕を萃める。念のため横に大きく飛ぶ
「そこだ!」
さっきまでいたところから妹紅の声が聞こえる。危なかった。
「あれ?いない。煙幕も消えてるし」
「ここだよ。残念だったね」
僕は霊力弾(威力最少)を妹紅にあてる。
「またか。煙幕が一か所に集まっているけど鬼の能力なの?」
「うん。『密と疎を操る程度の能力』だよ。物体の密度などを萃めれるんだ」
「また振り出しか。煙幕作るのとか大変だったのに」
「無かったら危なかったけどね」
「またそういう。今度は負けないよ」
そんな会話をしていたら結界の中に誰かが入ってきた。確か晴明の式だったかな。
「もうそろそろご飯の時間です」
そう伝えると式神は結界から消えた。もうそんな時間か。
「じゃあご飯に行くとしますか」
「うん」
時間は夕方だった。僕たちは晴明の弟子とともにご飯を食べる。でも会話するのは僕と晴明と妹紅だけだ。それぞれが互いに潰しあおうとしているからだ。今食べているごはんにも毒が入っている。晴明の弟子は才能のある人が多いけど、貴族たちの子供が親の七光りというやつなのか権力に物言わせて晴明の弟子になっているのだ。貴族の子供は傲慢で自分だけのし上がろうといろいろとやっているのだ。主に嫌がらせ、無味無臭の毒をご飯に混ぜたりとかだ。僕たちは弟子入りの仕方が大胆すぎて眼をつけられたらしい。僕も妹紅も毒は効かないから何を仕込まれても平気で食べれる。中には致死性の毒も入っているけど僕はあらかじめ境界をいじって対策をしているし、妹紅は不死だから意味がない。毎回ご飯の時に顔を合わせる度に驚いた反応をしている。まあその反応が面白いのだが。僕たちは妖怪だと見ていても本人には才能がないのだから妖気も感じ取れないだろうし、何で生きているかとか言ったら毒を持っていることがみんなにばれてしまうので言えないのだ。この中で僕を退治できそうなのは晴明だけだと思うし。食事が終わった後、晴明が僕に話しかけてきた。
「楓、渡したいものがあるので食事が終わったら部屋に来なさい」
「わかりました、晴明様」
一応弟子なのだから人前では敬語を使わないといけない。これってめんどくさいから嫌なんだけどな。僕は片付けが終わった後晴明の部屋に向かった。
「失礼します」
「来ましたか。楓に渡したいものはこれです」
「この腕輪って何かあるの?」
「大きさは伸縮自在にしてます。元の姿に戻ったとしても腕にはめられているでしょう。この腕輪は妖力を抑えるためのものです。楓は妖力が多すぎますからね。これで多少抑えやすくなるでしょう」
「ふぅん。そんなのがあるんだ。ありがとう。用はこれだけ?」
「まだありますよ。楓にはある妖怪を封印してもらいたいのです。本来なら私が行かないといけないのでしょうが私はここから出てこれないのでお願いします。封印する妖怪は常闇の妖怪です。数百年も生きているのでかなりの妖力の持ち主です。この妖怪に村が壊滅しているらしいので封印するしかないのです。封印のためにこれを持って行ってください。この護符には強力な術をかけていますから封印の際に使うとよいでしょう」
「わかりました。それでは失礼します」
常闇の妖怪か。確かルーミアって妖怪も闇を操っていたけど似たような能力を持っているのかな。今日はもう遅いから明日の朝に向かうとしよう。