ゆめかなえし ヤバチャ   作:クロサナ

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しれんをともにした ヤバチャ

ピカリと金色の光が目に飛び込んできた。

 

前方左の切り株の中。キラキラしたものが暗闇に浮かんでいた。

 

「ちゃちゃ〜」

 

「にーた! ぽにた!」

 

ヤバチャもいる。

 

急いで切り株に走り寄——

 

ガツっ。

 

足に何かが引っかかった。

 

薄暗い中で崩したバランスを取り戻せず、地面に手と膝をつく。

 

手にキノコが触れていっせいにカラフルな明かりを灯す。

 

光る胞子が巻き上げられて空中をきらめかせた。

 

「いたた……」

 

「やちゃ、やばちゃちゃ?」

 

ヤバチャが私の目の前に飛んできた。

 

そのカップの色はピンク色。

 

流石にもう、ピンクのコを見つけるのも少し慣れてきた。

 

「だ、大丈夫。ありがとね」

 

動揺したような下がり眉で見つめてくるヤバチャに大丈夫だと手を振る。

 

声は少しうわずった。

 

立ち上がるために右膝を立てるとヤバチャが膝の周りを飛んだ。

 

「……あ」

 

転んだときに地面についた手は苔に守られていたが、膝には傷を作ってしまったようだった。

 

血がにじんで今にもあふれ出しそう。

 

どうしようか、ほっとけば治るかな。

 

ひとまずあのコなのか確認をしようと、ヤバチャに手を伸ばす。

 

その時、脚をツンツンと何かにこづかれる。

 

ヤバチャから目を離して下を見ると右膝の左側に、ポニータが来ていた。

 

水色と紫の鮮やかな尻尾が足先に触れる。

 

「にーた」

 

例えるなら満月の夜の湖のような、そんな澄んだ色をした瞳が私の目をとらえる。

 

たっぷり数秒視線が絡み合う。

 

「にた!」

 

試すような厳しい目線から一転して嘘のように笑顔が咲いた。

 

ポニータの毛とツノがまばゆい金色に輝き始める。

 

膝の傷口から垂れた一滴の血をポニータはツノですくい取って、その角で膝の擦り傷を優しく一撫でした。

 

傷口が輝き始めて、みるみるうちに傷がふさがっていく。

 

「わ……わぁ!」

 

思わず驚嘆の声が漏れる。

 

「ありがとう、ポニータ!」

 

「にた!」

 

脚に鼻先を擦り付けてくるポニータの頭の毛をゆっくり撫でる。

 

「ちゃちゃちゃ!」

 

ヤバチャもカップの胴をほっぺたに擦り付けてきた。

 

「よしよし、かわいいね」

 

ハンドルに手を当てて、撫でてヤバチャの気を逸らす。

 

ころころと揺れるヤバチャの体がキノコの光を受けてキラリと星の形の輝きを散らした。

 

あのコの輝きかたと同じだ。

 

心臓がドクンと飛び跳ねた。

 

恐る恐るヤバチャを持ち上げて、高台の裏を確認する。

 

くまなく探しても、あのコについていたマークはついていなかった。

 

ゆっくりと息を絞り出す。

 

2周、3周と高台の裏を眺めるたびに鼓動が落ち着いていく。

 

「にた?」

 

ポニータの声で我に返った。

 

「あ、ご、ごめんね」

 

「にーた」

 

ポニータが念力で宙に浮かせたカシブのみでつんつんと突いてくる。

 

「どうしたの?」

 

カシブのみが鼻先に飛んでくる。

 

「くれるの?」

 

こくり。ポニータはうなずいた。

 

ふふ、と思わず笑みが漏れた。

 

「ありがとう」

 

このカシブのみはまたお腹が減ったときに食べよう。

 

さぁ、またヤバチャを探しに行かなくちゃ。

 

「……あ、そうだ」

 

「にた?」

 

「ねぇポニータ、このコとを同じカップの色をしたヤバチャって他に知らない?」

 

ヤバチャを両手で包んでポニータを見つめる。

 

ポニータはキョトンと目を丸くした後にふるふると首を振った。

 

「そっか」

 

一思いに立ち上がる。

 

「ヤバチャもポニータもありがとね」

 

2匹の頬を軽く撫でて、私はまたキノコの灯りに照らされる道を歩き出した。

 

 

しれんをともにした ヤバチャ

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