魔導師たちの群像_ 魔法少女リリカルなのは   作:夏深てふ

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6/楽しみ食べ考え眠るということ

その日の航空12部隊バードランド分隊は、久々の休みだった。全ての厄介ごとをブルーノート分隊とH・Q・ビレッジバンガードに押し付けてオンボロの官舎にサヨナラすると、各々なけなしの皺々紙幣をジーパンの後ろポケットに突っ込んで、それぞれの『お楽しみ』へ繰り出していった。

 

ファビアンは真っ直ぐ婚約者のもとへ。リヴィエールは車を走らせ、軍隊生活からの精神的逃避行。ルルーは勤務後の『至高の一杯』を探し求め、酒屋を渡り歩く。一方ペルランは『至高の出会い』を求めバーを巡り歩き、素敵な"男性"を探し求める。ペルランはゲイだった。ロビノーはゲイの友人と官舎の外で別れると、一人寂しく呟いた。「お前は友情より恋愛をとった。しかたない。僕は趣味をさがしにいこう」。無趣味な仕事人間ロビーノの、空虚な二日間が始まった。

 

そしてロビーノが官舎近くのオープンカフェで時間を潰していたとき、八神ヴィータと市蔵ソラはクラナガンの海岸線を歩いていた。

 

カラカラと回る車椅子の車輪。その数歩先を歩いていたヴィータが振り返り「大丈夫か?押してやってもいいんだぞ」

 

「知っています?この前の97世界でのパラリンピック、車椅子のマラソン走者がオリンピック記録を破ったそうですよ?」とソラ。要するに負けず嫌いな彼女だった。

 

「お前のポンコツ車椅子じゃ小学生の持久走にも勝てやしないよ」

 

そう言いながらヴィータは少しだけ歩くスピードを緩めた。その横にカラカラと駆け寄るソラ。

 

「小学生みたいな副隊長のカケッコには勝てるかも知れません」

 

「ばーか。転けて起こしてくれって泣いたって、助けてやんねえぞ」

 

軽口の応酬。ヴィータもソラも、互いの足りないものを笑い飛ばし冗談に出来るくらいに強く、仲がよかった。

 

「おい、新入り。あのクラナガン・バーガーの屋台、どう思うか?」

 

ヴィータが指差したその先500メートル。黄色いオールドスタイルなバスが、『クラナガン・バーガー、メニー・イエロー』の看板を掲げて停車していた。

 

ソラは"見えすぎない為"の愛嬌のある黒縁眼鏡を外し、500メートル先を睨みつけると「太陽みたいな真っ赤なトマト。シャキシャキのレタス。粗挽きミンチの熱々厚々ハンバーグが二枚、チーズを溶かしてます。薄切りピクルスとチェリソーとオニオンと、こぼれるケチャップがトッピング。それらの奇跡の具材を、フカフカでほんのり焦げ目のついたパンが顎が外れんばかしのボリュームで、」能力の無駄遣い。根っからの偵察兵だった。

 

「じゅるり。もういい。あのけしからんバーガーを攻略しに行くぞ。準備はいいな?」

 

「もちろん」

 

三つ編みの赤毛を靡かせて、一目散に走り出すヴィータ。短い黒髪を揺らしながらその後を追うソラ。

要するに、二人は食いしん坊で仲良しということだった。

 

 

 

 

 

 

真っ黒な執務官制服に身を包んだフェイト・T・ハラオウンとティアナ・ランスターは『メニー・イエロー』のベシタブル・スペシャル・バーガーをかじりながら、海岸公園のベンチで航空12部隊の八神はやて隊長に提出するための書類の確認をしていた。

 

その書類は数十ページにわたる膨大な文章量だったが、要約すれば「お宅のヴータとシグナムを撃った狙撃手と"タカ"は仲間で、しかも"タカ"は元は管理局の人間で、挙げ句の果てには"タカ"はお宅の市蔵ソラがかつて居た『時空航行部隊第64航空部隊実験小隊』の小隊長だった人間ですよ」と言う物だった。

フェイトとティアナが調べ上げた"タカ"経歴は、ありふれた悲劇の一つだった。

 

テレーゼ・F・ブルンスヴィック二等空尉。時空航行部隊航空64部隊実験小隊、小隊長。二年前に地方世界の偵察任務で行方不明、現在は殉職扱い。テレーゼの使用していた非人格型融合デバイス、そして彼女自身の精神と体がスーパークルーズ(超音速での長時間航空)に耐えられなかったと言うのが管理局側の見解だった。

 

テレーゼが殉職した任務で、市蔵ソラを除いた全ての隊員が行方不明、そして殉職者扱い。それからの二年間、実験小隊はソラだけの"一人ぼっちの小隊"として存続した。

 

情報の殆どは、執務官になりたてだった数年前のフェイトが"鳥のような人"にもう一度あいたくて調べた内容の流用だった。

 

「市蔵ソラ二等空士でしたっけ。きっと悲しみますね」

 

ティアナがバーガーをかじりながら言った。

 

「かつての仲間が、今は敵か」

 

フェイトがバーガーをモソモソ咀嚼しながら言った。自分と逆だな、とフェイトは思った。そして"かつての敵で、今は大親友"な八神はやてとその愉快な仲間達(ヴォルケンリッター)が勤める航空12部隊にある種の厄介を招くであろう忌々しい報告書を、鞄の中に収めた。

 

フェイトもティアナも連日の激務でクタクタで、頭の中では疲労物質が台頭し、アドレナリン不足でダウナーな気分になっていた。過労死一歩手前な二人だった。

 

それ故に、彼女らは自分達の背後に近づく影に気づけなかった。

 

「よう、テスタロッサ。それとティアナ。徹夜明けか?肌が荒れてんぞ」

 

「ひぁい!」

 

「ぶふっ、けほ、けほ」

 

「あの、お二方とも大丈夫ですか?」

 

飛び退くフェイト。バーガーをのどに詰まらせ咳き込むティアナ。

 

彼女らが恐る恐る後ろを振り返ると「今日のテーマは"スィート&デス"、女の子らしいスカートルック。パンクなDr.マーチンブーツと、ちょっとエグいクロスボーンのトップスがポイントです」な八神ヴィータが仁王立ち。その隣には「休みの日はいつもコレですけど。え、女の子らしさ?そんなもの音速の彼方に置いてきました」な黒縁眼鏡の市蔵ソラが、フライトジャケットとデニムパンツと色気のないDr.マーチンブーツの姿で車椅子に乗って佇んでいた。二人ともその140センチ未満な小柄な体躯に似合わない、『メニー・イエロー特製、アトミック・ギガント・バーガー』なる物を食べながらの登場だった。

 

「ヴィータ、久しぶりだね。副隊長頑張ってるんだって?はやてから聞いたよ」と、ようよう冷静さを取り戻したフェイトが言った。

 

「おうよ、えっへん」勇ましく胸を張るヴィータに、ソラがあわてて警告。

 

「大変です、分隊副長殿。口がケチャップまみれで全然威厳がありません」

 

「ハンバーガーは口がケチャップまみれになるくらいに真っ赤なのがギガ美味だと思うんだけど、新入りはどう思う?」

 

「マスタードの黄色もあると、さらに素敵です」

 

あははは。フェイトが「相変わらず食いしん坊だね」と懐かしそうに笑う。

 

「しかも食いしん坊が一人増えてますし」

 

ティアナが自分のベジタブル・スペシャルとソラのアトミック・ギガントを見比べて、うんざりした顔で苦笑い。「私の周りは、気がつくと大食いばかり」。バケツサイズのアイスを幸せそうに完食した、かつての相棒を思い出した。

 

「それでヴィータ副隊長。隣にいらっしゃいます、その大食らいで色白な車椅子な少女は一体誰です?」

 

突然の珍事にあきれ気味のティアナに、ヴィータは「後輩だよ」。

 

「申し遅れました。陸上本部航空12部隊バードランド分隊所属、市蔵ソラ二等空士です。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官殿、ティアナ・ランスター執務官補佐殿、お二方の武勇伝はかねがねヴィータ副隊長から伺っております」

 

綺麗な敬礼と、丁寧な口調。その癖に軍隊ぽさのぬけた奇妙な自己紹介。そして、その名前"市蔵ソラ"。フェイトとティアナは今一番会いたくなかった人物の登場に顔を青ざめさせる。

 

「ちなみに武勇伝ってのは『魔王光臨、ティアナ・ランスター撃墜事件』や『テスタロッサ・ハラオウンの親バカ日誌』のことだ」

 

ヴィータの言葉に、青い顔が更に青くなった。

 

「情報は命です。とくに"悪い"情報は」

 

根っからの偵察兵で観測手。『良い情報は、大概の場合役にに立たない物である。本当に必要なのは悪い情報だ』。偵察兵流の冗談だった。

 

「んじゃ、あたしらはこれから遊びまくらないといけないから。バイ、バイだ。仕事もいいが、お肌には気をつけろよ。じゃあな」

 

「お先に失礼します。お仕事がんばってください」

 

騒がしいアトミック・ギガント・バーガーなちびっ子二人が去っていく。それを見送る執務官二人。

 

「市蔵ソラ二等空士、元気にやってるみたいですね」

 

「だね。ヴィータやはやてに毒されたのかな」

 

書類上の悲劇の少女は、書類上の姿のままでそれなりに人生を楽しんでいた。『喜劇から笑いをとると、馬鹿な人間が馬鹿な事件に巻き込まれ、死んだり、不幸になったり、時々幸せになったり。そんな馬鹿馬鹿しい悲劇が出来上がる。"悲劇とは喜劇なのだ"。当事者が笑えているうちは』。フェイトは名もない哲学者の言葉を思い出していた。彼女は悲劇を喜劇に出来る人なのかもしれない。二年前。遠い、遠い空から、血と体液と雨の氷にまみれながら足を失い帰ってきた市蔵ソラ。彼女はその悲劇の面影を残したままで、しかし幸せそうだった。

 

〈言い忘れてました〉

 

不意にフェイトとティアナの脳裏で、甘くひび割れた暗号念話が響いた。

 

〈機密書類を公園のベンチで広げるのは感心できません。"タカ"とか"航空64部隊実験小隊"とか"テレーゼ小隊長"とか丸見えでしたよ〉

 

不健康そうな、あきれ気味の声。市蔵ソラの声だった。フェイトとティアナは「しまった!」と顔を見合わせる。

 

〈そんなあからさまに「しまった!」って顔をしないでください。とりあえず自分は大丈夫ですから。"軽くあれ"、過去なんて引きずっていたら空なんて飛べません〉

 

ソラは二人の思っていた以上に強い心の持ち主で、二人は情けなくなってしまった。

 

〈では、私たちは"タカ"と"狙撃手"を倒すための貴重なリフレッシュ中につき、失礼します。出過ぎた発言、申し訳ありませんでした〉

 

切れる暗号念話。そして、しばしの沈黙。

 

「私たちも頑張りましょう」

 

「だね」

 

フェイトとティアナはメニー・イエローのベシタブル・スペシャル・バーガーを口の中に押し込むと、勢いよく立ち上がった。過労死寸前の疲れ果てた顔には違いなかったが、アドレナリンの加護で少しだけ元気になっていた。

 

執務官二人は新たな決意で歩きだしたのだった。

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだ?急に黙り込んで」とヴィータが言った。

 

「さっきの二人、良いひとでしたね」とソラが返した。

 

「当たり前だ。あいつらは、あたしらの友達なんだからな」

 

誇らしげなヴィータは胸を張ったのだった。

 

「大変です、分隊副長殿。口がケチャップまみれで全然威厳がありません」

 

「しつこい!」

 

笑い声が響いた。

 

 

 

 

 

 

ガタンゴトンと列車がゆれる。そのたびに、席に座っているヴィータの首がカクンカクンと船をこいでいた。

 

「先輩、起きて下さい。着きますよ」

 

「んあ。ああ、お前か。ありがとう。起こしてくれて」

 

「どう致しまして」

 

大あくびをする見た目は幼い少女のヴィータに、見た目は彼女のお姉さんなソラは微笑んだ。

 

フェイト達との邂逅の後、ヴィータとソラは遊びまくり、買いまくり、食べまくり。ひたすら楽しんだ。まるで義務に追われるかのように、仕事中以上の集中力で大いに楽しんだ。

 

その結果がヴィータの居眠りだった。二人は大いに疲れ果てていた。

 

ガタンゴトンと列車が止まると、そこは海沿いの小さな無人駅だった。二人は車掌に切符を渡し、列車を出た。

 

彼女たちが向かったのは、その晩を過ごすためのコテージだった。海の見える高台にある『バードランド』という名前のコテージ。ソラが旅行雑誌から見つけてきたそれを見て、ヴィータは「ここにしよう」と決めた。あたしらと同じ名前だ。きっといい場所に違いない。それが理由だった。

 

かくして二人がたどり着いたのは、煉瓦造りの小さな小屋だった。木彫りの天使が入り口の階段の所に座っていて、羽に剥げたペンキでbird landと書き込まれていた。

 

コテージの中は一人では広く、二人では狭い、半端な広さだった。ヴィータとソラはその心地よい窮屈さが気に入ってしまった。

 

「凍えてしまう心配はなさそうですね」

 

大きな暖炉を見てソラは凍傷で失った足の付け根を掻きながら、そう呟いた。

 

彼女らがコテージについて初めてしたことは、荷物を置き、服を脱ぎ、風呂に入ることだった。

 

脱衣所に入り、最後の一枚を脱ぎ去った後、義足の固定ベルトを緩め脚を外してしまったソラは、太股だけの脚でふらふらと歩くと、風呂場の手すりに捕まって体を持ち上げ、湯船に身を沈めた。

 

そして「よだかは、実にみにくい鳥です。足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません」小さく、小さく、諳んじた。

 

「するどい爪もするどいくちばしもありませんでしたが、よだかのはねは無暗に強くて、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。宮沢賢治の、よだかの星だな」

 

ヴィータが風呂場に入ってきた。ソラと違って五体満足な体。しかし、永遠に歳をとることのない子供の体。その小さな体が、脚のない痩せっぽちなソラの湯船に入ってきた。小さな、小さな、二つ体のせいで、一人用の湯船から少しだけ湯があふれた。

 

嗚呼、これでやっと一人前だ。二人でやっと一人前だ。

 

あふれた湯は少しだけだった。

 

「鉄腕アトムは言った。大人になりたい」

 

唐突にヴィータが呟いた。

 

「アトムは優しい心と、強い力をもっていました。そして一握りの悲しみも」

 

「お前、詩人だな」

 

「先輩だってそうでしょう。じゃなきゃ"よだかの星"だなんて直ぐにはわかりません」

 

「子供は童話がすきなのさ。いくら年を喰おうが子供の限りは」

 

普段は絶対に出さないメランコリック。二人とも、結局のところ寂しかったのだ。知らない世界の海に落としていった二本の脚だとか。いつまでたっても伸びない背だとか。"軽くあれ"と願った結果、乱れてしまった生理のサイクルだとか。大きくならない胸だとか。

 

どれも解決する手段はあった。自分の脚と変わらないような、優秀な義足をつければよかった。変身魔法で姿を変えればよかった。長い時間をかけて治療をして、元の体に戻れば良かった。劣化してプロテクトの甘くなった守護騎士のプログラムに介入して、外見年齢を改竄してやればよかった。

 

しかし二人ともそれをすることはなかった。「私は私だ!」。ヴィータは小さな体で戦い続け、ソラは軽い体で飛び続けた。

 

裸になってわかったこと。「私たちは似ている」。

 

二人は、一人では広く二人では狭い湯船のなかで身を寄せあった。ヴィータとソラはその心地よい窮屈さが気に入ってしまった。

 

「最近のあたしの悩みを聞かせてやるよ」

 

「なんですか」

 

「このナリのままで、いかにして男共を誘惑するかだ」

 

ソラはクスリと笑い「ナボコフのロリータを読めばいいです。全てはそこに書いています」世界の真理はそこにあると言わんばかしに断言した。

 

「ロリータ。我が腰の炎、か。なる程」

 

「ルルーさん辺りなら案外いけるかもしれませんよ」

 

「オジサマは、はやての管轄だ。ペルラン辺りがいいんだけど」

 

「彼はホモセクシャルですよ」

 

「ゲイってセクシーじゃない?」

 

「ばっかみたい」

 

ヴィータはニヤリと笑って「冗談だよ」と呟いた。

 

 

 

 

 

 

「最近の私の悩み、聞いてくれませんか」

 

そう言ったのは、ソラだった。

 

風呂上がりのヴィータとソラはそれぞれのベッドの上で寝る準備をしている最中、ヴィータは濡れた長い髪をタオルで拭き、ソラは足の切断面に包帯を巻いて形を整え終わった所だった。

 

「地面での過ごし方です」とソラは言った。

 

「変な質問だな」

 

「私は"鳥"ですから」

 

ソラにとっての地面とは、恐ろしい場所だった。恐ろしい万有引力の果て、自由落下の先の爆心地。墜落。それが地面だった。

 

「あたしは"鳥"じゃねえからわからないけれどさ、今まで通りでいいんじゃないか?」

 

ヴィータはサッパリと言い放った。そして言葉を続ける。

 

「どんな鳥だって、卵の時は床に転がってるもんだ。ひな鳥だって、床の上で羽ばたきの練習をする。そして床で食い、床でクソして、床で育って、ある日突然空に向かって飛んでいくんだ。そして疲れたらまた床に返っていく。わかるか?」

 

ソラは首を傾げて「わからない」のポーズだった。

 

「地面は墜ちるところじゃない。これ以上墜ちようのない、安全地帯ってことだ。鳥にとっての地面ってのはな、羽をたたんで眠れるベッドなんだよ」

 

だからお前も羽をたたんで眠れ。ヴィータはそう言いかけて、止めた。答えまで言ってしまうのは無粋に思えたからだ。

 

飛ぶことしか知らない奴は、際限なく飛んでいってしまう。そして疲れて羽が動かなくなったとき、上り詰めたぶんだけ墜ちていくんだ。ヴィータはそのことをよく知っていた。仲間が墜ち、敵が墜ちた。墜ちたのは、空を飛ぶために地面を疎かにした人間ばかしだった。

 

「私が地面に墜ちるとき、そこには先輩がいるような気がします」

 

ソラは約束でもした時みたいに微笑んだ。

 

「縁起でもないこと言うな。ばーか」

 

そしてランプの明かりを消し、二人は目を閉じた。

 

ヴィータは安心した。ソラは地面との付き合いかたに悩んでいる。少なくとも、気にしている。そのうち地面とも仲良くなれて、さらに高い空を飛べるようになるだろう。

 

お前は墜ちない。墜とさせやしない。

 

ヴィータは決意と安堵と、その他諸々の感情を抱えて、ゆっくりと眠りに墜ちていった。

 

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