魔導師たちの群像_ 魔法少女リリカルなのは   作:夏深てふ

3 / 33
3/加速と飛行

 クレナガンを横切るミットチルダ首都高速道路。そこを黒いスポーツカーが疾走していた。

 

 ハンドルを握っているのはフェイト・T・ハラオウン執務官、助手席に座っているのはティアナ・ランスター執務官補佐。二人は捜査のために移動している最中だった。

 

「フェイトさん。これって本当なんですかね」

 

 ティアナが書類の束をピラピラとめくり、目を通しながら呟いた。

 

「捜査依頼が正式に来ているんだし、本当じゃないのかな」

 

 フェイトがハンドルのパドルシフトを操作し、ギアを更なる高速な物に切り替えてながら返した。

 

「でも、書類に書いてある内容は無茶苦茶ですよ?」

 

「そうなの?」

 

「そうですよって、聞いてなかったんですか?さっき、あれほど説明したのに」

 

「あはは。この車、メンテナから返ってきたばっかしで嬉しくて、嬉しくて。加速の伸びとか、高速走行での安定したエンジン音とか、滑らかなステアリングなんかに気を取られて聞いてなかった」

 

 執拗な車線変更で対向車を追い抜く至福に顔を綻ばせるフェイト。そして止めの一言。

 

「もう一ぺん説明してくれると嬉しいな」

 

 溜め息を吐くティアナ。運転席に座る、容姿端麗、頭脳明晰、強くて優しくて、優秀な執務官の癖に、ちょっぴりドジで、子煩悩で、スピード狂とバトルマニアの気がある上司に少々ウンザリしつつ、持ち前の世話焼きの精神で「今度こそちゃんと聞いてくださいね」と、説明を始めた。

 

 

 話の粗筋はこうだ。

 

 

 事の起こりは二日前の早朝四時、陸士海岸警備隊の巡回艇がクレナガン近海上空を高速飛行中の人間大の巨大な"タカ"のような影を確認したことから始まる。

 

 上空を旋回する"タカ"の追跡を試みる巡回艇だったが、"タカ"の速度に船足が間に合わず追跡を断念。同海域内で作戦行動を終えたばかりの航空12部隊バードランド分隊に調査を依頼するも「こっちは隊長と副隊長が撃たれて大変なんだよ!別の所に頼みな」と拒否。代わりにバードランド分隊の後詰めとして備えていた航空12部隊ブルーノート分隊第一班と同部隊の後方支援を行っていた航空12部隊ビレッジ・バンガード司令部が"タカ"の追跡を開始。しかし音速の80から120パーセントの高速で、しかも魔道空士達の"限界高度"を超えて飛行する"タカ"に「ああ。こりゃあ俺らには無理だ」とブルーノート分隊第一班が追跡を断念。後はビレッジバンガード司令部と陸士沿岸警備隊のレーダーによる監視で追跡。それも"タカ"がクラナガン旧移民街の上で姿を消したことで断念。

 

 翌日、「"タカ"の正体は小型のドローンである」と判断した陸士海岸警備隊は一個小隊でクラナガン旧移民街を捜索。しかし手がかりは掴めず。結局はブルーノート分隊隊員達の「あれは生きていたよ。羽も自由自在に羽ばたかせていたし、頭の所に"人の顔"が張り付いていて笑ってやがったんだ」という怪談じみた証言を根拠に「"タカ"の正体は飛行能力に長けた魔道士または幻獣の類いである」と、今までの考えを訂正した。

 

 

「そして私たちは、陸士海岸警備隊に"タカ"の所在、その正体、違法性はなかったかどうか等を調べてこい、と依頼されて今に至るという訳です」

 

「要するに、丸投げ?」

 

「尻拭い、なんて言葉もありますよ。要するに私たちはトイレットペーパーです」

 

 二度に渡る長い、長い説明を「要するに、丸投げ?」の一言で纏められてしまったティアナは、皮肉めいた口調で言った。

 

「でも航空12部隊が追いつけないスピードなんて、ちょっと信じられませんよね。あそこははやて隊長の指揮ですし、ブルーノート分隊だってシグナムさんやヴィータさんのお墨付きですし」

 

「単純に速度負けしたってことじゃないかな」

 

「"音速"で"限界高度"の上をってことですか。まあ、そんなことされたら、誰だって追いつけれませんよね」

 

 ほぼ生身で空を飛ぶ魔法空士にとって、"音速"と"限界高度"は分厚い壁だった。音速を超えるスピードを出す魔術も、限界高度を破る魔術も、開発はされていたのだが、それは常に危険と代償を求める魔術だった。音速を超えれば、ソニックブームに引き裂かれて墜落する。限界高度を超えれば、低酸素症や氷点下を下回る寒さや渦巻く風で意識を失い墜落する。強い魔術に弱い体が耐えれない、片道切符の魔術だった。

 

「フェイトさんでも、越えるのは無理なんですか?」

 

 ティアナは優れた空戦魔道士でもある上司に問う。すると、フェイトは「流石に無茶かな」と苦々しく笑った。

 

「一瞬とかなら越えたりもするよ。でも私の貧弱な防御魔法じゃ数秒間が限界。あれは人間のままで飛べる世界じゃない。"鳥"にならないと無理かな」

 

 何かを思い出すように言うフェイト。そんな彼女にティアナは更なる質問をぶつけた。

 

「フェイトさんは越えたいとは思わないんですか?」

 

 するとフェイトは「世界が違うんだよ」と、困った顔になった。

 

「昔にね、限界高度を超えて音よりも早く飛ぶ人たちに会ったことがあるんだ。みんな鳥みたいな人だった。飛ぶことと、生きることと、その二つしか持ってない人たちだった。なのに、二つしか持ってないのに、『まだ、体が重たいんだ』って言うんだよ。私には無理。私が飛ぶとき、私はたくさんの物を背負わないといけない。剣や盾となり一緒に戦ってきたデバイス。幾つものリミッターとセーフティーで雁字搦めにされた飛行術式。身を守るためのバリアジャケット。ミットチルダや管理局の法。執務官としての使命。フェイト・テスタロッサ・ハラオウンとしてのアイデンティティ。必ず生きて地上に返ってくるんだって決意。そして、地面から私を見上げる大切な人たち。どれも私には捨てられない」

 

 フェイトは相変わらずの困った笑みだった。そんな彼女を見て、ティアナは悟る。嗚呼、この人も音速を超えて"限界高度"を目指したことがあるんだと。

 

「それで、彼らはどうなったんですか?」

 

「飛んでいってしまったよ。みんなで編隊を組んで、渡り鳥みたいに翼を広げて、管理外世界の空を飛び回って情報を集めるだって。でも一個小隊で飛んでいって、生きて帰ってこれたのは小さな女の子が一人だけ。その女の子も冷たい空の風で凍傷になってて、帰ってきたときは足が腐り落ちて無くなっていたの。彼女は言ったの。重たい人から落っこちていった。私は一番軽かったから、最後まで飛んでいられた。足二本分軽くなれたから生きて帰れたんだって」

 

 フェイトは鉛を吐き出すみたいに苦しげに語っていく。その様子に、ティアナは今更ながら後悔する。

 

「小隊が全滅したことで音速と限界高度を超える研究は凍結になった。余りにも非人道的だってね。私が知っているのはここまで。暗い話になっちゃって、ごめんね」

 

 その様子にティアナは「まったく、もう」と溜息をついた。

 

「フェイトさん。後ろつっかえているの、気づいてます?あと、エンストしかけてますよ」

 

「え?あ!」

 

 素っ頓狂な驚きの声。フェイトのテンションと一緒にスピードを落としていったスポーツカーはガリガリ、プスンと止まりかけ、彼女は慌ててギアをチェンジした。ノロノロと走る彼女たちの横を、迷惑そうにクラクションを鳴らす車が次々と走り去っていく。ガクンガクンと痙攣を起こしてエンストしかけるスポーツカーを、ファミリー使用の軽乗用車が次々に追い抜いていく。泣きたいくらいに間抜けな光景だった。

 

「そのうちトラクターにだって抜かれちゃいますよ。さあ、アクセル踏んで、加速して、最高のギアでかっ飛ばしましょう。追い抜かれるのは嫌でしょう?」

 

 ティアナは運転席に座る感受性が少々強すぎる、しかし愛すべき上司に加速を促す。スピード狂とバトルマニアの気がある彼女のことだ。ハイウェイをぶっ飛ばし、対向車を一つ追い抜く度に元気を取り戻していくだろう。ティアナなりのフォローだった。

 

 二人を乗せたスポーツカーが加速していく。ついさっきまで彼女達の横に並び追い抜こうとしていた『過去』が、後ろの方へ引き離されていく。そして、やがては見えなくなってしまった。

 

 黒いスポーツカーはどこまでも加速していったのだった。

 

 

 

 

 

 

 ヴィータとソラは、二日前に戦った海上プラントの上に居た。実際に戦闘に携わった隊員の話を聞いておきたいという、八神はやて隊長の呼び出しだった。

 

 ヴィータは副隊長であり、一番に現場に駆けつけたアタッカーであり、一番派手に暴れ、壊した、作戦のマスターキー(万能錠)でバスターキー(破壊錠)。市蔵ソラは、上空8000メートルから作戦を監視し、誰もが油断していたあの純銀弾狙撃の瞬間でさえ索敵を怠らなかった、優秀な観測手で偵察兵。どちらも現場をよく知る二人だった。

 

 そんな二人は、甲板の上で顔を不快そうに歪めている。

 

「なあ、新入り。ここ、すげー臭くないか?」

 

「同感です、先輩。肉の、それも人間の腐った臭いです」

 

「よくわかったな。新入りの癖に」

 

「昔、色々あったんです。嗚呼、思い出したら痒くなってきた」

 

鼻を摘みながらフガフガと喋る、しかめっ面のヴィータ。蕁麻疹でもでたのか、車椅子の上でもがき、痒そうに太腿を掻くソラ。甲板で作業をしていた鑑識官が呟く。「せっかくのベッピンさんが台無しだ」

 

 そんな残念な二人に向かって「やー、やー。お二人さん。元気しとっかかいね」と元気な声。八神はやて隊長の声だった。

 

 敬礼で出迎える二人。丁寧なくせに軍隊ぽさのぬけた敬礼のソラ。「ふあ、ふんが、ずびび」と臭いで馬鹿になった鼻で、間抜けな敬礼のヴィータ。

 

「二人とも、急に呼び出してしまってゴメンな。特に市蔵さん。ヘリじゃ大変だったでしょう」

 

 はやてはソラの車椅子を見て言う。

 

「ここは幸いにも工場。なんでも運ばないといけないバリヤフリーな場所やから。ヴィータに押してもらえば安心や。じゃ、頼んだで。ヴィータ」

 

「あいよ。分隊副長直々に運んでやるんだ。感謝しろよ」

 

「感謝します」

 

 世話好きな上司に押されて、ソラはカラカラと進んでいった。乱暴なヴィータのことだから恐ろしいジェットコースターを想像していたのだが、予想に反して快適な進み心地だった。車椅子を押しなれている。ソラはそう感じた。

 

 ソラは、この航空12部隊の上司たちに感謝していた。はやても、シグナムもヴィータも、車椅子姿のソラを迷惑がらずに受け入れてくれた。バードランドの隊員達も最初こそ訝しがっていたが、ソラが飛ぶ姿を見た途端に「空は任せた。陸は任せろ」と車椅子の背を押してくれた。

 

 マイペースなファビアン、メランコリックなリヴィエール、ダンディーなルルー、神秘主義者のペルラン、堅物のロビノー、皆をまとめるリーダーのシグナム、そしてソラが一番の信頼と憧れを抱いているヴィータ。みんな優しい仲間だった。だからだろう。ソラはバードランドの守護天使になるんだと意気込んだ。誰よりも早く戦場に出て、誰よりも早く敵を見つけて、"限界高度"の遙か上から守ってやるんだと。

 

 しかしソラの耳元で"鳥"の心がそっと囁く。"軽くあれ。空は軽いものを愛するんだ。そんなに沢山背負っちゃ飛べないぞ"。

 

 重たい人から墜ちていく。ソラが64実験小隊で学んだことの一つだ。

 

 はやてを先頭に、ソラとヴィータは進んでいく。プラントの中は何かの研究所のような様相だった。薄緑の廊下に、ガラス張りの部屋が並び、その中に様々な器具がおいてある。進むごとに廊下は荒れ果て、あらためて戦闘の凄まじさを思い知らされる。進むごとに腐臭は強くなり、訳の分からない不安が押し寄せてくる。

 

 "軽くあれ。不安は鉛だ。太り続ける、生きた鉛だ"。

 

 痒む。体中が霜焼けになったみたいに痒む。腐る臭い。足が腐れ墜ちる臭い。対流圏界面のマイナス70度で、足が凍り付く臭い。35・7度の血が腐れた足を温め、細菌が繁殖する臭い。全身の皮膚が凍りつき、毛細血管が破れる痒み。無いはずの足が痒む臭い。腐った物は切り落とす。体が幾分軽くなる。また"鳥"になれる。軽くあれ。空が私を愛してくれる。「おい、ソラ。大丈夫か?顔が茄子みたいに真っ青だぞ」

 

 ヴィータがソラの異変に気付き、心配そうに顔を覗き込む。

 

「先輩、人の顔をたべものに例えないでください。どれだけ食いしん坊なんですか」

 

「せっかく心配してやってるのに。この、おたんこなす」

 

「ヴィータは育ち盛りで食い盛りやもんね。でも、ほんまに大丈夫」

 

「はい。臭いにあてられただけです」

 

 嘘ではない。臭いには進むごとに強くなり、公害レベルの所まできている。ヴィータは鼻をズビズビ言わせながら「臭くて鼻が曲がっても、労災っておりるのか?」とか、はやてに聞いている。

 

「この臭い、いったい何なんですか」

 

「そういえば、まだ言っとらんかったね。実はね、製造ラインの防護壁がおりてもうて、こじ開けるのに丸一日かかってもうたんや。そうしてる間に中の"製品"が腐り始めてもうて、この様。本当にヒッチャカメッチャカよ」

 

「はやて、その"製品"ってのはいったい何なんだ。この臭いは異常だぜ。戦場の匂いだ。はらわたから漏れるシッコとウンコの臭いはしないけどな」

 

 ヴィータのストレートかつ下品な口調にコラッと一喝、そして「腐ってるのは人造臓器。ここは人間工場や」とはやては言った。

 

 そして、不気味な扉が現れる。攻撃魔法でボコボコにへっこんだ、防護壁だ。腐臭はそこから漏れだしている。

 

「これが例の扉や。そしてこの奥が製造ライン。今、地方世界から駆り出されてきた『うみ(時空航行部隊)』の防疫08部隊の皆さんが一生懸命消毒中。ほんとは身内の『りく(地上本部)』の防疫部を使いたかったんけどな、広域洗浄に慣れた『うみ』の部隊をつかえって本部の提督さんから横槍が入ってな。ほんと指令系統が違うから、大変よ。生産ラインの捜査権も獲られてもうたしね。ともかく、どうにかバイオハザードは防げたけど、臭いは我慢してくれってな。さあ、こっちや」

 

 扉の横を素通りし、更なる奥へとすすむ三人。ソラは考える。あの扉の向こうに、足は

、私のための足はあるんだろうか。私の腐れ落ちた足に代わる足。同時にこうとも考える。たとえあったとしても、私はつけない。"軽くあれ"。足二本分の軽さを私はとるんだろうと。

 

「二人に見て貰いたいのはコレや」

 

 はやてが大きな扉を指差した。先程の防護壁に似た重たい扉。

「三重の鋼鉄製の扉。内側にはアンチ・マギ・フィールドが張れる特別製。ただ、フィールドは強襲時の停電で駄目になっとるけどね」と、はやては扉の操作パネルをいじりながら説明した。

 

 ガランガランと物々しい駆動音。扉がゆっくりと持ち上がっていく。

 

 扉の向こう。一つ目に見えたのは破られた檻だった。羽の生えたライオンを飼うならば、こんな鳥籠が必要なのだろう。そう思わせる頑丈な檻が、力任せに破られていた。

 

 二つ目に見えたのは、部屋の壁を裂く、巨大な裂け目。その裂け目から、海と空と、遠くに見えるクラナガンの街並み。

 

 "何か"が逃げ出した。そして"何か"は空を飛び、または海を泳ぎ、どこかへ行ってしまった。裂け目から見えるクラナガンの街並み。もしかしたら、そこ"何か"はに行ってしまったのかもしれない。

 

「このプラントなんけどね。フル稼働させたら人間のパーツを一通り作って、それを組み立てることができるらしんよ。ここに、いったい"何"が居たんやろうね」

 

 ヴィータは思い出す。振り上げた鎚の先、背丈ほどもある黒塗りのライフルを構える狙撃手の姿を。シグナムの鎧を抉った、純銀弾の銀粉末の輝きを。

 

 ソラは思い出す。ヴィータとシグナムを撃った後に、まるで硝子のように透明になって消えてしまった狙撃手の姿を。そしてソラは見ていた。壁を突き破り、大空へ飛び立とうとする"タカ"の姿を。その"タカ"に魔法をかけ、硝子のように透明にしてしまった狙撃手の姿を。

 

 そして同時に聞いていた。

 

〈私、飛んでいいの?〉

 

〈嗚呼、君の好きにすればいい。君は飛べる。飛べばいいんだ。邪魔する奴は僕が撃ち落としてあげる〉

 

〈でも、飛んじゃいけない気がするの。"まだ、体が重たいんだ"〉

郷愁と衝撃が到来した。懐かしい声。それが、懐かしい"航空64部隊実験小隊"の暗号念話変換コードで飛んできた。

 

 海水のように透きとおった体で、海に落下していく狙撃手。空気のように透明な体で、空に向かって飛んでいった"タカ"。ソラは"タカ"を逃がしてあげたいと思った。"タカ"、彼女も"鳥"なのだ。私とおなじで。

 

〈ヨダカから、H・Q・ビレッジバンガードへ。狙撃手が海に逃亡。あと空に向かって"何か"が飛んでいきました。両方とも高度な幻術で姿を隠しています〉

 

〈ビレッジバンガードから、ヨダカへ。狙撃手の方を優先的に探索してください。溺れた可能性もあります。できる限り迅速に〉

 

〈ヤー(了解)〉

 

 かくして、"タカ"は航空隊の追跡を振り切り、狙撃手も生死不明のまま行方不明だった。ソラの願いは叶った。その時の一点一時のみに限っては、だったが。

 

 そして今、三人は壁の裂け目、その向こうに広がる景色を睨みつけている。

 

 ヴィータは狙撃手のことを思いながら、海を。ソラは"タカ"のことを思いながら、空を。はやてはこの謎めいた事件のことを思いながら、クラナガンの街並みを。

 

「ヴィータ二等空尉、市蔵二等空士。狙撃手と、ここにいた正体不明の怪物を捕まえて、今回やらかしたヘマを返上するで。私たちの汚れは、私たちで拭うんや」

 

 私たちの汚れ。ソラはその言葉を何度も反芻する。あの"タカ"は私たちの、航空64部隊実験小隊の"汚れ"なのかもしれない。

 

 過去からやってくる不吉な予感に、ソラの足がグズグズと痒んだ。"軽くあれ"。後から後から押し寄せてくる過去が、重たくて、重たくて。ソラは今にも墜落してしまいそうだった。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。