・転生特典、アルカナフォースを削除しました
・原作に入るのが遅れそうなので時間を飛ばしました
・閑話として過去話をいれようと思います
・名前だけの新キャラ大増殖警報発令
・会話キャラは3人のみの手抜き構成
・次回から原作開始です
・今話の時系列は原作開始15年前~3ヶ月前程度です
机の上には紅茶と珈琲のカップが置いてある。ジラマ婆の使役する使い魔、少女の外見をしたキキーモラが用意したものだ。また、カップは私が戯れに付与した魔術によるもので、中身の温度を一定に保つことが出来る。が、所詮は戯れであり、少々便利な程度の品だ。
「ディオ様、クロウ殿が参られましたぞ」
部屋がノックされる。ジラマ婆がクロウを連れてきたようだ。
「ん?来たか、クロウ。悪かったな、呼び出すような真似をして」
だが、呼び出して伝えるべき事柄ではある。彼の望みであるドラゴンに関することもあるのだから。
「気にするな。それにしても久しぶりだな、ディオ」
「そう言ってもらえると私としても嬉しいよ。
前にゆっくり話したのは、神器に分割されたヴリトラを集めてどうにか出来ないか考えていた時だから、随分と久しぶりということになるな」
「結局は集める労力に結果が伴わないようだから保留だったか?
とりあえず、昔話もいいが、先に用件を聞いてもいいか?わざわざジラマ婆で俺に連絡を取って、雑談をするために呼んだんじゃないんだろう?」
「そうしようか。いくつか伝えることがあるが……まずは、そうだな。
1年ほど前だが、赤龍帝の篭手の気配を感じた。おそらく赤龍帝の篭手の転生が起こったと見て良い」
『赤龍帝の篭手』オリジナルの、ドライグの能力を完全に使えるわけでもないため、私にとっては特に興味の持てない程度の能力しか有さぬ神滅具であるが、今の私の目的には2重に意味を持つ神滅具である。これも二天龍が引き寄せる戦いの流れだというのなら、因果な物だな。
「……ほう、それで?白龍皇のように見所がありそうな生まれなのか?」
「さすがにあれは例外だろう。悪魔のハーフが生まれた情報は入ってないし、今はまだ神器が覚醒した様子もない。故に生まれは人間だろう。それに、まだ1年だ。1歳児が発現できない程度は今までの例をみても妙な物ではない。それに今後10年程度で早熟に発現する可能性はある。人間の所持者でも強くなった例もある。しばらく待ってみれば良いさ」
「まぁ二天龍の担い手が共に逸材だったことはそうはなかったしな。お前と共に行くようになってから出合ったベルザードは別格だった。フフッ……手合わせではなく本気で殺りあいたかったな」
「余り派手に動くと色々と鬱陶しい時代だったのもあるが、手合わせで留めろと指示したのはすまなかったと思っているよ」
「わかっているさ。今代の赤龍帝に期待でもしていよう」
「今までに無い赤龍帝になってほしいものだ。……彼女を取り戻すためにもな。
用件だが、とりあえず赤龍帝が転生したということが一つ。二つ目は、近いうちに拠点を日本に移そうと思っているから、それの連絡だ」
私は、欲しい物は必ず手にいれる。必ず、だ。既に私が生まれてから1500年以上経過している。転生前の記憶はほとんど全て失ってはいるが、21世紀の初めに物語の幕が開けること、駒王町が舞台となることは覚えている。赤龍帝が物語の重要人物である以上、機会を窺うにも拠点は近いほうが良い。
「拠点替え?赤龍帝関係か?」
「あぁ、もう20世紀も残り数年で終わるだろ?キリがいいからな。赤龍帝の生まれた町にでも新しく拠点を移そうと考えたわけさ。
ジラマ婆、他の連中の様子と拠点の進捗がどうなっているかわかるか?」
ジラマ婆に紅茶を飲みながら尋ねる。余談になるが私は紅茶とワイン派で、クロウは主に珈琲、酒なら、ドラゴン故か酒精の強い物を好む傾向にある。
「えぇえぇ、存じておりますじゃ。
まず、ロフォカレ様がなされとる企業指揮や株取引、ワシらが団体で所有しておる鉱山などがありますでな、人の世の金に関しての心配はまったくありませんじゃ。人間を介した取引で悪魔側の資金も潤沢に蓄えておる。今はロフォカレ様が日本で裏工作をしておりますじゃ。彼の方は死んだことになっておりますで、露見せぬよう念を入れておるわけですじゃな。ワシら『月の繭』のうち、名まで他勢力に知られておるのはディオ様とワシだけで、ちゃんとクロウ殿、ロフォカレ様、ピエール、弥彦の情報は『誰か他にメンバーがいる』程度の流出で留めておりますぞ」
ジラマ婆は魔術関係だけでなく、この手の情報のまとめ、実務関係にも非常に適正が高い。魔術に関するアドバイザーとして仲間になってもらった手前、事務などしなくても良いとは言ったのだが、本人曰く『ディオ様は、ワシが誇りを持って仕える値する方じゃからの。出来ることはさせて下され』と言い返されてしまった。実際助かっているし害があるわけでもないので、今ではジラマ婆とロフォカレにこの手のことは一任している。
「む、俺の情報はまだ伏せれているのか。我ながら名前が売れすぎているのと、ロフォカレのように後始末が得意な性質ではないからな。カバーしきれなくなって既に気づかれていると思っていたぞ。礼を言う。そして今後もできればよろしく頼みたい」
「了解しましたぞ。クロウ殿かディオ様の指示あるまで、出来る限りクロウ殿の存在と、ワシらの仲間だということは伏せておきますじゃ。
続きですがの、ロフォカレ様は既に日本に入り、悟られぬよう基盤づくりを。ピエールは日本の大学で教師の資格を取ろうとしておるようですな。『駒王町に教師として自然に入り込む』等と言っておりましたが、アレは教師をしたいだけじゃろうと思います。
最後に弥彦ですがの……日本各地を目的もなくフラフラしとるようですじゃ。ディオ様が行く頃までには現地に行くと言っておりますし、あやつは計画を立てるといった作業にはまるで向いておりませぬ。実動させることが無い今は、バレ無い程度に自由にさせるが吉と思っておりますじゃ」
「そうだな。弥彦に計画だの考えることを任せても、結果は微妙だろう。その采配で構わん。5~7年後を目安に私が向こうに渡れるよう手配をしておいてくれ」
「かしこまりましてございますじゃ」
「と、いう訳だ。クロウ、君はどうする?」
「俺は……。やはり今しばらくは世界を見て回ることにしよう。ただ、興味は十二分にあるからな。妨害され難い転移術式を用意してくれないか?面白いことが起こっているのに、それに間に合わないというのは少々堪えるんだ」
「それくらいなら任せてくれ。ジラマ婆、出来るな?」
「お安い御用ですじゃな。向こうの拠点の準備が出来たら転移札を用意しておきますじゃ」
「私は戦闘に関しない物はそこまで得意じゃないからな、よろしく頼む」
目的にまでの距離が多少あろうが、ジラマ婆ならば問題なく転移させる術式を作るだろう。こと術式に関しては我が姉か、それ以上に秀でているだろうことは想像に難くない。さて、最後の用件を伝えねばならんのだが、どう説明したものか……。当たり前だが『擦り切れた前世の記憶が根拠です』などとは言えん。面倒なことだ。
「三つ目の用件だが10年、いや、15年後に一度、私がタロットを渡した皆で集まろうと思う」
「ほう、そういえば今まで意図して集まったことなどなかったな。
偶然全員揃ったことならば以前もあったが……なにかあるのか?」
「そう、だな。強いてあげるなら勘だ。
神が没し、戦いたがり共の沸いた戦場一つ消し飛ばしたあの時から、世界は緩やかに進んできただろう?このまま緩やかに進むのも悪くは無いが、そろそろ大きく動くような気がしてな。まぁ早い話が最初に言ったとおり、一度集まってみるのも良いという私の直感だよ」
「……わかった。15年後だな。一度集まってみるのも悪くはないだろうし、直感は案外馬鹿にできん。それに、15年後なら赤龍帝も目覚めているかもしれん」
やれやれ。後のメンバーにも同じことを伝えねばならないとは。適当にでも理由をでっち上げるべきだったか?
「用件は以上だ。君は何かあるか?用意しておくものでも、情報でも、何かしらあるのなら聞こう」
予想はついているがな。まず間違いなく彼は―――――
「では、少しばかり戦おうじゃないか」
―――――『闘争』を選ぶ。
「君ならそう言うと思っていたよ。準備はしている。ルールは以前と同じでいこうか」
訓練は欠かしていない。どの程度までお互い強くなったのか確かめる良い機会だ。
「それでいい。では始めよう。今日こそ貴様を倒してみせるさ」
「やらせんよ。訓練故の制限があるからといって、我が『世界』が曇ることなどない」
そう言って私達は好戦的に笑うのだった。
――――――――――
15 years later
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皆で集まり、今後の情勢についての意見をまとめる。簡単に言えばそれまでだが、なかなかどうして舵取りは難しいものだ。その後は恒例のクロウとの模擬戦。15年前は惜敗となってしまったが、今回は私が勝利を得ることが出来た。
「今度は俺の負け、か。
防げない方の『世界』抜きとはいえ、15年前は勝ったからな。今回も同じ条件だしいけると思ったんだが」
地面に大の字で倒れたクロウが言う。元々が強大なせいでわかりにくいが、膂力も呪いも着実に強くなっている。まさか
「あぁ、今回は私の勝ちだ。
それとクロウ。このディオがそう何度も負けるなんて思わないでくれよ」
存外、私は負けず嫌いなのだ。勝つために耐え忍ぶことはあっても、負け続けるなぞ許せるはずが無い。
「ハッハハハ!流石に付き合いが長いんだ、そんなこと思ってないさ。ただ、いい勝負が出来ると考えていたからな。今回のように一方的に負けるとは、俺もまだまだ甘いようだ」
「甘いのならば鍛えればいいだけだろう。そもそもこれはそのためにやっているんだしな」
負けることは『無駄』ではない、負けて、負けて、負け続けても、最後に勝てば、『勝利者』となればそれが結果。それだけが真実だ。
それにしても、毎度毎度クロウと戦うと、異空間とはいえ周囲が凄まじいことになるな。今尚周囲には黒く燻る死の呪いと、私の使った付与魔術のこめられたナイフ、砕けた地面に倒壊した家屋と、これが異空間ではなく現実なら修繕にどれだけの資金が必要かわかった物ではない。
「……思えば、俺が最初お前と戦った頃から、もう1000年は経つのか」
「うん?どうしたクロウ、らしくないな。感傷か?」
「まさか!ただ、お前と出合ったことで独りでは知り得なかった多くを知り、友と呼べる存在も得た。これも一つの行き着く先なのかと、そう思ってな」
「そうか。だが、これからもっと面白くなるぞ。
……だから、感傷に浸るのはもっと後にしておけよ」
「ええい、感傷ではないと言っただろう!
だが、改めて礼を言おう。ありがとう。お前と友誼を結ぶことができて良かったと、心から思う」
「フンッ。勝手に言っていろ。
ところで、この15年で新しく入った二人についてどう思うか、君の意見を聞いておこうか」
急にこんな柄にも無いことを言いだすとは……。少々露骨に聞こえるのが癪だが、話を変えておくか。
「あぁ、あの子供と黒猫か。
最初はどうかと思ったが、黒猫は最初にあった時よりは随分マシになったな。以前は利用して裏切る心積もりだったのかもしれんが、少なくとも今はそんな気配はなかった。術に関してはジラマ婆を見ているせいだと思うが、少々小手先に走りすぎているきらいがある。限界付近での力の行使に忌避感があるのも以前と変わらず、だな。まぁ悪くはないだろうが、同程度の輩と連携の取れるチームを組んで貰わないと、闘争の相手としては見れん」
予想より少々上の評価だな。直接聞き出した内容と、ジラマ婆・ロフォカレが裏づけを取った情報を見て、随分と面白い半生を送っていると感心した物だ。だからこそタロットを渡したし、黒歌の数奇な運命が今後どう転ぶのか知りたいと思ったのだから
「君と戦うのは私でも少々骨が折れるんだ。そこらに君と同格が転がっていたのでは堪ったものではないよ。
で、鳴上についてはどう思う?」
「あの子供か。最初は気勢だけが先行しているように思えたが、今日会ってみて随分と進歩したものだと思ったぞ。まぁそれでも俺達の中では一番弱いんだろうが、この成長率をどこまで維持できるのか気になるところだな。惜しむらくは魔力の扱いの適正が偏りすぎていることだが、物は使いようだ。教導は弥彦とピエールだったか?俺と戦えるまで育てて欲しい物だな」
鳴上は私が日本に渡る前、ちょうど面白そうな情報が入ったため見物に行き、そして気まぐれに拾ってきた子供だ。衰弱が酷く死ぬかと思っていたのだが、持ち直した為、私は彼女に
「どうだろうな。1対1で君と戦うのは無理だろうが、将来的には誰かと組ませれば面白いやもしれん」
「そうなれば俺も嬉しいんだがな。そういえば、残っているタロットは何枚になったんだ?」
「ジラマ婆が『星』と『塔』を。
君が『死神』と『刑死者』を。
弥彦が『正義』と『運命の輪』を。
そしてピエールに『隠者』と『力』、ロフォカレには『教皇』と『皇帝』を渡している。ここまでは大丈夫か?」
「あぁ、問題ない」
「新しく渡した二人のうち、黒歌には『魔術師』と『愚者』を。鈴には『悪魔』と『節制』だ。
それと……、君は知っているんだったな。『太陽』と『月』も既に渡した相手がいることは」
『太陽』と『月』のカードに関しては少々ややこしいことになってはいるのだが、何、私には時間などいくらでもある。待つことも勝利するためには必要なのは身を持って知っている。前世の話ではあるが、別にジョースター卿を暗殺などせずとも遺産は私の物になったのだ。もっとも、あの頃の私の時間は有限だったので、焦って容易な案に走ったのは仕方がなかったと考えている。方法について詰めが甘かったのは反省せざるを得ないが。
「あぁ、あいつのことは私も残念に思っている。私と戦えるだけの技量とそれに見合う神器を持っていたからな。
そういえば、お前がブランドーと名乗りだしたのはあの頃からだったか?」
「そうだ。私にとって『ブランドー』の性は唾棄すべき汚点でね。その『ブランドー』を名乗ることで自分を戒めようかと考えたわけだ。
……さて、残っているタロットの話だったな。現時点で残っているのは『戦車』『恋人』『女帝』『女教皇』の4枚だ。」
「残り4枚か。私が3人目だったあの頃に比べて、随分増えたものだな」
「なに、何百年も増えないことがあれば、ほんの10余年で2人も迎え入れることもある。探していればやがて引き合うさ」
私とジョースターの血統のように、数奇な運命は存在する。であれば、今は、備え待つ時期だろう。
「お前がたまに言っている出会うことの『引力』か」
「さぁて、どうだろうな。もう動けるだろう?そろそろ戻ろうか」
クロウが起き上がれるよう手を出す。模擬戦が終わったことをジラマ婆に伝えねばな。戦闘後の始末をつけねばならん。まぁ、後片付けといっても私とクロウの戦闘では、異空間を直すよりは破棄して作り直すほうが手間がないのだが。
もうじき4月になる。この国では4月で年度が切り替わるのだったか?とすると今代の赤龍帝―――兵藤一誠は16歳だろうか。転生後の知識ではない為か擦り切れきった前世の記憶の断片は、今年から物語が始まると告げている。この世界に生れ落ちたのが最早1500年も昔だ。展開など既に覚えてはいない。だが、覚えてないからこそ楽しめるというものもあろう。私の目的の根は最初から何も変わってはいない。『魂の在り方』、意思の、命の可能性を知りたいだけなのだから。
今後ともよろしくお願いします。
一応見直しはしていますが、誤字脱字があれば報告していただけると助かります。
…………お気に入りとか、感想とかしがあると、ちょっぴり元気になります。