やはり、マシュと『藤丸』はセットじゃなきゃなって……
午前の授業が終わり、俺、緑谷君、麗日さん、飯田君、そしてマシュさんは、
マシュさんに学内の案内込みで、学食を食べるため食堂に来た。
そして麗日さんのヒーローを目指す理由も食堂で聞くことになった。
「ここが食堂です。……マシュさん?」
「……あっ!すいません!実は、似たようなところで
食事をとっていたので……。食堂って、やっぱり広いんですね。」
「あぁ!それに、どのメニューも最高品質だ!
加えてこの値段なのだから、文句の付け所も無いというものだ!」
「そういえば、料理と言えば、あのファミレスもえぇとこやったよね!」
麗日さんの言う『ファミレス』とは、『Avalon』のことだろう。
当然、それを知らないマシュさんは、小首をかしげる。
「ファミレス……ですか?」
「あぁ…。学校終わったら案内するよ。
……そういえば、マシュさんお金はある?」
俺が尋ねると、マシュさんはポケットから財布を取り出した。
「はい!いくら必要になるか分からなかったので、
えっと……およそ10万円ほど持ってきました!」
「え!?」
「!?」
「ホァ!!?」
「!?」
マシュさん以外の全員が驚く。
高校生が手持ちに入れる金額は一般的には、1~2万円ほどだ。
その倍以上の金額を平気で持ち歩けるとは……。
「あ、あの……?皆さん?」
「け、結構お金持ってきたんだね?」
当たり障りないような言葉で、緑谷君が問いかける。
「はい。『折角だから!』とスタッ……両親から沢山お小遣いを頂きまして……!」
「そ、それはまた、娘想いの素敵なご両親だな!」
「あー……まぁ、とりあえず席の確保しようか?」
俺達が席の確保をしようとすると……。
「あぁ~ら、藤丸さん!奇遇ですわね?」
なんと、近くの席にはコヤンスカヤさんが座っていたのだ。
「あ、コヤンスカヤさん。こんにちは。」
「はい、こんにちは♡もしや、席の確保ですか?」
「まぁ…はい。そうですね。」
「でしたら、そちらが空いてますわよ。」
コヤンスカヤさんが指差した場所は、コヤンスカヤさんの目の前の席。つまり、相席だ。
「え、ここですか?」
「私は構いませんよ?お連れの方々がどうかは分かりませんが…。」
俺は、皆の方を見る。全員、別に嫌そうではなさそうだ。
「じ、じゃあお言葉に甘えて…。」
「はい♡どうぞ、いらっしゃいまs」
コヤンスカヤさんが促そうとすると、
「失礼。よろしいかな?」
渋い男の声。声がした方を向くと…
「久しぶりだね。志郎君。席、ご一緒しても良いかな?」
辛そうな匂いを放つ麻婆豆腐のトレイを持つ言峰おじさんがいた。
「なっ!!?」
「!?」
コヤンスカヤさんとマシュさんが驚きの表情と声を出した。
知り合いなのだろうか?まぁ……それならいいか?
「あぁ、言峰おじさん。いいっすよ。
あ、皆も良いかな?それと、コヤンスカヤさんも…。」
コヤンスカヤさんの顔が、一瞬だけ歪んでいたように見えたが、
パッと明るい顔に変わった。
「え、えぇ!良いですよ!
お食事は沢山の方と囲んだ方が楽しいですものね!」
言峰おじさんが、微笑むとその後ろに知らない人がいた。
オレンジの髪で、何故か上裸、服装は和服っぽい感じの好青年だ。
「え!?」
「ハァ!!?」
また、マシュさんとコヤンスカヤさんが驚きの表情と顔をする。
あの人とも知り合いなのだろう。でも、俺が知らない人だ。
「ん?あぁ、失礼。後ろの彼は、
最近サポート科に赴任した技術顧問とのことらしい。
彼も同席することになってしまうが、構わないかな?」
「おいおい。同席させろとは言ったが、
ここまで大所帯になるたぁ……………。」
オレンジ髪の青年は、コヤンスカヤさんとマシュさん、そして俺を見ると、
それ以上何か言うのを止めてしまった。
「あー…。すまねぇ。自己紹介はしとくぜ。
千字村正。ここで働く前は……鍛冶屋をやってた身だ。」
村正……。なんか妖刀みたいな名前の人だな……。
「えっと……、どうする?みんな?」
「私はどちらでも構いません!皆さんにお任せします!」
マシュさんは、気にしてはいないそうだ。
「ぼ……俺も別に構わない!……構わないが。」
「僕も同じ。何人いても大丈夫!
けど…麗日さんは、話しづらくない?」
それは、俺も思った。コヤンスカヤさんまでならともかく、
言峰おじさんに、完全に赤の他人の村正さんまでいたら、
麗日さんも話しづらくてたまったもんじゃないだろう。
「…ううん!ウチは平気!それにコヤンスカヤさんも言うてたやん!
ご飯食べるんは、やっぱりたくさんの人と食べるんがえぇって!!」
……凄いな。麗日さん。俺がこんな状況だったら、確実に拒んでた。
それなのに、麗日さんは大丈夫だって言いきってみせた。
俺が麗日さんに感心していると、
「失礼。こちらのハンカチ、落としていましたよ?」
「え?」
振り向くと、かなり大柄な白髪の外国人さんが、俺にハンカチを差し出していた。
だが、差し出されたハンカチを見ると、それは間違いなく俺の物だった。
「あ、ホントだ!ありがとうございます!」
「いえいえ。お気になさらず。
……そうだ。少しお尋ねしたいのですが。」
外国人さんは、俺にハンカチを手渡すと、尋ね事をしてきた。
「? はい、何でしょう?」
「この辺りで、まだ席が空いている場所はあるでしょうか?
まさか、ここまで混んでしまうとは思わなくて…………。」
どうやら、座れる席が見つからなくて困っている様だ。
俺が振り向くと、コヤンスカヤさんと村正さんは渋い顔をしていたが、
全員「問題ない」というような顔で、こちらを見ていた。
「あの、良かったら俺達と相席なんてどうですか?」
「! 宜しいのでしょうか?」
「はい!大丈夫です!」
俺がそう言うと、とても安心したような顔を見せた。
「ありがとうございます!あ、申し遅れました。
私、アレッサ・ドーロと申します。貴方のお名前を聞かせて頂いても?」
「藤丸志郎です。よろしくお願いします!アレッサさん!」
予定より凄い大所帯になってしまったが、
楽しい昼ご飯を過ごすことになりそうだな……!
タイトルは、ジェームズ・ティソの『主と使徒の食事』のパロディです。
(マ)シュと知り合い(使徒)との食事ってことですね!
続きはどっちが見たい!?
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微小特異点
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ヒロアカ原作本編