―神や悪魔など超越的な存在の怒りにも似た、見下しながら怒る―
一人は、肉体そのものが暴力で形作られたような筋骨隆々の男。
獣のような眼光で志郎を見下ろしている。
一人は、鋭利な眼差しと硬質な沈黙を纏った青年。
鋼鉄の意志とともに立つその姿は、戦場そのもののようだった。
ふたりの獣は、志郎の前に立ちはだかる。
「お前が俺たちを呼び出した」
エレンが呟くように言った。
勇次郎が笑った。
「全力で来ると良い。お前の持ちうる……全てで!」
俺は、そんな奴らの手綱を握る。
この不思議な場所では、英霊は喚べない。
それでも、いつまでも弱いままではいられない。
俺は、乗り越える。
いや、乗り越えてみせる!!絶対に!!
人類悪 傲怒
「ッ!!ウオオオ!!!」
俺は勇次郎に殴りかかる。
しかし、その拳は空を切った。
俺の拳は完全にすり抜けたのだ。
「フッ。力任せな小僧だ。そんなザマで、よく『手綱を握る』とほざけたものだ。」
「クッ!!」
俺は勇次郎から距離を取る。しかし、いつの間にか後ろにエレンがいた。
エレンは口を開く。
「お前は何のためにこの力を使っている?」
俺はその問いに答える。
「そんなの、決まってる!
誰かを守るヒーローになるためだ!!」
勇次郎は高笑いし始めた。
「エフッ エフッ エフッ ハハハハハ!!!!」
何が可笑しかったのか、俺には分からなかった。
そう思った時、勇次郎がその疑問に答えるように言った。
「誰かを守るヒーローになるため?違う。
お前は、壊したいんだ。ヒーロー社会も、限界も、ルールも!」
エレンは光の無い冷酷な目で告げる。
「お前は、自分のために怒ってる。誰かのためなんて綺麗事は、全部後付けだ。
お前はヒーローになりたいんじゃない。ヒーローより強い高次元の存在になりたいだけだ。」
「違う、俺は……そんなつもりじゃ……!」
俺は否定した。だが、何故かハッキリと否定できなかった。
自分が
そんな言葉を投げかけられながら、勇次郎やエレンから攻撃される。
身も心も疲弊し、立ち上がるのも苦しくなっていく。
アベさんの言った通り、奴らは俺の中に巣食う、欲望と罪だ。
「グアッ!!アァ!!アアアアアアアアア!!!!!」
戦い始めて…………どれぐらい経っただろう…………。
何分?何時間?何日?何年??
もう、時間の感覚も分からなくなってるや……。
視界もぼやけてる。
「…………。」
だが、何かおかしかった。影が
頑張って、目を凝らしてみた。アレは…………
「…………。」
俺だ。それも
「俺は、力が欲しかった。正義の味方になるために。
でも……その裏に、“あの時、守れなかったことへの怒り”がある。」
──そうだ。俺は、無力だった。
だが、異世界転生という普通じゃない方法で力を得た。
でもその力は、やがて制御を失い、
「そうだ……。俺は……負けない。負けるわけにはいかない!!」
「!!」
一瞬、勇次郎とエレンの身体が霧のように崩れたように見えた。
「俺は『怒っていい』。
俺は『わがままでいい』。
だけど、それを力に変える責任も負う。
『傲慢』も『憤怒』も、俺の一部だ!
自分の心を、心の中にある獣性も!!
俺の今生で得た
丸ごと全部、使いこなしてやる!!!!」
勇次郎が言う。
「開き直りか?それとも馬鹿か?」
エレンが言う。
「それは驕りか?それは俺達に勝てないことへの怒りか?」
「俺は、お前らに勝つんじゃない!!
俺は、お前らを制御できるように克つために戦ってんだ!!」
そう言ったとき、その時
だが、俺の右手が光り、熱を感じた。
見ると、そこには赤い痣のようなものが一つできていた。
その瞬間、二人の影は消え、二つの光の玉が現れた。
その玉は、俺の右手の痣に入るように消えていき、
やがて、俺の右手の痣が、炎のように真っ赤になった。
「罪を知り、それでも進むと決めたか。
ならば、お前は獣の手綱を握る資格がある。」
声がした方を向くと、そこにはアベさんがいた。
「アベさん!俺……」
「皆まで言うな。全て見ていた。」
それでも俺には、彼に言いたいことがあった。
「ありがとう!!アベさんが教えてくれたおかげだ!!」
「…………フッ。」
少し満足そうに笑い、彼は背を向ける。
「覚えておけ。『共犯者』よ。
罪を『克服』するとは、
それを忘れることではない。受け入れ、抱え、進み続けることだ。」
彼は、闇に向かって歩き出す。
すると、一度彼は立ち止まり、俺の方を向き、叫ぶ。
「我こそは
恩讐の果てを超え、お前はお前の明日を征け!!」
その言葉は、俺の心に強く印象づけ、俺は力強く頷く。
段々と意識が遠のいていく。恐らくここは夢で、USJで目覚めるのだろう。
彼には、聞きたいことが山ほどあった。
ただ、俺は一つだけ問う。
「また、会えますか?」
彼は俺に背を向け、去りながら答える。
「――待て、しかして希望せよ。」
自分で書いたくせに、今後の展開にクッソ悩んでしまい、休載してました。
その間に、奏章4、冠位戴冠戦とかメチャメチャ色んなモンが増えてた……。
まぁ、ここを突破できたから多分何とか出来ると思う。