「…なんで魔理沙がいるのよ」
「なんで、とは挨拶だな。霊夢。
私はこの現場に居合わせたんだぜ?偶然だがな」
人里につくと、早速目にしたのは中心街で人々が集まっているところ。
とりあえず、あてもなかったため慧音とともに降り立ってみたのだが、その中心にいたのは、どことなく真剣な顔をした魔理沙と、泣きじゃくる小さな男の子。そして中心街で小物を売っている店の店主の男であった。
「それで?何があったの?」
とりあえず、魔理沙を無視して、子供と店主の顔を交互に見つめる。
「外野はだまって…って、あんた、博麗の巫女か!!それと、寺子屋のところの先生。いいところに…!!
このガキが、うちの店の物を盗んだんだ!」
「…って、お前!? お前がやったのか?!」
子供の顔を見た途端に、わたわたとし始める慧音。
どうやら、寺子屋に通っている子であるようだった。
子どもは、慧音の顔を見た途端に、さらに激しく泣き始める。
「…慧音先生…!! 違うんです!!僕はやってない!!やろうとなんて思ってない!!
…確かに、『この石綺麗だなぁ…』とは思った!けど、とても僕のお小遣いで買えるものじゃないって思ったから、お店に戻したよ!!」
ちらりと男が持つ石に目をやると、緑色に光る石。
これは…金緑石だったか?石には詳しくはないが昔、魔理沙に「面白いもん見つけたんだ」と見せられたことがあった。
たしか、当てる光によって見える色が違うという、珍しい石だった。
「実際に、お前のポケットには石が入っていたじゃないか!それに、俺が追いかけたとき、お前は逃げた!!」
「だって突然怒って追いかけてきたら、逃げちゃうよ!!石は…本当に知らない!!」
「…この子は!そんなことをする子じゃない!!」
ダメだ、これは。子どもも、店主の男も。次いでに、慧音も。みんな冷静じゃない。
この場を一度おさめようと、口を開きかけたそのとき、魔理沙がぴしゃりという。
「お言葉を返すようだがな、私はこいつが石をポケットに入れるのを見た」
「ほら見たか!勝手に物がポケットに入ることなんて_」
「__だが。 こいつは確かに一度、店の棚に戻した。そして次の瞬間、ポケットに入れたんだ。 その時、私はわずかな妖力も感じた」
途端に周りがざわつく。
こいつは妖怪か?それとも妖怪に唆されたのか?いや、今多く起こっている奇行では?と、様々な声が飛び交う。
「…」
私は足元で泣き崩れている子どもの前にしゃがみ、子どもの顔をぐっと上げ、じっと見つめて、口を開く。
「…いや、こいつは妖怪なんかじゃないわ」
「その通りだぜ。霊夢。なぜなら、こいつは妖力に影響されていただけだからな。
…石をポケットに入れたあと店から離れたこの子を店主が追いかけ、逃げた先にいた私がとっ捕まえた。その時、妖力をまだ感じたから、そのまま少し魔力で吹き飛ばしてやったんだ」
魔理沙がそう答えると、またしてもざわつく群衆たち。
子どもの手に触れながら目を瞑り、精神を集中し、妖力の残骸を探す。
「おいおい、まさか、そこから犯人を炙り出そうっていうんじゃないんだろうな?」
魔理沙がひきつったような声で言う。
「ちょっとだまって!うるさい!今、集中してるから!!」
途端に口を紡ぐ魔理沙と、静まる群衆。
僅かすぎて、「誰のか」までは判明できないが…
「影、ね」
ぽつりとつぶやき、目を開け、すっと立ちあがり、発言する。
「影についていたみたい。この子の。この子の精神が妖力によって侵されたんじゃなくて、影に妖力が宿った状態ってこと」
「つまり、こいつは影に操られていたってことか? でも、影自体はこいつのものなんだろ?」
「…そこまではわかんないわよ。ただ、影に妖力があった。影に『憑いていた状態』だったというのがわかっただけよ」
二人のみの会話が収まり、静まり返った静寂を、一秒たりとも子どもの傍を離れなっかた慧音が静寂を破る。
「…いまいちピンとこないが…ひとまず、この子が悪いってわけではない…ってことだな?」
「必ずしも、とはいえないけど、とりあえずそういうことでいいんじゃない?とりあえず、実害はなかったんだし、解散解散!!
…あんたに憑いていたもんは綺麗さっぱり祓ってやったし、これでも持ってなさい」
霊力をこめた札を子どもに渡し、全体に向けて、はい帰った帰った、と促す。
「おっと、安心しな。博麗の巫女がこの異変解決に向けて動いてくれるってよ。もちろん、この私もな」
何か言いたそうな群衆に向けて、魔理沙がすかさず群衆に向けて言う。
「ちょっと、勝手に…あぁ、もういいわ。この私が様子見しようとしていた途端に、これ見よがしに騒ぎを起したのだから。
…博麗の巫女を敵に回したことを後悔するがいいわ」
途端に、群衆は安堵の声を漏らし、これで一安心だ、と帰路につき始める。
慧音は店主に何度も頭をさげ、子供を家まで送っていった。
「…んで、どうやって犯人を探すんだ?」
魔理沙と二人きりになった道で、魔理沙は早速霊夢に声をかける。
「…それをこれから考えるのよ」
「やっぱりな」
苦笑とにやりとした顔を混ぜたように、魔理沙は笑う。
「あんたに聞きたいんだけど、妖力はいつから感じた?」
「…少なくとも、ずっと感じてはいなかった…かな。遠かったから、確かなことだとはいえないが」
「…そう…。 とりあえず、過去に奇行したやつらに聞き込みするか…あとは人里で妖怪が紛れられそうなところをしらみつぶしに調べていくしか…あぁ!めんどくさいわね!」
「私は…そうだな。よく人里に来ている妖怪(やつら)を当たってみるか…。あとはそんなことができそうな妖怪がいないか、調べるしかないな」
「あら、手伝ってくれるのね」
「さっきも言ったろ? ちょうど暇していたし、乗りかかった船だしな」
少し皮肉気に魔理沙にいってやると、面倒ごと大歓迎!と言わんばかりの様子で答える。
霊夢は、それを見て面倒だが…ま、一人よりましか…せいぜい巻き込んでやろう、と少し悪い考えをするのであった。
【2025/05/02 編集】小説の形式の変更、一部文章を書き換え