「な・・・何!?」
ホウエンにやって来たミツミ達
オダマキ研究所に向かう途中に聞こえてきた悲鳴
ポォン
『行くぞミツミ!』
ボールから飛び出したカインはそういうと、一目散に声のもとへ走って行った
「待ってよ~」
カインに釣られる形で急ぐミツミ
はたしてその声の正体とは・・・
第5話「新たな仲間」
~101番道路~
「おお、いいところに来てくれた!」
『な~にやってんだか このおっさん』
「大丈夫ですか~」
ミツミ達が向かった先にはポチエナとそれに追われていた一人の男がいた
「そこのバックにボールが入っているんだ 早く助けてくれ~」
「お兄ちゃん、任せたよ」
『おう』
ミツミの言葉に反応したカインはポチエナを両腕で抱え込む
野生のポケモン達と無闇に戦うつもりはない
しかし、ポチエナはそんな事はお構いなしにカインの腕の中で暴れる
『ちょ、コラ暴れんな』
『離せ!あのおっさんにこれ以上俺らのテリトリーに来られてたまるか!』
『何があったんだよ』
『そいつが俺らのテリトリーに入ってくんだよ!しかも何回も!もう我慢の限界だ!』
ガブッ
『いてっ』
そういうと、ポチエナはカインの腕に噛み付いた
かすかな痛みに怯んだ隙に、再び男に向かって走り出した
「たっ助けてくれー」
「あちゃー」
『どうする、ミツミ』
「ぎりぎりで攻撃を止めて脅かそう 悪いのはあの人なんだし」
『そうだな』
ミツミとの話をしながら、カインは右手に力をためていた
その力が緑色の輝きを放つ球体となり、それをポチエナにめがけて・・・放つ
カインの“エナジーボール”!
カインの攻撃はポチエナの足元にぶつかり、その衝撃で体が吹き飛ぶ
ドカッ
『げふっ』
『あ、やべっ』
ポチエナはそのまま、近くの木にぶつかってしまった
『ぐ・・・がっ』
ポチエナは体をピクピクと痙攣し、動けないようだ
『す・・・すまん』
『俺の負けだよ・・・好きにしろよ』
「じゃあ、はい 食べて」
ミツミはバックから“オボンのみ”を取り出し、それをポチエナの口元に運ぶ
『何のまねだよ』
「あの人には伝えておくから、もうこれで許してあげて・・・ね?」
『・・・』
ポチエナはようやく動くようになった体を起こすと、ミツミの出した“オボンのみ”を加えて森の奥へと言ってしまった
「いやー危ないところを助けてくれてありがとう!」
「なんであのポチエナのテリトリーに入ったんですか?」
「もしかして、君がミツミちゃんかい?」
「そうですけど」
「こんな所で話すのもあれだし、ぜひ私の研究室にきなよ」
「はぁ」
~オダマキ研究所~
「いや~さっきは危ない所をありがとう!」
「いえ・・・それはいいんですけど、あのポチエナは」
「あぁ、僕があのポチエナ達の群れを調べていたら急に襲われたんだ」
「やっぱり」
ミツミは確信をもった
やはりポチエナの言った通り、目の前にいるこの男がポチエナ達のテリトリーに侵入し、そのために襲われていたのだ
「あのポチエナすっごく怒ってましたよ もう、そんな事はやめて下さいよ」
「そういうワケにもいかん 僕はポケモンの生態を中心に研究していてね、そのためにもフィール
ドワークが重要なんだよ」
「次、襲われても知りませんよ」
「うん、次は気づかれないようにやるよ 今日は本当にありがとう!」
「わかってない・・・」
ミツミはお願いするのを諦めた
たとえ、自分の正体を明かして先ほどのポチエナの話を聞かせたとしてもこの人は再び、ポケモンの生態を調査しに行くだろう
少なくとも、ミツミの目にはそう映った
「それで、君は“ジラーチ”に会う為にホウエンへやってきたんだよね」
「は、はい」
ミツミの目的は幻のポケモン“ジラーチ”に会い、元の姿に戻ることだ
ミツミは、人間ではない
もとはジュプトルなのだが、カロスにいた頃に幻のポケモン“セレビィ”に出会い、人間の姿になったのだ
しかし、セレビィはミツミを元に戻すことを忘れてどこかへ行ってしまった
ミツミを元に戻す手段がなくなってしまった今、同じく幻と呼ばれるポケモンの力を借りるしか方法がないため、この“ホウエン地方”にやってきたのだ
「うーん、ちょっと来るのが早かったかな」
「早い・・・ですか?」
「“ジラーチ”が現れるのは、今から大体二か月後に発生する、“シシコ座流星群”の時に目覚めると
言われているんだ」
「二か月後・・・」
「うん どうだろう、その間このホウエンを旅してみては」
「そうですね・・・行くところもないし・・・」
ミツミはオダマキに対してこう答えているが、実は最初からこちらが主な目的なのだ
樹海という、人間とは完全に離れた暮らしをしてきたミツミは、トレーナーとポケモンの関係を不思議に思い、また、それを間近で見たいという考えから旅を続けることにしたのだ
「この地方のポケモンリーグに挑戦したいんですけど、一番近くのジムはどこですか?」
「お!早速挑戦しに行くつもりかい?」
「はい!」
トレーナーとポケモンの姿を見るためには、その地方のポケモンリーグに挑戦するのが一番だろう――それがミツミの考えだった
ポケモンと会話ができるかのように心を通じ合わせている人がジムリーダーになっているとミツミは確信し、またそれに挑戦する人達を見ることで答えが出ると思っているのだ
「ここから一番近くのジムは、103番道路の先にある“トウカシティ”にある“トウカジム”だね
そこのジムリーダーは僕の友人でね、彼は強いよ」
ポォン
『望むところだぁ!』
「あぁ!また勝手に!」
「君は助けてくれたジュカインだね、さっきはありがとう」
『ミツミ!用事はすんだろ!早く行こうぜ!』
「すみません、ついカインも意気込んだみたいで・・・早く戻って」
『おい、ちょっと待てって』
さっさとボールにカインを戻すミツミ――もう何度目だろうか
「じゃあ早速、トウカシティへ行ってみます」
「あぁ、行っておいで このホウエンを楽しむと良いよ」
~トウカシティ~
ポケモンセンターで皆を回復させたミツミは、周囲をきょろきょろと見渡した
この町の目的地、トウカジムを探すためである
「どこにあるんだろう?」
ポォン
『ここからじゃ見えないけど、このポケモンセンターの裏の方向にあるよ』
出てきたのは、いつも出てくるカインではなかった
「知ってるの? ななみ」
『まぁ、この地方出身だしね』
「じゃあ、さっき会ったオダマキ博士も知ってるの?」
『うん・・・近所に住んでるポケモンを研究してるおじさんってぐらいだけどね』
「じゃあなんで出てこなかったの?お兄ちゃんは勝手に出てきたのに」
『会えるワケ・・・ないだろ こんな姿じゃ』
ななみの本来の姿は、人間で“樹海の呪い”によって今はミカルゲの姿になっている
こうなった原因は不明であり、元に戻る方法もわからないため、似た状態のミツミの下にいるのだ
『とにかく行くんだろ? おと・・・センリさんの所へ』
「うん、早速行こう!」
~トウカジム前~
「ここが・・・トウカジム」
ポォン
『よし、早速行こうぜ』
「うん」
もはや、カインが勝手に出てくるのには反応しなくなった
――まただ
心で突っ込んでいたとき、
ギギィ
トウカジムの扉が開いた
そこから出てきたのは、一人の少年だった
「こんにちは!君もジムに挑戦?」
「うん、君は?」
「僕は今終わったところさ 今回はダメだったけどね」
「なかなか 良い勝負だったよ」
いつの間にかジムから出ていた一人の男が、少年に声をかけてきた
「はっはい!」
「またいつでもチャレンジしにきなさい
成長した君とポケモン達に会える時を楽しみにしているからね」
「はい! ポケモン達と特訓して、また挑戦させてもらいます!
ありがとうございました!センリさん!」
「それで君は、新しい挑戦者かな?」
「はい! よろしくお願いします!」
「うん、じゃあジムの中でしばらく待っててくれるかな?ポケモン達を休ませてあげたいんだ」
「あ、はい わかりました」
「ん? あの子は・・・」
センリが見た先にいたのは、緑髪の気弱そうな少年だった
「あの・・・ぼく・・・ポケモンが、欲しいんですけど」
「君は・・・たしかミツルくんといったよね」
「あっ はっ はい!」
この少年はミツルというらしい、「ポケモンが欲しい」という事は、チャレンジャーというわけではなさそうだ
「ぼく、今日から“シダケタウン”の親戚のうちにいくんですけど、一人じゃさみしいからポケモン
を連れて行こうかと思って・・・
でも今まで自分でポケモンを捕まえた事がないから どうやったらいいのか・・・」
この子は、どうやらポケモンとこれから付き合っていくようだ
――そういえば私も
「ふむ・・・なるほど
ミツミちゃん、話は聞いていたよね」
「は・・・はい」
「ミツルくんが無事にポケモンを捕まえられるか見守ってほしいのだけど」
「実は・・・私もポケモンをゲットしたことなくて・・・」
これまでミツミが出会ってきたポケモンたちは、話している中で一緒に来てくれることになった者だけだった
「なんだって!? 君は今ジム戦しに来たじゃないか」
「この子たちは、私が小さい頃からずっと一緒で・・・旅に出るときについてきてくれたんです」
「・・・そういうことか」
「じゃあ、ミツミさんも一緒に・・・ゲットしてみますか?」
「・・・え?」
ミツルの提案は、ミツミもトレーナーとしてポケモンをゲットしてみようという事だった
「で、でも・・・」
ミツミは正直、乗り気ではなかった
自分が元の姿に戻ったとき、自分が捕まえてしまったポケモンはどうなってしまうのだろう、元の住処には帰れず、かといって自分が住んでいた樹海に連れていくのも気が引ける
「うん、それがいいだろう じゃあ二人でポケモンをゲットしに行ってみなさい」
「は・・・はい」
しかし、その場では断れなかった
そのことを説明することになれば、この2人に自分の正体を明かさなければならないからだ
「じゃあミツルくんには、私のポケモンを貸してあげよう!」
ミツルは、ジグザグマを預かった!
「わぁ・・・ポケモンだぁ・・・!」
「君は、ポケモンを持っているんだよね?」
「はい!みんな私に付いてきてくれた友達です!」
「フフ・・・」
「なんか変ですかね?」
「いや、大切な事だと思うよ
それじゃ、モンスターボールはあげるから二人とも、頑張ってみなさい!」
ミツミとミツルはモンスターボールをもらった!
「ありがとうございます! じゃあ、ミツミさん・・・いきましょう」
「うん」
~103番道路~
「こういう草むらにポケモンは出てくるんですよね・・・」
ガサガサッ
「・・・うわっ!!」
ミツミの前に現れたのは、ラルトスだった
『・・・』
「・・・いけ・・・ジグザグマ」
『センリにたのまれたからなぁしゃーない 付き合ったる』
「ジグザグマ・・・“たいあたり”だ」
『はいな』
ジグザグマは体を左右に揺らしながら、ラルトスへ走り出す
『えっ・・・えっ』
結果的に、ラルトスを混乱させることになっている
『そいやっ!』
『グッ・・・』
ジグザグマの“たいあたり”!
ジグザグマのたいあたりで、ラルトスは吹き飛ばされた
『はぁ・・・はぁ』
『今や! 早よボールを!!』
「えっ・・・なっなに!?」
すぐに動けそうにないラルトスを見て、ジグザグマはミツルの方を向きボールを投げるように叫ぶ
しかし、ミツルにはただの鳴き声にしか聞こえていないようで、ジグザグマが吠えた意味が分からず、混乱しているようだ
「今だよ! 早くモンスターボールを!!」
「あっ・・・はい!」
ミツミの声が聞こえ、我にかえったミツルは、言われるがままにラルトスへ向けてボールを投げた
ドゥム
一回目・・・ボールが揺れる
――お願い
ミツルは祈った
ドゥム
二回目
「お願いします・・・」
つい声が漏れたようだ
ドゥム
三回目
「お願い・・・捕まって・・・」
ミツミも願うようにその場を見守っていた
カチッ
「つ・・・捕まったの・・・?」
「わ・・・わからない・・・」
二人は戸惑っていた
どちらもポケモンを捕まえることに対しては初心者
さっきまでとは違う音がなったが、それがなんなのか理解できていなかったのだ
『なにやってん もう捕まっとるで』
「も・・・もう大丈夫なの・・・?」
『だから聞こえたやろ、あの「カチッ」つう音がゲット成功の音や』
「も・・・もう捕まってるみたい・・・だね」
『だーかーらー言うとりますやん!!早よボール拾えや!!』
「ひ・・・ひぃ」
「ほ・・・ほら・・・ボールを早く拾ってあげてよ 君のポケモンだよ」
「う・・・うん」
ミツルはビクビクしながらラルトスのボールを拾った
「ぼ・・・僕のポケモン・・・だよね」
「一度出してみたら?」
「そ・・・そうですよね 出ておいで ラルトス」
ポォン
ボールから飛び出る音と共にラルトスがミツルの前に現れた
「こ・・・これからよろしくね」
『うん!』
ミツルはラルトスをゲットした
「じゃあ次は、私の番・・・だね・・・」
次はミツミの番だが・・・正直、気乗りしていなかった
この地方のポケモンは流石に樹海のことなんて知らないだろうし、この旅が終った後捕まえたポケモン達は野生には帰ることが難しくなってしまう
それが、ミツミには嫌だった
ガサガサッ
「ん?」
近くの草むらから、もう一匹・・・ラルトスが現れた
『あいつは・・・どうなるの?』
どうやらこのラルトスは、さっきミツルに捕まったラルトスと知り合いのようだ
「大丈夫だよ あの子と一緒に暮らすだけだよ」
『・・・いいなぁ』
「え」
知り合いのラルトスが捕まったことを恐れるのではなく、逆に羨ましがる様子のラルトス
ミツミはその姿に驚き、何も返事が出来なかった
『人と暮らすと強くなれるんでしょ』
「・・・うーん 絶対では無い・・・かな」
『一緒に連れて行ってよ』
「へ?」
『ボク・・・強くなりたいんだ』
「いやいやいや私の言ってた事聞いてた!?」
『うん・・・だから・・・』
ポォン
『よし!一緒に来い!』
ボールから飛び出したカインは、何も考えていないようにラルトスを旅へと誘った
「なに無責任な事言ってんの」
『なぁ、お前は何のために強くなりたいんだ?』
『それは・・・言えない』
『言わなきゃわかんねぇだろ?』
『ただ・・・強くなりたいんだ』
「何か事情があるみたいだね」
ラルトスはミツミの言葉に黙ってうなずいた
『ちょっとコッチも大きな声で言えない秘密があってよ・・・それでもついてくるか?』
『・・・うん』
『決心は固いようだな・・・ミツミ、ボールを』
「・・・うん」
『? どうした?』
「・・・後で教えるから、その時に考え直してね?」
『ううん・・・ボクは決めたんだ』
「・・・お願い」
ミツミの顔は明らかに曇っていった
『そこまでの理由なの?』
「うん」
『・・・わかった』
「ありがとう・・・じゃあ」
ミツミは空のボールでラルトスに優しく小突いた
ラルトスの体がボールの中に入り・・・
ドゥム ドゥム ドゥム カチッ
ミツミはラルトスを捕まえた
「何やってるんですか?」
ビクッ
「な・・・何でもないよ! そ・・・それより私もラルトスゲットしたよ!」
「そうですか・・・じゃあセンリさんの所へ戻りましょう」
~再びトウカジム~
「2人とも無事にゲットしたみたいだね」
「センリさん、お借りしてたポケモンをお返しします」
ミツルは、センリにジグザグマをかえした
「ミツミさん・・・一緒に来てくれてありがとう」
「ううん、私のほうこそありがとう!」
「?」
普通に見れば、ただ2人でポケモンをゲットしに行っただけである
しかし、ミツミはトレーナーとポケモンの最初の出会いを見るのはこれが初めてだった
そのお礼を言っただけだったが、ミツルは不思議そうに首をかしげる
「いいのいいの 気にしないで」
「おーい!そろそろ行くよー!」
遠くから声が聞こえた
どうやら、誰かを探しているようだ
「あっもう行かなきゃ! それじゃこれで失礼します」
「あっうんまたね」
ミツルはあわててジムから出ていき、ミツミとセンリはそれを見送る形になった
「さて・・・ミツミちゃん、君はまだまだトレーナーとしては未熟だ」
「はい」
「だからこの先のトウカの森を抜けた先にあるカナズミシティに行くといい」
「カナズミ・・・ですか?」
「ああ そこにあるトレーナーズスクールというトレーナーの基礎を教えてくれる所があるんだ
が、そこでトレーナーについて学んで来るといい」
「それから・・・ジム戦ですか?」
「ああ 君がトレーナーとして私の前に来るのを待ってるよ」
~トウカの森~
森の奥 少し開けた所に一匹で立っているラルトス
ラルトス本来の生息域から離れているこのポケモンは何を思っているのだろうか
カヒュッ
それをめがけ、四方八方から木の枝が飛んでくる
ラルトスはゆっくりと手をかざし、一気に力をこめた
『ハッ!』
ラルトスは“ねんりき”をつかい、木の枝を全て体に当たる寸前で止める
『ふぅ』
『よし、20本もクリアだな』
『お疲れさま~ はい、“オレンのみ”』
『あ・・・ありがとう』
ラルトスが力を抜くと、空中で静止していた木の枝はそのまま重力に従い、パラパラと落ちていく
『ラル、できれば教えてくれ なぜあんな事情を持つ俺らと旅をしようと思ったんだ?』
『・・・修行前にも言ったけど、強くなりたいから』
『それでも・・・だ 他のトレーナーとならずっと過ごせるかもしれないのになぜ俺らなんだ?』
『・・・』
ラルと呼ばれたラルトスは、修行の前にミツミの秘密や、旅をしている理由を聞いた
ただ、それでも一緒についてくると決めていた
それがカインには疑問になっており、修行を一通りした後聞いてみたのだ
『まぁ言いたくないならいいんだ 変な事聞いてすまなかったな』
『いや・・・話すよ・・・ボクも君たちと同じだよ』
『捨てられた・・・のね』
ラルは黙ってうなずく
『それで、貴方はどうしたいの?』
『え・・・』
『力を手にした後、「人間に復讐したいかどうか」よ』
『そんなこと・・・思った事もなかった』
『じゃあなぜ強さにこだわるの?』
『・・・ただ・・・羨ましかったんだ』
『?』
カインとナクラは2匹して顔を見合わせた
『あの道路に住んでいるラルトス達も他のトレーナーのもとへいって色んな世界を見て回って
る・・・そう思ったら羨ましくなって』
『それはわかったが、なんで力を求めるんだ?』
『・・・皆を守れなかったんだ・・・』
『それ以上はいいわ』
ナクラはラルの言葉を遮った
ラルの様子が深刻になっているのが分かったからだ
これ以上事情を聴いたところで、互いに辛いだけ――そう判断したのだ
『よし! じゃ、ミツミが元に戻るその時までミツミを守ってくれ そのための修行なら、手伝っ
てやるからよ』
『・・・うん、ありがとう』
『やっぱりカインってシスコンなのかしらね』
『あ?なにか言ったか?』
『いえ?な~んにも』
バサッバサッ
ナクラとカインがいつもの調子の会話に戻った矢先、3匹の近くで大きな羽音がした
『戻って来たか』
『お帰り~ミツミちゃん、アベル』
3匹の元へ降り立ったのは、アベルとアベルに乗っていたミツミだった
『今回の修業は終わったのか?』
『ああ、バッチリ20本もクリアだ』
「すごいじゃん! もう訓練所をクリアしたんだね!」
『うん・・・でもまだまだだよ』
『慣れちまえば何とかなるもんな ミツミは無理だったが』
「うっ に・・・人間の姿だからだもん」
ミツミもアベルと飛ぶ前に一度この訓練をやってみた
結果は失敗
体の前方めがけてきた枝を数本はたいたところで他の所からの枝にぶつかってしまった
ポォン
『ま、ここは俺が小さい頃使っていた訓練所だからねぇ
全部叩き落とせなくても避けるとかでどうにでもなるし』
「うー」
この場所は、ななみが数年前ポケモンの特訓の為に作った訓練所だ
森のひらけた場所へ向けて20のボーガンがセットされ、全て一つの糸に繋がれており、同時にセットした矢(今回は木の枝)が一斉に対象へと発射される仕組みだ
『この地方出身なのは本当みたいね~じゃあなぜ林道を知らないのかしら~?』
『実は・・・この森の林道を通ったことなくて・・・』
『ふ~ん ま、いいわ、それじゃミツミちゃん、カナズミに向かいましょ~』
「そうだね、じゃあみんな、ボールに戻って」
ミツミはボールを戻すと、先ほどアベルと飛んだ時に見つけた林道へと向かった
ガサガサッ
「や・・・やっとでれた」
道なき道をひたすら進み、なんとか林道につくことが出来たミツミ
「ねえ きみきみ」
「は、はい」
そこへ近づいてくる一人の男
男は、白い白衣を身に纏い、丸いメガネをかけたおじさん
恐らく、どこかの研究員なのだろう
「このあたりでキノココってポケモン見なかった?」
「キノココですか? いえ、見てませんけど・・・」
「おじさん あのポケモン好きなのよね」
「そ・・・そうですか」
どうやらこの人は自分の好きなキノココを探しにやってきたようだ
「やい!デボンの研究員!」
その時、突然前の方から大きな怒鳴り声が聞こえてきた
そして怒鳴り声と共に、青と白のボーダーの服に作業着のようなズボン、そして額には黒い「A」のようなマークの入っているバンダナをした男が出てきた
「なっなんですかあなたは!」
「待ち伏せしていたのにいつまでもトウカの森でうろうろと・・・
待ちくたびれたから来てやったぞ! その書類をこっちによこしやがれ!」
「ひゃ~きみトレーナーだよね 助けてよぉ」
そういうと研究員と言われた人はすばやくミツミの蔭へ移動し、助けを求めてきた
「・・・ん?なんだお前」
「・・・人のものを盗るのはよくないことだと思います」
「そいつを庇おうってのか
アクア団の邪魔をする奴は子供でも容赦しねぇ! いけ!ポチエナ!」
自らをアクア団と名乗る男は、ポチエナを繰り出してきた!
「お願い・・・お」
ポォン
『ここは・・・任せて』
「ほぉ お前はラルトスか」
「な・・・なんか勝手に出てきた気がするけど、だ・・・大丈夫かい?」
「ラルまで・・・そんなとこまで真似する必要ないのに」
ミツミは溜息をついた
出てきたのは、ラルだったからである
普段はカインが出てくる所であったため、カインに頼もうとしていたミツミだったが、今回は代わりのようにラルが出てきてしまったのだ
「まぁ、平気だよね 行くよ、ラル!」
『うん!』
「行け!ポチエナ“かみつく”だ!」
ポチエナはラルに向かって突進をしてきた!
『・・・ハ!』
ラルは向かってくるポチエナに“ねんりき”をくりだした
先ほどやっていた修業のように
・・・しかし、ポチエナは動きを止めない
『ぐっ』
そしてそのままラルの肩に噛みついてきた
「ラルッ!」
「なんだ?ポケモンの相性すら知らない初心者か」
「・・・え?」
「エスパータイプの技はあくタイプのポケモンには効果はねぇぞ」
「そ・・・そんな」
「やっぱ初心者か
いいぜこのまま降参して、大人しく荷物を渡せば、お前のポケモンは苦しまなくて済むぞ?」
「・・・」
「なら・・・このままやっちまえ!ポチエナ!」
「や・・・やめてっ」
ドサッ
ドサッ
「・・・は?」
「え?」
その時、不自然な二つの音がし、2匹ともその場に倒れこんだ
「な・・・何が起きたんだ・・・
こんなの無効だ!もう一度だ!・・・と言いたい所だが、もう手持ちのポケモンは残っていない
それにカナズミシティにもアクア団が狙っている物があるからな!今日はこれぐらいにしといて
やらぁ」
そういうと、アクア団の男はポチエナをボールに戻し、来た方向に走っていってしまった
「ラルッ!」
ミツミはラルの元へ走り出した
その後を追う形で研究員がついてくる
「ふぅ 危ないところだった! 君のおかげで大事な書類を奪われないですんだよ!」
「・・・はい」
研究員は、ミツミに感謝の気持ちを伝えた
しかし、ミツミの心はここに非ずという感じで、適当な返事だった
「君のラルトスは、“ひんし状態”みたいだ、ここは科学の力で回復させよう」
「・・・え?」
「とりあえず、ボールに戻してあげて」
「・・・あ、はい」
ミツミは研究員に言われるまま、ラルをボールへと戻す
「じゃあ、コイツで」
研究員は、自分の懐から普通のボールより一回り大きいボールを取出し、ラルの入ったボールをその中へ入れた
そして、そのボールのスイッチを押す
「はい、君のラルトスは元気になったよ!」
「・・・?」
ミツミはわけがわからなかった
変なボールにラルを入れ、スイッチを押してしばらく経ったら、ラルの入っているボールをミツミへと差し出したのだ
「ああ、説明が足りなかったね これは、ポケモンセンターの回復装置を小型化したものなんだ
だから、君のラルトスも元気になっているはずだよ 試に出してごらん」
「は・・はい」
ミツミはわけがわからないまま、ボールを投げ、ラルトスを出してみた
ポォン
『あれ? 何ともない』
「ら・・・ラル・・・平気なの?」
『う・・・うん』
「よ、よかった~ ラルがどうなっちゃうのか心配だったんだから~」
「うん、大丈夫そうだね 成功して良かった」
「ありがとうございます!」
「いやいや、これは助けてくれたお礼だよ」
ラルトスは、元気になっていた
それにしても、1匹だけとは言えポケモンを全回復してしまうこの装置は一体・・・
「・・・そういえばさっき、アクア団は「カナズミにも狙ってる物がある」とかいてたよね・・・?」
「は、はい たしか・・・」
「大変だ!! こうしちゃいられない!」
そう言って、研究員は走っていってしまった
残されたミツミとラルはボー然としていた
ポォン
『何やってんだ、ミツミ』
「あ、お兄ちゃん」
『ラルが回復させてもらったが、ちゃんと治ってるかわからねぇ、さっさとポケモンセンターに連れてった方がいいぞ』
「う・・・うん」
『わかったら、さっさとカナズミに行くぞ、ポケモンの相性も知らねえなんて恥ずかしいからな』
『う・・・』
『カナズミで回復が終わったら勉強会だ 覚悟しろ』
「う~」
次回予告
カナズミに到着し、トレーナーズスクールで勉強することになったミツミ
ミツミの勉強会は夜も続く・・・
そして再び現れるアクア団
彼らの目的とは?
次回「勉強なんて・・・」
読んでいただき、ありがとうございました。
今回、ポケモン達の声を『』で分けてみました。
今回と前回のどちらが見やすいか、また、誤字脱字などありましたらご連絡、またはコメントしていただけると幸いです。