そこでは、人も鬼も同じ大地の上に立っていた
これはそんな大地で起きた「御伽の国の物語」である
廃れた神社境内にて
「お~い どうだぁ~ 何かみえてきたかぁ~」
「あやや、ちょっとまってくださいよ~ あ、見えてきました!」
「今日は何人ぐらいだ?」
「5人・・・に見えますねぇ、そのうち4人は刀を持ってます」
「そうか・・・じゃあ[アイツ]もいるな」
「はい! 先頭きって歩いてます」
「ありがとな天狗~手はだすなよ」
「了解です ではまた」
そう言うと、天狗と呼ばれた黒い羽の生えた少女は飛び去っていった
最速と呼ばれる種族だけあって、一瞬のうちにその姿は見えなくなった
「さて」
鴉天狗が去ってしばらくすると、境内に男達がやってきた
その数は5人、内4人が刀を持っていた
彼女が言っていたことと一致する 今日のお客さんは彼らだ
「いらっしゃい、今日はやけに少ないねぇ」
男達は何も言わず少女に切りかかってきた
「やれやれ・・・挨拶もなしかい」
そうつぶやくと、少女はかまえた
そして
数刻ほどの出来事だった
男達が差していた刀は全て壊され、また引っこ抜かれた
「これで終わりかい?」
「せ・・・先生ぇ~~」
先生と呼ばれた男は、この戦闘には参加せずにただ見ていた
「先生!逃げましょう!殺される!!」
弱気になっている男達の頭上に拳骨がおろされた
「痛ッ!!」
「この馬鹿もん共が! 剣捌きだけでなく、礼儀までなっとらんではないか!!」
「でもぉ~相手は小さいとはいえ鬼ですよ?何されるか分らないじゃないですか」
「言い訳無用! お主達は一から鍛え直しだ!」
男達は師弟の関係なのだろう
そんな様子に鬼と呼ばれた少女は笑い出した
「ハハハッお前が先生か 時が過ぎるのは早いねぇ」
「全くだ まぁまずは、弟子の無礼を詫びよう すまなかった」
「いいよいいよ、もう終わった事だ」
そういうと少女は腰にぶら下げていた瓢箪を手に取り、お酒を飲み始めた
「プハーッ! やっぱり運動した後の酒はいいねぇ」
先ほどの戦闘は彼女にとっては運動程度のものだったようだ
「で? もう用は済んだのかい?」
「ああ、後は若い衆に“人と鬼の契り”をさせるだけだ」
“人と鬼の契り”とは何なのだろうか?
「さぁ、4人共彼女の前に並べ!!」
不安になりながらも4人は言われた通り、少女の前に並んだ
「誰からでもいいぞ」
そう言うと少女は4人の前に小指を立てた拳を突き出した
「な・・・なんですか?」
男の中の1人が恐る恐る尋ねた
「知らんのか?ゆびきりだ」
「へ!?」
契りがゆびきりという事に拍子抜けしたのか、気の抜けた返事をしてしまう
「ゆびきりも知らんのか・・・いいか、ゆびきりってのはだな」
「いや、知ってますけど!そんなのが契りなんですか?」
「そんなのてなんだよー!立派な契りだろー!!」
「す、すみません!!」
「ハッハッハッハ!!」
男はさっきの仕返しとばかりに大声で笑いだした
「お前らもそう思うか!ハッハッハッハ!!」
「笑うなーーー!!」
少女は頬を膨らまし、ふてくされた
その様子は幼い人間の子供の様だ
ここは、「幻想郷」人も鬼も同じ大地で暮らせる処
“人と鬼の契り”とは、先生と呼ばれた男と鬼と呼ばれた少女が交わした“約束”である
一、 人は決して嘘をつかない
一、 鬼は決して涙を流さない
一、 人と鬼はずっと傍にいる
幼稚な約束だ
しかし
2人にとっては大切な“契り”だった
男はこの約束事を村の者にも勧めた
「鬼と約束なんて」と非難する者もいたが、
賛同し、同じように契りを交わしてくれる者も少なくない
「ゆ~びき~りげんまん う~そつ~いた~らは~りせんぼんの~ますっ!!」
この4人も賛同してくれたようだ
まだ人と鬼が並ぶ姿は異形といわれるが
男と少女はいつか並んで寄り添う事ができると信じている
この2人の行く末を語るかのように
行く先分らない風が哭いていた
誤字、脱字等ありましたら、連絡して頂けると助かります。
意見、感想、
「登場キャラ分かりずらいんだよボケ!!」などありましたら、宜しくお願いします。