あれから目を覚ました調と一緒に、切歌はなにがあったかを調に悟られないよう2人はマリア達のいるヘリへと戻り、現在いる場所からステルス機能を使って飛行し飛び立った。
そして今はマリアがヘリの操縦を行っており、その隣の席では零無が座って雑誌を読んでいた。
「……」
一方、マリアはヘリを操縦しながら昼にナスターシャに言われた言葉を思い出していた。
「自分はもうフィーネを演じる必要はない」という言葉、それは一体どういうことなのか……。
彼女は少しだけ数か月前の出来事を思い出していた。
それはシンフォギアを纏い、訓練をしている時のこと……、マリアはガングニール、切歌はイガリマ、調はシュルシャガナを装着し、零無はダミースパークでゼロダークネスに変身しホログラムで出来た夜の街でウェルの出したノイズと戦っていた。
挿入歌「鏖鋸・シュルシャガナ」
調はツインテールのアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」を放ってノイズ達を切り裂き、マリアと切歌もガングニールでノイズを切り裂くが……マリアは背後に気配を感じて振り返りざまにアームドギアを振るうとそれがノイズから逃げ惑っている男性に当たってしまい、男性は苦痛の表情を見せた。
「っ!?」
マリアはその出来事に一瞬戸惑いを見せてしまう。
また、ゼロダークネスの周囲に複数のノイズが一斉に飛び掛かってくるが……構えを取って額から放つ光線「ダークネスエメリウムスラッシュ」を放ち、一瞬でノイズ達を炭化させる。
『これが、ゼロダークネスの力か……。 気に行った!!』
その時、ナスターシャからマリアと零無の耳についた発信機から連絡が入り、マリアは先ほど攻撃してしまった男性を庇うために襲いかかってきたノイズをアームドギアで貫く。
『マリア、零無、この通信はあなた達だけに繋いでいます。 調と切歌の2人には声は届いていません』
「またあの話? 私にフィーネを演じろと……」
どこか呆れたような声を出すマリアだが、ナスターシャ曰く「私たちの計画遂行にはウェルの助力が不可欠、彼をこちらに引き入れるにはマリアの中にフィーネの魂が再誕したことにし、自分達こそが異端技術の先端を所有していることを示さなければならない」のだという。
「おいおいマム、マリアは演技が得意だとはおもわねーぞ?」
『それでもドクターを引き入れるにはこれしか方法がありません。 そしてこのことを零無に話したのはあなたにはその辺りのフォローなどに廻って欲しいからです』
「けど、零無の言うとおり無理よ! 私達はセレプターチルドレン、フィーネの魂が宿る器として集められた孤児だけど、現実は魂を受け止められなかった! 今さら無理よ!!」
マリアがそう叫ぶと同時に彼女はアームドギアを振るって襲いかかるノイズを切り裂き、咄嗟にアームドギアの砲身部から高出力のエネルギー砲撃を放つ「HORIZON † SPEAR」をノイズに向けて放った。
ノイズに放ったつもりだった……、だが、マリアの狙いが外れ、砲撃は一般男性に直撃しその男性が消滅してしまい、それにマリアは見開いた。
そこで訓練が終了し、ホログラムも解除されて周りは元の空間に戻り、零無は変身を解除すると彼はすぐさまマリアの元に駆け寄る。
「マリア、幾ら話しかけられてるからってもう少し周りを見ろ」
「っ、ごめんなさい……」
暗い表情を浮かべるマリアに零無はどう声をかけようかと考えている時、そこに拍手をしながらウェルが踏みより、彼が切歌と調の2人が立つ後ろに回り込むと切歌の肩に彼は手を乗せ、切歌と調は不満そうな顔でウェルを見る。
「シンフォギアシステム、素晴らしい力だ。 そして適性の薄い君達に力を授ける僕の改良したリンカーも、この力を持ってすれば英雄として世界を……くふふふふ!」
切歌の肩と調のツインテールを撫でながら不気味な笑顔を浮かべるウェル……、そんなウェルにマリアも切歌と調同様に怪訝そうな表情を浮かべ、零無に至っては……。
「汚ねえ手で嫌らしく切歌と調に触ってんじゃねえぞ、テメー」
激しい憎悪に満ちた目で零無はウェルを睨みつけ、ウェルは僅かながらそんな零無に「ビクッ」と肩を震わせたが、零無になにかをされない内にウェルはさっと切歌と調から手を離し離れた。
そして時は戻り、現在……マリアはあの時ナスターシャはああ言ったのに、なのになぜ今になってフィーネを演じる必要がないと言ったのか疑問で仕方がなかった。
(『シェンショウジン』と『ネフィリムの心臓』、『フロンティア』起動の鍵が揃った今、どうしてマムはこれ以上嘘をつく必要がないと言ったのか……?)
「……マムの言ったことか?」
不意に零無がマリアにそう尋ね、自分の心を読まれたことにマリアは驚きつつも零無のその言葉に頷いた。
「まっ、マムにもなにか考えがあるんだろ。 あんまり深く考えなくってもいいんじゃねーか?」
「でも……!」
「それより、確かあの野郎、切歌と調にリンカー使った2人に異常がないか検査してたよな? あの野郎がなにかやらかさないようにちょっと見張ってくる」
それだけを言い残して零無は読んでいた雑誌をパタンっと閉じると彼は立ち上がってこの場をマリアに任せ、マリアの呼びとめも聞かず彼はそそくさとその場を立ち去って行った。
「もう少し話を聞いてくれてもいいじゃない……」
頬を膨らませてほんのちょっとだけぶーたれるマリアだったがすぐに彼女は気持ちを切り替えてヘリを操縦することに専念した。
ちなみにウェル達の元に向かっている途中、零無は……。
(あれ? そーいやあの検査って切歌や調のスリーサイズとか丸分かりじゃ……あの野郎やっぱり一回ぶん殴っとくべきか!?)
その頃、丁度検査の終えた切歌は……、あの時自分の発動したバリアについてのことで思い悩んでいた。
(あれは、私のしたことデスか? あんなこと、どうして……!?)
*
その頃、二課の治療室では目を覚ました響に、弦十郎は彼女の身体が今どのようになっているのか、これ以上彼女を戦わせないためにもクリスを含めて響の身体の中の現状を教えることにしたのだった。
そして今この場には弦十郎を含め、響、クリス、翼、コウマ、タロウが集められ、弦十郎から響のガングニールの話を聞くことに。
「これが、響くんの身体のスキャナー画像だ。 体内にあるガングニールがさらなる侵食と増殖を果たした結果、新たな臓器を形成している……」
「前に見た画像よりも、ちょっと酷くなってるな……」
コウマがぼそりと呟き、それに対して弦十郎も「その通りだ」と頷いた。
「これが響くんの爆発力の源であり、命を蝕んでいる……」
「っ……」
それを聞いたクリスはどこか悔しそうな表情を見せながら顔を俯かせるが、その時響は少しだけ笑った。
「なははは……、つまり、胸のガングニールを活性化させるために融合してしまうから今後はなるべくギアを纏わないようにしろと……あははは……」
「立花……!!」
無邪気に笑っている響に翼は怒鳴るように彼女の腕を掴むが……翼よりも先にタロウが口を開いた。
『響!! 自分の命をもっと大切にしろ!! ギアをなるべく纏わないように……? 違う、少なくともこの現状をどうにかしない以上ギアを纏うなと言っているんだ!! お前にもしものことがあって悲しむ人のことを考えろ!!』
「タロウの言うとおりだ!! なるべくだと? 寝言を口にするな!! 今後一切の戦闘を禁止すると言っているのだ!!」
タロウと翼が響を怒鳴りつけ、翼に至っては尻眼に涙を浮かべて必死に響に訴えた。
「このままでは死ぬんだぞ!? 立花!!」
そこでクリスとコウマが響と翼の間に入って仲裁に入った。
「そんくらいにしときな!! 2人とも落ち着け!!」
「響、タロウと翼さんもお前を心配して言ってるんだ。 2人の言ってること、分かるよな?」
コウマが心配そうに響に言い、響は眉を寄せて顔を俯かせながらもコウマの言葉に無言で頷き、クリスは翼に「このバカだって分かってやってるんだ!」と翼に言い、翼は顔を響とクリスから背けて部屋の外へと出て行った。
「医療班だって無能ではない。 了子くんが残したデータを元に対策を進めている最中だ」
「師匠……」
弦十郎は響に笑みを向けながら彼女の頭に手を置く。
「治療法なんてすぐに見つかる。 その僅かな時間ゆっくりしてても罰は当たるものか! だから、今は休め!」
「分かり……ました……」
戸惑いつつも響は玄十郎にそう返事を返した。
*
同じころ、マリア達の乗っているヘリは目的地の座標ポイントに到達し、操縦席には操縦を行っているマリアは勿論、ウェル、ナスターシャ、切歌、調、零無の全員が集められていた。
そこでナスターシャが「マリア、お願いします」とマリアに伝えるとマリアは頷き、ヘリからプロペラのついた物体「シャトルマーカー」が幾つか射出されてまるでなにかを囲むように並んでいく。
「ステルスカット、シェンショウジンのエネルギーを収束」
ナスターシャがそう言うとヘリはステルス機能を解除する。
「長野県皆神山より出土したシェンショウジンとは鏡の聖遺物、その特性は光を屈折させて周囲の景色に溶け込む鏡面明細と古来より魔を払う力……」
(シェンショウジンを初めて見た時、昔読んだツクヨの兵士が魔物を封印するために使ったっていう青銅鏡を思い出したんだよなぁ……)
ナスターシャの説明を聞きながらそんなどうでもいいことを思い出している零無。
「聖遺物由来のエネルギーを中和するシェンショウジンの力を持ってしてフロンティアに施された封印を解除します」
つまり、この海の底に沈んでいる「フロンティア」と呼ばれるものを呼び出すために、「シェンショウジン」と呼ばれる聖遺物のエネルギーをあのシャトルマーカーに向けて放ち、そのフロンティアを起動させるためのエネルギーを増幅させ、フロンティアを呼び起こそうというのだ。
そしてナスターシャがそのエネルギーを発射するためのスイッチに手をかけた時、ウェルがナスターシャの腕を掴んだ。
「フロンティアの封印が解けるということはその存在を露わにするということ。 すべての準備が整ってからでも遅くないのでは?」
「心配は無用です」
零無はウェルの首根っこを掴んで引っ張り、彼をナスターシャから引き離す。
「ほら、邪魔だ退け」
「あなたはいつも……!!」
マリア達と違っていつも自分をぞんざいに扱う零無をウェルは睨みつけるが零無は知らん顔でウェルと顔を合わせようとせず、一発くらい殴ってやろうかと思ったがマリア達の力が自分にも必要なことは事実なため、ウェルは我慢して気を静めた。
そしてナスターシャはエネルギーを発射し、フロンティアを起動させようとする。
「ふふっ、これで……フロンティアに施された封印が解けるぅ……。 と・け・るぅ~♪」
しかし、実際はフロンティアはほんの少し動いた程度で後は泡立てただけで止まってしまい、フロンティアの封印が解けることはなかった。
「解け……ない……?」
これはナスターシャが今の自分たちにはフロンティアを起動させることができないことをウェルに知らしめるためであり、ナスターシャ曰く「機械的にエネルギーを増幅しただけでは封印は解けない」とのこと。
それを聞いたウェルは歯をギリギリで噛みしめてかなりの不機嫌そうな表情を見せていた。
「いいいいいい!! ぐいいいいいい~!!?」
((ぷっ、変な顔))
そんなウェルの顔を見て密かに心の中で笑う零無と調だった。
一方、二課ではオペレーター達の調べによりウェル達の言っていたそう遠くない未来に月が落下してくることがほぼ確実に近いということが判明していた。
*
翌日、東京スカイタワーにてマリアとナスターシャは米国政府のエージェント達とある取引をするためにそこへと向かい、マリアはナスターシャの車椅子を押しながらマリアはナスターシャに「フィーネを演じる必要がない」とは一体どういうことなのかを尋ねていた。
「言葉通りの意味です。 私達がしてきたことはテロリストの真似ごとにすぎません。 真に成すべきことは月がもたらす最悪の被害をいかに抑えるか……違いますか?」
「つまり、今の私たちでは世界は救えないと?」
そしてナスターシャとマリアが取引先の部屋に入るとそこには黒服でサングラスをかけた数人の男性達が立っており、このことをマリアは知らされていなかったのか少しだけ戸惑ってしまう。
ナスターシャは「講話を彼等に持ちかけるために召集した」とマリアに説明した。
「ドクターウェルには既に話しています。 さあ、これからの大切な話をしましょう」
その頃、同じくスカイツリーを訪れていた響は……未来と一緒に今は水族館を一緒に見て回っていた。
だが今は未来は飲み物を買いに行き、響は水槽の前で1人考え事をしていた。
そんな響の様子を影から見つめる2人の人物……コウマとクリスがいた。
「おい、コウマ! なんであたし達がこんなコソコソとしなくちゃいけねえんだよ? あのバカを見張るんだったらもっと堂々と……!」
「いや、俺達も行ったらどちらかと言ったら邪魔になるだけさ。 響は未来と2人っきりにした方がきっと良いと思う。 そっちの方が響だって落ち着ける筈さ」
今にも響のところへと飛び出して行こうとするクリスをそう言ってコウマが抑え、クリスは不満そうにコウマを見つめる。そんな不機嫌な顔をするクリスにコウマはほんのちょっとだけ戸惑った。
「ど、どーしたよクリス? そんな不機嫌そうな顔して……」
「別に、なんでもねーよ! ただ、あいつ等のこと……よく知ってるなと思って……」
クリスはそう言いながらそっぽを向き、コウマはそんなクリスに失礼だと思いながらもついつい笑ってしまった。
「な、なに笑ってんだよ!?」
「いや、お前……もしかして俺にヤキモチ妬いてくれてるのかなぁって……」
「なあ!!?////」
コウマに図星を突かれてしまい、顔を真っ赤にしてしまうクリス、当然そんなことを言えばクリスが怒るかもしれないとコウマは思うが……それでもそんなクリスが可愛く思えてついつい彼女が顔を真っ赤にしそうなことばかりを言ってしまう。
「まあ、でも、あいつ等のことをよく知ってるのは中学1年からの付き合いだからな。 だけど誤解するな、俺はクリスが世界で1番好きだからな! それにこういうデートもありだろ?」
「っ~!!////だ、だからなんでお前はそういう恥ずかしいこと平気で言えるんだよ!!?////」
そんなやり取りをコウマとクリスがしているとはつゆ知らず、響は翼に言われた「このままでは死んでしまう」という言葉を思い出していた。
(死ぬ、戦えば死ぬ……。 考えて見れば、当り前のこと……。 でも、何時か麻痺してしまってそれはとても遠いことだと錯覚していた……。 戦えない私って誰からも必要とされない私なのかな……)
そんなことを考えていた響の頬に突然ひんやりとした感触が伝わり、「うひゃああああああ!!!?」とついつい大きな声を出してしまい、そのことに未来からも注意された。
「だだだだ、だってこんなことされたら誰だって声出ちゃうって!?」
「響が悪いんだからね」
「えっ? 私?」
「だって、折角2人で遊びにきたのにつまらなさそうにしてるから」
不満な顔をして未来は響にそう言い、そのことに響は「ごめん」と申し訳なさそうにして謝る。
「心配しないでぇ! 今日は久しぶりのデートだもの! 楽しくない筈がないよ!」
((あっ、やっぱりそーいう仲なんだなあの2人……))
それを遠くから見ていたコウマとクリスは2人同時に同じことを思ったが……、その後すぐにコウマは「いや、でも翼さんの時もデートとか言ってたな」と呟いていた。
「デートの続きだよ! せっかくのスカイタワー! 丸ごと楽しまなきゃ!」
そう言って響は笑顔を未来に向け、彼女の手を取って2人は歩き始めた。
「さて、俺達も響がギアを纏わないように見張らないとな。 俺達も行こうぜクリス!」
「あ、あぁ……」
クリスはコウマに手を差しのべられて彼女は戸惑いつつもその手を取って響と未来の後を追いかけた。
*
一方でとある森の中にヘリを止め、調は出来たカップ麺を味見する。
「うん、思った通りの味が出た」
カップ麺で思った通りの味ってなんだ……と思うかきっとなにか工夫かなにかしたんだろう。
また、ヘリの外では切歌が膝を抱えて座っており、彼女は自分の中にいるかもしれないフィーネの魂について思い悩んでいた。
(もしも私に、フィーネの魂が宿っているのだとしたら……私の魂は、消えてしまうのデスか? あっ、ちょっと待つデス! 私がフィーネの魂の器だとするとマリアがフィーネというのは……)
「おーい、切歌、そろそろ飯……あっ……////」
そろそろ昼ごはんの時間なのを教えにきた零無は不意に顔を反らし、いきなり顔を反らしたりして一体どうしたのかと首を傾げる切歌。
「零無? なんで顔を背けるデスか?」
「いや、だってお前……膝を抱えたらスカートの中が……なっ?///」
「っ!!?////」
切歌は零無に言われて慌ててスカートを抑え、彼女は顔を真っ赤にして「み、見たのデスか?////」と問いかけると零無は全力で首を横に振った。
「いやいやいや! 見たと言っても一瞬っていうか……」
「結局見たんじゃないデスか!! まあ、でも今回は許してあげるデス……」
「……あぁ、すまな……ってどうした? 切歌、なんか元気なさそーだけど?」
そんな時、零無は切歌の様子がなにかおかしいことに気づき、切歌はそれにドキッとして慌てて「な、なんでもないデス!!」と誤魔化すが……正直言って零無から見てなんでもないようには見えなかった。
すると零無は切歌の隣に座って彼女の頭に手を乗せた。
「なにか悩みがあるんなら、遠慮せずに言えよ。 俺だけじゃない、調やマリア、マムだってお前の悩みならきっと真面目に聞いて力になってくれる筈だ」
「……ありがとうデス、零無。 けどこれは……」
顔を俯かせ、口ごもってしまう切歌、そんな切歌を見て零無はそんなに言い辛いことなのかと思った。
「まあ、慌てることじゃないんならお前の決心がつくまで言わなくていい」
「心配してくれてありがとうデス、零無。 少し気が楽になったデスよ」
「そっか」
零無と切歌はお互いに微笑み合い、そこに調が昼ごはんの準備が出来たことを2人に知らせにきた。
「ありがとデス! なにを作ってくれたデスか?」
「298円……!」
「御馳走デス!!」
それを聞いた瞬間、零無は口元を押さえて尻眼に涙を浮かべた。
(こいつ等にいつかちゃんとしたもの食わせてやりたい……!)
*
場所は戻り、スカイタワーのマリア達のいる部屋では……。
異端技術の入ったチップをエージェント達にマリアが渡し、ナスターシャが次の話題に移ろうとしたその時、エージェント達は突然拳銃を取り出してマリア達に銃口を向けた。
「マム!!」
「あなたの歌よりも、銃弾は遥かに早く、躊躇なく命を奪う」
「初めから、取引に応じるつもりはなかったのですか?」
ナスターシャの言うとおり、米国政府のエージェント達は最初から取引に応じるつもりはなかった。
「必要なものは手に入った。 後は不必要なものを片付けるだけ……」
そんな時、窓に飛行型のノイズが何体も飛んでいることにエージェント達は気づき、窓をすり抜けて部屋に侵入したノイズがエージェント達へと襲いかかる。
「う、うわああああああ!!!?」
このノイズ達はスカイタワーから離れた場所でウェルがソロモンを使い、呼び出して操っているものだ。マリアはすぐさまガングニールを纏うと「歌」を口ずさみながら槍型のアームドギアで邪魔なノイズ達を一気に一掃し、ナスターシャを抱えてすぐにここから脱出した。
その際、エージェントに渡したチップを破壊して。
挿入歌「烈槍・ガングニール」
またスカイタワーの展望台に来ていた響、未来、コウマ、クリスもノイズが目の前で飛行しているところを目撃し、人々は逃げ惑う。
未来は走りだそうとする響の腕を掴み、彼女を行かせないように引き止める。
「待って!! 行かないで響!!」
「未来……だけど行かなきゃ!!」
「この手を離さない!! 響を戦わせたくない! 遠くに行って欲しくない!!」
そう必死に響に訴える未来、そこに泣きながら歩く子供の姿が響と未来の目に入り、響は未来と向き合う。
「胸のガングニールさえ使わなければ大丈夫なんだ! このままじゃ!」
そう言って響と未来はあの子供を追いかけて走り出した。
「クリス! 俺達も……!」
「あぁ!!」
だがその時、飛行ノイズ達が一斉にあの子供と子供の元に行こうとする響と未来に向かって真っすぐと襲いかかっていき、それを見たコウマは急いでスパークドールズとギンガスパークを取り出した。
「やらせるかよぉ!!」
『ウルトライブ! デキサドル!!』
ギンガスパークから光が放たれ、その光を浴びた響達に襲いかかろうとしたノイズは消滅……そしてスカイタワーの前には鳥のような巨大な怪獣……「高速怪獣デキサドル」が現れた。
「コウマくん!!」
デキサドルは響と未来の2人に振り返ると「ここは任せろ」と言ってるかのように頷き、デキサドルはノイズをスカイタワーになるべく近づけないようにする。
『グアアアアアア!!』
しかし、そんな時デキサドルの右横から巨大な怪獣……誰かがダークライブした「宇宙大怪獣改造べムスター」が出現し、デキサドルを突き飛ばした。
『ぐあああああっ!? 怪獣!!?』
「コウマ! くそ、邪魔すんじゃねえ!!」
クリスはガンパットを取り出してジャンスターを呼び出し、すぐにコックピットへと乗り込んでジャンスターをジャンナインに変形させる。
『カモン! ジャンスター!!』
「ジャンファイト! ツーダッシュ!!」
変形を完了したジャンナインは右腕のシールドポケットから出現するキャノン砲「ジャンキャノン」からビームをデキサドルと取っ組み合いになっていて背中を見せるべムスターに向けて放つが、べムスターはどうにか今の体制を変え、デキサドルを盾にし、ビームはデキサドルの背中に直撃した。
『ぐあああああ!!?』
「コウマ!! あの野郎、コウマを盾に……!?」
そして響と未来は先ほどの子供の少年を連れて少年を励ましながら親を探し回る。
「ほらほら、男の子が泣いてちゃ、みっともないよ?」
「みんなと一緒に避難すればきっと会えるからきっと大丈夫だよ?」
そこに係員と思われる人物が少年を抱きかかえ、響と未来も避難するように言って係員と少年はすぐにその場から離れ、少しだけ遅れて響と未来も避難しようとするがその時ノイズがビルを突き破って天井が崩壊し、未来は慌てて響を突き飛ばした。
「響!!」
その頃、マリアは上の階に逃げている途中、軍隊の人間と思われる者達からの攻撃を受け、マントで銃撃をナスターシャを庇って防いでいたが……それに一般人も巻き込まれ、それにマリアを目を見開きながらマントを伸縮自在に操って軍人を叩き飛ばす。
マリアは銃で撃たれて死んだ一般人達を見つめていた。
「……私のせいだ、全ては、フィーネを背負い切れなかった……私のせいだああああああああ!!!!」
そう叫びながらマリアはマントで軍人を吹き飛ばし、アームドギアで軍人を叩きつけた。
それを見ていた生き残っていた一般人達は……恐怖のあまり「助けてえええええええ!!!!」と叫んでしまう。
「うろたえるな!! うろたえるな、行け!!」
「は、はいいいいい!!」
あの時、ライブ会場でも言ったその言葉は……自分に向かって叫んだ言葉だった。
マリアはナスターシャを抱えてアームドギアを天井に向けて掲げる。
「もう迷わない!! 一気に行って見せる!!」
アームドギアを回転させてマリアは跳びあがり、一気に最上階まで彼女は進んでいく。
また、響と未来はどうにか助かることが出来、響は助けてくれた未来にお礼を言う。
「ありがとう、未来、助かったよ」
「うん、あのね! 響……」
未来がなにかを言おうとしたその時、突然彼女たちの足場が強く揺れてそこでバランスを崩した響が崩壊した壁から落ちてしまう……だが寸前のところで未来が響の腕を掴んだ。
「未来!! ここはもう持たない!! はやく手を離して!!」
「ダメ!! 私が響を守らなきゃ!」
「未来……。 いつか、本当に私が困った時、未来に助けて貰うから……今日はもう少しだけ、私に頑張らせて」
必死に腕を掴む未来に響は微笑んでそう伝えるが、未来は涙を流しながらも必死に腕に力を入れて響を掴む。
「私だって……守りたいのに……! 響いいいいいいい!!!!」
そして……響の「左腕」はするりと未来の右手から抜け落ち、響は地面へと落下していくが……彼女は「歌」を口ずさみ、ガングニールを纏って地面に着地した。
「未来!! 今行く!!」
その時、未来のいた場所が煙をあげて大きな爆発を起こし、それを見た響は眼を見開いて未来の名を叫んだ。
「未来うううううううううううう!!!!!!」
また、スカイタワーが爆発するよりも少し前のデキサドルとジャンナイン、べムスターの戦いでは……。
べムスターの誘導により、デキサドルとジャンナインはスカイタワーから離されてしまっていた。
「コウマ!! お前はスカイタワーの方を守れ!! こいつはあたしが……!!」
『分かった、任せる!!』
ジャンナインにべムスターの相手を任せ、デキサドルは急いでスカイタワーの守りに戻ろうとするが、その時頭上から何者かの光線を喰らい、デキサドルは地面に激突する。
『ぐああっ!? 誰だよ、今度は!?』
デキサドルが真上を見上げるとそこにはイカに似た外見を持った円盤のようなものが浮遊しており、その円盤は変形して前後両方に顔と腹部にそれぞれ青と赤の噴射口を持った人型の怪獣へと変わった。その怪獣……「円盤生物ブリザード」は大地に降り立ち、青い噴射口から凍結ガスをデキサドルに放つがデキサドルは咄嗟にそれを避ける。
『テメーみたいなイカ野郎に構ってる暇なねえんだよ!! どっか行け!!』
そう言ってコウマはギンガスパークを掲げるとギンガのスパークドールズが出現し、すぐさまギンガへとライブする。
『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』
挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」
ギンガは大地に降り立ち、それと同時にブリザードは後ろの赤い身体の方をギンガに向けて火炎放射をギンガに放つがギンガは一瞬でブリザードの背後に回り込むが……そこにもブリザードの青い顔があるため、ブリザードは冷凍ガスをギンガに放つ。
だがギンガは手を前方に出して変身時の銀河状のエフェクトに似たバリアを展開し、攻撃を無効化させる「ギンガハイパーバリアー」でブリザードの攻撃をかき消す。
『ショウラ!!』
そして一気にブリザードに近づいたギンガは廻し蹴りを叩き込み、ブリザードは地面に倒れこむがすぐさま立ち上がって今度は赤い方の顔を向けて火炎放射を発射する。
だがギンガは飛びあがってそれを避け、敵めがけて素早く繰り出す強力キック「ギンガハイパーキック」をブリザードに叩き込んだ。
また、ジャンナインはビーム系の技はべムスターの腹部に全て吸収されることが分かったため、ジャンナインは肉弾戦に持ち込み、ジャンナインはべムスターに殴りかかるがべムスターはジャンナインの拳を受け流して逆にジャンナインを殴りつける。
さらにべムスターはジャンナインに掴みかかり、角から放つ光線を近距離からジャンナインの顔に浴びせた。
「ぐああ!!? やってくれ……やがったな!!」
ジャンナインも負けじとべムスターの顔面を殴りつけ、べムスターの右腕を掴むとジャンナインはべムスターを引っ張ってスイングし、空中へと投げ飛ばす。
『これで終わりだ!!』
ギンガは両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてからL字型に組み放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」を放ち、直撃したブリザードは倒れて爆発した。
『ギンガクロスシュート!!』
「ジャンナックル!!」
またジャンナインも左腕で攻撃するロケットパンチ「ジャンナックル」をべムスターへと放ち、ジャンナックルはべムスターを貫いてべムスターも空中で爆発し、2体とも倒された。
『『ギシャアアアアアア!!!!?』』
2体の怪獣を倒し、ギンガとジャンナインがスカイタワーに戻ろうとした時、スカイタワーの一部が爆発。
『あの辺りは響と未来がいた……!』
「おい、急ぐぞコウマ!!」
『あぁ!!』
そう言ってギンガとジャンナインは急いでスカイタワーの方へと戻って行った。