星核ハンター「桜花」の日常と波乱   作:あるふぁせんとーり

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私達の戦いへ

 「調和セレモニー」開幕まで残り8システム時間のドリームリーフ。夢境ショップから戻ってきた星達をギャラガーは「早い帰りになったな」と出迎えた。

 

「それでどうだ?求めるものは見つかったか?」

「ええ。今度は私達が道を切り拓く番よ」

「その言葉を待っていた。あの人の遺志が無事にあんたらに受け継がれてるんなら、これ以上俺が望むものはないさ。……もう気付いてると思うが、あの人の遺した道は決して生易しいものなんかじゃない。何故あの人は孤独に旅立つことを選んでまで未来の後輩に全てを託そうとしたのか、それだけはどうか忘れないでくれ」

「大丈夫だよギャラガー。だって私達には数があるからね」

「はは、それもそうだな。ファミリー相手でも、あんたらならあの人よりは勝ち目があるはずだ」

 

 フッと微笑むギャラガーに、星は「期待してて」と笑い返す。なのかが「あんたったらまた調子乗っちゃって……」と軽く嗜める中、姫子は話を続けた。

 

「これは私の推測が混ざるけど、ヴェルトの交渉結果を待つ前に私達も行動したほうが良いと思うの。もしかしたら、交渉そのものが立場を対等に見せかけるだけのハリボテかもしれないでしょ?ただでさえピノコニーはファミリーの領域、時間が経てば経つほど私達の不利に傾いていく。だったら、こちらから先手必勝で仕掛けた方が勝ちの可能性は高まるはずだわ」

「もしファミリーが星核を利用してるなら、そこは彼等にとっても絶対に触れられたくない領域のはず。そして、君達星穹列車は星核についてよく知ってる。もしかしたら、それは大きな武器になるかもしれない。……でも、これには1つだけ、大きな問題がある」

「問題?」

「うん。星核を交渉の材料にするためには、どうしてもピノコニーの星核である「大劇場」まで近づかないといけない。でも、セレモニーを控えた今……大劇場に侵入するのは、限りなく不可能に近いと思う。リスクは、あまりにも大きいよ」

「ホタルの言う通りね。今考えられる最大の障壁はあの大劇場に突入する手段だわ」

「あ、だったらウチ、その問題を解決できるよ!」

 

 手を上げて言うなのかに、「えっマジ?」と星は信じられないような顔で彼女を見る。誰もそれを否定しないその空気に、なのかは「ウチ、そんなに信用ないの?」と抵抗を図った。

 

「って、そんなことはどうでもいいの!実は「熱砂の刻」で、調和セレモニーの前にセレモニーに参加するスターを決めるためのオーディションが開かれるんだって!えっと……あ、そうそう!「スラーダ™セレモニーオーディション」!それで優勝すれば、「スター・オブ・ザ・フェスティバル」の称号と、大劇場でロビンさんと共演する権利が手に入るの!つまり、大劇場に行けるってこと!」

「それは……確かに、それなら解決できるかもだけど……どうすればそのオーディションに出れるの?」

「それがね……じゃじゃーん!」

 

 そう言ってなのかはドヤ顔で何枚かのチケットを取り出すと、星は「おおー」とパチパチ手を叩く。なんでも、ロビンファン限定のグループで融通してもらったらしい。こういうものに限っては役に立つ、と星は再確認した。

 

「ウチ、どうしても一度ロビンさんに会いたくて色々準備してたんだけど……もう会えちゃったし、今の状況考えるとなぁ……」

「ふっ、その企画はまだ残ってたのか。元々はミハイルがセレモニー前の前座として用意したおふざけだったんだが……使えるなら何でも使うべき場面だからな。試す価値は十二分にある」

「ええ、取り敢えずそのオーディションに参加しましょう。ギャラガー、あんたはどうする?」

「いいや、俺は良い。暴かれた「虚構」はそう長くは保たないからな。それに、あいつのことも託せた。俺のやり残したことはもう何もないさ」

「……そう。分かったわ。良かったら、一度星穹列車に遊びに来て。あなたに今の「開拓」の姿を見てもらわないと」

「そんなものはこの瞬間も見せてもらってるが……ああ、分かった。土産はアーカイブに追加する幾つかの情報、あとモクテルだ」

「ホタルはどうする?星穹列車と星核ハンター、立場は違えども、今の私達はあんたの力を必要としてる。力を貸してくれるならこの上ないわ」

「あたしは……星穹列車に協力したい。「開拓」に憧れてるのは本当のことなんだ。だから、その旅にあたしも同行できるなら……うん、最高の選択肢だよ」

「ありがとう。あんたの言葉、私も嬉しく思うわ」

 

 そして「あんた達、準備はいい?」と尋ねる姫子。星も、なのかも、ホタルも、揃ってその首を縦に振る。そして「盛大にかましてこい」というギャラガーの言葉に送られ、彼女達は「熱砂の刻」に出発した。

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