第2ステージ「銃の試練」はブラザーハヌに変身した二人がフンフン言ってる内に、ぶっちゃけ大した見どころもないままに終わってしまったので、彼女達は難なく最終ステージへ。最終ステージへ向かうバブルピンボールマシンの前で待っていたガイドは「最終ステージで待ち受けるディフェンディングチャンピオンを倒さなければ「スター・オブ・ザ・フェスティバル」の称号は手に入らない」と説明する。
「それでも、あなた達は進みますか?」
「もちろん!」
「うん。あたし達はそのために来たんだから」
「はは、聞くまでもないことでしたね。それでは改めて、スラーダ™リミテッドカンパニー協賛、第20回熱砂の宴「スラーダ™セレモニーオーディション」、第33試合、最終ステージ──「スター頂上決戦」!」
そしてバブルピンボールマシンに乗り込んだ二人を、ガイドは「それでは、お二人の健闘を祈りましょう!いってらっしゃい!」と送り出す。そのままマシンはレールを辿って「スター頂上決戦」のアリーナ1まで転がっていき、彼女達は決戦の地へ降り立った。奥へと伸びるレッドカーペットの一本道、その脇には薔薇の花弁が舞っている。「まさか……」と少し苦い顔をした星に、ホタルは「心当たり?」と問いかけた。
「心当たり、ってほどじゃないけど……いや、まさかね……」
「だ、大丈夫?そういうの「フラグ」っていうんでしょ?銀狼が言ってたけど……」
「あ、やめてホタル。そういうこと言ったら──」
「ああ、まさかまた再会できるとは!お久しぶりですね、友よ。それに、お連れの美しいお嬢さんもはじめまして」
星達より早く、ステージの中心で待ち受けていた彼は星達の姿を捕捉する。「この再会もまた「純美」の栄光の賜物でしょう」と感慨深そうに胸に手を当てる彼の名はアルジェンティ。先程桜花に頼まれてアベンチュリンを救い出した「純美の騎士」である。今はピノコニーでも「純美」を広めようと「スラーダ™セレモニーオーディション」に乗り込み、そして破竹の快進撃によってチャンピオンまで上り詰めていたところだった。ちなみにこのことは桜花も知らない。
「やっぱりあんただったか……」
「「純美の騎士」……インシァンから話は聞いたことあるけど……凄い、本物は初めて見るよ」
「おや、お嬢さんも「純美」をご存知なのですね。それは素晴らしい」
「ねえ、アルジェンティ。あんたピノコニーに何しに来たの?もしかして「セレモニー」のため?」
星が尋ねると、アルジェンティは「ええ、その通りです」と頷き、成り行きについて軽く話し出した。
「この星で盛大な祭典が行われていると聞き、これはイドリラ様の名を広める良い機会だと僕は「プライスレス号」を全速力で走らせてピノコニーへ向かいました。しかし、その道中で負傷者や「純美」の加護を保たぬ人々に手を差し伸べている内に少々時間が経ってしまい……こうして遅ればせながら参上したわけです。幸いにも、僕の手を取ってくれた人々も共にピノコニーへ辿り着けましたから、きっと彼等もこの夢の地と「調和」を堪能しているでしょう」
「うわ、この天然陽キャ聖人オーラ……流石に眩しすぎるね。ま、私は星だけど」
「それで、あなた達は何故ここまで歩んできたのですか?」
「ええっと、なんて説明すればいいかな……」
そして少し悩んだ後、ホタルは「この人なら間違いなく話を聞いてくれるだろう」と判断し、口を開いた。
「……あたし達は、この星を救うために来たんだ」
「星を救う?それはまさしく「純美」が為すべき義挙!力になれるかもしれません、良かったら話を──いえ、このオーディションの最終ステージを任された身、そのルールを歪めるわけにはいけません……」
「分かった、そういうことなら私から説明してあげる。簡単に言えば、このピノコニーの夢境は星核によって創られていて、私達はそれを封印しなきゃいけないの。これ以上の、犠牲を止めないとだから」
珍しく真剣なトーンで伝える星に、アルジェンティは「それは……なんと恐ろしいことでしょうか……」と表情を険しくして考える。
「……友を疑うわけではありませんが、今のピノコニーには星核の汚染の痕跡が見当たらないかと。ファミリーも、この銀河に「調和」の意志を広めるために尽力しているものだと記憶しています。あなた達の言葉を証明する何かがあるのなら、僕もそれを信じられるのですが……」
「星、この人はこう言ってるけど……」
「……うん、ここまで来たら全部話そう」
そして彼女達はアルジェンティに「時計屋」とピノコニーの夢境についての真実を伝える。彼はその話を真摯に受け止め、そして「分かりました」と静かに答えた。
「そのような事情でしたら、僕も喜んでこの手を貸しましょう。純美の名の下に、必ずやあなた達の力となってみせます」
「それなら……!」
「ですが、チャンピオンとしてここに立っている以上、あなた達とは一度矛を交えなければなりません。ですから、道を進むその前に──」
「あっ、まずいよホタル」
「戦う流れ……だよね?」
コソコソ話で言葉を交わす彼女達。「この人、もしかして強い?」とコソコソ尋ねるホタルに、星は「でけえ蟲の群れから1人で生きて帰れるくらいに」とコソコソ答える。そして、彼は高らかにその槍を掲げた。
「──僕にその力を示して下さい!」
◇◇◇
「どう?孔雀ちゃん、あのつまんないぬいぐるみショーは終わった?」
「ああ。もうそろそろ最終ステ──っげほっ!?」
時は少し遡って熱砂の刻の片隅。音声が不具合を起こす中、中継映像にアルジェンティの姿が映ったのを確認したアベンチュリンは、思わず飲んでいた抹茶を吹き出した。
「あれれ?もしかして、孔雀ちゃんには仙舟の抹茶は苦すぎたのかな〜?」
「いや、確かに苦かったけどそうじゃなくてね?彼だよ彼!」
「彼……ぷっ、あははっ!なんで薔薇ちゃんがあんなところにいるの?でも、孔雀ちゃんもそんなに焦ることかな?」
「ああ焦るとも!なんせ彼はあの見た目でどっちかというとゴリラだからね、どこぞの教授と同じタイプだ!見てろ、今にもおっぱじめるぞ星核ちゃん達!」
「もしかして〜、薔薇ちゃんって強いんだ〜?」
「使令とまではいかないけどまあ強いだろうさ!あの子達だけじゃだいぶ長引くだろう、愚者、君も星核ちゃん達のサポート頼めるかい?」
「しょ〜がないな〜」
そして彼等は会計を済ませ、オーディションの観客席へ一目散に駆け出した。
◇◇◇
「あれ?」
何か不思議そうに首を傾げた星に、中継という都合上「サム」が使えないために剣一本で戦うホタルは「どうしたの星?」と問いかける。無論、手抜きというものを知らないアルジェンティの猛攻を捌きながらではあるが。
「おかしい、何故かSPとバリアが盛られて会心関連がバフされてる気がする……今は壊滅なのに……」
「……?星、なんの話してるの……?」
「純美は朽ちない!」
「あっ、またスタック貯まって追撃出た」
「えっなにこれ……」