Nudist Archive ここは楽園、ならば服を着る必要は無いですよね?   作:ぱる@鏡崎琴春夜

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主人公の影が薄いので……Troubleにぶち込みました、


BossaNova & Trouble Baby

 これはちょっとした揉め事の話さ。だけどよ、そんな騒ぎの見物ほど楽しいものはねぇよなァ!

 そう叫んで馬鹿な騒ぎに、いの一番に駆け込んで突っこんでいった彼女のことを私は一生忘れないでしょう。

───あるトリニティ生徒の言葉

 


 

 (わたくし)の前をピョコピョコと跳ねながら歩くマシロ様の後ろをついて歩く。彼女の歩き方は何というか行進の様な歩き方を彷彿とさせますわね。

 先生と別れ、良い天気の下を行くたった二人の行進。

「あの方が噂の先生ですよね? 先生と何をお話しなさっていたんですか?」

 道すがらの静かな歩みは、マシロ様の言葉で楽しいお喋りに変わる。私は少しだけ歩速を上げてマシロ様の隣に並んだ。

「どうしてそんな恰好をしているのかと訊ねられたので、その理由をお話ししてましたの。あの方は意外と好奇心が強めの方なのかもしれませんわね」

  私を揺り起こした男性が、少し頬を染めて困ったような表情を浮かべた姿を脳裏に思い描く。何か他に用があってトリニティ総合学園にやってきていたのだろうに、私が眠っているのを心配して近づいてくるなんて、そこには主の愛される人の形があるはずだとアイナは思っていた。

「そうですね、この格好には正義がありますから。正義の片鱗に気が付いたのでしょう」

 横で愛らしい後輩がコクコクと頷く。彼女には私のアドバイスが効いたのか、私と同じように服の軽量化を図り始めた同志なのですわ。布が少し減ったところでと仰る方がいるかもしれませんが、少しでも減っているものは減っているのですわ。その少しが疲れを軽減し一射でも多く撃つことが出来ればいいじゃございませんこと?

「えぇ、軽さは正義ですわ。神の教えと昔に倣うことも正義ですわ」

「───その正義は場合によりますよ」

 またかと言う様にマシロはアイナを見上げて言った。正義と悪の二元論を精神的支柱にしながらも、それと現実の差にたまに苦悩する少女でも、一度答えの出た問題には即答できる。

「必要以上の露出は悪ですよ」

「あら、つれませんわね。まぁいいですわ。信仰の強制など主は良しとはしないでしょうし。そちらはハナコさんと楽しむことにしましょう」

 マシロはアイナに向かって心底呆れたという表情を向ける。だが、次の瞬間何かを思い出したのか、そういえば───と話し始めた。

「当分はハナコ先輩には会えないと思いますよ」

 そうなんですの? と訊ねるアイナに、はいとマシロは続ける。

「ハナコ先輩は補習授業部に行くことになるとか、正義実現委員会からも一人行くらしいです」

 マシロの表情は少し硬くなる。彼女からすれば勉学に励まないことは悪の判定があるのだろう。怒りというよりは呆れの色が強いが、ハァと小さく吐いた溜息にはちょっぴりの怒気が含まれていた。

「あらあら大変なんですのねぇ……」

 だったら勉強を見てあげればよかったかしらとアイナは呟くのだった。

 

 

 

 その後もしばらくお喋りを楽しんでいた二人は、やっと正義実現委員会の建物に辿り着いた。入口の前で立つ二人の歩哨と挨拶を交わし、アイナとマシロは中に入る。目指す先は少し奥まったところにある押収品保管庫である。

 キヴォトスの住民にとって銃火器の携行をしないことは裸で歩いているより恥ずかしいと評されることもあるが、それでもあまり持ち歩かない人物はいる。単純に忘れ物が多い子だったり──とはいえ、小銃以上のサイズを忘れる者は、ランドセルを背負い忘れて学校へ行くようなものだと思うが……または、武器を持ち歩くのを嫌がるタイプだったりというのもあるだろう。もしくは疑似的な露出癖の発露でもしているのか。

 では、復楽園アイナはどのようなタイプなのか……意外に思われるかもしれないが、最初の忘れ物が理由だった。

 

「あら、ハスミ様が押収品管理なんて珍しいですわね」

 押収品保管室で待っていたのは、正義実現委員会の副委員長 羽川ハスミだった。確かに彼女は事務方ではあるが、この場所を担当しているほど暇では無いはずだ。

「ここの担当だった子が今日は所用がありまして……そもそも、貴女が忘れ物などしなければわざわざ待つ必要も無かったんですよ。というか随分かかりましたね」

 トントンとテーブルを叩いていた指を止め、顔に垂れて来ていた髪の毛を耳にかけ直す。随分と待たされた彼女の目には明らかな不満が見て取れた。

「ハスミ先輩、アイナ先輩は約束を忘れ寝ている所を確保しました」

「遅刻したことは大変申し訳なく思っていますわ。心より謝罪申し上げます」

 約束を忘れていたことについて、アイナは心の底から申し訳ないと思っているのだろう。それが分かっているハスミは大きく溜息を吐いてから、立ち上がって保管庫の方へ歩いて行った。

 しばらくしてハスミは二丁のリボルバーとホルスターを持って戻ってくる。

「こちらで間違いありませんね? 特に壊れている部分や破損は無かったと思いますが、一応確認を」

 テーブルの上に置かれた銃とホルスター。アイナはホルスターをチラリと一瞥してから、銃の方へ手を伸ばした。似た形のリボルバーだが、細部を見れば形は異なる。両方とも機構は中折れ式、しかし、片方は銃の上部と下部で別れており、まるでオートマチックのようにスライドするようになっている。

 アイナはまず、その独特な機能を持つリボルバーの方から手に取った。持ち上げた手の手首を左右に捻り、外装を確認し、撃鉄の横にあるレバーを押し込んでロックを外し、フレームを開く。保管品として預かっていた為に、中に弾丸は入っていないが排莢機構が持ち上がり、また元に戻る。それを確認するとシリンダーを指で回し、回るか確認する。それが終わるとフレームを元に戻し、撃鉄を動かす。最後にフレーム上部を動かし、機構が一通りきちんと動くことを確認すると、一旦テーブルに戻し、もう一方のリボルバーを手に取って、フレーム上部を動かすこと以外は、先ほどと同じことを繰り返した。

 そして、左の太ももと腰にガンベルトを巻きつけると、太ももの方に取り付けたホルスターへ普通のリボルバーを、後ろ腰に回したホルスターにオートマチックリボルバーを差し込んだ。

 そして、ハスミの方を向いて礼を述べる。

「お預かりいただき、ありがとうございますわ。とても丁寧に扱ってもらえたようで、この子たちも喜んでいますわ」

 そうですわよね、カイン、アベル? とアイナは語りかけた。忘れて行った癖に愛着はあるのか、我が子に微笑む慈母の顔をアイナは浮かべた。

「───今度からは忘れないように」

 たぶんまた何かの折に忘れるのだろうなと思いながら、ハスミは受領書とペンを差し出したのだった。

 

 

 

 道をすれ違う者全てが、一瞬ぎょっとして目を逸らす。そのうち幾人かはもう一度コッソリ、復楽園アイナの背中を視線で追った。ここはトリニティ自治区の端、少し寂れた区画だった。普通この辺りにまでわざわざ足を延ばす生徒は居ない。ここで手に入る物の半分はトリニティ自治区の中心街で手に入るし、もう半分はDU区まで出れば大半手に入るだろう。だからこそこの区画は寂れ、他の自治区やブラックマーケットから入り込んできた不良が数グループ存在する場所になってしまったのだ。

 では、何故わざわざ復楽園アイナはその区画を歩いているのか、答えは単純なことで、ここでしか手に入らないモノを求めているからだった。アイナは慣れた足取りで路地に入っていく。彼女の足取りは古い木製のドアの前で止まる。見た目はチョコレートの様で、ロココやギリシアにある神殿の柱を思わせる様な意匠をした細長い取っ手がついているアレだ。彼女はその取っ手を掴み、扉を開けて中に入る。

 

 中は、バーのような様相を呈している。カウンターにコップを磨く老犬の店主、テーブル席にはガラの悪そうな生徒や話し込むスーツのロボットなどがいた。まさに裏社会が集うバーと評するべき場所だった。ただ、バーと違うところがある。それは店主の後ろにある棚に並んでいる商品だった。バーであれば赤や琥珀色、深い緑のボトルが立ち並び、ビールやフレーバーのマシンがどっしりと構えている者だろうし、店内には落ち着いたジャズなんかが流れているものだろう。しかし、この店は違う。店に入ってきたアイナを一瞥した老犬の後ろにはボトルなど一本も無く、リボルバーとライフルが並んでいる。ビールサーバが本来は置けるのであろうスペースには、店主が日曜大工で取り付けた棚が差し込まれており、銃のメンテナンス用工具や煙草、ハンドタオルなどの小物が置かれている。

 また、店内にかかる曲も落ち着いたジャズなどではなく、明るくテンションの高いメロディーで、爽やかでいて力強さのある声の男性ミュージシャンがカップルの会話の様な内容の歌詞を早口で捲し立てる曲。ロマンチックに過ごしたい男と、ボサノヴァを踊って楽しく過ごしたい女の会話劇は、差し込まれるボサノヴァの単語と音楽の陽気さとが相まってリズミカルでコミカルな雰囲気を出している。

 

 アイナがカウンター席に座ると、老犬はその見た目にあった渋い声でいらっしゃいと言った。

「いつものと……そうですわね、今日のおススメはありまして?」

 メニューなど出されない、それは彼女がこの店の常連であることを示していた。老犬の店主は立派な髭を扱いて考える。

「……アッサムと生のリンゴを使ったアップルティーがある。それか、少し値段は張るが、トリニティ自治区にある小さい茶畑で作られた珍しい奴があるな」

 ボサノヴァと言いつつ、その実そんなボサノヴァでは無い不思議な曲に合わせて頭を左右に揺らしながら少女は考える。その頭上ではヘイローの蛇がクルクルと回った。

「───リンゴは好きではないので、珍しい茶葉の方をお願いしますわ」

 わかったと言って店主は裏の厨房の方へ入っていった。

 

 しばらくして、紅茶とジャムとクラッカーを持って、老犬の店主が戻ってきた。彼はアイナの前にそれらを並べると、続けて言った。

「いつもの奴は、量も同じか?」

 アイナはそれに肯定を返す。それを聞き遂げた店主は、カウンターの下からバターサイズの箱を四つ差し出す。『.455 Webley-Eden』と手書きで書かれた外面にはアイナの銃と同じ銃の写真が貼ってあった。そう、ここでしか手に入らないモノ、それは彼女の銃の弾丸だった。『.455 Webley弾』自体はトリニティのどこでも買える代物だが、彼女の弾丸は無煙火薬の量を増やし、弾頭も特別に拵えたもので、素材を元の弾頭よりも、より硬く、より重たいものに変更している。つまりは、ストッピングパワーを増したものに変えているのだ。

「……今回は早いな」

「えぇ、この間同じ口径の銃を使っている子が困っていたので渡してあげたのですけど、威力が高すぎて怪我をしてしまったようで……危ないものだと没収されてかけてしまいましたわ。私が撃つ分には問題が無いことを証明する為に撃っていたら少なくなってしまって……」

 老犬は目を細めアイナを見る。何度も見て来た呆れて相手を見ている視線である。だが、店主の視線以外に、もう一人アイナを観察している者が居た。

 

 奥のボックス席にたむろった不良生徒。マシンガンを傍らに置く金髪のスケバンを中心に、左右にそれぞれサブマシンガンとスナイパーライフルを持つ少女が座っている。彼女らはアイナの懐具合を裕福と判断し、席を立った。

 

『先ほどまでの曲は 【Bossa Nova Baby】でした。さて、お次も懐かしの一曲でお送りします! 【Trouble】をどうぞ!』

 

 女性DJは曲が変わることを告げる。アイナがチラリと作業中の店主の顔を覗くと口元が少し緩んでいた。アイナは知っている。老店主の趣味はラジオ放送とたった一人のロック歌手の曲を聴くことだということを。恐らくリクエストでもしていたのだろう。かかる曲を聴いて、気分がよくなっているのならそれでよかった。

 

If you're Looking for Trouble ?

 

 陽気な曲からジャンッ! と強めのロックに曲調が変わる。しかし、ヴォーカルは変わらず先程の男性の様だった。先ほどの曲より声は若々しく、より昔の曲だということが分かる。今度はゆっくりとした歌い方ではあるため、歌詞がよく聞き取れる。変わった歌詞だなと思っているとアイナの後ろにスケバンたちが寄ってきた。

「よぉ、ちょっと聞こえたんだけど、アンタ他人に施すのが好きなんだって? アタシら今そんなに手持ちなくてさぁ……奢ってくんね?」

 金髪のスケバンはアイナの肩に手を置いてそう言った。

「? えぇ、困っている人は助けるべきだと常々思っていますので、よろしいですわよ?」

 アイナの言葉に嘘はない。彼女は本気でそう思い、そう行動できるよう努めている。だが、こういう風に自らの利益のためにその思想を利用しようとするものが現れることもあるのだ。

 

You came to the right place

 

「マジ? ラッキー、じゃ、よろしくな」

 冗談交じりの言葉、まさかここで本当に払うとは思ってもみなかっただろう。だが、復楽園アイナは違う。

「えぇ、お幾らなのかしら? 伝票をくださいます?」

 肩に乗った手を丁寧に外し、アイナは椅子から立ち上がる。老犬の店主は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべスケバンたちを睨むが、彼女らは彼女らで、あっけの無いたかりの成功に困惑していた。そんな彼女らを通り過ぎ、アイナは当たり前のように彼女らのテーブルから伝票を持って戻ってくる。

「5万円? 随分派手にやったんですのねぇ……まぁ、良いですわ。マスター、このお支払いも私のお会計と一緒にしておいていただけるかしら」

 

If you're Looking for Trouble ?

 

 老犬の店主はいいのか? と問う。それにアイナは問題ありませんわと返し、クラッカーを抓んだ。実際、店主は支払えないという可能性については心配していなかった。先ほどのいいのかと言う問いは、あんなたかりを許すのかということを問うていたのだ。それもそのハズ、アイナの頼んだ紅茶の代金は一万円を優に超えた代物だ。それを易々と運んできた時点で、支払いが滞るようなことはないと分かっている。

 

Just Look right in My face

 

 まぁ、どちらにせよ金の肩代わりをしてもらった側からすればどうでもよい話である。自分たちの飲み食いと弾薬代を他人に押し付け、彼女ら意気揚々とご機嫌に外へ出ていこうとした時、その気分を害す言葉が飛んできた。

「あのように貧しい人々を憐れみ、持てる者は持たざる弱き者に施すことが善い人でしょう?」

 スケバンたちの足が止まり、強い怒りに身を浸す。彼女らのようなものが一番カチンとくるものは、思いっきり見下されることである。舐められるような原因が自分たちにあるとしても、その不快感の前には些細なことである。

 

I was born Standing UP

 

 おい、とサイドテールのスケバンがドスの聞いた声をかける。残りの二人は武器を構え始めており、声をかけた当人も、セーフティーは外している。その雰囲気に他の客は居場所を席の上から机の下に移し、机の脚を握って、いつでも盾にできるように備えていた。

「あら、まだいらっしゃったんですの? 大丈夫、無銭飲食になどさせませんわ。心配でしたら、先に支払うだけ支払ってしまいましょうか? あっ、それともまだ何か食べていかれますの? 食べられるときにできるだけ食べておくのって本当に効くんですの?」

 

And Talking Back !

 

 ラジオから流れる歌詞と同じように口が減らずに喋り立てるアイナ。しかし、彼女の話す内容は怒りに身を焦がすスケバンにとっては、火に余計な燃料を投下しているだけだった。

「アタシらのこと舐めてるとブッ殺すぞ! 下に見やがって! 自分はお嬢様で、アタシらとは違う立場だとでも思ってんのかよ!」

 スナイパーライフルを構えたスケバンが声高に叫び、睨む。アイナとしては善意と好奇心の言葉だったのだが、そうだとしても許される状況ではない。

 

My Daddy was a Green-Eyed Mountain jack !

 

 山賊? まぁ、確かに彼女らスケバンを評するならそれがいいかもしれない。緑の瞳をしているわけではないが、金持ちへの嫉妬心はあっただろう。だがそれ以上に思慮の足らないところもあった。これはお互い様かもしれないが……

 

Because I'm Evil, My Middle Name is Misery !

 

 スケバンたちも勝算はあったかもしれない。相手はリボルバー二丁持ちとはいえ、弾は箱詰めのままで積んであり、銃を抜く所作もすぐには出来ない状態で座っている相手に対し、こちらはそもそも三人で、セーフティーも外して、すでに向けている。卑怯と言われようと悪人であることを自負している彼女らに響くようなものは何もないだろう。だが、彼女らの判断は不味かったと断言してもいい。これから彼女らは悲惨(Misery)な目に遭うのだから。

 

Well I'm Evil, so Don't You mess around with Me

 

「ちょっと! 怒られるようなことした覚えがありませんわ!」

 覚えのあるなしではないのだが、そんなものもう誰にも関係ない。

「黙って金出すだけで良かったのによォ! 人をバカにしやがって、払えるんだよ、そんくらい!」

 ピクリとアイナの動きが止まる。

「・・・・・・騙しましたの?」

 

Ive never Looked for Trouble

 

冷たい声がスケバンたちの耳朶を打つ。先ほどまでの雰囲気は消えていた。ニコニコした表情も、驚きも、怒りも、悲しみもない。そこにあったのは無表情だった。

「主より賜りし、十の約定を───破ったのですね?」

 なにを言っているんだと言ったのは誰だったのだろう。まぁ、そんなことを気にしている暇はもう無い。

 

But Ive never Ran

 

「一つ、隣人について偽りを申す事勿れ」

 いつの間にか、座っていたはずのアイナが立っている。何時の間にと言う言葉は必要ない。ただ相手に向かって引き金を引くべきだとスケバンたちは判断した。それは同様に店内の客たちもで、彼らは机を引き倒し、盾とする。

「一つ、隣人の家を欲しがる事勿れ」

 膝を軽く曲げ、腰を突き出し、上体を後ろに下げる。それと同時に左腕が半月を描きホルスターに向かう。アイナの動きは店に流れている曲の歌手が長年やっていたパフォーマンスのように激しく、そして素早く、しなやかだった。だが、銃を構えて撃つのであればスケバンたちの方が先に構えている。彼女たちは引き金を引き、目の前の脅威に銃弾を撃ち込んだ……はずだった。

 その銃弾一つ一つがあたらない。耳、肩、太ももの横へと弾は逸れ、確実に体の中心を捉えた弾丸も、跳弾や割れたカップの破片が当たって軌道が逸れる。

「ンだよコイツァ!!!」

 そう叫んだ、スナイパーライフルのスケバンの眉間を銃弾が捉える。続けざまにもう一発、二発と続き、三人のスケバンたちは脳を揺らされ昏倒した。

 

 アイナはスケバンが倒れるまでを見届けると、カウンターの影から出て来た店主に向かい、一枚の紙を差し出した。その差し出された薄緑の紙には、金額とサインを書く欄があり、金額は無記入、サインだけ入っている状態だった。

「お店の修繕費と、他のお客様のおかわりの代金全部支払いますわ。私が起こしてしまったことですもの、ちゃんと払わせてくださいませ……いえ、修繕費は今すぐ出せるものでもないですわね。後から請求してくださいまし」

「そら恐ろしいよ……お前は」

 老犬は呆れ半分、恐怖半分と言った様子で、そう口にした。




この小説は作者の気分で好きなものがぶち込まれます。

メインテーマは信じる心と楽園ですが、エッセンスでエルヴィス・プレスリーが入ってます。

それはそれとして、高評価と感想くださいませ!!!
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