簡単に『調教』などと言わないことだ。
一通り、皆が戦闘訓練が終わったが、俺はまだ一戦も行っていない。
「さて、まだ出来てないのは……藤丸少年だな!
彼と戦いたいチームはいないかい!?……いいよね?」
オールマイトは俺に確認を取ってくる。
当然、それは駄目だ。というより、アイツのおかげでそんな気が失せた。
「いえ。オールマイト。俺が指定した相手と戦わせてください。」
「そ、そうかい?じゃあ、指名してくれ!」
俺は、二人を指差した。
「爆豪、そして、轟君。この二人だ。」
この二人を選んだ理由は、まず爆豪は言うまでもない。
轟君に関しては、『彼の本気を見てみたかった』からだ。
轟君は、豪快に氷の力を使っていた。加えて、自分の半身を氷で覆っていた。
あんな行動は、言うなれば魔力を最大出力でブッパするのと同じだ。
それに、身体の半分を氷で覆うなんて中途半端さ。
どうせなら、全身を覆うか半身に氷をまとわず、技を最大出力でブッパする事に
注力した方が良いに決まっている。でも彼はそうしていない。
皆はあの氷に目がいっていたため、気付いていないのだろうが、
彼は隠し玉を持っている。それもかなり度肝を抜かれるものだ。
ああいうタイプの奴に手の内を明かすには、
どうしようもない奴を相手にした時だ。
ここは買物王を簡易召喚すれば……
「? あれ?」
何故か、買物王を召喚できなかった。
代わりに、俺の頭にとてつもない重圧がかかった声が響いた。
『俺を喚べッッッッ!!!!』
「!!?」
今までにない奇妙な経験に思わず顔を顰めた。
思わず、その声の正体を召喚しようとしていた。
その瞬間、俺の視界は一瞬だけ真っ暗になった。
しかし、その後すぐに視界は広がり、召喚陣から岩が現れた。
そして、
「噴ッッッッ!!!!」
その岩から人間が現れた。
その時、俺の目の前に赤い文字が浮かび上がった。
人類悪・顕現
「ふぅ~。やっと出てこれたぜ。」
その姿は、見る者全てを委縮させてしまわんほどの巨躯、否『巨凶』だった。
そのライオンの鬣のような赤い怒髪。
その圧倒的なオーラは地上に存在してはいけない生き物だと思わせた。
「
知っている…!!俺はこの男を知っているッッッッ!!!!
だが、ここまでの
漫画やアニメでしか知らない彼の実力。
『地上最強』の称号を我が物とし、強者を喰らうさながら『獣』のような男。
「とりあえず、紹介しておこう。範馬勇次郎。クラスは
ヒーロー:爆豪・轟チーム
「あ、あの範馬さん?」
「『勇次郎』……で良い。貴様と俺は主従の関係なのだ。
「あ、じゃ、じゃあ勇次郎。どっちを狙うの?」
「あの世の中を嘗めた小僧だ。」
「? え、えっと?」
「貴様が毛嫌いしている方だ。それで分かるだろう?」
どうやら、勇次郎は爆豪を標的にしているようだ。
正直、この時だけは爆豪に同情を感じた。
「い、一応言っとくけど爆豪は『爆発』を使って攻撃するからね?」
「『爆発』?ふん。火薬を使うという訳か。」
「いや、火薬を使うというか全身火薬というか…………。」
そう説明していると訓練開始のブザーが鳴った。
そして、勇次郎はいつの間にか姿を消していた。
「あれ!?勇次郎!!?」
一方、爆豪達は……。
「チッ!おい半分野郎!!テメェはここで待っとけ!!
あの野郎は俺がぶっ潰す!!速攻だ!速攻で潰してやる!!」
「! よせ!爆豪!!藤丸って奴はともかく、アイツが出した
あの大男はどうする!!俺たち二人で倒さなければ勝ち目は」
「俺に指図すんじゃねぇ!!!……どいつもこいつも!!!」
その瞬間、床から丸太のように太い腕が現れ、爆豪を階下に引きずりおろした。
「なっ!!!?」
「!! 爆豪!!!」
轟が爆豪を助けようと飛び出そうとしたが、
「ちょっ!勇次郎!!どこ!?ここか!!…………あ。」
最悪なタイミングで藤丸が現れた。
「ッ!こんな時に!!」
さて、ここからは爆豪と範馬勇次郎の戦いだが、まぁ皆さんお察しの通りになるだろう。
「グッ!!クソが!!」
「ほう。咄嗟に受け身を取ったか。まぁ、このくらいはしてもらわなくてはなぁ?」
爆豪は間合いを取る。
その様を勇次郎は、涼しげな顔で見届ける。
「藤丸から聞いたぜ?貴様、火薬を使うのだろう?」
「………はぁ?」
「好きなだけ使うと良い。ただ、それで俺を倒せるかどうかだがな?」
爆豪の顔に何本もの血管が浮き上がった。
自分の個性をただの『火薬』程度の物だと思われたこと、
彼の発言から読み取れる「自分では倒すなど不可能に等しい』ということ、
彼の自尊心、プライドを傷つけ怒りを買うには十分過ぎた。
「ぶっ殺すッッッッ!!!!」
彼の拳が勇次郎を狙う。
そして、爆破を纏いながら、勇次郎に拳がぶち当たった。
爆豪はニヤついた。完全に入ったと。
油断と慢心に満ちたコイツの顔は焼け焦げているだろうと。
だが、彼程度の爆発で倒れるほど、地上最強はやわじゃない。
「なんだ。『爆破』といっても、所詮はクラッカー程度か?」
「なっ!!?」
驚愕!そして困惑!!
彼の一撃は確実に顔面を捉えた。
しかも、彼は目を瞑りもしなかった。
それなのに、顔は無傷!!変わらない余裕の笑み!!
「それに、貴様の拳は子供の喧嘩に使うそれだ。
いいか?戦いにおける拳は、このように振るう!!!!」
爆豪の鳩尾に、拳がめり込む。
それは、今まで経験したことのない激痛。
苦痛のあまり、意識が飛びかけ、殴られた衝撃は彼を壁までぶっ飛ばした。
「ゴッ!!ゴホッ!!オェ!!!」
壁に叩きつけられ、爆豪は床に膝をついた。
そして、鳩尾に叩き込まれた衝撃の余波で、彼は吐しゃ物をだした。
「オイオイ?どうした?俺達を殺すんじゃなかったのか?
まさか、これで終わりか?俺は少し遊んでやっただけだぜ?」
そう、勇次郎は本気を出していない。
前提として『殺すような事をしてはだめ』と藤丸に釘を刺されたからだ。
だが、彼の手加減でも相手を死に送るのは十分すぎるのだ。
「ハァ。わざわざ出張ってみたが、大損だ。
お前ほど狂気に満ち、外道な奴なら少しは楽しめると思ったが。」
「!? 待…て……!コラァ!!」
「?」
「俺が、『狂気』と『外道』だと!!?」
「そうだ。貴様は己の自尊心とプライドを優先し、
他者を蔑ろにし、平気で傷つける。外道だ。
そして、貴様はそれに気づいていない。
これを『外道』と『狂気』と言わずして何と表現する?」
範馬勇次郎。彼の霊基は
その実、力無き者の希望となる偉人を尊敬していたり、
高級店でのマナーなども熟知していたりという一面もある。
武だけではない、学も備えているからこそ彼を『地上最強』たらしめているのだ。
「……うるせぇ」
「貴様が痛めつけた小僧の話、藤丸から聞いたぞ。
お前は必要以上にその小僧を痛めつけていたらしいな?」
「うるせぇ」
「貴様の自尊心・プライドのデカさを否定する気はない。
だが、それを理由に他者を傷つけるのは三流のすることよ。」
「うるせぇ!」
「藤丸に代わって、俺が貴様に言ってやろう。
『貴様は駄目だ。ヒーローにはなれん』。」
「ッッッ!!!うるせぇ!!!!」
この時点で、彼の自尊心、プライド、何より尊厳は崩壊していた。
ヒーローでもない強者に蹂躙された挙句、
『ヒーローになれない』と言われ、彼はただ殴りかかるしかなかった。
そして、
「痴れ者がッッッ!!!!」
その怒号と、自分に向けて彼の拳が顔面に襲ってくる映像を最後に、
爆豪の意識はシャットアウトした。
爆豪には同情するぜ。
だが、憐みも哀れみもしない!!
ヒロアカ世界のヒロイン決めます!
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麗日お茶子
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芦戸三奈
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蛙吹梅雨
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耳郎響香
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葉隠透
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八百万百
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トガヒミコ
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拳道一佳
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