戦姫絶唱シンフォギアGinga   作:ベンジャー

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7Eve 想いを、気持ちを、全力を

ダークメフィストの攻撃を受け、白い煙の中へと消えるギンガ、メフィストとホーはギンガの姿を確認しようと白い煙の中を確認しようとするが……その時、煙の中から赤い色のブーメランのようなものが飛び出し、メフィストはそれをメフィストクローで弾いた。

 

『ウルトライブ!! ウルトラマン80!!』

 

そして煙の中からウルトラ兄弟の9番目……、マイナスエネルギーの怪獣と戦った戦士「ウルトラマン80」がそこに立っており、80はホーとメフィストに向かって駆けだして行き、メフィストは近づいてきて80にメフィストクローを突きたてるが80はメフィストの頭上へと飛び越え、同時にメフィストの肩に蹴りを繰り出す。

 

『ショッワ!!』

 

そのまま80はホーへと掴みかかり、ホーへとチョップを繰り出すが、ホーはその程度の攻撃に怯まず、80を殴り飛ばし、そして倒れこんだ80へとホーは圧し掛かって硫酸の涙を流し、80へとそれを浴びせる。

 

『うおッ!!?』

『なんで……どうして……?』

『えっ……?』

 

その時、コウマの耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた、それは……響の親友でもある「小日向未来」の声であった。

 

コウマを目を見開き、ホーを、彼女を唖然と見上げ、80は兎に角先ずはホーを押し退かしてホーから離れるが、そこにハイパーメフィストショットをメフィストが80に撃ちこんで来た。

 

だが80は両手を交差させて敵の攻撃を防ぐ「ウルトラVバリヤー」でメフィストの攻撃を防ぎ、左腕を上に、右腕を横に伸ばした後、L字型に組んで放つ光線「サクシウム光線」をメフィストへと放ったが、メフィストはバク転でサクシウム光線を回避する。

 

そこにホーが背後から80に掴みかかり、80の胸部を殴りつけ、そのまま攻撃を連続で繰り出すが、やがて80に両腕を掴まれて動きを封じられた。

 

『やめろ未来!! お前、なんで怪獣になんかに……!!』

『どうしてなの? 私は響に隠しごとなんかしていなかったのに、響も私に隠しごとなんかないって言ったのに……、響は、私に……嘘をついた!! なんでなの? なんでなの響!!?』

 

どうやら未来にはコウマの言葉が全く聞こえていなかったようで、コウマはこの未来の言葉からどことなくヤンデレオーラを感じて一刻も早く元に戻さないと色々と響がヤバいと感じ、80はホーを投げ飛ばした。

 

『うあっ!?』

『ちょっと我慢してくれよ、未来!!』

 

しかしそこに80を邪魔するが如くメフィストが割って入り、80の背中を叩きつけ、その攻撃に彼は膝を突き、そこを狙ってメフィストが80を蹴り飛ばした。

 

『ショワッ!?』

 

そのままメフィストは80の腕を掴みあげて背負い投げを繰り出すが、80は見事地面に着地し、メフィストの腕を振り解いてメフィストから離れた後、大きくジャンプしメフィストを蹴りつけ、メフィストは両腕で攻撃をガードしたがその攻撃に怯んで後ろへと後退する。

 

だが80は連続で空中へと跳びあがり、空中で1回転しながら急降下し、足先を発光させてキックを決める「ムーンサルトキック」を今度こそメフィストに決め、倒れこんだメフィストの足を掴んで80はメフィストを振りまわす「ウルトラスウィング」でメフィストを投げ飛ばした。

 

『ウアアアッ!!?』

 

そこに後ろからホーが80に体当たりし、80はそれを喰らってフラつくがすぐに体制を整え、80は必殺の「サクシウム光線」をホーへと放つが、ホーはサクシウム光線を喰らっても平然とその場に立っていた。

 

『効かねえ!! だったらこいつで!! すまねえ、未来、響!!』

 

バックル部から無数の光の矢を一点に収縮させて敵を貫く光線「浄化版バックルビーム」をホーへと放ち、ホーはそれを喰らって一度大人しくなるが……、すぐにホーはまた暴れ出した。

 

それを遠くから見ていたタロウはバックルビームを喰らっても尚、倒れないホーに驚きを隠せなかった。

 

ホーは地球にまだ80が現役だった頃に戦った怪獣であり、バックルビームで倒した怪獣で、80が地球を去って16年後……、「メビウス」が地球で活躍していた時にもホーは再び現れたが……、その時も80がバックルビームで倒した。

 

そのことから、ホーは確実にバックルビームで倒せる相手の筈なのだが、あの未来のライブしたホーは一向に倒れる様子が無く、尚もホーは80へと戦いを挑んでいた。

 

『闇の力が働いているのか? いや、それとも……、ライブした人間の心の闇が深いのか……』

『裏切った、響は私を!! なんでなんでなんで!! 私が、私がどんなに寂しい想いで1人でいたと思ってるの? 響の帰りを待っていたと思っているの!!?』

『……あれが噂に聞く、ヤンデレというものなのだろうか……?』

 

いや、あれは心の闇につけ込まれたせいでああなってしまった、そうなんだとタロウは自分に言い聞かせた、コウマや響の聞いていた話とは少し違ったからだ。

 

しかし、その時ホーに異常が起きた、流石にサクシウム光線と、二度もホーを倒した技であるバックルビームを喰らったダメージが今になって来たのだ、そのためホーの動きが鈍くなり、ホーは膝をついてやがて姿を消した。

 

ホーが姿を消したのを見てメフィストは一度撤退し、80はホーにライブしていた未来を探しまわるがそこに未来の姿は一切なかった。

 

『……どうやら、彼女の心の闇はそう簡単には晴れてくれないようだ』

 

その時、コウマでも、タロウでもない、コウマにとっては聞いたことのない声がコウマの耳元へと聞こえてきた。

 

その声の主は変身しているコウマなら分かる、それは「ウルトラマン80」の声である。

 

『彼女の心の闇を晴らさない限り、彼女を本当に救えはしないだろう。 だけど、君にならそれが出来ると私は信じている。 ギンガに選ばれた、君と……彼女の親友ならば』

 

80はそれだけを言い残すと姿を消し、80の立っていた場所にはコウマが立っており、彼の元へとタロウが駆け寄る。

 

(人形になっていても流石だな、80。 メフィストとホーの2体を相手に互角以上に戦うとは。 なによりマイナスエネルギーの怪獣の専門でもあるからな。 そしてまた私は後輩に出し抜かれた……。 あぁ、早く大きくなりたい)

 

そんなことよりも今は響とクリスの方だ、コウマはタロウを胸ポケットに入れて響とクリスの戦う場所まで急いで駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時の、アームドギア生成のエネルギーを腕に込めて放った響の一撃はクリスを大きく殴り飛ばし、しかもその威力はクリス曰く「翼の絶唱に匹敵しかねなない」というほどの威力だった。

 

するとクリスの纏っていたネフシュタンが再生を始めるが……、このネフシュタンの再生機能は装着者の肉体に食い込んで再生しようとするため、この完全聖遺物の再生能力は非常に危険な再生能力であった。

 

そのため、クリスは鎧に飲み込まれる前に響と決着をつけようと響を睨みつけるが、彼女は腕を下げ、腕を下げたまま歌を口ずさんでおり、クリスは余裕の態度を示しているかのような響の態度に苛立った。

 

「お前、バカにしてるのか!! あたしを、雪音クリスを!!」

 

ここで初めて、彼女は響へと名乗り、それを聞いた響はどこか安心したかのような表情を浮かべ、嬉しそうに「そっか、クリスちゃんって言うんだ」と名前が聞けたことを喜んだ。

 

「ねえ、クリスちゃん。 こんな戦い、もうやめようよ。 ノイズと違って私達は言葉を交わすことが出来る、ちゃんと話し合えばきっと分かり合える筈! だって私達、同じ人間だよ!?」

「……嘘くせえ……、青くせえええええ!!!」

 

クリスは響の言葉に激怒したかのように響へと突っ込み、彼女を蹴り飛ばし、クリスはすかさず先程倒れた身体を起こそうとする響を蹴りつけるが、フラつきながらも尚も響はクリスへと手を伸ばし、「クリスちゃん」と彼女の名を呟いた。

 

「くっ……ぶっ飛べよ!! アーマーパージだ!!」

 

するとクリスの纏っていた鎧が全て吹き飛び、そして響はクリスの口ずさんだ「歌」が聞こえてきた。

 

その歌は「シンフォギア」を起動させるための歌。

 

「見せてやる、イチイバルの力だ!!」

 

クリスは赤のアーマーを纏った聖遺物第2号シンフォギア、「イチイバル」を身に纏い、静かに響に対し「歌わせたな……」と憎悪を込めた口調で響に言い放った。

 

「へっ?」

「あたしに歌を歌わせたな!! 教えてやる、あたしは歌が……大嫌いだ!!」

「歌が嫌い?」

 

そのままクリスは歌を口ずさみながらボウガン型のアームドギアを構え、赤い矢を響へと放ち、響はそれをどうにか回避するが、響の攻撃を回避する方向を先読みしていたクリスは響の前方へと廻り込み、彼女を蹴りつけ、アームドギアをガトリング砲へと変形させる。

 

アームドギアが変形した4門の3連ガトリング砲からの一斉掃射「BILLION MAIDEN」を響へと放ち、さらに同時に腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射する「MEGA DETH PARTY」を響へと繰り出し、響は爆風で起こった砂煙の中へと姿を消した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

肩で息をして響がどうなったか確認しようとするクリス、だがそこには巨大な壁があった。

 

「盾!?」

 

しかし、それは盾でも、壁でも無く……。

 

「剣(つるぎ)だ!!」

 

それは大剣となったアームドギアを地面に突き刺し、響を守った翼の剣だった……。

 

その大剣の尻柄にシンフォギアを纏った翼が立っており、クリスは翼の登場に驚かされるも「フン」とすぐに余裕の態度を鼻で笑って見せた。

 

「ふん、死にかけで病院でおねんねと聞いていたが、足手纏いを庇いに来たか……」

「もうなにも、失うものかと決めたのだ!」

 

その様子をモニターから見ていた弦十郎から翼に連絡が入り、「翼、無茶だけはするなよ」とだけ忠告され、翼は静かに「はい」と答え、倒れこんでいた響も立ち上がって翼の存在に気付いた。

 

「翼さん……」

「気付いたか、立花! だが私も従前では無い! 力を貸して欲しい」

「あっ、はい!」

 

クリスはガトリング砲で翼を撃つが、翼はそれを素早く避けてアームドギアの剣を元のサイズに戻して構え、真っ直ぐクリスに向かって行き、クリスはガトリング砲の弾丸を放つが、翼はそれら全てをかわし、彼女の頭上を飛び越えると同時に剣を振るうが、クリスは寸前の所で頭をしゃがめてかわした。

 

さらに翼はクリスがガトリング砲を構える前に剣の尻柄でガトリング砲を叩きつけて彼女のバランスを崩れさせ、一瞬の内に翼はクリスの背後へと廻り込んで後ろから剣をクリスへと突きつける。

 

因みに翼が現れた時からコウマとタロウもここへと来ていたのだが、「本調子じゃない」と言いつつ1人でクリスをほぼ圧倒している翼を見てタロウもコウマも「むしろ本調子以上じゃないか」とツッコミを入れていた。

 

(この女、以前とは動きがまるで……!)

 

その翼の戦闘力の向上に驚かされたのはクリスも同様だった。

 

「翼さん! その子は……!」

「出来れば、傷つけないでください!!」

 

響とコウマが翼にそう頼み、翼もそれに関しては同意見だった。

 

そこでクリスがガトリング砲を持ち上げて翼へと振りかざし、翼はそこから離れて2人は見つめ合う形で対峙する。

 

(刃を交える敵じゃないと信じたい。 それに、10年前に奪われた第2号聖遺物のことも正さなければ!)

 

クリスはガトリング砲を構えるが、その時、上空から3体のノイズが現れ、その内2体がクリスのガトリング砲を破壊し、さらに3体目のノイズが真っ直ぐクリスに突っ込んできたが……、コウマが駆けだしてクリスを抱えてその場から離れ、コウマとクリスの2人は地面に倒れこんだ。

 

「よお、大丈夫か?」

「お、お前なんで……!!? ッ、っていうか退けよ!!////」

 

今の形はコウマがクリスを押し倒している形となっており、クリスは顔を真っ赤にし、コウマもそのことに気付いて顔を赤くし、急いでクリスから離れる。

 

「コウマくん! クリスちゃん大丈夫!?」

「あぁ、響、俺はなんともねえ。 それより、お前クリスっていうのか。 お前は怪我なかったか?」

「なんであたしを、助けたんだよ?」

 

そのクリスの質問に対し、コウマは「危なかったからに決まってるだろ!! なに言ってんだ、当たり前のことだろうが!!」とにっこりと笑いながらクリスにサムズアップし、クリスは「バカじゃねえのかお前!? 後お前もさ(響)!! バカにして、余計なお節介だ!!」と怒鳴りつける。

 

「命じたことも出来ないなんてあなたはどこまで私を失望させるのかしら?」

 

突然、女性の声がコウマ達に聞こえ、そこにタロウがコウマの目の前にテレポートで現れる。

 

『コウマ!!』

 

タロウと翼が見るその先に、上空にノイズが円を描いて跳び回る真下に、その声の主、ソロモンの杖を持った女性は立っていた。

 

「っ、フィーネ!」

『フィーネ?』

 

クリスは女性のことを「フィーネ」と呼び、翼は「終わりの名を持つ者?」と心の中で首を傾げた。

 

「なんだよフィーネ!! こんな奴いなくたって戦争の火種くらいあたし1人で消してやる!! そうすれば人はアンタの言う様に人は呪いから解放されてバラバラになった世界は元に戻るんだろ!?」

 

するとフィーネはため息を吐き出し、「もうあなたに用は無いわ」とクリスに言い放ち、彼女は目を見開く。

 

「へっ、なんだよそれ!!」

 

フィーネは右手を青く発光させると脱ぎ捨てられたネフシュタンの鎧が粒子となって1つになり、やがて消え去った。

 

フィーネはソロモンからノイズを召喚して翼と響の方へと向かって行くが翼はノイズを全て剣で切裂き、クリスは「待てよフィーネぇ!!」と彼女の名を呼んで空中を飛行し、消え去ったフィーネを追い掛けた。

 

「クリス!!」

「クリスちゃん!!」

 

コウマと響がクリスの名を呼ぶが、クリスは立ち止まることは決してなかった。

 

二課でも追跡は負荷だったが、クリスの身分を明かすことは出来た。

 

彼女は世界的ヴァイオリニストの父と声楽家母を持つサラブレッドであり、その為シンフォギアのイチイバルの奏者に選ばれ二課から注目されていたが2年前にNGO活動に参加する両親と一緒に南米バルベルデの戦争に巻き込まれ、両親が死亡し、自身も捕虜生活を送ることとなってしまった。

 

その後国連軍の介入で彼女は救出されたが、間もなくして行方不明になってしまった少女だった。

 

彼女の詳細を知り、弦十郎は「あの少女だったのか……」とどこか悲しげに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、浄化版バックルビームの効力か、今は闇の力が抑えられている未来に緒川が彼女にシンフォギアについてのことなど諸々を説明しており、二課のミーティングルームでは敵の正体と目的などを考えていたが、そこに丁度身体検査を無事に受けた響と翼が了子と一緒に部屋に入ってきた。

 

「深刻になるのは分かるけど、シンフォギアの奏者は2人とも健在! 頭を抱えるにはまだ早すぎるわよ♪」

「呑気でいいっすねぇ、了子さん」

 

何時も通りな了子に苦笑を浮かべながら言うコウマ、それに対し了子は「褒めてもなにも出無いわよ~?」となどと言うが、コウマは苦笑したまま「褒めてませんよ!」と返した。

 

「翼、全く無茶しやがって……」

 

弦十郎は翼を心配し、翼は心配をかけてしまったことに謝るが……。

 

「ですが、”仲間”の危機に伏せっているなど出来ませんでした!」

「「えっ?」」

 

その翼の言葉に、響とコウマは驚きの声をあげた。

 

「立花は未熟な戦士です。 半人前ではありますが戦士に相違ないと確信しています! 完璧には遠いが立花の援護くらいなら戦場に立てるかもな!」

 

翼は響に微笑みを向け、響は気持ちを引き締めて「私、頑張ります!!」と頭を下げるが……、コウマは先程から響になにか言いたそうにそわそわしていた。

 

「響、あの……」

「んっ? どうしたの、コウマくん?」

 

コウマはここで話し辛いと思ったのか、響と一緒に廊下を出て先ず彼は響に対して頭を下げて「すまねえ!!」と謝った。

 

突然のことに響はなんのことかわからず困惑するが、コウマは未来がダークライブし、怪獣となってしまったことを彼女に告げ、響はそれを聞いた瞬間、さらに戸惑ってしまったのだった。

 

「そんな、嘘……、嘘だよ未来が!!」

「あいつ、『私は響に隠しごとなんかしていなかったのに、響も私に隠しごとなんかないって言ったのに……、響は、私に……嘘をついた』って言ってた」

「……」

 

響は顔を下に向き、一体どうしていいかわからないといった顔をしていた。

 

コウマも、響になんと言えば良いのか分からなかったが、兎に角、ストレートに、自分の思ったことを響に言い放った。

 

「しっかりしろ響!! きっとどうにかなる!! 80が言ってたんだ、お前ならどうにか出来るかもしれないって!!」

「でも、どうやってどうにかするの?」

「分からねえ、けど……、どうにかやってどうにかするしかねえだろ!! お前の一番の、親友なんだからさ!」

「言ってること、全然わからない。 でも、やってみる」

 

コウマは頷き、その後響に頼まれて一緒に寮まで戻り、響と未来の部屋へと入り、響は戸惑いがちに物影からそーっと未来の様子を伺った。

 

「ねえ、未来? なんていうか、つまり、その……」

「お帰り」

「あっ、うん、ただいま」

 

どうにもぎこちない雰囲気が続き、未来は持っている雑誌を読み続けて響を見ようともしなかった。

 

「あの、入っても良いかな?」

「どうぞ、あなたの部屋でもあるんだから」

 

コウマはこの様子を見てやはりギクシャクしていると感じ、コウマも「俺もおじゃまします」と一言入れて部屋へと入ると未来は「いらっしゃい」と冷めた態度で挨拶するが、流石に今回は仕方がないのでコウマは文句は言わなかった。

 

(流石に今回はスルーされないか)

「未来、あのね……?」

 

響はなにを話したらいいかわからなかった、だがそれでもなにか話さないといけないと思った、しかし、未来は「大体のことならあの人達に聞いたけど?」と睨みつけるように彼女は響に冷たく言い放つ。

 

「嘘つき、隠しごとはしないって言った癖に!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、クリスは私服姿である公園の中を彼女は歩いていた。

 

「なんでだよ……! フィーネ」

 

拳を握りしめ、唇を噛み締めるクリス、その時、クリスは響の「話し合おうよ、だって同じ人間なんだから」という言葉を思い出し、舌打ちする。

 

(あいつ……! クソッ、あたしの目的は戦いの意思と力を持つ人間を叩きつぶし戦争の火種を無くすことなんだ! だけど……!)

 

その時、公園のベンチで女の子が1人座り、もう1人、女の子の兄と思われる男の子が泣きじゃくる女の子に「泣くなよ! 泣いたってどうしようもないんだぞ」と怒鳴っていて、クリスから見れば男の子はそれは妹を苛めてる兄に見えた。

 

「おいコラ、弱い者を虐めるな!!」

「苛めてなんかないよ!! 妹が……」

 

そこに丁度、未来の所から家に帰る途中だったコウマが、その場面に丁度出くわした。

 

そしてさらになく妹を見てクリスは「だから苛めんな!!」と拳を振り上げるが、妹が兄を庇うように立ち、「お兄ちゃんを苛めるな!!」とクリスに怒鳴った。

 

クリスは腕を降ろし、てっきり苛められてるのかと思ったが、本当はただこの2人、迷子になってしまい、父親とはぐれてしまったのだそうだ。

 

「一緒に探してたんだけど、妹がもう歩けないって言ってたから、それで……」

「ったく、迷子かよ。 だったら端からそう言えよな」

 

遠くから様子を見ていたコウマは「事情をちゃんと聞いてないクリスが悪いと思うけどなぁ」などと思ったとか。

 

「だって、だってぇ!!」

 

再び泣きだそうとする妹にクリスが「だから泣くな!!」と怒鳴ると今度は兄が妹を庇うように立つ。

 

「妹を泣かせたな!!」

「あー、もう、めんどくせえ!! 一緒に探してやるから大人しくしやがれ!!」

「良かったなぁ、このおねーちゃんが一緒に探してくれるって、俺も手伝うよ?」

 

それを聞いた瞬間、兄妹の顔がパアっと明るくなり、コウマはどくさに紛れて兄妹とクリスの間に入り、クリスはコウマを睨みつける。

 

「テメーは!!」

「そんなに、睨みつけるなよ、俺はお前と戦う気はないし、二課にこのことを報告するつもりもねえ」

「誰がそんなこと信じるか!!」

 

クリスの言葉にコウマは「だよな」と苦笑し、どうすれば信じて貰えるか考えた結果……。

 

「例え信じなくても、信じても、俺はお前とは戦わないし、二課にもこのことは絶対に報告しねえ。 だからこの兄妹の親を俺も探す!!」

「言ってること訳分かんねえぞ、お前! ったく、ホントにめんどくせーな!!」

 

コウマと出くわしたからといってこの兄妹を放って逃げる訳にもいかないし、かといってこの兄妹の目の前で戦うことも出来ない、結果……、コウマと一緒に探すことにした。

 

クリスは兄妹の2人と手を繋いでコウマと一緒に兄妹の父親を探すために歩き出した。

 

「~♪」

 

道を歩くクリスは鼻歌を歌っており、コウマは少し、目を見開いた、先程「歌が嫌い」だと言っていた彼女が、どことなく楽しそうに鼻歌とはいえ、歌を歌っているからだ。

 

「おねーちゃん、歌、好きなの?」

 

妹がクリスへと問いかけるが、クリスは「そんな訳ねえだろ、歌なんて大嫌いだ」とぶっきらぼうに返し、さりげなくクリスは「特に、壊すことしか出来ないあたしの歌はな」と呟いたが、その呟きは本人以外には聞こえなかった。

 

「取りあえず、交番に行ってみよう」

 

コウマの提案で一同は交番へと向かい、見事この兄妹の父親を発見することが出来た。

 

「お前達、どこ行ってたんだ!?」

「おねーちゃんが一緒に迷子になってくれたぁ!」

「違うだろ、一緒に父ちゃんを探してくれたんだ」

 

そんな親子のやり取りを見守るクリスとコウマ、父親は2人に頭下げてお礼を言い、コウマは普通に「いいんですよ、別に」と笑いながら対応したが、クリスはこういうことに慣れていないのか、どこかぎこちなかった。

 

「もう、迷子になるんじゃねえぞ」

 

コウマがそう言いながら兄妹2人の頭を撫で、そこでクリスは「そうだ!」となにかを思い出したかのように兄妹にあることを尋ねた。

 

「そんな風に仲良くするにはどうすればいいのか教えてくれないか?」

 

だが、兄は「そんなの分からないよ」と答えるが、妹は「喧嘩しちゃうけど、何時も仲直りして仲良し~!」と兄の腕に抱きついて笑顔を見せた。

 

その後は兄妹と別れ、コウマとクリスは先程の公園まで戻って来た。

 

「クリスって、意外とスゲー優しいんだな」

「はっ、なに言ってんだよお前///」

 

「優しい」と言われて照れたのか、クリスは赤くした顔をコウマから背ける。

 

「そう言えば、ちゃんとした自己紹介まだしてなかったな」

「あん? なんだよ、急に。 んなことより、あたしだって忙し……」

 

クリスが言い終わる前に、勝手にコウマは自己紹介を始めた。

 

「って聞けよオイ!?」

「俺、来元コウマ!! ウルトラマンギンガで、年齢は15歳!! 誕生日は7月10日!! 趣味は冒険物の読書!!  そして俺の夢は……!! 貧しい国や、戦争している国、そんな所に行って辛い生活をしているだろう人達と仲良くなること!! そんな人達を、笑顔にして、日本の遊びなんか教えて、みんなを笑顔にすること!!」

 

響の自己紹介を参考に、コウマはそうやってクリスに自己紹介をするのだが、クリスはコウマの「夢」という部分に一瞬だが、反応した。

 

そして……、「夢なんて、くだらねえ」と切り捨てた。

 

「なんだと? なんでそんなこと言うんだよ?」

「そんな夢なんざ、叶いっこねえよ。 叶える前に、そんな所行って死んじまうのが目に見えてらぁ」

 

クリスは怪訝な表情でそう語り、コウマはクリスを睨みつける。

 

「人の夢をバカにするんじゃねえ!!」

「お前こそ!! 叶いもしないバカな夢なんざ語ってんじゃねえよ!!」

「確かに夢ってのは叶わないこともあるさ、だけど……、それでもお前が人の夢をバカにして良い権利なんかねえ!!」

「はん、あたしにその権利があるとしてもか!!?」

「っ!」

 

それを聞いてコウマは一瞬固まった、夢をバカにして良い権利がある……? 

 

そんな訳が無いとコウマは思った、夢をバカにして良い権利など、どこの誰にもありはしないと、だが、クリスにはその権利があると言った、一体どういうことなのか……。

 

「一体、どういう、ことだよ? 夢をバカにしても良い権利なんて……?」

「はん、だったら教えてやるよ。 あたしの両親は……、あたしの両親は夢のせいで、死んだんだ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、未来は一向に響と口を聞かず、目すらも合わせてくれなかった、そして未来は昼休み、逃げだすように屋上へと行き、響は急いで未来の後を追いかけ、響は屋上に立つ未来に「ごめんなさい」と謝った。

 

「どうして響が謝ったりするの?」

「未来は、私に対して隠しごとしないって言ってくれたのに、私はずっと未来に隠しごとをしてた!!」

 

だが未来は響の言葉を拒むように「言わないで!!」と言い、響へと振り返り、響の傍に寄る。

 

「これ以上、私は……響の友達でいられない、ごめん……!」

 

すると彼女の瞳から一粒の涙が流れ、その場から走り去った。

 

「どうして……こんな、嫌だ。 嫌だよぉ……」

 

拳を握りしめ、響の今のその表情は悲しみに満ちていた。

 

『なぜ、未来が君の友達でいられないと言ったのか、それが分かるか響?』

「……タロウ、さん」

 

響は涙を拭い、何時の間にか自分の後ろに浮かんでいたタロウに目を向ける。

 

『私にはどうも、彼女の本当の心の闇は別の所にあるのではないかと思っている』

「それって、どういうことですか?」

『彼女は君に嘘をつかれたということが、本当の心の闇ではないと思っているんだ。 二課の人達が言っていたな? 周りの人を傷つけるかもしれないからシンフォギアのことは周りの人には伏せておくべきだと』

 

つまり、タロウはなにが言いたいのか……それは、未来がきっと自分が響の傍にいればきっと邪魔になるから、だから響から離れなければならない、離れないといけない、未来はきっとそんな風に考えているのだろうとタロウは推測した。

 

『確かにホーになった直後は嘘をつかれたことがショックだったのだろう。 だが彼女は気づいたのだ。 自分が響、君の傍にいればきっと君の邪魔になってしまうと』

 

緒川から事情を聞かされた時、彼女の心情は変化したのかもしれない、「自分は響の傍にいてはいけない」と……、バックルビームの効力もあるだろうが、それ以上に響に対する「迷惑をかけたくない」という想いが、「嘘をつかれたショック」を上回り、今の落ちついた状態になったのだろうとタロウは響に語った。

 

「そんな、迷惑なんて、何時も私がかけてるのに……」

『……少し、似ているな。 あの時の出来事と……』

「……えっ?」

『私の教え子、『ウルトラマンメビウス』も、命令で一時地球の任務から外そうとしたことがあった』

 

その時のメビウスではこれから来る邪悪な存在を相手に地球を守り切ることが出来ないかもしれない、だから一度光の国へと戻ってさらなる力を身につけるよう彼はメビウスに指示した。

 

そしてメビウスが地球不在の間、タロウが代わりに地球に滞在することとなった。

 

しかし、メビウスの帰還命令を出した日に、「インぺライザー」という倒しても倒しても何度も再生するロボットが現れ、メビウスとその仲間である「GUYS」と共に立ち向かった。

 

だが、インぺライザーの再生能力に苦戦を強いられ、メビウスは敗北してしまい、そこからタロウがインぺライザーと戦うこととなってインぺライザーを一度は退けることに成功した。

 

その後、再び再生したインぺライザーと重傷で動けないメビウスに代わり、タロウとGUYSの共同作戦が開始された。

 

だがやはりそれでもインぺライザーを倒し切ることが出来ず、タロウは苦戦を強いられたが……、そこに重傷でボロボロのメビウスが助太刀に現れたのだ。

 

メビウスとタロウは共にインぺライザーと戦ったが、それでも勝てず、インぺライザーの攻撃がGUYSメンバーに当たりそうになった時、メビウスは身を呈して彼等を庇い、そして遂に倒れてしまった。

 

それでも、彼は立ち上がった、自分の勝利を信じてくれる仲間達の声があったから、仲間達がいてくれたから、メビウスは立ち上がり、そして新たな姿「バーニングブレイブ」へと覚醒したのだ。

 

バーニングブレイブとなったメビウスはインぺライザーを完全に倒し、そして仲間達はきっと地球は自分達とメビウスが守り抜く、メビウスは仲間だと言ってタロウにメビウスを光の国に返さないでくれと頼んだ。

 

そしてタロウは彼等の言葉を信じ、地球をメビウスとGUYSに託したのだった。

 

『当初メビウスは正体を伏せていた。 だがメビウスはその時、仲間達に自分の正体を明かした。 それでも、彼等は仲間で、友でもあるメビウスを信じたのだ。 君達が本当に信じ合える友ならばきっと分かり合える。 想いを、気持ちを、全力を、彼女へと伝えろ、響!!』

「……ッ、有難う、ございますタロウさん。 参考になりました!! 私、伝えて来ます、未来に……、想いを、気持ちを、全力を!!」

 

そう言って響は駆けだし、未来を追い掛けるのだった。

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