Nudist Archive ここは楽園、ならば服を着る必要は無いですよね? 作:ぱる@鏡崎琴春夜
羽川ハスミにとって、今日という日は良い一日になると予感させる朝から始まったはずだった。それなのに今、彼女は数人の後輩を引き連れて校舎中を駆けめぐる羽目になっていた。
「待ちなさい!」
この言葉で足を止めた者は居ない。勿論目の前の逃亡者もそれに従うことはなかった。
「えっ冤罪ですわ!」
「だと言うなら止まりなさい!」
キラキラと陽光を透けさせて輝く長髪を棚引かせて前を走る同い年の女性。彼女の改造制服は大分際どく、走るだけでチラチラ覗き見えてしまう。この追いかけっこは実に二十分も前から始まっていた。
だが、それより前から語り始めよう。
これは今朝のことである。
復楽園アイナは目を覚ますとベッドから抜け出す。一糸纏わぬ姿は、楽園の中を歩く原初の人間の姿に近しい。彼女の白い肌と程良く肉付き、程良く引き締まった体はまるでギリシア彫刻のようで、その肌はまさに大理石の如く滑らかで、少し冷たい。寝起きの彼女は絨毯の上をスリッパで歩き、寝室に併設されたシャワールームに入っていく。それが彼女の朝のモーニングルーティーンである。
彼女───復楽園アイナは学生寮ではなく、トリニティ総合学園の側にある住宅街で寝起きしていた。一人暮らしには十分な広さの二階建て一軒家。外には猫の額だが庭もある。その庭には花壇が設けられ、小さな花々が咲いていた。
時刻は朝五時、花は朝露に濡れている。それと同じように肌を濡らした少女がシャワーを浴び終えて部屋から出てきた。長い髪の毛はタオルに包まれているが、まだ滴が垂れるほど濡れていた。今一滴の滴がうなじを流れてバスローブに吸われる。腰紐を結んでいない為に、バスローブは前が開き、蝶の刺繍が入った黒の下着が見えている。程良い大きさの胸が包まれ、柔らかい腰回りの肉に食い込んだ紐の黒が映える。
「朝ご飯・・・・・・なにがあったかしら」
サイドテーブルの上にあるコンセントにドライヤーのプラグを差し込みながらそう独り言を言った。
羽川ハスミはスマートフォンのアラームに起こされた。寝起きの機嫌は悪い方ではないが、目が開ききらないために目が据わったように見える。乱れた髪が幽鬼のような印象を与えてしまうのもあるだろう。しかし、彼女自身においてはそれほど悪い気分でもない。名残惜しくは感じるが寝床から抜け出し、カーテンを開けた。日はそれほど高くないが、空は今日も澄み切っており、きっと窓を開ければ冷たい風が目を覚まさせてくれるだろう。
ハスミは少し窮屈に感じるパジャマを脱ぎ、制服に着替えた。その後に髪を梳かし、頼れる副委員長の姿を整える。
携帯の画面を点け時刻を確認すると朝六時、もう少しすれば学食の開店時間だ。そのまま彼女はロックを解除し、スケジューラーを立ち上げる。今日一日の予定を確認し、頭に叩き込んでおく。その後に授業の時間割まで見て、鞄の中身に忘れ物がないか確かめて部屋を出た。
「おはようございます、ハスミ様」
「・・・・・・おはようございます」
何故という疑問符が食堂で朝食を食べていたハスミの頭には浮かんだ。アイナは朝食に学食を利用する生徒ではなかったはずだ。少なくとも記憶の中では見た覚えが無い。
「相席してもよろしいでしょうか?」
アイナの申し出にハスミは周囲を目だけで見渡す。朝食時にはまだ早い六時四十五分だが席はポツポツと埋まり始めている。ここで空いている席へどうぞと言うのは少し周りからの印象が悪くなってしまうだろう。ハスミはどうぞと短く答えた。
「───珍しいですね」
疑問を口にすると、アイナはきょとんとした顔をする。だが、少しして言葉の意味を理解したのか、「えぇ、買い出しに行くのをすっかり忘れていて・・・・・・」とアイナは言った。同じ三年生なのに初めて貴女が朝食にここを利用しているのを見たんだが? という引っかかりはあるものの、そうなのかと一応納得する。
「ハスミ様はいつもこちらに?」
今度はアイナが質問する。それにハスミはそうだと返答した。日替わり定食とカフェオレ、特性ゼリーを食べるのがハスミの朝の日常だった。今日の日替わり定食は、白米と豆腐の味噌汁、サラダ、焼き鮭にだし巻き卵、漬け物という和食である。
そういえばアイナの食事はなんなのか、少し目を向けてみる。
カリッと焼けたベーコンにオムレツ、焼き色の綺麗なパンとオレンジジュースが一杯。それと付け合わせのサラダ。少なくないと言えば少なくないが、ハスミとしてはもう一品欲しいぐらいの量である。
「主の恵みに感謝を」
十字を切り、手を合わせてアイナは食前の祈りを口にする。これもまた彼女らしい。いただきますと手を合わせる者はそこそこ居るものの、ここまでしっかりと祈る者はそうそう居ない。シスターフッドの敬虔な生徒ならばするかもしれないという具合だ。しかし敬虔なはずなのに、解釈はだいぶ自己流という他ない。『人は神に許され、すでに楽園に戻ることを許されている。ここは楽園である。楽園で人は服を着る必要はあるのか』そう語っていた彼女の熱弁っぷりは記憶に残る。
そのまま食べ始めるのを眺めていると、アイナは少し怪訝そうな視線をハスミに送る。それに何でもないと首を振って視線を自分の食事に戻す。
「───長いつき合いではございますが、こうして食事を共にしたことはありませんでしたものね」
その言葉はハスミへの語りかけにも、独り言のようにも思える。それに対しハスミはただ首を縦に振るのみで返事をする。
ハスミもアイナも同じ三年生。この三年を長いつき合いだと表現するのは人によるだろうが、ハスミもこの考えには頷く。なにせ同級生だ。正実の仕事で欠席することもあるものの、何度も同じ教室で授業を受けた。そして、何度も連行した、されたという間柄でもある。勿論連行された側はアイナ、連行した側はハスミだ。まあ、そう考えれば他の級友よりは長いつき合いだろう。
「そういえば、今日はご出席なさいますの?」
「二限目からになりますかね、まだ弾薬庫立てこもり事件の処理が終わらなくて・・・・・・一応学校側には伝えてありますのでお気になさらなくてもいいですよ」
わかりましたと頷くアイナは、そのまま「確か、その立てこもり事件というのは───」と話を続ける。彼女も知っているのかと少し驚いた。
虐められている生徒を助けるために転校生が私闘を開始。事態の収拾を図ろうとした正実も相手取り、見事なゲリラ戦法で数時間立てこもった。個人的な感想としては、なかなかの戦上手という他無いが、彼女の消費した武器装備弾薬の確認とブービートラップの解除など増えた仕事のことを考えると頭痛もする。
いかに始まりが正義の心、義侠心から来るものであったとしても、何事もやりすぎは良くない。過剰防衛の言葉もあるように、多すぎるモノは時として善を悪として捕らえねばならぬことになる。それでは誰も報われない。
「その言葉、マシロ様にも伝えておいてあげてくださいまし。少し悩んでいるようでしたから」
なるほど、この事件の情報源は彼女か。確かに正義を信奉する彼女にとってこのような場合は正義とは何かを問われているようにも感じるだろう。
「わかりました、伝えておきます」
そういうとアイナはにっこり微笑む。
「・・・・・・ごちそうさまでした。では、お先に失礼します」
その後、しばらく取り留めのない会話と食事を続けていたが、先に食べ始めていたハスミが食べ終わり、この会食は終わりを告げる。皿に残ったオムレツのケチャップソースを千切ったパンですくい取り、口に運ぶアイナはハスミの言葉にコクンと小さく頷いた。
時間は飛んで放課後のことである。まだ空を橙に焼くほどではないが、そこそこ太陽が傾いている時分。ハスミは数人の部下を連れて正義実現委員会の会館に戻ってきた。
「あら、おかえりなさいませハスミ様」
「・・・・・・なにをしているのです」
そこにはニコニコとお茶会を開いているアイナがいた。お茶会と称した理由は、そこに数人の正義実現委員会の生徒がおり、一人はクッキーを、一人は紅茶を、一人はクラッカーにジャムを塗っている最中だった。だが、そんなことはあまり問題ではない。いや、部外者が勝手に乗り込んでお茶会をしていることは問題だが、それ以上にハスミにとっての問題があった。
「それ、私の───」
そう、そのお菓子類はハスミが秘蔵していたものである。大事に食べておこうと思っていたもの。それが何故かこうして振る舞われている。いったいどうして隠し場所を知ったのか。そもそもどうやって引っ張り出してきたのだ。
ハスミの言葉に正義実現委員会の生徒たちは皆固まる。反応的にはどうやら知らなかったらしい。と、なれば犯人は一人だろう。
「えっと、これは───」
なにか釈明を始めようとしているが、もはや言葉は不要だ。許せない。ここ一週間で一番の怒りがハスミの中に渦巻く。汝他人の物を盗む勿れ。十戒の一節が説く決まり事は今破られているとハスミは捉えた。
「問答無用! 貴女やって良いことと悪いことがッ!」
ジャキッとハスミは愛銃をアイナに突きつける。ハスミの指は既に引き金に掛かっており、容易く銃弾が筒先から飛び出てくるだろう。もはや交渉の時間も釈明の時間もない。そう判断したアイナは即座に逃走を選択する。
持っていたティーカップとソーサーを手放し、席を立つ。勿論そのような隙をハスミが逃すはずもないが、淑女にあるまじき茶器の放り投げによって、アイナの脱出は無傷の達成を約束される。それは茶器を受け止めようと手を伸ばした正実生徒がハスミとアイナの間に入り込んでしまった為であった。ハスミは小さく舌打ちをして構えなおす。しかし、その時には既に別の障害物へ隠れてしまっていた。
「あっ、あの・・・・・・」
「ッ! 何がしたいんですか、あの女は!? 仲良くしようとしておきながら、このようなことをしたり! 意味が分かりません!」
何か話しかけようとした後輩はハスミの怒気に気圧され、何も言えずに黙ってしまう。それに気づかないハスミは、そのまま連れて戻ってきた部下を引き連れアイナの捕縛へ飛び出していった。
「・・・・・・どうかしたか?」
騒然としたホールに一人の少女がフラリと戻ってきた。青白い顔に乱れた長い黒髪、刺々しい翼と尖った歯が怖さを醸し出している。
彼女の小さな赤い瞳がギョロリと近くにいた生徒に向かい、困惑気味の眉を更に深くしながら問うた。
「あの、ハスミ副委員長がツルギ委員長の持ってきたお菓子を見た途端に怒り始めて───」
一部始終を聞き出した委員長、剣先ツルギの瞳がぐるりと上を向く。それは一見気絶したかのような動きだが、彼女をよく知る者たちからすればそこまで驚くほどでもない動きである。瞼ギリギリまで引き上がった瞳は呆れと後悔を示し、ダラリと開いた口からは「あ~」と声がこぼれ出す。
そう、ハスミのお菓子を持ってきたのはツルギだった。その理由はハスミがダイエットをしようとしていたからなのだが、ツルギがお手洗いに席を外しているタイミングで帰ってくるとは思っていなかった。もしこれがツルギもいる状況であれば、アイナに矛先が向くことはなかっただろう。隠し場所や持ってきた方法もすぐに見当が付いただろう。そして、何故振る舞われているのかも分かったはずだ。
ただツルギが居なかった一時の隙。ただアイナを強く意識する一日の始まりだったこと。ただ最近ハスミはお菓子を制限してカリカリしていたこと。そのような偶然が重なった結果、騒ぎに発展していくのだ。
だが、普段のことであれば、どこかで少しだけ歯止めが掛かっていただろう。それがアイナという人間の特徴の一つだ。最悪の事態に陥る前に、強靱な蜘蛛の糸が一本垂れてくる。それを掴み、登っていき、途中で途切れることなく繋がるのは、彼女の普段に罪が許される程の行いがあるからである。今日それがなかったのは、やはり「汝他人の物を盗む勿れ」「汝他人の財産を貪る勿れ」という古き掟に反していると判断されたからだろう。例え財を振る舞ったのが他人だとしても、それは盗まれたもの、それは他人の財産。よって審判者は有罪を下したのだ。
「おのれ、ちょこまかと走り回って!」
吹き抜けの回廊を走り抜けるアイナを追って黒い服の少女らは植え込みを飛び越えた。右へ左へ自由に走り抜けるに従って、馬の尾のように棚引くアイナの金髪。ハスミの認識において、アイナはそれほど運動が得意ではないという印象だったが、それを改めねばならない。普段はすぐに捕まるのにという言葉を飲み込み、鋭く射撃を命じる。ハスミの銃は狙撃銃だが、連れている後輩は突撃銃だ。足を止めることなく撃てる。勿論走りながらでは命中率は下がるが、アイナの進みたい方向を撃つことで進路妨害を行う。それだけでも逮捕には十分な貢献となる。
と、思っているのだが、アイナは迷わず銃弾の雨に身をさらす。まるで当たらないと最初から知っているように、何も考えず銃弾の前に飛び出る。いかにキヴォトスの住民であっても銃で撃たれれば痛みを感じる。威力が高ければ痣だってできる。アイナは痛みに恐怖が無いわけではない。痛みを喜ぶタイプの変態でもない。そのことをハスミは知っている。だからこそ不可解なもののひとつなのだ。
そして、ハスミの思いを裏付けるように銃弾がアイナに当たることはない。その全てがそもそも見当違いの方へ飛んでいく。だが、たまに当たりそうなものがあっても、振り上げた腕と胴の隙間を通り抜けたり、跳ね上がった小石が銃弾に当たって軌道を変えたり、偶然が何度も発生するのを目の当たりにすれば気味も悪くなるというものだ。
以前、尋ねたことがある。その時彼女はただ笑って、運がよかっただけと答えていた。
「……こんなに当たらないのは運がいいとかいう次元じゃないでしょうッ!」
もちろん本当に全部当たらないわけではない。数発は掠ったりもする。スカートの端を掠れば裾が跳ね上がり、白桃のような尻たぶが見えてしまい、頬の横を掠めれば熱さで頬が赤みを帯びる。だが、それでも直撃はなかった。
これはいっそ少しでも立ち止まり、自分が撃った方がまだ当たるのではないかという考えがよぎるが、すぐに頭を振ってかき消す。現在アイナは中庭をスルスルと走り抜けている。狭いならいいが、ここはトリニティ総合学園キヴォトスでも屈指のマンモス校であり、お嬢様学校でもある。財力も土地面積もある中庭には生垣や樹木があり、花壇などが点在する。そして四方が道でどこからでも逃げ出せる。一瞬見失うだけでも随分差ができてしまいかねないのだ。部下に追わせて、自分は一発撃って、当たらなければ部下のほうを追いかけるという手もあるが、だとしてももう少し見失いにくい場所でやりたい。ここまで当たらないようなら、そのまま撒かれてしまいそうだと感じても仕方のないことである。
「早くッ、止めてぇ───くださいまッ、しぃ!」
頭の中に浮かぶタイミングで、閃くままに体を動かす。右に一歩、左に二歩、腕を伸ばして、つんのめって、その瞬間に左腕の上を銃弾がなぞって飛んでいった。
走りはじめてどのくらいか、十分も二十分も経っているように感じるし、まだ五分も経っていないように感じる。そろそろ息も途切れ途切れで、胸が苦しくなってくる。チラリと後ろを見れば、まだ余裕が窺えた。普段訓練を積んでいる生徒と体育の授業やオフで少し運動しているだけの生徒では体力が違う。一時的にはこうして逃げられても、次第に距離は縮まり、最後には捕まってしまうだろう。そんなものは最初から分かっていた。だからアイナの目的は、逃げられるだけ逃げ続けること。その内誤解を解いてくれる誰かが出現するのを願って逃げ続けることだ。
だが、アイナの想定と違って、助けの手はやってこない。
「電話、でもッ! なんでもぉ! っくぅ───アッぶないですわねぇ!」
太股に熱さを感じ、顔を歪める。直撃ではない。だが、確かに銃弾が肌と触れ合った。思わず竦んでしまう足を無理矢理踏み出し、大理石製のベンチの陰に転がり込む。制服が土で汚れ、擦れた肌に傷ができた。だが、そんなことで泣いていられない。今捕まれば、そのまま折檻が始まるだろう。それは流石に御免だ。
さて、左右どちらから飛び出すか、痛みから逃走に意識を切り替えた瞬間、天啓が降り立った。
パキューンと銃声が響く。正義実現委員会の制式装備の音ではない。その銃声の方向もアイナが隠れたベンチからである。ついに反撃に出たのかと身を隠すが、着弾した様子がない。どこへ撃っているのか分からないが、そのまま続けて五発の銃声が連続して響く。一体全体何を考えているのか。いっそこのまま近づいてみようか。そう思って物陰から少し顔を出した次の瞬間。
「ケヒャヒャヒャヒャ!」
その声はよく聞き覚えのある声だった。正義実現委員会の委員長。自分の大切な友人、剣先ツルギの笑い声。その声は上空から降り注いできた。
ハスミが声の方向を見上げるよりも先に、剣先ツルギは着弾する。
朦々と土煙が舞う中から彼女は出てきた。その手にはショットガンが二丁握られている。そして獲物を探す恐竜のように首を擡げて辺りを見回した。パチリと目が合う。そして彼女はちょこちょことハスミに近寄ってきた。
「えっと、ツルギ? なにも貴女まで出てこなくても───」
わざわざ委員長が出張ってくる案件ではない。何故来たのか尋ねる言葉は、ツルギが口にした「済まない」という言葉で遮られる。
「済まない、とは?」
何のことか分からないハスミはツルギに問いかける。既に彼女の頭からはアイナのことが消えており、急にやってきて謝るツルギの行動に対しての疑問で埋め尽くされていた。
「その・・・・・・ハスミ、お前のお菓子を持ってきたのは私だ」
「はい? どう言うことですか?」
想像もしていなかった言葉にハスミは困惑する。自分のお菓子を盗んだのはツルギ? 何でそんなことを、と言う疑問は数瞬の後、勝手に氷解する。
「まさか、ダイエット・・・・・・?」
コクコクとツルギが頷いた。
嗚呼、なんということだろうか。ならばこの騒動は私の勘違いであったということか。そう思い至った時、やっとハスミはアイナのことを思い出した。
「だから誤解だと申しましたのに・・・・・・でも、食べたのは事実、そこは謝りますわ。申し訳ございません」
頬を膨らませ、不貞腐れた表情を浮かべるアイナが、ひょっこりと大理石の陰から出てきた。確かにハスミの物を勝手に食べたのは悪かった。その点についてはアイナも申し訳なく思うところはある。そのためしっかりと頭を下げた。
「・・・・・・私も、大人げなかったですね。こちらこそすみません」
ハスミもそれに応えて頭を下げた。
そしてツルギも続くように頭を下げた。
後にアイナは語った。
「スイーツに飢えたハスミ様はツルギ様より恐ろしいですわ」