俺の転生特典『英霊召喚』がちょっとおかしい   作:ガンロウ

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誰もが『矜持』を持っている。
だが、それを捨てることで強さを得られることもある。


矜持

階下では、勇次郎と爆豪が戦っている音が聞こえる。

いや、『爆豪が勇次郎に遊ばれている』と言った方が正しいだろう。

対して、俺は轟君と対峙しているわけだが……。

 

「…………。」(半身を氷で纏って臨戦態勢)

「…………………。」(丸腰で立ち尽くす)

 

 

うん!普通に勝てねぇわ!!

っつーか召喚無しだと無個性そのものなんだが俺!?

まさか勇次郎があそこまで単独行動に出るとは思わなかった!!

てっきり勇次郎と協力しつつ二人を倒す予定だったのに!!

 

「……………どうした?個性は使わないのか?」

「…………え?」

 

コイツ、今、何て言った?『個性は使わないのか』だとぅ!?

使ってるわ!!勇次郎を召喚してる時点で使ってるわ!!

 

「い、いや。流石に不公平(アンフェア)じゃない?人数差的にさ。」

「お前は(ヴィラン)役だろ?なら、出し惜しみする必要ねぇよ。」

 

お、お、お前が言えた口かぁ!!!

お前もなんか隠し玉持ってる癖に、出し惜しみしてんじゃねぇよ!!!

でも、実際全力出さずにいてくれた方が勝率が高い!

いや、でも、勝ちに拘り過ぎなのはなんかダサい!!

どうする…!?

 

「………。」(頭の中で葛藤中の藤丸)

「どうした?なんで黙ってる?」

「……………。」(まだ頭の中で葛藤中)

「……。」(藤丸の様子を注意深く観察し始める轟)

 

 

 

一方、監視室では……

 

全員藤丸VS轟ではなく、爆豪VS勇次郎に注目が集まっていた。

 

「おいおい……。あのおっさん強すぎだろ!?」

「爆発、直撃したよね?なんであんな平気そうなの!?」

「っつか爆豪瞬殺じゃねぇか!ヤバすぎんだろ!!」

 

生徒は勇次郎の次元違い級の強さに圧倒されていた。

ただ……

 

「…………………。」

 

『平和の象徴』オールマイトは神妙な面持ちだった。

 

(あの男……、かなり手加減をしているつもりではあるが、明らかに

 高校生が相手にしていい相手ではない!それに奴の気配に似ている……。

 藤丸少年……、君はヒーローにも(ヴィラン)にもなれてしまうというわけか……。)

 

 

すると、勇次郎は顔面をぶん殴られて気絶した

爆豪の首根っこを掴み、建物の外へ飛び出した。

 

「お、おい。あのおっさん何する気だ?」

「まさか、外で戦わせたりして……?」

「い、いやいやもう気絶してる相手だぜ?流石にそんな事……」

 

 

全員が勇次郎の行動を見届けていた。

勇次郎は、建物からかなり離れた場所に爆豪をそっと寝かせた。

そして、テープで彼を巻くわけでもなく、その場を後にした。

 

「お、おいおい。テープは?」

「なんで巻かずに置いて行っちゃうの?」

「ルール分かってねぇんじゃねぇのか?」

 

(いや、あの男、勇次郎は、あえてテープを巻かなかったんだ!!

 あの様子では爆豪少年は授業が終わるまで目を覚まさない!

 仮に再び起き上がろうとも爆豪少年など敵ではないということ!

 二重の意味がある!まさに、強者の所業と言う奴だ……!!)

 

 

 

勇次郎は、爆豪を置いてそのまま志郎の元へ向かおうとしていた。

 

(あの小僧、ヒーローにはなれんが、それ以外にならなれる。

 もし、この世界にも地下闘技場のようなものがあれば、チャンピオンになれるだろう。

 だが、所詮そこまで。人前に出てのうのうと輝ける器では無い。

 精々裏の世界の頂点を獲れるかどうかと言ったところだな。

 下手をすれば……まぁそれはそれで面白いことにはなるだろうな。見届けさせてもらうか。)

 

そんなことを考えながら、一回の跳躍で志郎と轟のいる階へ、窓から侵入した。

 

 

一方、志郎と轟はまだ膠着状態が続いていた。

一方は、何か裏があるのではと警戒しているヒーロー役。

もう一方は、矜持(プライド)を優先すべきか勝利を優先すべきか悩む(ヴィラン)役。

 

お互いに、お互いの考えている事が分からないため、変な空気になってしまっている。

 

そんな状況下、一気に風向きが変わった。

 

 

「よっ…と。ん?どうした藤丸。何を突っ立っている?」

「! お前は!」

「ゆ、勇次郎!!」

 

勇次郎がやってきた。

この時志郎は思った。あぁやっと戻ってきたか!と。

轟は焦った。ここに勇次郎()が来たという事は、爆豪は負けたのだ、と。

 

しかし、さらに場の空気は変わる。

 

「……志郎。俺は貴様に一切手は貸さん。

 お前の持つ個性でもなんでも使って、奴に勝利して見せろ。」

 

二人は驚愕した。

明らかにこの場で一番強いはずの彼が静観を決め込むというのだ。

 

「え!?ちょ、勇次郎!?」

「俺は、『あの小僧の相手をする』といったはずだ。

 それ以外は、どうでも良い。お前が片を付けるんだな。」

「いや、でも」

 

 

くどいッッッッ!!!!

 

 

その一喝で、建物全体が揺れた気がした。

 

「藤丸よ。これは1対1の真剣勝負ではない。

 模擬戦とはいえ、『戦い』だ。

 勝つためならば手段を選ぶな。超えるべきものがあるなら、

 今の自分が持ちうる全てを使え。そうでなければ、永遠に弱者のまま。

 1対1の状況のみで競うなッッッ!!!『持ち味』を活かせッッッ!!!!」

 

 

この時、志郎は自分が悩んでいたことを恥じ、後悔した。

そう。相手が隠し玉を持っているから手を明かしてやろうというのに、

『自分が手を明かさない戦い方をする』時点で、そんなことは不可能だ。

それに、自分は周りに知らしめなければならないのだ。

『自分はヒーローになれる』という事を。生半可な気持ちでいた自分が憎いとさえ感じた。

 

そして……

 

 

「…………轟君。」

「! なんだ。」

「俺は今から、全力で君を叩き潰す。だから、

 

 

 

 君の持っている全ての力を使って、俺を潰しにかかってくれ。」

 

 

「……………分かった。」

 

その時、轟の半身に纏っていた氷は無くなった。

藤丸の覚悟を受け止めたのか。

あるいは、勇次郎の言葉が彼に『何か』を変えさせたのか。

ともかく、二人の少年は覚悟が決まったようだ。

 

「…………いくぞ!!轟ィィィィ!!!」

「藤丸ゥゥゥ!!!!」

 

 

二人の少年の『全力の戦い』の火蓋が切った。

 

 




本当に獣/人類悪(ビースト)か?この男。

そんなツッコミが聞こえてきそうだが、そこは『勇次郎だから』で納得してくれ。

ヒロアカ世界のヒロイン決めます!

  • 麗日お茶子
  • 芦戸三奈
  • 蛙吹梅雨
  • 耳郎響香
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