戦姫絶唱シンフォギアGinga   作:ベンジャー

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4Eve それぞれが守りたいもの

5年前、ノイズに襲われて唯一生還し、二課に保護された少女「天羽奏」は……当時、聖遺物発掘チームの家族を奪ったノイズに対する憎しみが激しく、荒れていた。

 

なにしろ身体全体を拘束され、それでいて暴れ、目は怒りに囚われていたからだ、そんな状態の彼女を解放すればなにをするか分かったものではない、その場にいた翼もその時の彼女は「まるで手負いの獣のよう」だと思い、怯えた様子で弦十郎の後ろに隠れていた。

 

『アンタ等ノイズと戦ってんだろ!? だったらあたしに武器をくれ!! 奴等をぶっ殺す武器をくれ!!』

 

ただ、家族を奪ったノイズが憎くて憎くて奏は仕方が無かった、自分から全てを奪ったノイズにただ復讐したかった。

 

『辛いかもしれないだろうが、ノイズに襲われた時のことを詳しく教えてくれ』

 

だが弦十郎は奏に対し、冷静に対応し、弦十郎は「我々が君の家族の仇を取ってやる」と彼女に言ったのだが……。

 

『眠てえこと言ってんじゃねえぞおっさん!! あたしの家族の仇はあたししか取れねえんだ!! あたしにノイズをブチ殺させろぉ!!』

『それは、君が地獄に落ちることになってでもか?』

 

その時の弦十郎の眼差しはとても真剣なものだったが、奏はそんなことは気にせずにノイズを殺すためなら自分は望んで地獄に落ちると強く言い放った、その直後に弦十郎は奏の頭を撫で、優しく彼女を抱きしめた。

 

すると先程まで騒いでいた奏が黙りこんで大人しくなり、弦十郎の行動に驚きながら彼女の頬は僅かに赤くなっていた。

 

そして奏は厳しい訓練と薬物の投与を繰り返すことで聖遺物第3号である「ガングニール」への適合を試みることになったのだが……奏は、それに普通では考えられないほどの苦しみを味わい、その実験に居合わせた了子は「ここまでやっても適合することが出来ないんじゃダメね」と半ば諦めかけていた。

 

また、同じようにその場に居合わせた弦十郎は表情こそ硬く、変化はしないもののその握られた拳からは血が滲み出ていた……、まるでなにかに悔しがるように。

 

『ここまでだなんて連れねえこと言うなよ、パーティー再会と行こうや!』

 

奏はそう言って自分に薬物をさらに打ち込み、その表情はとても気分が悪そうに見えたのだが……それでも奏は諦めなかった、だが奏は突然その薬物を打ち込んだ直後に苦しみだし口から血を大量に吐き出させた。

 

同時に、奏のガングニールへの適合率が上昇し、一度彼女は倒れこんでしまうのだが……次の瞬間、衝撃波が彼女の身体から放たれ、周りにいた研究員達を吹き飛ばし、そして奏は血で塗れた手で窓ガラスに手を突きながら立ち上がり、「歌」を口ずさんだ。

 

『これが、奴等と戦える力!! シンフォギアだッ!!』

 

奏はシンフォギア、「ガングニール」をその身に纏うことに成功し、これから彼女は翼と共にノイズと戦うことになったのだった。

 

そして奏と翼がノイズを倒したある時のことだった、奏と翼が瓦礫の下から助け出した自衛隊の兵士がいきなり嬉しそうな表情で自分達にお礼を言ってきて奏は「んっ?」と首を傾げた。

 

『瓦礫に埋まってもずっと、歌が聞こえていた、だから諦めなかった』

『あ、う、うん……』

 

奏は戸惑いながらも頷き、それを切っ掛けに……自分の歌を誰かに聞いて貰うことに喜びを見出した彼女は以前よりも憎しみの心が無くなり、徐々に心も以前よりも柔らかくなり、そして……翼と「ツヴァイウイング」を結成したのだった。

 

そして2年前のあの日、ツヴァイウイング最後のライブがあったあの日、「ネフシュタンの鎧」は奪われた、2年前のあのライブはネフシュタンの鎧を起動させ、力を引き上げ、翼と奏の戦力強化の実験だったのだ。

 

しかし、ネフシュタンの鎧は一度は起動に成功した、だが……すぐにネフシュタンは暴走を始めどこかへと飛んで行き、消失してしまっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、翼は目の前の少女……「雪音クリス」がネフシュタンの鎧を纏って現れたことに目を見開いて驚き、クリスはネフシュタンの鎧のことを知っているのかと感心していた。

 

「2年前、私の不始末で奪われたものを、忘れるものか!! なにより、私の不手際で奪われた命を忘れるものか!!」

 

翼はクリスを睨みつけながら、大剣を構えるが……そこに丁度、コウマがやってきて一体どういう状況なのか分からず困惑しながら翼とクリスを交互に見る。

 

(奏を失った事件の原因と奏が残したガングニールのシンフォギア、時を経て再び揃って現れるという巡りあわせ。 だがこの残酷は……私にとって心地いい!!)

 

「おい、まさかあいつ等戦い合う気か!?」

 

コウマはギンガスパークを取り出すのだが……、ザムシャーは先程ギンガに変身した時にどこかへ落としてしまったままなのに気付き、しかも自分が持っているスパークドールズは今1体もないことにもコウマは気付いた。

 

「しまったああああああああ!!!? 今日俺、ザムシャーしかスパークドールズ持ってきてねえ!!? ギンガもさっき戦ったばっかだし出てくれねえよ!!?」

「なにしてんのさコウマくん!!? 兎に角、2人を止めないと……!!」

『コウマのこのバカめ、世話が焼ける、だから何時もあんなにスパークドールズは幾つか持ち歩いておけと言っていただろう?』

 

コウマと響が慌てまくっているその時、2人の頭上から声が聞こえて上を見上げるとそこにはタロウが空中にSDケースと共に浮いており、タロウはSDケースをコウマに渡し、コウマはタロウにお礼を言った後、ケースからスパークドールズを取り出す。

 

そしてタロウは遠くからサポートしようとSDケースごとテレポートしてここから少し離れた所まで移動する。

 

「よし、こいつで行くぜ!!」

『ウルトライブ!! バルタン星人!!』

 

コウマは等身大のセミのような両手がハサミの宇宙人「宇宙忍者バルタン星人(SD)」にウルトライブし、響は翼に抱きつくように、バルタン星人は翼とクリスの間に立って2人が戦わないように仲裁に入る。

 

『おい、やめろ!! なにやってんだお前等!!? それにそこのお前、お前……もしかしてさっきのロボットの奴か? だとしたらなんでこんなことする?』

「あぁ、確かにあたしの相棒、ジャンキラーを動かしていたのはこのあたしさ。 けどな、お前にはもう用はねえんだよ、引っ込んでろ!!」

 

そのクリスの言葉と共に、突如等身大の「闇の巨人ダークメフィスト」がいきなり現れ、メフィストは右腕に爪型の武器「メフィストクロー」を装備してバルタン星人を擦れ違いざまに斬りつけた。

 

『ぐああああッ!!?』

 

バルタン星人はその攻撃に膝を突くが、すかさずメフィストの蹴りがバルタン星人の顔面に直撃するが、バルタン星人も負けじと両手のハサミから破壊光弾を発射して反撃し、円形状のバリアを作り出す「ダークディフェンサー」でバルタンの攻撃を完全に防ぎ、バルタン星人の攻撃が一時止むとメフィストはメフィストクローから緑色の光弾を放つ「メフィストショット」を発射し、それらがバルタン星人に直撃してバルタン星人は地面に倒れこむ。

 

「コウマくん!!?」

 

響がコウマを心配し、彼の名を呼ぶが……、バルタン星人は脱皮し、ノーダメージで復活したが……復活した直後にバルタン星人に詰め寄ってきたメフィストのメフィストクローの爪が自分に向かって振り下ろされてきたが……バルタン星人はテレポート能力を使ってメフィストの背後に回り込み、両手のハサミでメフィストを後ろから殴りつける。

 

『ウオッ!?』

「フォフォフォフォ!!」

 

バルタン星人はハサミから破壊光弾をメフィストに喰らわせた後、再び響と一緒に翼とクリスを説得しようと言葉をかける。

 

「相手は人です!! 同じ人間です!!」

『そうだよ、確かに相手がライブすりゃ戦うしかないかもしれねえけど……』

「でも、今はちゃんと話し合おうと思えば話し合える筈です!!」

 

響とバルタン星人にライブしているコウマが必死に翼とクリスの2人に訴えかけるが翼もクリスも「戦場でなにをバカなことを!!」と見事に2人がハモり、翼とクリスもそれに驚いて互いを見つめる。

 

「むしろ、あなたと気が合いそうね」

「だったら仲良くじゃれあうかい!?」

 

翼とクリスは不敵に笑い、先制攻撃を仕掛けたのはクリスだった、クリスはネフシュタンの鎧の鞭のようなものを使い、翼にそれを振るうが、翼は響を押し退かして上空へと飛び立ち、バルタン星人はテレポート能力を使って攻撃を回避。

 

そのままバルタン星人はテレポートでクリスの背後に回り込んで後ろから彼女に掴みかかり、必死に攻撃をやめさせようとする。

 

『頼むからやめてくれ!! 一体なにが目的なんだ? お前がこんなことするのはなにか事情があったりするのか!!?』

「お前に話すことなんざなんもねえよ、ただ1つ……お前の相手はあいつだ」

 

すると突然、バルタン星人の背後に立つメフィストがバルタン星人の左肩を掴み、後ろの方へとメフィストは投げ飛ばし、投げ飛ばされたバルタン星人は倒れこみ、倒れこんだその隙を狙ってメフィストがジャンプし、空中から急降下してメフィストクローをバルタン星人に突き刺そうとしてくる。

 

だが、バルタン星人はハサミの破壊光弾をメフィストに撃ちこみ、メフィストは破壊光弾を喰らってバランスを崩し、検討違いな方向に落下した。

 

すかさずバルタン星人はメフィストに攻撃の隙を与えまいと破壊光弾をメフィストに撃ちまくり、砂煙が起こるが……晴れた時、そこにはメフィストの姿はなく、一瞬バルタン星人はメフィストがスパークドールズに戻ったのかと思ったが……、スパークドールズの影も形もそこには無かった。

 

『クソ、どこ行きやがった!?』

『コウマ!! 後ろだ!!』

 

タロウからの助言のおかげでバルタン星人は振り返りざまに腕のハサミを振るい、そのハサミはメフィストのメフィストクローとぶつかりあった。

 

『チィ、厄介なことこの上ねえぜ!!』

『ならコウマ、これを使ってみろ!!』

 

タロウはSDケースから新たなスパークドールズを取り出し、バルタン星人はテレポート能力を使用してその場からいなくなり、タロウとSDケースの元まで瞬間移動して行き、一度変身を解いてすぐさまタロウが選んだスパークドールズの足部をギンガスパークの先端に押し当てる。

 

『ウルトライブ!! アルギュロス!!』

 

スパークドールズを使用し、コウマは等身大の全身が銀色の金属の「金属生命体アルギュロス(SD)」へとウルトライブし、アルギュロスは右腕を長剣へと変化させ、メフィストに斬りかかるがメフィストはそれをメフィストクローで受け流し、メフィストは蹴りをアルギュロスに繰り出すが、アルギュロスはメフィストの足を左手で掴み、今度は銃に変形させた右腕をアルギュロスはメフィストに突きつける。

 

『デアアア!!』

『喰らえ!!』

 

メフィストはメフィストクローから緑色の光弾を放つ「メフィストショット」を、アルギュロスは変形させた右腕の銃から放つ銃弾をお互いに向けて同時に撃ち、2人はどちらも大きく吹き飛ばされた。

 

『ぐあああっ!!?』

『ヌウウウウ!!?』

 

コウマとメフィストが戦っているのと同じ頃、翼とクリスは戦いを続けており、翼は空中から大剣を振るってエネルギー刃を放つ「蒼ノ一閃」をクリスに繰り出したが……クリスはネフシュタンの鞭で蒼ノ一閃をかき消す。

 

そのまま翼は大剣でクリスに斬りかかるが、クリスは翼の攻撃を全てかわし、彼女の剣を一度鞭で受け止めると嫌らしく笑みを見せ、翼を蹴り飛ばした。

 

(がはっ……!? これが、完全聖遺物のポテンシャル!?)

「ネフシュタンの力だなんて思わないでくれよなー? まだまだこんなもんじゃねえぞ!!?」

 

クリスは鞭を振るって何度も翼に攻撃を仕掛けるが、翼はそれをどうにかかわし続け、響は翼の名を呼び彼女を助けに行こうとするが……。

 

「お呼びじゃないんだよ、こいつ等の相手でもしていな」

 

クリスはどこからか杖のようなものを取り出し、そこからノイズを何体も召喚し、クリスはノイズを操り、ノイズは響に襲い掛かる。

 

「ノイズが、操られている!?」

『なに!? じゃあ、あいつが今まで!?』

 

それを見たアルギュロスは驚きの声をあげるが、その隙を疲れてメフィストの蹴りが腹部にめり込んで蹴り飛ばされてしまう。

 

一方、響は叫び声をあげながらクリスが呼びだした4体のノイズから逃げだしたのだが、そのノイズが出した液によって響は拘束されてしまうのだが……なんというか、その光景がどうもアレな感じに。

 

『なんか、エロいんだけど……///』

『『……///』』

 

アルギュロスはコウマが変身しているのでともかく、心なしかメフィストとタロウも顔が赤いような気がするのはきのせいだろうか?

 

兎に角、戦いの場は翼とクリスに戻し、翼は余所見をしているクリスの隙を見逃さずに剣で斬りかかるが、クリスは瞬時に翼の剣を鞭で受け止める。

 

「その子にかまけて私を忘れたか!!」

 

クリスはそんな翼に僅かに苛立ち、彼女を押し返して彼女の足を掴みあげて地面へと放り投げ、瞬時にクリスは倒れこんだ翼の元へと廻り込み、彼女の顔を踏みつける。

 

「のぼせあがるな人気物!! 誰もかれも構ってくれると思うんじゃねえ!!」

『コラ』

 

そこに偶然、クリスと翼の近くで戦っていたアルギュロスは元に戻した腕でクリスの額にデコピンを繰り出し、クリスは足を翼から退けて額を「いった~!!?」と目尻に涙を溜めてアルギュロスを睨みつけながらその場にしゃがみ込んだ。

 

『人の顔は踏むもんじゃねえ!! 笑ったり、泣いたり、怒ったりするためのもんだ!!』

「知ったことか、あたしには、あたしには……どうせもう、なにもないんだから」

(……んっ?)

 

最後の方はボソッとしていたよくは聞こえなかったが、それでもコウマは彼女はやはりなにか事情があるのだということを確信した。

 

だがそこにまるで「俺を無視するな!!」とでも言うかのようにメフィストが左手でアルギュロスの顔面を殴りつけ、アルギュロスは殴られた頬を擦りながら、コウマはアルギュロスの最後の手段を使うことにした。

 

アルギュロスは液体のようになると姿を徐々に変えて行き、メフィストの姿をコピーした「ニセダークメフィスト」へと擬態し、メフィストは自分の姿をコピーされたことに驚いた様子を見せ、アルギュロスの中にいるコウマは「どうだ、驚いたか!!」と口元を「ニヤリ」とさせた。

 

それに同調するかのようにニセメフィストも「ニヤリ」と口元に笑みを浮かべ、それを見た翼、クリス、響は3人揃って「うわあ、不気味」とかなり引いており、メフィストも若干引いていた。

 

『なにその反応!? 結構傷付くんだけど!?』

 

取りあえず、ニセメフィストもメフィストクローを出現させ、メフィストとニセメフィストはお互いに向かって駆けだして行き、ほぼ同時にお互いにメフィストクローを振るって互いを斬りつけた。

 

『『ぐううう!!?』』

 

そしてメフィストとニセメフィストはアームドメフィストを組みあわせて発射する強力な破壊光線「ダークレイ・シュトローム」をお互いに同時に発射するのだが……、メフィストの方が威力は圧倒的であり、すぐにニセメフィストの光線を打ち消してニセメフィストはメフィストの光線を喰らい、変身も強制解除された。

 

「ぐあああああああっ!!? くっそぉ、どうにか直撃は避けられたか、タロウ!!」

『あまり無茶はするなよ!』

 

タロウはスパークドールズの1体をコウマの元までテレポートさせ、コウマはすぐにそのスパークドールズをライブさせようとギンガスパークの先端に足を押し当てる。

 

『ウルトライブ!! アラクネア!!』

 

身長13メートルで両腕に鋏のある「インセクティボラタイプビース アラクネア(SD)」に今度はコウマはウルトライブし、メフィストはまたもやなにか驚いたような様子を見せるが、先程のように姿をコピーした訳では無いのでなぜ驚いているのかコウマには分からなかった。

 

アラクネアは両腕を同時に突き出してメフィストを殴りつけようとするが、メフィストはアラクネアの両腕を受け止め、ここから2人の力の押し合いとなるのだが……、アラクネアは等身大のメフィストよりも大柄な体格をしている、そのためパワーではアラクネアの方が部があり、すぐにメフィストを押し返した。

 

メフィストは巨大な闇の球を造り射出し、闇の玉は小さな小弾に分裂し、敵目がけて降り注ぐ「ダークレイクラスター」をアラクネアに繰り出し、流石にこれを喰らっては一溜まりも無いだろうと思いながらメフィストはアラクネアの姿を確認しようとするが……その姿はどこにもなく、先程の自分と同じように背後に回り込んだのかと思ったが、アラクネアのスピードではそんなこと出来る筈もない。

 

そこでメフィストは気付いた、アラクネアがいた所が妙に地面が抉れていることに、ダークレイクラスターが降り注いだからといってここまで大きく地面が抉れることなどない、ということはこの地面が抉れた原因は……。

 

その瞬間、メフィストの立っていた地面からアラクネアが飛び出し、メフィストの足を両手のハサミで掴んで地面に叩きつけ、放り投げる。

 

『ウアアア!!?』

『待ってろ響! すぐに助けるからな!!』

 

再び翼とクリスに戦いの場は戻り、クリスは不敵に笑みを浮かべながら親指で響を差す。

 

「この場の主役と勘違いしてんなら教えてやる、狙いははなっからこいつを掻っ攫うことだ」

 

クリスの言葉を聞いた響は当然「えっ?」となり、クリスは翼に「鎧も仲間も、アンタには過ぎてんじゃねえのか?」とバカにしたように言うクリス。

 

「……繰り返すものかと私は誓った!!」

 

翼はクリスを睨みつけながら剣を上空へと掲げ、空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する「千ノ落涙」をクリスに放つが、クリスはそれを余裕で回避し、尚も翼とクリスは戦いを続ける。

 

また、捕まった響はというと、なにかを閃いたのか腕を何度もなにかを出そうとしているかのように降っていた。

 

「……そうだ、アームドギア!! 私が奏さんの代わりになるには私にも、アームドギアが必要なんだ!!」

 

アームドギアとはシンフォギアの可変・可動式主武装であり、聖遺物のエネルギーが武器の形に固定されることで発生し、元となる聖遺物の形態と装者の心象によって出現させる異なる武器であり、翼の使っている剣もそのアームドギアである。

 

しかし、響はそのアームドギアを何度も出そうとするが、どうしても彼女にはアームドギアを出すことが出来なかった。

 

そして未だに翼はクリスと戦いを続けており、翼は小太刀3本クリスに投げつけるが、クリスは「ちょろくせえ!!」と一蹴し、小太刀を打ち落として空中へとジャンプ、そして肩部の鞭状突起からエネルギー弾を生成し、標的に投げつけて攻撃する「NIRVANA GEDON」を翼へと放った。

 

翼はどうにかそれを大剣で受け止めるが、エネルギー弾はそのまま爆発し、翼はその爆発に巻き込まれた。

 

『「翼さん!!?」』

 

翼は吹き飛ばされ、彼女はもう殆どボロボロだった……。

 

「ふん、まるで出来損ない」

 

見下すように言うクリス、すると翼は……「確かに、私は出来損ないだ」と言いつつ、どうにか立ち上がろうとする。

 

「剣(つるぎ)と鍛えてきた筈なのに、あの日、無様に生き残ってしまった。 出来損ないの剣として……恥を晒してきた……。 だが、それも今日までのこと、奪われたネフシュタンの鎧を取り戻すことで、この身の汚名をそそがして貰う!!」

「そうかい? 脱がせるものなら脱がしてみ……なに!?」

 

なぜか、クリスはその場から一歩も動けなかった、一体どういうことなのか、後ろを振り向いてみると自分の影に先程叩き落とした小太刀が刺さっていたのだ。

 

これは影ができる光の下でなければ使えない「影縫い」という翼の技である。

 

因みに元は緒川が得意とする銃を用いての忍法で、その利便性に惚れ込み3年がかりで小太刀での影縫いを習得したとか。

 

「こんなもんで、あたしの動きを……!? っ、まさか、お前……」

「月が覗いている内に、決着をつけましょう?」

 

その時の翼はまるで……死ぬ覚悟を決めたかのような表情をしていた。

 

「歌うのか? 『絶唱』を……?」

「防人の生きざま!! 覚悟を見せてあげる!! あなたの胸に、焼きつけなさい!!」

 

翼は拘束されている響の方へと振り返り、響に真剣な眼差しで言い放ち、彼女は剣を掲げ、奏が最後に歌った「絶唱」を歌いながら、クリスへと近寄っていく。

 

クリスはやられまいとノイズを召喚して自分の盾にしようとしたが、何時の間にか翼は自分の目の前まで迫っており、翼は……口から血を流した。

 

「絶唱」、それは装者の負荷を省みずにシンフォギアの力を限界以上に解放する「歌」、増幅したエネルギーを、アームドギアを介して一気に放出する最後の切り札……。

 

そして放出されたエネルギーはクリスが呼びだしていたノイズ達を一気に消し飛ばし、響は拘束から解放され、また1番近くにいたクリスがその放出されたエネルギーを直に喰らった。

 

「ううわあああああああああああああ!!!!!?」

 

そのエネルギーを喰らったクリスが纏っていたネフシュタンの鎧は破損し、破損されたネフシュタンは再生しようとしたのだが、その際クリスが突然苦しみ出し、苦痛の声をあげた。

 

「うあああっ!!? くっ!?」

 

クリスはダミースパークとジャンキラーのスパークドールズを取り出し、ジャンキラーの足部にダミースパークの先端を押し当てる。

 

『ダークライブ! ジャンキラー!』

 

ジャンキラーはスパークドールズだけが実体化し、クリスの目の前に現れ、クリスをコックピットに入れた後、ジャンキラーは変形して飛行線「ジャンスター」となり、その場を飛行して去って行った。

 

メフィストもクリスが撤退したのを見てメフィストショットをアラクネアにライブしたコウマに喰らわせ怯ませた隙に、メフィストも飛行して撤退した。

 

アラクネアはコウマの姿に戻り、響、タロウと一緒に立ち付くす翼の元に駆け寄り、丁度そこに車に乗って弦十郎と了子もやってきた。

 

「無事か、翼!?」

「私とて、人類守護の勤めを果たす防人……、こんな所で、折れる剣じゃありません!」

 

翼は、コウマ達の方に振り返るが……その表情は無表情で、目と口から血を流し、身体全身から血を彼女は流し、そして……力なくその場に崩れた。

 

「……っ、つ、翼さああああああああん!!!!」

 

コウマとタロウは翼のその姿に唖然とし、そして、夜に響の叫び声が鳴り響いたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、翼は病院へ急いで運ばれ、医者の懸命の治療によりどうにか一命は取り留めることが出来た。

 

そして響はというとコウマと一緒に病院の椅子で座っており、コウマもコウマの肩に乗っているタロウも彼女になんと話しかければ良いのか分からず、困り果てていたその時……。

 

「あなが気に病む必要はありませんよ。 翼さんが自ら望み歌ったのですから」

 

緒川がやってきて自動販売機で飲み物を買う。

 

「ご存じとは思いますが、以前の翼さんはアーティストユニットを組んでいました」

「ツヴァイウイング……ですよね?」

 

響の言葉に緒川は無言で頷き、買ったコーヒーを響に彼は渡し、その時のパートナーが天羽奏、今は響の胸に残るガングニールのシンフォギア奏者だったことと、絶唱についてのことを響に話す。

 

2年前、ライブの被害を最小限に抑える為に解き放つ絶唱を奏は歌い、そして奏はそれを使った為に、彼女は死んでしまったと緒川は語る。

 

「それは、私を救うためですか?」

 

響は悲しげに緒川に問いかけるが、彼は答えず自分の分のコーヒーを飲む。

 

「1人になった翼さんは奏さんの穴を埋めるためにがむしゃらに戦ってきました。 同じ世代の女の子が知ってしかるべき遊びや恋愛も覚えず」

 

今まで翼は自分を殺し、一振りの剣として生きてきた、そして今日、剣としての使命を果たす為死ぬことすら覚悟して絶唱を歌った。

 

「不器用ですよね、ですけどそれが風鳴翼の生き方なんです」

 

緒川の話を聞いた響は……、その瞳から涙を溢れさせた。

 

「うう……ぅ、そんなの、酷すぎます。 そして私は……翼さんのことを何にも知らずに一緒に戦いたいだなんて奏さんの代わりになるだなんて……うう、ひっく」

「だから、言っただろ、このバカ響が」

 

コウマは響の頭に軽くチョップし、彼女に優しく微笑んだ。

 

「お前が誰かになれんのはこの世でたった1人、『立花響』っていう人間だけだ、お前はそいつ、自分自身にしかなれねえんだよ」

「うぅ、ううぅ、うん、有難う、コウマ……くん……」

 

緒川も彼女に自分も響に奏の代わりになって欲しいだなんて思っていない、そんなこと、誰も望んでいないと伝え、緒川は1つ、響にお願いをすることになった。

 

「えっ?」

「翼さんのこと、嫌いにならないでください。 翼さんを、世界に1人ぼっちなんかにさせないでください」

 

緒川は優しく、微笑みながら響にそう頼むと響は喜んで「はい」と返事を返したのだった。

 

「ねえ、コウマくんの守りたいものって……なに?」

「んっ? 俺の守りたいもの?」

「だから、コウマくんは戦ってるんでしょ?」

 

響に聞かれてコウマを腕を組んだ後、「夢かな……」と小さく呟いたが、その答えは響の耳にしっかりと届いていた。

 

そしてそれを聞いた響は「夢?」と首を傾げ、再び彼にどうして夢を守る為に戦うのかと尋ねた。

 

「この街に戻ってくる前、山でスパークドールズを集めたことがあるって言ったよな?」

 

その時にも闇の心を利用され、ダークライブし、コウマの前に立ちはだかった人物が何人もいた、特にその人物の殆どが「夢を否定する者」「夢をバカにする者」「人の夢を壊す者」が多かった、夢を大切に想い、夢のあるコウマにとって……それは、許せないことだった。

 

「だから、俺はそんな奴等に焼きを入れてやるために、夢を守るために戦うんだ、その為にタロウに滅茶苦茶しごかれたけどな」

 

因みにそのタロウがコウマをしごいていた時、レオとセブンのスパークドールズから変なオーラがタロウに向かって放たれていたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、リディアンの屋上にて、響はベンチに座り、考え事をしていた。

 

「私が、奏さんの代わりだなんて」

 

響は、今回のことと、2年前のことで責任を感じていた、自分が全然未熟だからこんなことになったのだと。

 

翼は、泣いていた、彼女は強いから戦い続けたのでは無い、ずっと泣きながらもそれを押し隠して戦ってきた。

 

悔しい涙も覚悟の涙も誰よりも多く流しながら強い剣であり続けるためにずっとずっと……、響はきっと翼はそうなんだと思い、ずっと悩んでいた。

 

その時、「響」と自分の名前呼んでくれる親友がそこにいた。

 

「未来?」

「最近1人でいることが多くなったんじゃない?」

「そ、そうかなぁ? そうでもないよ!!」

 

響は誤魔化すように笑い、何気ない話で誤魔化そうとするが、未来は響の隣に座り、響の手をとる。

 

「あっ……。 やっぱり、未来に隠しごとは出来ないね」

「だって響、無理してるんだもの!」

 

未来は響に微笑みながら、彼女がなにか最近無理をしていることを見破っていた。

 

「うん、でもごめん、もう少し1人で考えさせて。 これは私が考えなきゃいけないことなんだ」

 

申し訳なさそうに謝る響だが、未来は「分かった」と頷き、そこから未来は立ち上がる。

 

「あのね響、どんなに悩んで考えて出した答えで一歩前進したとしても響は響のままでいてね?」

「私の、まま?」

「そっ、変わってしまうんじゃ無く、響は響のまま成長してくれるんだったら、私も応援する、だって響の代わりはどこにもいなんだもの、いなくなって欲しくない!」

 

未来は微笑みながら響にそう言い、響は同時に「お前が誰かになれんのはこの世でたった1人、『立花響』っていう人間だけだ」というコウマの言葉を思い出し、響はこのままいてもいいのかなと未来に問いかけるが……。

 

「響は響のままじゃなきゃ嫌だよ?」

 

笑みを向けながら、未来は響にそう答え、響もそこから立ちあがり、自分の拳を握りしめ、未来に「有難う」とお礼を言った。

 

「私、私のまま歩いていけそうだよ!」

 

未来は「良かった」と安心した後、なにかを思い出したかのような表情を浮かべ、携帯を取り出してみせた。

 

「流星群、録画してきたんだけど、動画で見る?」

「えっ!?」

 

しかし、動画は光量不足でなにも見えなかったのだった。

 

「ダメじゃん!?」

 

そんなコントのようなことをして響と未来は……お腹の底から笑い、そして次こそは一緒に流星群を見ようと2人で約束したのだった。

 

その時の響の表情は……殆どの迷いを振り切ったスッキリとした顔だった。

 

(私にだって、守りたいものがある!! 私に守れるものなんて、小さな約束だったり、なんでもない日常なのかもしれないけど、それでも守りたいものを守れるように、私は、私のまま強くなりたい!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、響は弦十郎の元へと向かい、彼に戦い方を教えて貰うように頼みに行ったのだ。

 

あの人外以上の人外ならばきっと武術(?)など知っていそうという理由で彼女は彼の元に尋ねたのだ。

 

少し考えた後、弦十郎は「俺のやり方は厳しいぞ?」と一応許可は貰ったのだが……。

 

「時に響くん、君はアクション映画とかたしなむかな?」

「はい?」

 

そこから弦十郎の猛特訓が開始され、それにはコウマも主にレオにライブして響の特訓を手伝い、ある日、響がどこまで成長したか確認するために響とコウマが模擬戦を行うことになった。

 

「準備は良いか、響!?」

「うん、何時でもOKだよ!!」

 

コウマはギンガスパークを構えると、今回はいきなりギンガのスパークドールズが出現し、コウマは「何時も空気呼んでくれてありがとな!」とお礼を言いながら等身大の「ウルトラマンギンガ」にライブした。

 

『ウルトラーイブ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

さらにギンガの中にいるコウマにギンガスパークからレオのスパークドールズが転送され、コウマはレオの足部にギンガスパークの先端を押し当てる。

 

『ウルトラーイブ!! ウルトラマンレオ!!』

 

ギンガは等身大の「ウルトラマンレオ(SD)」となり、レオと響は互いに相手を見つめる。

 

『行くぞ、響!!』

「はい!!」

 

響はガングニールを纏い、レオに突っ込んできて拳を放つがレオはその拳を受け流す……、しかし、響の蹴りがすかさずレオに炸裂し、レオはその攻撃に怯む。

 

レオが今の攻撃で怯んだ所を響は拳を放つが、レオはそれを右手だけで受け止め、左拳で響の腹部に手を添え、気力だけで彼女を吹き飛ばす。

 

「うわああっ!!?」

『イヤッ!!』

 

レオは跳びあがって跳び蹴りを響に繰り出すが、響はそこからジャンプし、レオの蹴りをかわし、空中からのかかと落としをレオに炸裂する、しかし、レオはそれもいとも簡単に両腕を交差して防ぎ、レオは両腕を力強く広げて響を吹き飛ばす。

 

『ヤーッ!!』

 

レオは響に駆けだして行き、チョップの連続を攻撃を炸裂、響はそれをどうにか防ぐが……反撃する隙が無く、防ぐことしか出来なかった。

 

『どうした!? 反撃して来い!! 響!!』

「くうう、そんなこと言ったって……!!」

 

だがそこで響は思いついた、前に踏み出せないのなら、後ろに下がれば良いということに、響はレオの猛攻撃から逃れるため、後ろへと跳び退き、彼女は後ろにあった木に真っ直ぐ走って向かって行き、跳びあがり、木を思いっきり蹴りつけ、その反動でレオに突っ込む。

 

「いっけええええええええ!!!!」

 

そして響は拳を突き出し、レオは両腕を交差して響の拳を受け止めるが、勢いをつけた響の拳は強力でレオはガードを崩され、殴り飛ばされる。

 

『ヌウ!!?』

「はあああああ!!!」

 

響はそのまま連続で拳を振るい、今度はレオが防ぐだけとなって形勢が逆転、しかし、レオは響と同じように後ろに一度跳び退き、そして再び響にレオは突っ込んで来る。

 

響は構えるが、レオは響の頭上を飛び越え、後ろにあった木を蹴りつけ、そのまま反転し、レオの跳び蹴りが響に炸裂……せず、レオはワザと外した。

 

「えっ?」

「そこまでだ!! 模擬戦の勝者はレオ、コウマだ!」

 

そこで弦十郎が試合終了の合図を出し、響とコウマは変身を解き、響は照れ臭そうに頭をかく。

 

「いやぁ~、手加減してあんなに強いなんて凄いんだねコウマくん?」

「いや、あれは俺の力だけじゃない、殆どレオの力さ」

 

コウマはレオのスパークドールズを取り出し、それを響に見せるが……その際、響の耳に、弦十郎でも、コウマでも、タロウでもない他の誰かの声が聞こえてきた。

 

『君の守りたいものを、しっかりと守り抜け、俺が味わった苦しみを決して君は味わないでくれ』

「……えっ? もしかして、レオ?」

 

今の言葉は響以外の誰にも聞こえていなかった、それでも響は先程の言葉が決して幻聴などではなく、きっとレオの声なのだと確信し、そしてレオの言葉に彼女は答えた。

 

「はい、勿論です!! 例えどんなに小さなものだろうと、それは私にとって大切なもの、だから守る為に、私、頑張ります!!」

 

 

その頃タロウはというと……。

 

『後輩2人に出し抜かれた……、なぜ私はダメなんだ、あぁ、早く大きくなりたーい!』

 

と嘆いていたとか。

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